2重スリット実験(1)

物質は、波であり、粒子である」

これを、もっとも分かりやすく示してくれる実験が「2重スリット実験」である。

●実験概要
まずは、図をみてほしい。



電子銃の前にはボードが置かれ、
そのボードには、「2つのスリット(隙間)」を開けられている。
そして、ボードの奥には、スクリーンが配置されている。
スクリーンは、カメラのフィルムのように感光する性質を持っており、
電子が当たると、その場所に白い跡を残す。
つまり、スクリーンには、電子が当たった場所が映し出される。
これが、2重スリット実験の概要である。

ようするに、2重スリット実験を、一言で言うと、
「2つ穴が開いた板に向かって、電子を飛ばしたとき、
 その奥のスクリーンに何が映りますか?」
ということである。

●実験開始
さて、2重スリット実験は、電子銃から電子を飛ばして、
スクリーンに映ったものを見るだけという簡単お手軽な実験なのだが、
電子銃からの「電子の飛ばし方」を変えることで、
3種類の実験を行うことができる。
その3種類の実験に、それぞれA、B、Cと名前をつけよう。

●実験A 大量に電子を発射した場合
電子銃から大量の電子を放射してみるとどうなるか。

結論を言うと、スクリーンには綺麗なシマ模様ができる。



これは「干渉縞」である。
(干渉縞については、波派VS粒子派の戦い(1)を参照)

干渉縞ができるのは、「電子が波」だと考えれば、なんの不思議もない。



まず、電子銃から、電子の「波」が飛んでいき、ボードに達する。
で、ボードには「2つのスリット」があるのだから、
波は「スリットAを通っていく波」と「スリットBを通っていく波」の2つに分かれる。

すると、スクリーン上には、その2つの波が重なり合ったものが見えるはずである。

つまり、2つの波の「山と山」「谷と谷」が重なっているところは、
お互いに強め合って明るくなり、
逆に、波の「山と谷」が重なっているところは、打ち消しあって波が消えてしまい、
その場所は暗くなってしまう。
したがって、シマ模様を作る。

それだけのことだ。同じことは、海の波を使ってもおきる。
電子が波だと考えれば、何も不思議はない。

●実験B 電子1個を発射した場合
電子銃の出力を小さくして、「電子1個」を発射してみたらどうなるか?

結論を言うと、スクリーンには、ポツンと小さな点が現れる。



これは、電子1個を飛ばしたのだから、スクリーン上には、
その1個が当たった場所が「点」として映るということで、当たり前の話である。
なんの不思議もない。



電子が、スクリーン上に「点」として映ることは、
「電子が粒子」であるという確かな証拠である。

ちなみに、追加実験として、スリットAとスリットBにそれぞれ、
「電子が通ったかどうかを観測するセンサ」を置いてみたとしよう。

もし、電子が本当に粒子であれば、
スリットが2つあったら、どちらかのスリットから出て行くはずだ。

(パチンコの玉を想像して欲しい。
 パチンコの玉が、このボードを越えてスクリーンにたどり着くためには、
 スリットAかスリットBのどちらかを通り抜けなくてはならない。
 重要なのは、パチンコの玉(粒子)は、
 あくまで一方のスリットしか通らないということだ。
 1個のパチンコの玉が、両方のスリットを通り抜けるということはありえない。

 もし、電子が、波であれば、両方のスリットから出て行くかもしれないが、
 粒子であれば、一方のスリットしか通り抜けないということがミソだ)

さて、2つのスリットに「電子が通ったかどうかを観測するセンサ」を置いて、
実際に「電子1個」を飛ばしてみる。
すると、2つのセンサのうち、必ず一方のセンサしか反応しないのだ。
スリットAのセンサが反応すれば、スリットBのセンサは反応しない。
逆に、スリットBのセンサが反応するときは、スリットAのセンサは反応しない。
つまり、2つのセンサが同時に反応することはなく、どちらかだけが反応するのだ。



これは、すなわち、電子1個が
「一方のスリットを通り抜けたとしたら、他方のスリットは通り抜けていない」
ということであり、「1個の粒子」であるという確かな証拠である。
1個の粒子が、2つの穴を同時に通り抜けることはありえないので、当たり前の結果だ。

したがって、電子は、
粒子であるという結論を持つことができるのだ。


おっとっと。
実験Aでは「電子は波」という結論になり、
実験Bでは「電子は粒子」という結論になってしまった。
一体、どっちが正しいのだろうか?
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