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林芳正代議士の車が当て逃げ
下関・新春パーティ前日飲酒運転のうえに
           被害者の運転手を呼びつけ暴行 2004年1月27日付

 下関市内で24日、林芳正参議院議員夫妻が乗った高級車が、タクシーに接触事故を起こしたうえに逃げるという事件があった。それだけにとどまらず、被害者のタクシードライバーが林芳正事務所に呼びつけられ、えり首をつかまれ衣服の一部を破られるなどの暴行を受けた。タクシードライバーの濱川正治氏(54歳)は、「タクシードライバーのプライドにかけて、泣き寝入りだけは絶対にしない」と、事故の正当な処理と謝罪を要求している。

  暴力団も顔負け
 濱川氏はこの日、夜にかけての勤務で九時半ごろ客を乗せ、信号の多い東駅交差点を避けるために、県道下関港垢田線からそれて山の口町の市道をぬけようとしていた。この市道は延長800bほどでふたたび県道に復帰する近道として知られているが、見とおしの悪い急なS字カーブがあるうえに、狭いところは幅員四b弱と、普通車2台がやっととおるほどの場所である。
 濱川氏がそのS字カーブにさしかかったとき、反対からシルバーの高級車が来たので、道をゆずろうと左の電信柱とブロック塀ぎりぎりにタクシーを寄せて停車した。ところがシルバーの高級車は注意深くぬけるどころか、あまりスピードを落とさない状態でタクシーの横をとおりぬけようとして、右側の後部バンパーとウインカーに接触した。
 「“ガーン”と大きな音がした。お客さんが“あたった、あたった”といい、それからわたしも車をおりた」と当然、高級車も止まるものと思っていた。ところが高級車は止まらないで、スーッと走り去っていった。客を車に置いたまま「おい、止まれ!」と叫び、走って追いかけたが足ではとうていつかまえられるものではない。
 大きな音にびっくりしてか、近所の人たちも出てきて、現場で一時ワイワイとなった。そのあて逃げ高級車は、林芳正参議院議員夫妻が乗っていた車で、同事務所のF運転手がハンドルを握っていた。事故現場から直線距離で100bほどの林芳正事務所にむかっていたものと思われる。
 タクシーにもどった濱川氏は、無線であて逃げされたことを会社に伝えて、ふたたび客を乗せて目的地にむかった。ところが接触事故から30分以上が過ぎて、濱川氏のタクシーに会社から無線が入り、林芳正事務所にむかうようにとの指示がされた。

 政治家の看板でこけおどし
 「あてられた被害者が、加害者から呼び出されるなんて聞いたことがない」と、濱川氏はまったく納得がいかなかった。林芳正事務所の駐車場に停車して、事務所に入らずにクラクションを鳴らしたところ、窓があいてF運転手が外に出てきた。「なんであて逃げされて、呼ばれないといけないのか」と濱川氏が抗議すると、F運転手は寄ってきて「言葉遣いが悪いんじゃ」「電話したからええやろうが」と反対にいいがかりをつけられ、いきなりえり首をつかまれた。
 えり首をつかまれながらも濱川氏は顔にかかるF運転手の息がひじょうに酒臭かったため、「これはあたりまえに相手をしてはいけない」となされるがままにされていたという。F運転手は身長が175ab前後で大柄なうえに、酒に酔って力任せに振り回すため、制服上着の裏ポケットは破れ、袖のボタンはひきちぎられた。
 「林先生も“タクシーの停車の仕方が悪いから接触した”といっている」などと、F運転手は乗っていた政治家の看板をちらつかせてこけ脅しで屈服させようとした。事務所内でも体を使ってこづかれるなどしたという。それでも濱川氏が負けずに、名刺と一筆入れることを要求すると、「月曜日にタクシー会社本社に行くから」などと、その場は逃げたという。会社から手を回して、濱川氏になんらかの圧力をかけようとしているものと思われる。
 このときは外にも事務所内にも、林義郎元代議士と身内の1人はすでに見あたらなかったという。濱川氏は「接触事故を起こして逃げること自体がおかしい。そのうえに被害者が呼びつけてえり首をつかまれて、これでは暴力団顔負けではないか。タクシードライバーのプライドにかけて、こんな横暴に泣き寝入りをしてはいけないと思った」と、憤慨している。関係者の話では翌日は林芳正氏の新春パーティーで、その日も準備や飲みごとに回っていたことから、「接触事故で警察沙汰になることを恐れていたのではないか。飲酒運転であれば、今回のケースで運転手と同乗者で合わせて九〇万円支払わなければいけない。一般庶民は容赦なくとりあげられているのに……」と、関係者はあきれている。
 S字カーブ近所の人の話
 バーンと大きな音がして、父と母が「また事故をやった」と話していた。この道は狭いが、ゆずりあえばとおれる道のはず。おかしな運転でもしたのではないか。
 タクシー運転手の話
 下関市の政治家は、飲酒をすれば大通りをとおらずに、裏道をとおるといわれている。こんな暴力団みたいなやり方を許してはいけない。

   “運転手はゴミじゃない”   2004年1月29日付
 
タクシー運転手のなかでは、林芳正参議院議員夫妻が乗った車が当て逃げしたうえに、被害者の男性運転手を呼びつけて議員秘書が暴行を加えたことについて、「事故処理の問題ではなくて道徳の問題だ」「泣き寝入りではタクシー運転手のプライドが許さない。きっちり謝罪るべきだ」など、たちまち市内中のタクシー運転手のなかで話が広がった。

  政治家の思い上がり許すな
 あまりに腹が立つ話なので尾ひれ羽ひれついたものもふくめて、下関市内や県内で大話題になっている。相手がどんな立場のものであろうと車の当て逃げは悪いことであり、ましてや暴行を加えるなど本末転倒だということ、労働者にたいするゴミあつかいのような言動が社会的に共通したものであり、働くものの最低のプライドを守る問題として共感が渦巻いている。
 あるタクシー運転手の男性は今回の事件について、「どうして事故の被害者が加害者から暴力を受けないといけないのか。そんなのは聞いたことがない。タクシー運転手はあいつらの使用人ではないし、同等だ。思いあがっているのではないか。これは事故処理の問題ではなくて子どもでもわかる道徳の問題だ。わしらはお客あっての商売だが、当て逃げされて“言葉遣いが悪い”と指摘される筋合いはない。“お待ちください!”とでもいえというのか。国会議員が乗っていて逃げるとはなんだ。暴走族でもあるまいし非常識だ」と怒り沸騰の様子。

 泣き寝入りは絶対にするな
 被害者と同じ会社の運転手は「濱川(被害者)が畜生といって話していたが、絶対に負けるなといった。知っているだけでも結構政治家絡みの事故もみ消しは多い。ほうっておいたらいつもだれかが泣き寝入りだ。林の車は酒を飲んでいたから逃げたんだろう。でないと普通は逃げない。偉い議員先生はお手本を見せて90万円の罰金を払ってもらわないといけない。濱川の車の傷を見たが、あれくらいだと“パーン!”と音がするものだ」といった。別の運転手は「相手が国会議員となると下手にたてついたら職を失いかねない心配がある。しかし、当てて逃げてそのうえ暴行するなど、わしらをなんと思っているのか。告訴でもして最後までやってほしい」といった。
 共通して他人事とは思えない心境で注目されている。40代の子持ちの運転手は「もしわしが当事者で泣き寝入りでもしたらガキどもに示しがつかないよな」といった。事件と同日、新地交差点あたりではお客が運転手をなぐってもめ、仲間がかけつけて止めたことも話され、タクシー運転手の実情や社会的なあつかわれ方が今回の事件とあわせて語られていた。
 ある運転手は、その日午前7時に駅前で客待ちをはじめ、昼までで売上は1000円たらず。「月に50万円売り上げたら自分の収入が20万円くらいになるが、そんな人はごくわずか。わしらは手どりが10万円もない。会社からしてしぼればしぼるほど――だから江戸時代を笑ってもおれない」と実情を語る。「わしらは会社に雇われていることを考えるからがまんするが、個人と個人であったらがまんならないようなことがたくさんある。会社やめたら生活ができないからグッとこらえる。濱川さんもよくがまんした。なぐったら負けだった。国会議員というのはわしらをいじめるばかりだが、バカにするなといいたい。林には大恥をかかせないといけない」といった。
 タクシー労働者のなかでは、社会的にゴミのようにみなされる風潮があることのあらわれとして共通の怒りが語られている。同時に権力者や金持ちの横暴を許さぬためにも、労働者が共通の利益として仲間のきずなを強め、団結の力をつくらなければならないと語られている。

       林芳正議員は見解表明を    2004年1月29日付
 下関市山の口町で24日夜、林芳正参院議員夫妻が乗った高級車が、タクシーに接触事故を起こして逃げたうえ、被害者のタクシー運転手を林芳正事務所に呼びつけて暴行を加えた事件は、市民のあいだで大きな波紋を呼んでいる。「下手をすれば会社に手が回り首になる」と不安にさらされながらも、勇気を出して発言した運転手への共感が語りあわれている。同時にこれまで権力にものをいわせてきた林事務所、二井県政にたいして、政治の闇に葬られてきた人たちからは悔しい思いや、不信感がわき起こっている。
 林芳正事務所の藤本勝治・筆頭秘書は27日、日本交通産業本社を訪れてタクシー運転手の濱川正治氏に謝罪した。濱川氏は、「タクシードライバーのプライドにかけて、泣き寝入りだけは絶対にしない」と、正当な事故処理と謝罪を要求しており、被害届を出すことも検討している。
 藤本秘書は、「本人(藤野智秘書)は朝から警察の事情聴取で、じゅうぶんに話ができていない」としながらも、林事務所で暴力沙汰になったことについて「一方的な暴力であったなら、たいへん申しわけないことであり、それなりの処罰をしたい」と話している。事件のあった24日夜は、後援会幹部の新築祝いの帰りで、林氏らは飲酒していたが、「秘書はウーロン茶を飲んでいた。飲酒はなかったといっている」とも語った。濱川氏が証言した「えり首をつかまれたとき、ひじょうに酒臭かった」との話と、大きく食い違う内容となっている。
 下関署のとり調べ最中といわれており、一部が引きちぎれた濱川氏の制服が鑑定に回されるなど、警察当局での成り行きが注目されている。関係者によると日本交通産業は、被害届は出さないことにした模様。

 政治家がらみで事故もみ消しも
 損保業者の男性は、「普通だったらとまどっているうちに、もみ消されてしまう。たいていの被害者は、どう抵抗したらいいかもわからない」と、政治家が絡んだ事故にかかわった経験をつぎのように語った。山口県の公安委員会、県議に根回しされ、警察署を押さえられたうえで、「これは事故でもなんでもありません」とマスコミや関係者に広がらないよう止められた。
 「マスコミにたいしては被害者も加害者も、自分の主観や主張をいう。記者からすれば、なにを信じていいのかわからない。第三者の警察に頼ることになり、“事故でない”ということになると、なにも書けなくなる。もみ消しは絶対にあってはいけないことだが、現状ではあることだ」とのべた。
 「もう時効がきたことだが……」と前置きして、ある男性はつぎのように語る。雪の日にいまの美祢西インター付近を走っていて、大型車と普通車の事故現場に遭遇した。チェーンの着脱作業をしていたところに、普通車が突っこんだ形になっており、みなで救急作業に必死になっていた。そこにさらに突っこんで、普通車に追突したのが下関の某県議の乗用車(三菱製)だったという。ところが「いま急いでいるから」と、県議は現場を立ち去った。
 「あのときの二次災害の追突が、大型車ドライバーが死亡した原因になったかもしれない」との目撃者の疑問にたいして、某県議は「もう美祢警察署に話をつけている」「運転していたのは自分ではなかった」などと回答にならない応対をしていたが、結局はおとがめなしだったという。男性らはもみ消しをまのあたりにして、“ああ、やっぱり”と、思いを深めたという。県政ともみ消しは腐れ縁のようにつづいているといわれ、被害者たちは泣き寝入りしてきたと悔しさをにじませる。
 タクシー会社事務所の従業員のあいだでは、「林事務所の加害者の秘書があらわれたが、謝罪するかと思ったら“言葉遣いが悪い”“林先生もそういっている”というようなことを口走った。居合わせたものはびっくりした」「なぜ加害者が威張っているのだろうか。選挙の票など関係ないということもいっていたそうだが、ひっくり返っていると思う」など、常識では考えられない対応に驚いていた。

 権力と金追いかけたなれの果て
 「運転手や汗して働く人間は、ムシケラぐらいに思っているのではないか」と建設業の男性は、国会議員と秘書が逃げたうえに暴行を加えたことに憤りを語る。「議員は東大、ハーバード大出で、奥さんも東大出だと自慢していた。だけどみんなの一票がなければ、国会議員にはなれないはずだ。下関でサンデングループは、官公庁にたずさわる仕事は、葬儀屋以外はみんな牛耳っているという思いあがりがあるのではないか。国のため国民のために働くことがほんとうなのに、権力と金を追いかけてきたなれのはてだ」と、鋭く批判した。
 当て逃げ暴行事件について、接触事故を起こした高級車に夫婦で乗っていた林芳正参院議員は、事故に気がつかなかったとしている。藤野秘書が運転していたとはいえ自分の所有車であり、事故周辺の近所の人たちも「ガーン」という接触した音に、家屋から飛び出てきた人もいたという。車中にいながらにして、気がつかないほど泥酔していたのかウソをいっているのかとみられる。濱川氏を呼び出したり、会社を訪問したさいに秘書が話していた「林先生も運転手の言葉遣いが悪いといっていた」「停車の仕方が悪いといっていた」という証言も、秘書がウソをついているのかどうか。いずれにしても、国民の範をたれるべき参院議員である芳正氏が公の場で見解をのべることが求められるところとなっている。
 林芳正事務所は、被害者である濱川氏と同氏が勤めるタクシー会社・日本交通産業にたいして謝罪した。

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