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嘘がはびこる国策報道
テレビや新聞使う世論操作
              日本を潰した大きな犯罪    2009年7月24日付

 テレビや大新聞をはじめとするマスメディアは、「主観をまじえずに客観的に、一方に偏らず公正中立に世論を反映し報道している」かのように見せかけてきた。しかし、今やそれを額面通り受け取る者はほとんどいない。「改革者・小泉」の演出からホリエモン騒ぎ、郵政選挙、湾岸戦争やイラク戦争、北朝鮮ミサイル報道と、国民はその都度マスコミのウソにだまされ通しだったからである。それに加えて性と暴力、お笑いなど国民総愚民化番組のオンパレードである。戦前・戦後の歴史は、マスメディアがつねに戦争とともにあり、権力者の支配の道具となって、大衆世論を巧みに歪曲し誘導してきたことを示している。

 テレビや新聞使う世論操作 
 8月30日の総選挙が近づくなかで、「小泉と安倍を筆頭にした売国政治が日本をメチャクチャにした」という世論が沸騰している。国の生産活動の基礎である労働者の生活も食料自給も、さらには医療も介護も教育もアメリカのいいなりになってぶっつぶしたことへの怒りの声である。そして「古い自民党をぶっ壊す」「聖域なき改革」といった小泉をヒーローのようにもちあげてきたマスメディアにもほこ先が向けられる。
 2001年の小泉登場そのものがアメリカの差し金だった。当初、小泉が首相になる条件は乏しかったが、自民党の総裁を選ぶ選挙に全国の自民党員による予備選挙を導入し、あたかも米大統領選のようにメディアが頻繁にとりあげた。この予備選で「小泉旋風」がつくられ、小学館の学習雑誌までが「純ちゃんフィーバー」を煽った。
 01年、小泉内閣誕生のニュースの放送時間は、1年間のワイドショー総放送時間中ダントツの206時間余りであった。新自由主義的改革を進めるために逆らうものに「抵抗勢力」のレッテルを貼る、「善玉」対「悪玉」の単純化、ワンフレーズ、国民にテレビを使って直接働きかける――などの小泉の手法は、「われわれの側につくかテロリストの側につくか」という単純な2分法で思考停止を迫るブッシュ政府の手法に源がある。マスコミは毎日「官から民へ」をくり返し、「民営化や規制緩和イコール改革、進歩」という図式の刷り込みをおこなった。
 05年9月の衆議院選挙(郵政選挙)で、小泉自民党は得票数が有権者総数の25%しかないのに、小選挙区制というトリックによって議席の3分の2を占めた。このとき、小泉応援の大騒ぎを演じたのがテレビや大新聞で、逆に国民は、マスメディアというのはうかつに信用してはならない警戒すべき存在であることを学んだ。
 選挙の直前、郵政民営化法案が廃案になったとき、すでにアメリカの『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、「(小泉が反撃に出るので)ほんの少し待てば、われわれは3兆j(郵便貯金の350兆円)を手に入れることができる」と露骨に書いていた。実は同年1月、当時自民党幹事長代理であった安倍晋三(党改革検証・推進委員会委員長)が「イメージ選挙になるのでプロの知恵を借りる」といって、アメリカの広告会社プラップジャパンとコンサルタント契約を結んでいたのである。そして総選挙は、郵政民営化に対する善玉と悪玉(既得権益擁護派)の対決と騒ぎ、「刺客」「くの一」などさまざまな仕掛けを用意して「小泉劇場」を演出した。その実行者がテレビや大新聞であった。
 このとき民主党は、アメリカの広告会社フライシュマンと契約していたが、同社を傘下におくオムニコム・グループのローゼンシャイン会長が、当時首相官邸で懇談していたことも明らかになっており、知識人のなかでは「わざと民主党が負けるように仕組んだのではないか」という指摘もある。

 こぞって詐欺師を絶賛 村上ファンド等
 05年2月、ライブドアの堀江貴文がニッポン放送株35%を取得して筆頭株主になり、フジテレビや産経新聞などのメディアを自分のものにしたいと表明したとき、メディアはこれを「守旧派とたたかう新時代の旗手」「若手起業家の手本」として大きく持ち上げた。
 「金があればなんでも買える」「法律にふれなければなにをしてもよい」というような主張と行動が、汗水流して働く一般庶民にとってあいいれないものであることはいうまでもない。ところが当時、『週刊金曜日』は「ライブドア潰しの歪んだ論理」を特集し、「ライブドアのやった会社乗っ取りはなんら非難されるものではなく、もしそれが嫌なら株式を公開しなければよい」「身勝手なフジ一社のおかげで日本市場が海外の投資家から見放されたら困る」と主張。田原総一朗や安倍内閣の教育再生会議委員らも「教育改革で育てるべきはホリエモンや村上世彰のような人物」と讃辞を送った。
 ホリエモンはアメリカのグローバリズムと新自由主義の落とし子だった。ニッポン放送株の買収劇自体、陰の主役はリーマン・ブラザーズであり、外資の日本市場乗っ取りの先駆けだったのである。
 しかしホリエモンは、自民党に担ぎ出され広島6区から立候補(郵政選挙)してあえなく落選。その後、人だましの詐欺商法で逮捕され実刑判決を受けた。同じ時期、東大法学部時代に林芳正参議院議員と友だちであり、「ものいう株主」としてマスコミの寵児となった、ファンドマネージャーの村上世彰も、インサイダー取引の容疑で起訴されている。
 06年9月、安倍内閣が誕生すると、マスコミは「クリーンな政治家」「政界のプリンス」と持ち上げた。地元下関では笑い話のようなことを宣伝した。〇七年の参議院選挙で自民党が惨敗し、安倍氏は首相を放り投げして、現在の大逆風に至っている。

 意図的な内容の低俗化 1980年代以後
 また、テレビをはじめメディアの内容の低俗化は、最近とくに批判が大きい。それも自然にそうなったというのでなく、1980年代、レーガン・サッチャー・中曽根政府などが一斉にマスメディアの大幅な規制緩和と市場化を強行し、意図的にメディアの「公共性」を破壊し公的な道徳規律も取り払ったのが要因となっている。アメリカではメディアと娯楽産業とのM&Aによって、テレビやラジオ、雑誌や本の出版社、映画やレコード会社、テーマパークまでが、AOLタイムワーナー、ジェネラル・エレクトリック、ディズニーなど10の多国籍娯楽企業ににぎられる寡占状態が生まれた。彼らは「目的はただ金もうけをすることだけ」(ディズニー社長)と公言してやまない。
 これらは心身ともに成長する世代である青少年に深刻な影響を与えている。また、安倍内閣が教育再生会議を立ち上げると同時に、福岡県の小学生の恐喝事件をとり上げてマスメディアが「教師のいじめ隠し」と大大的にキャンペーンをはり、校長を自殺にまで追い込むという「不当な支配」をおこなって、その年の12月、教育基本法を改悪したことも記憶に新しい。
 今では教育とメディアが連動して、子どもを動物化させ攻撃的な自己中心人間をつくり、戦争の肉弾づくりをやってきたと、厳しい批判の目が向けられている。
 マスメディアが国民をだましたもっとも大きな犯罪は戦争である。戦前の中国への全面侵略戦争は、1937(昭和12)年7月7日、北京郊外の盧溝橋で日本軍が示威的な夜間演習をおこなっていたさい、「数発の銃声がした」とデッチあげ、中国にいいがかりをつけることから始まった。当時の『朝日新聞』は、「今回の事件は支那側の挑戦的不法射撃によって発生せるものなること一点の疑ひもない」と煽り、日本軍司令官の「帝国の望むところは常に和平解決であったが、最早支那側の暴虐に黙していられなくなり、ここにおいて正義の軍を進めて支那の暴戻を断固膺懲する」というインタビューを載せて世論誘導をおこなった。
 同年12月の『大阪朝日』の「天声人語」は「官立大学教授といへども国家の一微粒子であり国家機関の一員である以上学問の名に甘えて国家および国民を見くびってはならぬ」と書き、戦争に抵抗する知識人を名指しで攻撃し大学におれないようにした。戦時下の1944年に言論統制の総本山・情報局の総裁として入閣したのは、朝日新聞社主筆・緒方竹虎であり、後任総裁は日本放送協会(NHK)会長の下村宏であった。マスメディアは「軍部の弾圧でものがいえなかった」というようななまやさしいものではなく、みずから先頭に立って権力の手先となって、日本を廃虚にする無謀な戦争に国民をひきずりこんだのである。

 米国の占領政策を代弁 日本敗戦後
 しかも日本の敗戦後、日本のマスメディアはアメリカ占領軍のもと、ほとんど無傷で戦後体制に組み入れられた。敗戦国ドイツで、既存新聞の継続・復刊が一切認められなかったことと対照的である。そして、米占領軍は戦時中をはるかに上回る検閲体制を敷いたが『朝日』『毎日』『読売』など大新聞の「占領軍の検閲に対する批判もしくは抵抗的姿勢はまったくうかがえない」「戦前も戦後も言論報道の統制にひたすら適応することに専念していた」というのが、占領史研究者の意見である。
 GHQの民間情報教育局(CIE)と傘下の民間検閲支隊(CDD)の検閲は徹底したもので、「日本人の戦争有罪性と軍国主義者の責任」を追及する一方戦争の被害や飢餓、米軍の犯罪、とりわけ原爆については記録したり語ったりすることを厳重に統制した。1949年に日本で初めての原爆映画が製作されたとき、脚本はCIEの検閲をへて「長崎のキリスト教徒で被爆者である永井隆博士に具現される人間愛を描く」「原爆は、野蛮で狂信的かつ不寛容な日本の精神に対して自由、文化、科学に目を見開くようにという日本人に与えられた啓示的出会いだ」となった。人人が原爆の真実を語ることを封じる圧力であった。
 講和条約後の53年1月、米国務省、国防総省、CIAが「対日心理戦略計画」をまとめ、「日本に安定的な親米保守政権を確立し、この体制をメディアによる心理戦によって永続化させる」ことを打ち出した。この方向にそって、日本のお茶の間のテレビ画面を通じて、アメリカ提供の報道番組、西部劇、ホームドラマ、アニメ、プロレス、野球、バラエティが流され、アメリカ式生活様式の賛美を浸透させた。
 近年、NHKの大河ドラマは『徳川慶喜』『新選組』『篤姫』など、人民の革命によって打倒された徳川幕府側を擁護するもので彩られている。03年のペリー来航150年には、メディアは「ペリー来航のおかげで日本が鎖国から目覚め近代化された」「それから92年後、マッカーサーによって民主主義日本の新生が始まった」という政治的なキャンペーンをおこなった。それはハリウッドによる『ラストサムライ』の日米同時公開となり主演のトム・クルーズと小泉の会見となり、翌年の自衛隊イラク派兵式典での自衛隊幹部の「武士道の国の意気を示せ」という演説になった。アメリカのために死んでこいというのである。
 そしてとりわけ異常なのは、最近の北朝鮮報道である。北朝鮮がテポドン打ち上げや核実験をすれば、平和的な解決を訴えるメディアは一つもなく、テレビのワイドショーなどが競って北朝鮮が「悪魔の国」であるかのように虚実とりまぜて演出し、「貿易を全面禁止して経済制裁を」「敵基地を先制攻撃する能力が必要」と叫んできた。日本をアメリカ本土を守る盾にして原水爆戦争の戦場にする危険性を、みずから引き寄せているのだ。

 本当の事は書けぬ体制 経営は広告料に依存
 日本のマスメディアが以上のような売国政治の広報機関と化すのには、経営上の背景がある。すなわち民放テレビ局は総売上高の9割、読者の購読料を集める大新聞でさえその5割を広告収入に頼っていることだ。そこに、トヨタやホンダ、キヤノンなどスポンサー企業から広告料を集め、広告の企画・製作をおこなってメディアとの間を仲介する広告代理店の影響力が生まれる。
 広告代理店・電通の売り上げは単体で1兆5771億円で、博報堂DYグループ(6900億円)やアサツーディ・ケイ(4100億円)をはるかにしのいでいる(06年)。電通1社で日本のテレビ広告費の38%、新聞広告費の20%を取り扱っているうえに、主要な民放局すべてとNHKの番組を管轄する総合ビジョンにも資本と人材を送り込んで、特別の影響力を行使している。
 評論家の森田実氏は、著書『小泉政治全面批判』のなかで、広告・マスコミ業界関係者の話として次のようにのべている。「日本の広告業界は巨大独占体(電通)のもとに一元化されているが、それが事実上、丸ごとアメリカに買収された。この巨大独占体がアメリカのコントロール下に置かれれば、日本のマスコミを自由に操ることができる。マスコミ企業は広告巨大独占体に睨まれたら倒産させられてしまう。生きるためには巨大独占体のいうとおりにしなければならない。いまや巨大独占体はアメリカそのものといって過言ではない。ブッシュ政権の意向は、日本の広告業界、マスコミ界にそのまま通るようになっている」。これが郵政選挙の前月のことである。
 また、「テレビとネットの融合」のかけ声のもと、06年、竹中平蔵総務相(当時)の音頭で「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇)が発足し、通信と放送関係の法律九本を「情報通信法」(仮称)に一本化すること、その法案を来年の国会に提出することを求めた。現行の「放送法」ではテレビ・ラジオは「政治的に公平であること」が建前である。また「日刊新聞紙法」では、戦争の反省から「新聞社の株式は新聞事業に関係ない者が保有することはできない」としており、株式を証券市場に上場している新聞社はない。その規制を緩和して、日本のメディアをアメリカのように身売り・買収・再編が相次ぐ状態に、すなわち外資の草刈り場にしようというのである。
 だからこうしたなかで発行されている商業新聞は、その規模が全国的にせよ、県的にせよ、いずれもカネの面で支配されており、人民の真実の声をかき消して、支配権力の忠実な代弁をこととしているのである。だがそれは大量の印刷部数を誇るとはいえ、本当のことが書けない。

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