朝のドラめもん

2016/07/26

お題「まあコミュニケーションをグダグダにした報いでしょうなあという悪態/ドルプレミアムに関する日銀レビュー」

ほうほう。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD25H4W_V20C16A7MM8000/?dg=1
企業年金債務、最大の91兆円 積み立て不足26兆円
上場3600社の15年度末
2016/7/26 2:01日本経済新聞 電子版

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD25H5D_V20C16A7EA2000/
年金債務 低金利続き、増加傾向に
2016/7/26 2:44日本経済新聞 電子版

『▼年金債務 将来の年金や退職金の支払いに向け、企業が現時点で準備しておくべき金額のことを指す。正式には「退職給付債務」と呼ぶ。算出には複利計算の逆の手続きを踏む。複利運用なら利息が利息を生む形で、現在持っている資金が将来に向けて増加していく。これに対し、将来の支払額を年金債務に換算するには、一定の利率で割り算をしていく。この利率が割引率で、長期国債の利回りなどを参考に決める。』(上記URL先より)

という中ですがマイナス金利を更に深堀致しますとさてどうなるんでしょうかねえ・・・・・・・・・・


○何とかストの皆様の予想は8割が緩和実施とのことですが・・・・・・・・・・・・

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-24/OAPILV6KLVR501
過去最高の8割が追加緩和予想、問われる本気度−日銀サーベイ
2016年7月25日 06:00 JST 更新日時 2016年7月25日 15:28 JST

『・7月予想は41人中32人と圧倒的多数−手段トップはETF買い増し
・緩和なければ市場失望、円高進行との見方−追加緩和の効果に疑問も』(上記URL先より、以下同様)

ということでブルームバーグのサーベイですが、まあ元々41人にも質問しているけど、ちょっとそのお方に聞くこたあねえんじゃネーノというお方も散見される(誰とは言わない)のでこのサーベイも何かとにかく頭数揃えてみました感はあるのですが。

『日本銀行が今週開く金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方が、異次元緩和導入以降の過去最高に達したことがブルームバーグのエコノミスト調査で分かった。2%の物価目標の早期達成のためには何でもやるとしてきた日銀の本気度合いが問われており、緩和がなければ円高が進むとの見方が多い。』

とまあそういう話なのですけれども、経済の状況を鑑みますと、昨日ご紹介したレポートをいきなり使うというのも何ですが、ただまあ状況って別に危機モードとかそういうのじゃなくて、巡航速度で推移しているけれども、この先に関しては景気サイクル的に落ちていく可能性が強く、でも落ちたとしてもリセッション入りするような落ち方でもないでしょ、という位の状況であると認識しているのですが、たぶん普通の人はそういう見通しになっていると思うの。

となりますと、ここで財政をバカスカ打つ(と言っても真水少なくて財政投融資主体なのでそれは財政バカスカで需要サイドを押し上げるというのとは違う感なので張りぼて感高し)と、いうことですから、経済だけで見た場合にそんなに無理して追加緩和に付き合う必要は無かったりすると思われます。

じゃあ何で追加緩和をするかと言えば上記記事にもあるように「物価が行かない」というのが理由になる訳でして、為替の影響がしばらく続く上に各種サーベイの短い期間のインフレ期待や基調的な物価が頭下げてコンニチワ状態になっておりますので、物価がアガランチ会長ということでディスインフレ均衡になっていた時期に戻ってしまうリスクに対応してプリエンティブに対応しますっつー話ですし、大体からしてもとより日銀の物価見通しが無駄に高かった訳ですから、どこかで現実との齟齬を埋めに行かなくなっている状態で、物価見通しも下げ待ったなしという状態でもありますので、まあ追加緩和というのは良く分かる理屈。

『エコノミスト41人を対象に15−22日に実施した調査で、日銀が28、29日の会合で追加緩和を行うとの予想が32人(78%)と圧倒的多数を占めた。 直前予想としては4月会合前(56%)を抜いて、量的・質的金融緩和が導入された2013年4月3日会合(100%=対象13人)以降、最も高くなった。』



・・・・・・・・とまあそういう状態になっておりますが、市場の中の人たちの実際のポジションってどうよと考えると、人の懐具合だからよー知らんですけれども、売買アクティビティ見ますに「何が実施されるか訳分からんし、大体からしてやるかやらないかも訳分からんのでポジションは結果が出てから考えましょ」という風になっているものとみられますので、このサーベイ結果と債券市場のポジション状態が全然リンクしていないというのがお洒落としか申し上げようがない。

これはつまりどういう事かと申しますと、日銀が提示している政策の枠組みに対しまして、市場(市場以外もそうでしょうけれども)がその枠組み自体が訳分からねえと申しているという状態な訳で、しかもそれが感極まってきているというのが今の状況なのでしょうなという事です。

即ち、「2年で2%」に関しては、
http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2016/kk1607b.pdf

『現在、政府が経済対策の策定を進めておられることは承知しております。日本銀行といたしましては、今度の金融政策決定会合におきまして、展望レポートを取りまとめる予定です。その際、経済・物価見通しの作成に当たっては、経済対策の効果についても、当日までに利用可能な情報に基づいて織り込むことになると思っています。金融政策運営につきましては、そうした経済・物価見通しを踏まえて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成するという観点から、議論が行われて、適切に判断していくことになろうと思っています。』(7月24日G20後の総裁会見より)

とまあ直近でもこのように「出来るだけ早期に実施」とやっている訳ですが、そもそも何をどうすると2%が早期に達成できるか、という説明というので今まで日銀の理屈として聞いてきたのって・・・・・・・・・・

・MB拡大によってインフレ期待を引き上げる事によってフィリップスカーブを上方シフトさせる
・緩和的な金融政策(実質金利の低下)によって増加する需要によって需給ギャップがプラスになる
・緩和的な金融政策が円安要因になるのでアクチュアルの物価が上昇することによってバックワードルッキング的なインフレ期待も引きあがる

とか何とかだったと思うのですが、そもそも論としてMB拡大したからと言ってそれに対して有意にインフレ期待が上がったようには全く思えませんし、実質金利の低下で需要が拡大というのも眉唾にも程がある状態ですし、アクチュアルの物価が上昇してバックワードルッキング的にインフレ期待が上がったのはそらまあ効果があったような気もしますが、それによって実質所得が下がって消費に悪影響となってしまった結果、やっぱりその物価上昇は持続的ではないですよね、となった次第でありますので、どこをどう整理しても「日銀が何をどうすることによって安定的に2%の物価上昇となる状態という目標」が達成できるのか意味プーという状態な訳ですよね。

となりますと、まあ今回の追加緩和するしない、やるなら手段は何でしょう、という話で全然コンセンサスが出来ない(何とかストの7月緩和だって何もなければ9月緩和にシフトするだけだしそもそも市場のポジションが追加緩和シフトになっていない筈なので)という状態になっているのが何を意味するかと言えば、「日銀の政策反応関数」と「現行政策がどのように効果を上げるかの波及メカニズム」に対して市場(だけではなくメディアとかも)が全く日銀の説明を理解できていない事にありまして、それは理解できないワシらが悪いのではなく、説明がコロコロ変わってその時々で目先の政策運営と言い訳に都合の良い理屈を繰り出してくるから、話の整合性が全然とれておらず、その結果政策反応関数が訳分からんとなっているという累積した問題が噴出してきたってー事でしょ。

でもって政策実行に関しても黒田さんって為替市場へのサプライズを一番意識しているんでしょうなあという風に見える訳で、だからこそ「サプライズで衝撃」というのを出そうとして追加緩和を2回打ち込んでいる訳ですが、あまりにもサプライズをやり過ぎた為に今度はこちらの面での政策反応関数も訳分からなくなってしまった次第で、今度は為替市場や株式市場から「何もないとここまで戻った分以上に下がるぞ〜」と恫喝を食らう次第(なお債券は何だかわからんのでポジションを軽くして「やらない方が良いんだけどまあやりたければどうぞ」状態の筈)でして、「期待に働きかける」政策を実施していましたが、まあこの「期待に働きかける」を「サプライズで市場を動かす」と勘違いして運営した結果として、そのツケが回ってきましたなと考えますと、まあ以前もネタにしましたが「魔弾の射手の最終場面」が近づいてきたんじゃないですかねえというお話(申すまでもありませんが、黒田日銀はマックスではなくてカスパールな訳ですが)

まあべき論で言えばそもそも今の手段だって本当に効いているのかどうか分からん状態だし、副作用の方はマイナス拡大すれば明らかという状態なんですから、追加緩和をする前に今の政策が本当はどういう効き方をしているのか(=金利が下がったから効果とか喜んでいる場合ではない)、というのを虚心坦懐に分析して、その結果として、2%目標達成の為に何が必要なのか、ということ(本来的にはそもそも2%を達成したら世の中本当に良く成るのかというのもあるけど)を検討した結果として3方向なら3方向で追加緩和をすれば良いと思うのですが、今現在追加緩和に対して債券とか円金利の人って「矢でも鉄砲でも持ってきやがれコノヤロー」状態で待ち構えている訳で、どこからどう見ても不健全な状態になっておりますぞな。普通に考えれば「こういう政策をするからこういう効果が出るでしょう」的な考えで色々な予想が動いて価格形成されるというのに今の有様ってのは明らかに「日銀の言う政策反応関数も理解不能だし、政策効果の波及メカニズムも全然信用されていない」という状態な訳ですわな。

ですからべき論では今の政策を粘って続けながら長期的に維持可能な政策枠組みに変更すべきとは思いますけれども、まあこのような惨状の中で大和特攻なのかオリンピック作戦なのか知りませんが、早速3方向緩和して政策が爆発炎上してリフレ派ともども地獄の業火に焼き尽くされた方が焼け跡からマシな物が出てくるかもしれませんねとか碌な事を思いつかないこのアタクシ。まあ黒田総裁以下が勝手に爆発炎上するだけならどうでも良いのですが、爆発炎上の時に市場が炎上とかで済めば良いですが実体経済まで燃えてしまうと大迷惑にも程がある訳で、置物リフレ一派を退場させるには随分高いコストだなおいという感じではありまする。


○これは興味深いレポートですな(ドル調達に関して)

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/rev16j11.htm/
グローバルな為替スワップ市場の動向について

『要旨』

『為替スワップ市場におけるドル資金調達プレミアム――円やユーロを担保に為替スワップでドルを調達する際にドルLIBORに上乗せされる幅――は、2014年初頭から、グローバルに拡大している。この背景としては、(1)米国と他の先進国との金融政策の方向性の違いを背景としたドル資金需要の強まり、(2)金融規制を受けたグローバル金融機関の取引スタンスの変化(マーケットメイク活動等の抑制、対価として求めるプレミアムの拡大)、(3)資源価格・新興国通貨下落を受けた外貨準備等のドルの出し手のドル資金供給の慎重化、が指摘できる。先行きについては、先進国の金融政策運営や今後導入が予定されている金融規制の影響に加え、こうした市場構造の変化を受けて新たなドルの出し手の参入が進展するのか、が注目される。』

ということで、こちらは市場局による市場分析になっていますが、外貨スワップも含め、本邦金融機関のドル調達に関しては金融機構局でも外貨調達全般トータルとして分析していまして、ドル調達プレミアムの発生が顕著で定着モードですよというのが示されていたりします。

ということで本文はこちら
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2016/data/rev16j11.pdf
グローバルな為替スワップ市場の動向について

まあこの手の市場分断チックな値動きって基本的には規制によってアベイラビリティに制約が掛かるというのが有る訳でして、この手のアベイラビリティ制約ってその市場の中の人だと熟知しているのですが、他市場の人だとイマイチ良く分かっていなくて、いきなりアベイラビリティ無視して特攻して爆発炎上するというのが、別にこの為替だけではなく色々な市場で起こる問題でございまして、時に心温まる光景として爆発炎上を眺める次第ではあります。

ということで本文の結論部分をば引用致しますとですな・・・・・・・・・

本文6ページの『おわりに 』から

『本稿では、最近のドル資金調達プレミアム拡大の背景を整理した。具体的には、ドル資金需要面の要因としては、@先進国間の金融政策の方向感の違いを背景に、日本や欧州などでドル資金需要が高まったことが挙げられる。また、ドル資金供給面の要因としては、A金融規制改革への対応を背景にグローバル金融機関によるマーケットメイク活動・裁定取引が抑制されていること、B外貨準備などのドル資金運用姿勢が消極化した可能性が指摘できる。本行の「金融システムレポート」では、こうした外貨調達環境の変化や邦銀の外貨運用・調達構造を踏まえ、邦銀の外貨資金流動性リスク管理面の課題を整理している8。』

これは鏡でもある通りで、FSRの話は先程アタクシも申しあげたとおり。

『本稿の考察を踏まえると、グローバルなドル資金調達プレミアムの先行きを考えていく上では、当面、以下のような点がポイントになる。』

ほうほう。

『第 1 に、先進国の金融政策を巡る思惑などがドル資金需要に与える影響については、引き続き注視していく必要がある。金融市場や企業のグローバル化が進展しているもとで、本稿で指摘したような@投資家が為替スワップを利用して相対的に魅力がある通貨建ての資産に投資したり、Aグローバル企業が各国の社債スプレッド等を見比べながら調達手法の最適化を模索したりする動きは、今後も継続していくと考えられる。こうした中、例えば先進国間の金融政策の方向性の違いがより強く意識されるようなことがあれば、こうした投資家やグローバル企業の為替スワップ市場におけるドル資金需要が一段と強まる可能性もある9。』

うむ。

『第 2 は、金融規制等を受けたグローバル金融機関等の取引スタンスの先行きである。金融規制改革は、やや長い目でみれば、金融機関や金融システムの安定性の向上を通じて、ストレス時にマーケットメイク機能が急激に低下するリスクを抑制するといった側面で、市場の流動性・機能度にとってプラスに寄与していくと考えられる。』

ということになっていますが・・・・・・・・・・・・・

『その一方で、本稿でみたように、金融規制改革は平時におけるマーケットメイクのコストを高める可能性があるほか、様々な規制が段階的に適用されていく中にあっては、金融機関や市場が規制の影響を消化する過程で、一時的に流動性が低下するリスクもある。』

仰せの通り。

『具体的に為替スワップ市場を巡る金融規制の先行きをみると、@レバレッジ比率の G-SIB 向け上乗せ規制の最終化や、米国における外国銀行に対する規制の適用などを受けて、レバレッジ比率規制の影響が強まる可能性があるほか、A安定調達比率規制(NSFR)の詳細の決定を受けて、それに向けた金融機関の対応が進むことが想定される。また、B米国 MMF 改革を受けて MMF からグローバル金融機関への CP/CD など無担保でのドル資金供給が細れば10、(1)金融機関が投融資の原資を CP/CD から為替スワップに移したり、(2)CP/CD で調達したドルを為替スワップ市場で放出する取引を縮小したりする動きが強まるリスクもある。』

この辺りの影響はかなり大きいでしょうな。なおマイナス金利のため日本ではMMFいや何でもないです。

なお脚注10にありますが、

『10 米国 MMF は、金融危機時に元本割れのリスクが意識され、解約増加に伴う流動性リスクが顕在化した。これを踏まえ、機関投資家向けに販売され、民間短期債務を主たる投資商品とするMMF(「プライム MMF」)について、@基準価格を時価連動とする、A一定の条件下で解約制限を設ける、ことを主たる内容とする改革が 2016 年 10 月から適用される予定となっている。政府債等を投資対象とするガバメント MMF は規制の対象外となることから、プライム MMF から先行きガバメント MMF に資金がシフトする可能性を指摘する声も聞かれている。』

ということで既にプライムMMFからのシフトに向けた影響そのものは出ている筈。

『こうした点を踏まえると、金融規制に適応した新たな均衡への「移行過程」における市場の機能度、流動性には今後も注視していく必要がある11。


ですなあ。

『第 3 は、市場の構造変化を前提に、ドル資金放出主体の多様化や、ドル調達主体の調達手法の多角化が進むのか、という点である。資源価格や新興国をめぐる資金フローの先行き不透明感が依然として高いことを踏まえれば、外貨準備等が安定的なドル資金の出し手として期待できるか、現時点では不確実性が大きい。他方で、グローバルにみてドル資金の運用ニーズは潜在的には大きいと考えられ、こうした新たなドルの出し手が、ドル資金調達プレミアムの拡大を受けて、為替スワップ市場に参入してくるか否かも、
注目点と思われる。』

ということで途中を全部飛ばして纏めだけ引用しましたが違和感は無くて分かりやすい内容になっているのではないかと思います。




トップページに戻る