「連絡艇(長距離タイプ)」

1984年公開の、日本が世界に誇るハードSF映画・・・・になる予定が、トンデモ映画として
後世に語られることとなります「さよならジュピター」に登場する脇役メカです。
デザインはスタジオぬえの宮武一貴氏、現在の目でみても高いクオリティの
プロップは小川模型グループ(現オガワモデリング)製です。

この映画、日本SFの巨匠小松左京氏を中心に当時の若手SF作家をブレーンにストーリーを作成、
映画作りのプロセスも、当時としては画期的なさまざまな手法を導入した大変野心的な作品でした。
模型製作を手がけた小川正晴氏(当時大学生)の起用もそのひとつと言えるでしょう。
が、実際出来上がったフィルムは、どうボタンを掛け違えたんだか、今となっては例の無重力セックスぐらい
しか語られることのない、映画としてもSFとしても、絶望的な出来の物となってしまいました。

当時のボクも大変期待していたファンの1人でした。で、出来上がったものが意味無く長いドッキングシーン
や、作り物然としたイルカやユーミンなどなど・・・。当時は「だから日本映画はぁ」とあきらめたのですが、
先日、発売したDVDで本編、メイキングを見返し、原作本を読み返してみると、ダメだしだけしておくには
余りにももったいない要素を持つものと、再考してみたくなりました(おかしいか?)

というわけで1号模型である「連絡艇」のガレージキット化です。
宮武一貴氏、小川正晴氏、そして小松左京氏へのリスペクトをこめています。

キット化するに当たっていくつか候補はあったのですが、まず重力に負けちゃうデザインは強度的に
無理ということと、DVDに収録されていたフジTV特番でのインタビューで小川氏が持っていた連絡艇のプロップ。
まさに「アレ」が欲しいと思ったのが動機です。デザイン的にもこれだったら何とかなるかなぁなんて思ったり。
ですが、結論から言いましょう。負けです。完敗です。商品として出しといて何ですが、プロップに近づけようと
頑張ればガンバルほど、そのディティールの細かさ、構造など大変考え抜かれたものと思わされます。
当時の資料を読むと小川氏のコメントに「宮武メカをうまく作れるのは自分」的な発言がありましたが
まったくそのとおり。カッコイイもんね。TOKYO−3とか。うーんまったく修行が足りないです。

と、いうわけであんまり実際のプロップに似てないです。
ディティールも成型上の都合もあり、かなり省略しています。
一応参照しているのは、中景タイプと呼ばれるプロップのスタイルです。
プロップに近づける仕事はボクには無理だなぁ。
マシーネンでの背戸氏やKATOOO氏の仕事(オリジナルモデルに近づける)ってやっぱすごいなぁ・・・と。

あと、やっぱ宮武メカは大変魅力的だね。デザイン的に強度が高いというか、「あく」の強さというか
80年代メカデザイナー特有の魅力ですよね。何だろう、大河原メカと共通するというか・・・・。


大きさ比較です。お約束の男の塗料、Mrカラー缶スプレーです。