朝のドラめもん

2016/12/02

お題「櫻井審議委員講演はまあ予想通りに・・・・・・・・・・」

何か今某モーサテみたらどこぞの元審議委員が物価がプラスになったら10年の誘導目標を0%〜0.5%とか0%〜1%のレンジにした方が良いのでは、とか言ってるのが聞こえた気がするのだが、それ誘導レンジでもなんでもないんですけど5年間審議委員やって金利に対する知見をどう得たのか非常に謎。

○櫻井審議委員の講演は案の定だった件について

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko161201a1.pdf

・本文の前に図表が使い回し感強すぎる件について

上記のPDFなんですが、11枚目から図表になるんですけど、図表2と6と8がモノトーンっぽい図表(仔細に見ると図表6とかには一応青いのもある)になっていて、他の図表がえらいカラフルな図表になっているのですよ。

でまあ図表の2と6と8って昔の金融経済月報とか展望レポートからの図表になっていまして、まあ展望レポートの図表って元からそんなに色使わないのでこういう仕様になっているのは分かるのですけれども、今回の櫻井さんの金懇挨拶の場合は他の図表が大体この辺と被っているのですよね。

黒田総裁11/14名古屋講演
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko161114a1.pdf

政井審議委員11/21埼玉金懇挨拶
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko161121a1.pdf

でまあ別に執行部ベースで説明をするから同じ図表が出てきても別に良いのですけれども、上記の黒田総裁講演も政井さんの金懇も図表って全部カラフルな図表で統一している中でラフルなのとモノトーンなのを混ぜ混ぜしていて、まあそれが別に櫻井さんのオリジナルならまーシャーナイと思うのですが、図表2と6と8は・・・・・・

展望レポート全文
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1610b.pdf
の参考計表の数値を直近分までアップデートしている(例えば講演の図表2は展望レポートの図表1のアップデート版)のですな。

そらまあ別にそんな所で手を掛けるのめんどくさいというのも分からんではないのですが、何ぼ何でも日本銀行の政策委員様が行う講演(挨拶だけど)で日銀事務方謹製の公表資料の図表を使っていますというのが見た瞬間に分かる図表でそれをやるというのは、何ぼ何でもデータアップデート版なんだから色ぐらい付けてやれよと思う次第で、使い回し感が強すぎでもうひと手間くらい掛けたらどうなの・・・・・・・・・

というのが講演本文見る前に全部ざざっとみた瞬間に思ったんですけど、重箱の隅にも程がありますかそうですかいや糞細かくてすいませんねえ。


でまあ近いタイミングで3本講演が連発している中で同じ図表がホイホイ出てくるのを見ますと、うーんこのという感は強くなってしまう次第で、そらまあ政策の説明する場でもあるから同じようなのがあちこちで出るのも理屈としては分かるのですが、何か独自の視点によるものとか出て来ないのかねと思いますし、大体からして金融政策決定会合が合議制で色々な方を政策委員として登用している事の意味って何でしたっけとかイヤミの一つも申しあげたくなる訳で、政策委員会がただの執行部の追認機関となってしまうというのはアカンやろと。


・・・・・とまあそういう事になりますと、実は原田大先生の長野金懇での図表

(こちらは図表のパートです)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko161012a2.pdf

の方が使っているデータの見せ方が「QE解除」→「QQE導入」とか途中の緩和を全部無視してハチャメチャにも程があるとかそういうツッコミどころは盛大にあるのですが、トンチキであってもオリジナル成分満載となっているので実はこっちの方がマシなのでは無いかというエッシャーのだまし絵もビックリの錯覚を起こしてしまうというのは頭がクラクラして参ります。


・講演自体は案の定である

とまあひとしきり重箱の隅を突いたところで講演本文を鑑賞。最初に、

『本日は、まず国内外の経済動向について私なりの見方をお示ししたうえで、日本銀行が 9 月に導入した新たな金融政策の枠組みとその際に公表した過去の政策運営にかかる総括的な検証の結果についてご説明させて頂きます。その後、長期的な日本経済の課題にかかる私見、最後に滋賀県経済の見方について触れたいと思います。』

とございまして、では国内外の経済動向に関してどういう説明があるのかと次を見る訳ですが、『2.内外経済の現状と先行き 』の所を見ましても海外の所の最後の部分が、

『もっとも、世界経済が現在抱えている不確実性を短期的に払拭することは困難です。米新政権について、市場では拡張的な財政政策や金融規制の緩和への期待が高まっているようですが、具体的な政策の内容は明らかでなく、当面はその影響を慎重に見極めていくことになります。英国の EU 離脱問題は、EU との交渉の帰趨や、他の EU 諸国への影響の波及等について、今後も注意深くみていく必要があります。欧州の銀行部門を巡る不透明感や、世界的に保護主義的な動きが目立ってきていることなど新たな懸念材料も出てきているほか、地政学的リスクはなかなか沈静化の見通しが立ちません。世界経済は徐々に回復過程に移行しつつありますが、高い不確実性を抱えているだけに、その経路が決して盤石でないことも事実であるように思います。』

とか、国内の方が

『11 月に公表した日本銀行の展望レポートでは、先行きの成長率について、委員間でばらつきはありますが、中心的な見通しとして 2016 年度:+1.0%、2017年度:+1.3%、2018 年度:+0.9%と、引き続き潜在成長率を上回る成長を見込んでおります(図表 4)。』

『やや長い目で見れば、物価は名目賃金に沿って動く傾向があります(図表 6)。企業は、賃金が上昇すると、そのコストを販売価格に転嫁しようとします。家計は、物価が上昇すると、実質購買力を維持すべく賃金の引き上げをより強く求めるようになります。今後、雇用環境の改善が続くもとで、賃金が継続的に上昇するとの見方が一層強まれば、こうした相互作用を伴いながら、物価も徐々に基調的な上昇率を高めていくと思われます。この点、今後の物価動向を占ううえで、来春の賃金改定交渉には大変注目しています。』

とか思いっきり想定問答の棒読み講演になっていて、エコノミストだか経済学の専門家のどっちか謎ではあるものの、まあそういう建付けで入ってこられている櫻井さんなんですから独自の分析による考察というのを示して頂きたいと存じますが(棒読み)、まあ案の定のクオリティにある意味予想通り過ぎて別に悲しみも起きないアタクシがいるのでした。


・金融政策の説明の最後の部分でも鑑賞しましょう

でもって次の『3.金融政策 ―「総括的検証」と「新たな金融政策の枠組み」― 』という所なのですけれども、ここは見事に執行部の説明をトレースしていますので読むだけ時間の無駄(まあ見事にトレースしているという事の確認の為にアタクシはちゃんと2度以上読んでいますけど^^)なので割愛しまして、次の『4.日本経済の課題と金融政策 』でも読みましょう。

『次に、少し長期的な視点から、日本経済の課題と金融政策運営について、私なりの考えを述べたいと思います。』

とあるのですが、

『日本経済は、過去長期にわたり、物価が緩やかに低下するもとで低成長を続けてきました。政府と日本銀行は、2013 年に共同声明を発表し、一体となって「物価安定のもとでの持続的な経済成長」の実現に取り組んできました。足もとでは、「持続的な物価の下落」という意味でのデフレではなくなりましたが、依然「物価安定の目標」は達成できていません。景気は緩やかな回復基調にありますが、潜在成長率は低位にとどまっており、持続的な経済成長という点でもまだ十分な成果は得られていないように思います(図表 8)。』

とある図表8が展望レポートの図表なのがもうねという感じですけど、

『こうしたもとで、企業や家計は、先行きも物価や成長率は然程高まらないとの前提で経済活動を行っているように見受けられます。企業は、将来、着実に売り上げが伸びるとの確信を持てない中で、固定費の増加に慎重なスタンスを維持しています。設備投資や賃金(特に恒常的な賃金増につながるベースアップ)の伸びは、企業収益や雇用環境の改善と比較すると緩慢です(図表 9、10)。家計においても、恒常的な所得の拡大や物価の上昇を見通し難いもとで、足もとの収入増を積極的に支出に振り向ける様子は窺われません(図表 11)。』

どこに私なりの考えがあるのか分からんがまあ現状認識ですからね(棒)。

『私は、こうした現状を、ある種の均衡状態にあると捉えています。』

均衡状態とな。

『企業や家計における所得から支出の前向きな循環は、本来、持続的な成長や物価の安定を促進します。設備投資の増加は、資本蓄積や生産性の向上を通じて、潜在成長率を高めます。賃金が増えると、前述したように企業のコスト増等により物価に上昇圧力が生じるほか、家計支出が増えれば、マクロ的な需給ギャップが改善し、やはり物価の上昇につながります。しかし現状は、企業や家計に根付いた低インフレ・低成長見通しが、こうした前向きの循環を阻害することで、自己実現的に成長率や物価の上昇を抑制しているとの側面があるように思います。』

って事は「期待に働きかける政策で2年で2%物価目標達成じゃあ」という政策がワークしなかったというお話になると思うんだが。

『では、均衡状態から抜け出すためには何が必要でしょうか。私は、魔法の杖はなく、幅広い主体の粘り強い努力が必要だと考えます。まずは日本銀行が、新たな金融政策の枠組みのもとで、予想物価上昇率の押し上げや緩和的な金融環境の維持を通じて、物価の安定に努めていくことが大事だと思います。』

というのは良いのだがあれだけ派手派手な金融政策やっているのに「ある種の均衡状態」のままという現実なの何で今度は予想物価上昇率の押し上げが出来るのか意味が良く分かりません。

『同時に、政府や民間部門が果たす役割も大きいと考えます。賃金の引き上げに向けた政府と民間部門の取り組みは、物価の安定を強く支持するものだと思います。また、持続的な経済成長のためには、政府による成長戦略や構造改革の取り組み、民間部門による人材育成や研究開発を含むイノベーションの努力等がより重要になると思います。』

っていう話になっていて、これがオリジナルなのかという気もせんでもないのですが、どうも既視感があると思ったら・・・・・・・・

政井審議委員講演
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2016/data/ko161121a1.pdf

の『W.2%の「物価安定の目標」の実現に向けて 』以下の話とトーンが同じでして、まあ日銀が単独で物価上昇2%だヒャッハーで国債買入をハチャメチャに行ってマイナス金利までぶち込んで動き回ってもそれだけじゃ無理じゃんとやっと自覚して、緩和政策はやるけどサステイナブルじゃない緩和政策をやっても仕方ない、というスタンスになりましたよという説明を行っている、という事なんでしょうなあって雰囲気がプンプン。

『日本銀行が緩和的な金融環境を維持することは、こうした官民の取り組みをサポートすることで、長期的な成長力強化にも貢献し得ると考えています。日本銀行の「『設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業』の株式を対象とする ETF の買入れ」や「成長基盤強化を支援するための資金供給」も民間部門の努力を後押しするものと期待しています。』

『物価や経済成長にかかる見通しが高まれば、実質金利の低下や自然利子率の上昇を通じて、金融緩和の効果も一段と高まると考えられます。政府、民間部門、日本銀行の三位一体での努力が実を結び、「物価安定のもとでの持続的な経済成長」という新たな見通しのもとで、経済の前向きな循環が強まることを期待しています』

まあこのパートぐらいは全部鑑賞しようかと思って引用しましたが、このパートに入る前にあった「私なりの考えを述べたいと思います」と言ってた割に全然オリジナル感が漂って来ないのですが、まあそういう講演でございましたとさという所で。


○その他少々

・短国ェ・・・・・・・・・・・

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20161201.htm

(3)募入最低価格 100円08銭9厘5毛(募入最高利回り)(-0.3330%)
(4)募入最低価格における案分比率 8.5000%
(5)募入平均価格 100円09銭1厘6毛(募入平均利回り)(-0.3408%)

となりましてまーた▲30bp台に突っ込んで全般的に短国強くなって短国に引っ張られているのかどうか知らんですけど多分そうなって2年とかも強いというこの展開。

まあこれは年末のドル円ベーシスが絡んでいるのと、そもそも日銀の短国買入が徐々に減らし気味とは言え元々の残高が大きすぎるという事もあって年末とか盛大に跳ねるの季節行事状態になっているので致し方なし。つーかこれ担保需要とかのマージナル(と言っても全体の額としては担保需要だってたくさんある話だが)な人しか国内では買えないレベルでどこかの別世界レートというのは先般来申し上げている通り。


・リスクフリーレートねえ

http://www.boj.or.jp/paym/market/sg/rfr1610b.pdf
「リスク・フリー・レートに関する勉強会」第14回議事要旨

『事務局から、リスク・フリー・レートに関する国際的な議論の動向についてアップデートが行われた。ISDAからは、FSBからの要請に基づき、LIBOR、EURIBORおよびTIBORを参照するデリバティブ契約の頑健性向上に関する検討部会を立ち上げることが報告され、勉強会メンバーに対し、日本円部会への参加が呼び掛けられた。』

『わが国のレポ指標構築に関する予備的な検討ワーキング・グループからの最終報告が行われ、レポ指標の案としては、前回勉強会において議論された@レファレンス方式、Aブローカー加重平均方式およびB清算取引加重平均方式のうち、@とAを一本化し、レファレンス方式と清算取引加重平均方式に纏めたことが報告された。そのうえで、いずれの方式も、その具体化は2018年に予定されている銘柄後決めGCレポ取引の導入を踏まえて検討されるべきことが報告された。』

まあそらそうでしょ。

『なお、リスク・フリー・レートとして特定されるか否かにかかわらずレポ市場の透明性向上という観点から、実取引ベースのレポ指標を整備すること自体には意義があるとの意見もあわせて報告された。』

『こうした報告を受け、議論を行った結果、レポ指標については、現時点ではリスク・フリー・レートとして特定することはできないと考えられるが、実取引ベースのレポ指標の整備自体は意義があるとの意見集約が、勉強会としてなされた。


つー話で、まあ整備するのは良いのですが、銘柄後決めT+0GC取引にどの程度の幅の参加者が出てきてくれるのかという話を考えないと、結局「取引自体は結構あるけど参加者の厚みが無いからレートとしてそれ使うのどうなのよ」という話になるような気がします。

まあそれ以前の問題で、毎度申し上げておりますが、さっきのところにある「ISDAからは、FSBからの要請に基づき、LIBOR、EURIBORおよびTIBORを参照するデリバティブ契約の頑健性向上」ってのがFSBの持ってきている話が無理筋チックな所があって、市場環境によってその取引の長期的な頑健性って変化しうるのに特定の市場レートを使って頑健性向上というのがFSBって市場分かっているのかよ的なサムシングを感じると毎度の悪態を定期的に投下するのでありました。


でまあそれは良いのだがその次。

『続いて日本銀行から、無担保コール市場の動向について説明があり、議論を行った結果、マイナス金利政策導入後も、市場の厚みや参加者の多様性については、引き続き維持されているとの結論に至った。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

いやまあ何と申しますか・・・・・・・・・


・ 債券市場サーベイ

http://www.boj.or.jp/paym/bond/bond1611.pdf

『1.債券市場の機能度の状況(長期国債の流通市場を念頭において、ご回答下さい)』ってのを
見ますと取引面という部分はそら相場がこれだけ動くようになったのだから回答がだいぶマシに
なっているのですが・・・・・・・・・

『B貴行(庫・社)の取引頻度の変化についてご回答下さい』
『C貴行(庫・社)の実際に取引した相手の数の変化についてご回答下さい』

って辺りが悪化していて、まあYCCに振り回されていますなあというのを感じるのでありました。


しかしまあ何ですな、

『2.長期金利の先行き見通し
 (1)各年限の新発国債利回りについて、次の時点の見通しをご回答下さい。
 (2)新発10年債利回りの見通しについて、2017年度末、2018年度末の確率分布の予測をご回答下さい。』

って質問項目が相変わらずあるのだが、それは日銀様がお決めになる事なので聞くだけ無駄のような気がするんですけど・・・・・・・・・・・・















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