過激な活動を行うことで知られる英国の動物保護運動家たちは、その活動範囲を日本にも広げたいと考えている。しかし日本の動物保護団体は、そうした外国人の活動に非協力的である。動物保護運動の一環としてショック・タクティクス(急襲戦術)をとれば、日本では逆効果になりかねないと日本の関係者は考えているのだ。
英国ウースターシャーに本部を置く動物保護団体、SHAC(Stop Huntingdon Animal Cruelty、ハンティンドンの動物虐待反対)は今年初めから、日本の学術・産業研究者をターゲットとした活動を進める意向を表明している。SHACが攻撃対象とし、閉鎖に追い込もうとしている英国の動物実験会社、ハンティンドン・ライフ・サイエンス社(Huntingdon Life Sciences)への動物実験委託は、その五分の一が日本からのものなのだ。SHACはすでに、多くの日本企業のヨーロッパ支部でデモ活動を行っている。
SHACの英国人女性活動家が、2002年4月に順天堂大学から実験用動物となっていた犬を盗んだとして、窃盗と建造物侵入の疑いで逮捕された。同時に、東京に本部を置くARC(アニマルライツセンター)の代表理事ら日本人男女二名も逮捕された。
SHACの活動家は窃盗容疑を認めているが、日本人活動家二名は、SHACの活動家が連れてきた犬を、盗んだものとは知らずに保護しただけだと主張し、容疑を否認している。ARCも、SHACの活動家に友人として宿泊場所を世話しただけであり、違法行為には気付いていなかったとしてSHACとの関連を否定している。
ARCは、日本における動物の扱いの悲惨さ、動物保護問題に対する日本人の意識の低さを世間に訴えようとしている。しかし日本人の性質を考えると、過激な不法手段をもって動物保護問題を訴えれば、逆に世間の反感を呼び、人々の共感は得られないだろうと予想される。
日本の大規模な動物保護団体は、ARCだけでなくJAVA(動物実験廃止を求める会)なども、SHACの不法活動を支持しないことを表明している。
犬の窃盗容疑で逮捕されたSHACの活動家はまた、大阪大学などいくつかの日本の研究所から研究資材を盗み出した容疑者でもある。大学院生を装ったり、偽造の紹介状を使ったりして内部に侵入した彼女が盗み出したビデオや写真は、日本における動物虐待の証拠としてSHACのホームページで公開された。
こうしたSHACのやり方は、当初はいくらかの成功を収めたといえる。しかし当然ながら研究所側は、そのような「残虐な動物実験」を明確な目的のもとで行っており、それらの意義や理由等を的確に説明づけることもできる。「あの事件によって変わったことといえば、部外者が研究所に入り込まないようにする警戒体制が強化されたというだけだ」と大阪大学の関係者は語る。
それでもSHACのスポークスマンによれば、SHACの活動は日本企業の研究のあり方に確実に影響を与えており、これから日本の研究者に対してさらに激しい働きかけを続けてゆくつもりだとのことである。