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ドラめもんの読書室

という訳で、書評あるいは本の紹介コーナーを独立させてみました。


2013/09/04

○読書室別室(^^)

以前、と申しましてもこれがまた相当の以前でして、良く良く見たら2006年9月にご紹介した本なのですが、本が完売になったのを期に絶版扱いにして、著者サイドが全文無料公開する事になりました。ということでタダで読めますので折角なのでご紹介(^^)。

トップページ
http://www.happyengineering.org/

各章の文書はこちらからリンクされています
http://www.happyengineering.org/HappyEngineering/
ハッピィ・エンジニアリング 新しいシステム開発の処方箋

でまあSEの方が読むというよりは、システムの導入とか開発している(ユーザーサイドの)プロマネとかそれより偉い人とかにオヌヌメでございますので、まあ適宜ポチッとご覧なるといかがでしょうか^^;





2013/05/02

・「ロンバード街 金融市場の解説」(ウォルター・バジョット著 久保恵美子訳、日経BPクラシックス)

先日ネタにした中曽副総裁のLLRに関する講演でも言及された「バジョット・ルール」についての話があることでも有名ですが、帯に「金融危機時の中央銀行の役割を明らかにした19世紀の傑作」とありまして、「1873年初版。ロンドンの金融街の構造を詳細に分析した金融史の古典。我々が直面している現下の経済問題を解くための必読書」とある宣伝文句にあるように、書いてある話はそのバジョット・ルールに関連する話だけではなく、経済状況と金融システムとかの話とか現代に通じる示唆の多い話だと思われます。

まあ何だ、本当は原著を読むのが正しいのだと思うのですが、あたしゃ邦訳で勘弁して頂いておりますけれども(汗)、それはそれとして銀行業務に対する基礎知識皆無状態で読むとちょっと前半読むのがキツイかもしれないなあとは思いますのでその辺知らない場合はご留意くらはい。

ISBN-978-4-8222-4830-7 C0330 \2400



2012/03/30

・「赤いダイヤ(上下巻)」(梶山季之著、集英社文庫)

都合1年3か月ぶりの読書室は相場の名作でござる(^^)。

最近は中銀の出す講演などを読むだけでアップアップのあたくしですが、やはり古典名作を読んで正しく充電しないといけないと思いまして、この本諸般の事情で下巻だけ入手したのですが、急に思い立って某書店に出かけた時にもしやと思って調べたら店頭在庫があってめでたく査収(かつて角川文庫で出ていた筈ですが、1994年1月に集英社文庫から復刻で出ています。ちなみに書店で査収したのは2008年9月の第3刷^^)。

「赤いダイヤ事件」とか言っても何の事だかご存じない方が普通だと存じますが、題材としてはそのまあその当時を題材にした相場物語、というか金に絡んだ欲と野望の入り乱れる物語、という感じですか。まあとにかくお話としては非常に面白かったです。

ブローカー稼業で失敗し入水自殺をしようとした男が海で不思議な男に出会うのですが、その男は赤いダイヤで勝負する稀代の相場師だったのです・・・・という所から物語は始まるのでありますが、息をつかせぬテンポで物語の展開も迫力もあるので一気に読めてしまいました。確かにこれは不朽の名作です。

(追記:赤いダイヤって小豆(「あずき」ですが商品相場業界では「しょうず」と読むほうが多いと思います)の事です)

ISBN-978-4-08-748126-6 C0193 \762(上巻)
ISBN-978-4-08-748127-3 C0193 \800(下巻)



2010/01/04

・「ルワンダ中央銀行総裁日記(増補版)」(服部正也著、中公新書)

本石町日記さんの所で紹介されていましたが、めでたく復刻されて今回は増補版として登場。で、年末年始に一気に読了しましたけど、内容に関しては下の方にリンクつけときますのでまあそちらをご参照(手抜き)という感じで。

あたくしはとりあえず引っ掛かる部分を気合で流して読んでしまいましたが、本当は通貨改革実施(二重為替が中心問題)に関する部分とか、経済改革に関する部分とかは、紙と鉛筆を用意して服部さんの説明部分を図に直して考えていきますと、通貨制度がどうしたこうしたとか、経済学がどうしたこうしたという事になると拒絶反応が起きてしまう一般ピープルでも分かるのでは無いかと思いますよ。ということで、入門書にもなるのではないかとふと思うのでありました。

問題の真の所在を突き止めていく為に表面的な理解では足りないという口で言うのは簡単だけど実際に実行するのは難しい事を実践して、ルワンダ経済の立ち上げに寄与したという服部さんの行動には素直に感心しました。

で、ご案内の通りルワンダはその後戦争で大変な事になってしまったのですけれども、増補版ではルワンダ情勢に関する米国中心の報道に対して服部さんがもの申した文章が収めされています。露骨には書いてませんけど、内戦の一方の当事者に肩入れして武器などの供与を行い、悲惨な状況を拡大する事になった大国(って米国でしょうな)への批判がありまして、大国が後ろから支援する事によって民族間抗争の悲劇が拡大する現実の一端を垣間見させてくれます。

ISBN-978-4-12-190290-0 C1233 \960

関連書評はこの辺
http://hongokucho.exblog.jp/11458398/
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20091012/hattori_masaya

服部さんの国会答弁ネタ
http://hongokucho.exblog.jp/11660175/







2009/09/14

・「新しい労働社会−雇用システムの再構築へ(濱口桂一郎著:岩波新書)」

えーっと、労働問題に関してはあたくし社労士試験を2度受けて2度玉砕してもー来ねえよプンプン状態になった程度の知見しか無いので、色々と勉強になりました。で感想などを。

こちらの著者のブログは良く読んでおりまして、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/
そのせいか本文がですます調になっている事に関しては著者のブログを見ているような感じですんなり読めたのですが、人によっては読みにくいかもしれませんね。

基本的に金融屋のあたくしとしては、本書の第2章の非正規労働者問題に関する土地勘が無く(事務系の派遣さんしか見ないから)、金融屋的には第2章を読むのに少々苦労しました。ということで、この本ですが読む人に土地勘が無い分野(例えば日系の大手企業の勤務経験がないと第1章とか第4章とか土地勘無いと思います)を読むときは苦労するかもしれません。ということで、金融屋さん(ただし外資しか経験の無い人を除く)なら1章読んだ後3章、4章に飛んでから2章を改めて読んで、その後全部読むとじゃが良いと思います。(誤字発見したので訂正しました)

それから、著者が元々労働省の官僚さんだったこともあってか、提言される解決策とかが極めて現実的な処方箋(出来もしない理想論ではない)で、大変に好感をもてました。筆者著者のブログにありますように、EU労働法政策に関する分野が筆者著者の専門みたいですので、米国の話が殆ど出てこないのですが、そこまで入れると話が散漫になりそうですし、「現実的な処方箋」を重視する著者としては、あまりにも制度的に違う(んですよね?)米国の話を持ち出す必要は無いという事なのかなと勝手に想像してますが、「コーゾーカイカク」教の方々が多い昨今ですので、米国の話もあるとまたオモロイのかなと思うのですが、それはまた別の場所で期待するべきなんでしょうな。(誤字発見したので訂正しました)

将来経営コースに進まれる方(特にドメ日系の方)は読んでおくべき本なのではないかと思います。

ISBN978-4-00-431194-2 C0236 \700

追記:さっそく(!)濱口先生のブログで書評を紹介頂きました。しかも『金融の鉄火場を生きるネット界でも有名な』とはまた恐縮至極でございます(大汗)。で、そちらのエントリーにありますように、この本は第2章がキモになっていまして、3章4章を読んで2章に戻ってから再度全部を読むと話がストンと落ちてくる感じがします。ちなみにあたくしは第2章の三者間労務供給関係の整理の部分で(いわゆる事務系の派遣さんしか実際に見た事がないので)一旦止まって、とりあえず第3章以降に進み、その後改めて2章を読んだら話が見えてきました(超大汗)。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-ce1b.html




2009/07/13

2年近くサボっておりますが、全く本を読んでいなかったわけでは無いっす。ここ暫くは感想書く気も起きなかったもんで・・・・・

で、出てくるのが金融と全然関係ない本なのは仕様です(^^)。

・「第一阿房列車(内田百闥、新潮文庫)」
・「第二阿房列車(内田百闥、新潮文庫)」
・「第三阿房列車(内田百闥、新潮文庫)」


注:機種によっては読めないかもしれません。「うちだひゃっけん」さんで、最後の文字は門がまえに月です。

この辺とかこの辺にございますように、あたくしは若干の鉄分入りなのですが、内田百閧ウんの阿房列車(あほうれっしゃ)シリーズは鉄道とか旅行とかが好きな人にも勿論内田百閧ウんの世界が好きな人にも楽しい本のようですが、こういうの合わない人もいるかもとは思いますので、読む人を選ぶかもです。

シリーズ第一作の「特別阿房列車」(東京から大阪まで行って1泊してとんぼ返りするという旅)の有名な書き出しを引用させて頂きたく存じます。

『阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪に行ってみようと思う。』(強調部分は引用者による)

本来は旧字旧仮名遣いが百關謳カの文章だそうなのですが、文庫版に関しては新仮名遣いで表記してますので、そのうち旧仮名遣いでも読んでみたいですね。

ISBN978-4-10-135633-4 C1095 \476E
ISBN978-4-10-135634-1 C1095 \400E
ISBN978-4-10-135635-8 C1095 \476E

ちなみに、あたくしは日本で散々営業して収益上げているのに日本に法人税を納税しないような国賊企業では書籍等の購入を行わず、常に書店を回って本を買うあるいは注文する人ですので、相変わらずリンクなどはつけませんが、一応ISBNの番号は付けておきますです。









2007/10/19

今回は気に入った所をちょっと引用しちゃってみるのです。

・「会社は頭から腐る(冨山和彦著、ダイヤモンド社)」

この方のキャリアを最初に拝見した時には「机上の空論なコンサルさんですか」とか思ってたのですが、著書を拝読致しましてあたくしが物凄い勢いで完全に誤解していた事が判りました。誠に申し訳ない(って誰に謝ってるんだ?)というか、自分のアホさに汗顔至極。

どこを読んでも面白いのですが、ニヤニヤと思ったのは第1章の本書15ページから始まる小見出し『大企業の中間管理職は半分に減らしても業務をこなせる』という部分。17ページの中盤を引用致します。

『だからスタッフ部門の「忙しくて手が足りない」「忙しいからちゃんとした分析や計画書を出せない」という話はだいたい、話半分に聞いておいて大丈夫である。そのような状況下ではスタッフ部門の人員、とりわけ管理職やそれに準ずる中高年オジサンの頭数は思い切って減らした方が業務遂行能力も意思決定のスピードと的確性も向上する。スタッフ部門のパラドックスはインテリが多い組織ほどその深刻さを増す。』

耳が痛い・・・・

『その極致が政府の官僚機構である。大雑把にいうと、この手の中高年インテリスタッフ比率の高い組織では、上のほうからスタッフを半分くらいに減らしてもほとんど障害は起きない。以前ミスミの創業者である田口弘社長(当時)から「人が足りないという部門からはむしろ人を取り上げたほうが本質的な効率改善が進むものだ」といわれて「うーむ」と頭を抱えたことがある。田口さんはこのようなパラドックスを見抜いていたのであろう。』

物凄く耳が痛い・・・・・

ISBN978-4-478-00070-0 C0034 \1500


・「満鉄全史 「国策会社」の全貌(加藤聖文著、講談社選書メチエ)」

満州国が成立して満業(満州重工業開発)が設立された後の鉄道会社としての満鉄ではなくて、日露戦争後に獲得した南満州の権益からスタートした国策会社としての満鉄の歴史を書いてますので鉄道マニア向けではありません。昭和史の本はよく見ますが、日露戦争から満州事変までの日本史に関連する本(かつあまり重くないもの)は意識して探さないと見つからないので、これは中々(ただし読者はかなり限定されるものと思われ)。

筆者あとがき部分の「エピローグ」から。本書207ページより引用。

『残念ながら近代の日本が国家として希求した国策は、場当たり的なものでしかなく何の統一性もなかった。松岡(引用者注:松岡洋右満鉄第14代総裁、のちの外相)は「満蒙は日本の生命線」と唱えたものの、では具体的には何をしなければならないのかについては、誰も明確かつ合理的な答えを持っていなかった。松岡や石原(引用者注:石原莞爾関東軍参謀、のちの陸軍大将)のように個人にせよ関東軍や外務省のような組織にせよ、それぞれが勝手な国策を唱え、総論賛成・各論反対の足の引っ張り合いを繰り広げるなかで日本の満州支配は進められていった。そして、その場当たり的な国策があらゆる民族に限りない悲劇をもたらす結果を招いたのだ。』

『しかも強力な指導者や指導層によって進められたわけではなく、国策に関わったものたちがいずれも部分的な役割しか果たしていないこと、さらには足の引っ張り合いによって誰もが多かれ少なかれ不満を抱えていたことがかえって責任の所在を曖昧にし、今日まで日本人の意識のなかに底流しているのだ。こうした日本がかかえる根本的な問題をわれわれのまえに指し示してくれる具体的な象徴が、国策を遂行する機関として生み出された国策会社であり、その最たるものが満鉄だったといえるだろう。』

ISBN4-06-258374-7 C0321 \1600

#引用長くてスイマセンでした。。。








2007/09/18

実は積読状態なのが3冊も4冊もあるっちゅうのに、日曜にまたフラフラと本を買ってしまい、先入先出法の適用(違う)ということで成敗した本がございますが、あまりにも趣味の本はアレですので1冊だけご紹介。

・「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年(上杉隆著、新潮社)」

先日見事に大崩壊しましたが、鳴り物入りでスタートした安倍政権の1年の迷走っぷりの内幕レポートっぽい内容ですが、まあ軽いので1時間もあれば楽勝で読めます。これが1800円だと金返せと言いたくなるのですが、1400円ですのでまあ適正水準といった所でしょうか。

テンポがよいのと、記憶に新しい事象の話ですので、講談でも聞いているような感じでスラスラ読めますが、正直これなら立ち読みで読破できたなあという気がしないでもない。

ISBN978-4-10-305471-9 \1400







2007/06/11

・「とてつもない日本(麻生太郎著、新潮新書)」

土曜日に書店で本を見掛けて速攻で購入したのですが、諸々の用事を片付けにあっちこっちと電車や地下鉄でホイホイ移動する間に全部読み終えてしまう本でもありますが、それは恐らくあたくしが麻生さんの公式サイトに掲載されている麻生さんの文章なんぞを熟読しているからなのかも知れません(^^)。

個人的には第6章の「外交の見取り図」、第7章の「新たなアジア主義−麻生ドクトリン」が一番面白いと思います(靖国問題に関する麻生氏の具体的提言は現実的かつ筋が通っていると思ったんですけどどうでしょう)が、麻生ファンじゃない方にこそ読んで頂きたいですな。

ISBN978-4-10-610217-2 C0231 \680







2007/05/22

・「武装解除 紛争屋が見た世界(伊勢崎賢治著、講談社現代文庫)

もともと建築家を目指していた著者が都市計画分野へ関心が移り、留学先のインドで40万人のスラム住民組織に加わり行政から開発を勝ち取りインド公安にマークされて国外退去処分になったのを振り出しに、シエラレオネやアフリカでの開発援助、東チモール、アフガニスタンなどでの紛争処理に携わった話を中心に進行します。いやあの何と申しますかこういう生活と全く縁が無い金融業界の片隅での現場職人であります所のあたくしとしては興味津々で読めました。

特に国際情勢に関しては日本のソースだけ見ててもアレですので、できるだけ海外の報道とかも見ようとするのですが(でも悲しいかな英語メディアを何となく読むというか眺めるだけで精一杯)、我ながらよくわかっとらんかったなあという認識を受けました。

ISBN4-06-149767-7 C0231 \740E


・「勘定奉行 荻原重秀の生涯−新井白石が嫉妬した天才経済官僚(村井淳志著、集英社新書)

日本史の教科書を見ると「元禄時代に貨幣改鋳をして幕府は差益を得たが、物価騰貴を招いて混乱した」という趣旨のお話が出てくる勘定奉行の生涯。著者があとがきで書いているのですが、当初は氏の生涯を小説にしようとしてリサーチを始めたのですが、小説にするのではなくて資料から氏の生涯の事跡を説明する形になったそうなのですが、この形式は中々良いのではないでしょうか。まあこちらもお勧めですが、この時代にして管理通貨制度の原型みたいな発想を持っていた荻原重秀に感心することしきり。

ISBN978-4-98-720385-1 C0221 \700E


・「厄除け詩集(井伏鱒二著、講談社文芸文庫)」

あたくし不覚にもつい最近まで「さよならだけが人生だ」っていう名文句が実は井伏鱒二さんの漢詩訳によるものだと知らなかったのですな(大汗)。巻末見てたらこの初出が昭和10年だというのに再度ビックリしたのでありました。何たる素晴らしい詩人。

ということで、訳詩も良いのですが、それだけではなくて、井伏さんが実は詩人でもあったというのを不覚にもこれを読んで認識致しましたです。いやあの何かこう読んでいるうちに井伏ワールドに引き込まれるような詩が続きますよ。

追記:ちなみに「さよならだけが人生だ」が出てくるのは同書53ページの「勧酒」です。

コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

・・・たぶんね、原詩の風景とは全く違う(恐らく唐詩なんでしょうから当たり前ですが)んだけど、何かこうあたくしたちが想像できるような光景が広がってきませんか?

個人的には最初の方にある「厄除け詩集」の詩が良かったです。「つくだ煮の小魚」なんて何かドキッとしちゃいましたよ。

ISBN4-06-196267-1 C0192 \940E






2007/02/19

「戦国時代の大誤解(鈴木眞哉著、PHP新書)」

本屋で立ち読みして購入したあと1時間で読了してしまいました。最近の某公共放送大河ドラマで勝手に歴史上の話を作りまくるのにお気づきでない(あたしゃ呆れて最近は全然見てませんが)人たちへの入門書として宜しいのではないかと存じます。まあ逆流の歴史で戦国シミュレーションゲームから戦国歴史に興味を持ったあたくしとしては、最後の戦場における「誤った常識」部分あたりにしか新鮮味は無かったんですが、こういうのコンパクトにまとめているのも良いなあって思います。

ただし、こういうのを読んでから大河ドラマを見ると興醒めになる事は請け合います(歴史を元ネタにしたただの虚構劇場だと思って見れば良いんですけどね)ので諸刃の剣。

なお、本書でも紹介されてますが、より突っ込んだものを読みたい人には以前ご紹介しました「信長の戦争(藤本正行著、講談社学術文庫)」税別1,000円也をお勧め致します。

ISBN978-4-569-65940-4 C0221 \700E


「日米開戦の真実 大川周明著「米英東亜侵略史」を読み解く(佐藤優著、小学館)」

日米開戦直後にNHKラジオ放送で大川周明氏が12回にわたって行った講演を出版した「米英東亜侵略史」(第一書房、昭和17年1月出版)のテキストと、佐藤優氏の解説という形式になっております。

まあこちらもアレでございまして、いわゆる東京裁判的史観とは違う歴史について勉強していただきたいと思う人に読んでもらうための本だなあと思う次第でして、あたくし的には大川周明氏の書いている部分は歴史的な部分よりは最近(当時の最近)の事例に関する説明とかで「この話は具体的にはしらなんだ」ってのが幾つかあってほほうと思ったのと、実は大川周明氏の著作って読んだこと無かったので、その点でもほほうと思いながら。平明な書き方するのは頭が相当に切れるからなんでしょうな。

ただまあ佐藤さんの解説部分に関してはある程度の予備知識がある人には若干退屈かなあと思います。

ISBN4-09-389731-X C0031 \1600E







2007/01/09

「自壊する帝国」(佐藤優著、新潮社)

ソビエト連邦の崩壊に関わった人たちの動きという視点から描いてます。著者のソビエト連邦という「植民地なき帝国」への見立てとか、ソ連崩壊の中で著者が見た人々の立ち居振る舞いとか、テーマは全然違いますが、深田祐介さんの「革命商人」の読後感に似てましたというのがあたくし的な印象。(ちなみに「革命商人」の感想駄文は2004年5月18日に書いてます)

著者は大学時代に神学を研究していたこともありまして、宗教に関する見立てや宗教と国家の関係についての見立てなどが話の中で何度か出てくるのですが、そのあたりも面白かったですな。あたくしとしてはテンポが良いので読みやすいのですが、人間にスポットを当てる構成上、同じ登場人物の話が続きまして、次の場面で時間や場所が飛ぶ箇所もままありますので、読みにくいという人もいるかもしれませんな。

ISBN4-10-475202-9 C0095 \1600




2007/01/04

「インテリジェンス 武器なき戦争」(手嶋龍一、佐藤優共著、幻冬舎新書)

共著と書きましたが、形式は全部対談になっているので、まあお気軽に読めてしまいますが、中身はなかなかオモロイです。序章の部分を読んでて耳に痛かった(対談形式なのでそういう書き方しますけど^^)のでほんのさわりを引用。

(手嶋)『(前半割愛)大きな国際事件が起きると、商社マンは、「こうなることを示す情報をすでに持っていた」と言います。それは後講釈というものです。大きな地震が起きた後に、微動地震の記録用紙を取り出して、「ここに地震の予兆があった」と釈明する予知学者に似ています。なにしろ巨額の国家予算を使ってますから言い訳をせざるを得ない。事前に決定的な情報を分析し、国家の舵取りに役立つような形で報告させなければ、インテリジェンスとしての価値はありません。ところが彼らは、自分の会社のトップにさえ報告していないケースがある。見通しが外れるリスクがあったからなのです。』

(佐藤)『さらにいえばそんな後講釈は、自分自身のビジネスにさえ役立たない。インテリジェンスを本当にビジネスに生かしている人間は。「こうなることはだいたい読めていた」なんて絶対に言いません。「知っていた」ではなく、必ず「教えてください」と言うんです。(以下割愛)』

(以上同書19、20ページより引用)

いやーもう耳が痛い痛い。「こう思ってたけど出来なかった」というのは相場の見通し外して損こくのの1億倍くらい頭に来ますからこのくだり読んでて誠に痛いものを感じましたですよマッタク。

しかし別の出版社の本でも指摘したことがあるんですが、この本も宣伝用の帯カバーに書いてあるのが内容と全然違う次第でして、『日本存亡の鍵はスパイが握っている』って営業部門が内容を見ないで作ってるとしか思えない(題名だけで判断したんでしょ)次第でございます。帯カバーの宣伝文句と中身の乖離を見せられる度に出版社の営業部門の知性に疑問を呈したくなりますよ。

ISBN4-344-98011-5 C0285 \740






2006/09/01

「ハッピィ・エンジニアリング」(吉田智彦著、ソフトバンククリエイティブ)

暫く前にbewaadさんのところで「電子政府、ただいま失敗中!」というエントリーを拝読いたしまして、bewaadさんのエントリーや、branchさんのエントリー(あたくしも本件最初にbranchさんの所で知ったのですが)や、ITmediaの元記事なんぞをつらつら読んでおりました。

http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0608.shtml#0813(branchさん)
http://bewaad.com/20060815.html(bewaadさん)
http://bewaad.com/20060816.html(bewaadさん、上記エントリーの続編)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0608/18/news002.html
(ITmediaの電子政府関連記事シリーズの覆面座談会記事、他にもあります)

あたくしはシステム開発に関してはまあ素人の域を出ないのであまりちゃんとした考察はできないのですが、まあ何となく思うのは発注側が何をやりたいのか良く判らんで始めている(発注側でも実際に出来たシステムを使うユーザーとIT部門の間での意思疎通ができてないとかありますし)というのと、受注側に発注側の業務に対する知見が乏しく実際に使われるときのイメージが掴めない(重層的な下請け構造がそれに拍車を掛けるわけですが)というのが気になるところでございます。

てな訳で本の紹介、と言いましてもまあ知人の書いた本なんですけど(^^)。

・「ハッピィ・エンジニアリング(吉田智彦著、ソフトバンククリエイティブ)」

書いてる人は実はあたくしの知りあいなんですが、システム開発の現場で何が起きているのでしょうかという話から、このようにしていこうっていう話を展開している本でございます。現場で何が起きてるかって話がこれがまた中々身も蓋も無い話が連発しております。いやシステム開発の現場で起きていることは何と申しますかこう香ばしいとか言ってる場合でも無いですなあという感じです。とは言え、身も蓋も無い話だけではなくて、それでは我々はどうしたらいいかって話になっておりますので、システム開発者よりはユーザー企業のシステム担当者やら責任者(CIO)が読むのが吉なのでは無いかと存じます。

システムエンジニアリングのごたくを並べる本にありがちな「海外直輸入の美しい理論または机上の空論」ではなく、開発現場からの改善提案って風情の本ですので、システム開発話に興味のある方だったら別にエンジニアじゃなくても十分読めると思いますよん。

このシステム開発の失敗話とはまた違う部類の話になるかとは思うのですが、von_yosukeyanさんのスラド日記でNECのBanking Web 21をマクラにした銀行のシステム開発に関する考察、というか歴史モノなのでかなり大作なのですが、こちらも中々興味深く読んだ次第でして、先ほどの電子政府話と併せて、知人の本を読んでいた次第でございます。
http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/370717(von_yosukeyanさん)「BW21に見る地銀システム開発の失敗」というお題でかなりの大作です。

ISBN4-7973-3274-3 C0055 \2200





2006/08/16

「日銀はだれのものか」(中原伸之、聞き手・構成藤井良弘、中央公論新社)

だいぶ前に買って、一回ざっと読んだあとちょこちょこ読んでいるのですけれども、まあ面白いのは面白いですし、政策委員会の改革をすべし(正直あたくしも、野田忠男氏が審議委員になった理由が失礼ながら1ミリも理解できないのですけど(2007年1月8日追記:と思ったら野田さん結構良い事言ってるので大分見直しましたよ)という話や、2000年のゼロ金利解除の責任を誰も取らなかったのはどういう事だというような最後の纏め部分の提言は全く仰るとおり。量的緩和の「副作用」こそ効果というようなお話もまた然りでございます。

ただまあ読んでると昔のことを少々思い出したのですが、中原審議委員の主張がどうも長期金利ターゲットみたいな受け止められ方をしてたのかなあ(それはムリムリやったら結局財政マネタイズになってもうちょっと長い目で見ると長期金利が将来制御不能になるという不安をかきたてるわけで、いやまあ経済学的にはそうじゃないのかも知れないけど)と思い、だから債券市場的にはウケがあんまり良くなかったんですなあという感じで。

あと、自分の主張が中々理解されなかった話に関しては、まあお気持ちは判らんでもないですけど、自分の自慢話と批判者をくさす話がちと鼻についてしまいますな。人間は何だかんだ言っても感情の動物でもありまして、まあエエトコの坊ちゃん育ちだからその辺への理解がやや不足しておられるのかも知れませんが、本書に書かれているような手法で話を進めても反対者の理解を得るのは難しく、よって肝心の政策も実行できないんジャマイカと思っちゃうんですけどね。企業の雇われサラリーマン生活の長いあたくしとしては。

福井総裁になってから中長期国債買入オペの増額を止めたことに関して言及がなかったのが残念でして、その点については中原さんの意見を聞きたいところではございます。

まあ皆さん褒める書評しか見当たらないのでちょっと辛口にしてみましたが、マジで面白いので今からでもお勧め。だけど1800円はでもちょっとなあ。1200円くらいにならないの、折角の本なんだから。

ISBN4-12-003728-2 C0033 \1800





2005/12/30

「俺様国家」中国の大経済」(山本一郎著、文春新書)

まあ昨年の今頃とは違って大陸中国に対する投資がバラ色の未来で云々って雰囲気は落ち着いてきたとは思うのですが、まあ巨大なる消費市場がそこにあって売り込みに行きましょうって話は相変わらずですわな。で、まあそういう人は読めという所ですか。いつもの切込隊長節で大陸中国の経済に関する不透明さ加減に関して斬るわ斬るわといった所ですな。

・・・って書いたら放映中のブルームバーグテレビで相変わらずの大陸中国投資万歳ニュースをやっておりますな。あっはっは。

ISBN4-16-660469-4 C0233 \790


「世界ファシスト列伝」(長谷川公昭著、中公新書クラレ)

冷静に考えればいても何らおかしくないのですが、英国や米国にもファシストっていたんですねーなどと思いながら読んでおりました。現代史ってのは歴史的評価で揉めるので色々な角度から論じているものを読まないといかんなあと思ってます。この本はどちらかというと「マイナーなファシストをご紹介しましょう」って内容ですので、まあ思想的に偏ってどうのこうのって物ではございません。第1次大戦から第2次大戦の間の歴史を知る助けになるといったら大げさですが、一般的な歴史物とは違う視点で読めると思います。

ISBN4-12-150127-6 C1222 \880


「秘録東京裁判」(清瀬一郎著、中公文庫BIBLO)

東京裁判で東条英機元首相の主任弁護人を務め、その後文部大臣や衆議院議長をつとめた方の著書。初出は昭和42年3月です。東京裁判に関する書籍やら論やらというのは山のように出ておりますが、当事者の書いたものということで有益ではないかと思います。中にある「東条遺言の摘記」を読むと(まあよく言われてますが)東条氏は超優秀な官僚であっても政治家(ステイツマン)ではなかったんだなあって思うんですが。

ISBN4-12-204062-0 C1120 \857


「戦国策」(近藤光男編・解説、講談社学術文庫)

まあめっきり大陸中国と関係の悪化している昨今ではございますが、日本の思想形成というと大げさですが、漢籍を寺子屋でも読んでいた位ですからまあ中国古典は読んでおけと思うあたくし。「戦国策」は前漢の学者劉向が天子の書庫の整理をしていたときに出てきた竹簡を整理して33篇としたものでして、戦国時代の遊説の士の策を紹介したものですな。

「蛇足」とか「まず隗より始めよ」とかご存知ですよね?

ISBN4-06-159709-4 C0197 \1250


「中立国の戦い」(飯山幸伸著、光人社NF文庫)

第2次世界大戦の欧州で連合国にも枢軸国にも加わらなかったスイス・スウェーデン・スペインの直面した困難とその苦心について中立国の立場から書いてます。まあだいたい戦勝国の立場から「こいつらコウモリ」って評するものは見る事が多いので、こういう見方も必要でしょう。

で、これを見て思うのですが、日本の地理的条件で中立政策を採るというのは国土を物凄い勢いで軍事要塞にでもしないとムリムリですわなあと思ってしまうのでありました。予備知識としてスイスとかバルト帝国の歴史も書いてありますので、そちらも中々役に立ちました。

ISBN4-7698-2463-7 C0195 \724


「下流社会 新たな階層集団の出現」(三浦展著、光文社新書)

ご存知今年沢山売れた本。たまたま人から貰ったので読みましたが、借りたのではなく何故か貰った理由は10ページも読んでいれば判るという本です。本のカバーに「マーケティング・アナリストである著者が豊富なデータを元に書き上げた」ってあるのですが、そのデータというのが著者が経営するマーケ調査会社のもので、しかもサンプルが統計の名に値しない量。で、山の手は上流だの渋谷は下流だのひたすらレッテル張りをするという実に下らん本でして、この本を読むのに費やした1時間弱を返せと申し上げたい。

つーかこの本をもてはやす大手メディアの皆様は全員揃って腹を切って死んでいただきたいと心の底から思うのでありました。まあ昨今あたくしが悪態をつきまくっている「結論先にありき」のテクニックを学ぶ本としてお使いになるのがよろしいかと思います。

抗議の意味を込めて光文社新書は金輪際読まない事を強く決意いたしました。一応ISBNコードを置いておきますが。

ISBN4-334-03321-0 C0236 \780





2005/07/11

濠端随筆(入江相政著、中公文庫)

昭和天皇の侍従(最後は侍従長)を務めた入江氏の随筆。昭和天皇のお話もありますが、入江さんが昭和30年代後半の日本の表情を描きながら、当時の東京が大きく変貌していく姿を歎いているくだりもまた興味深い。というか昭和天皇のお話と言っても別に政治的な話ではなく、天皇の人となりに関するお話ではありますが。

で、以前山本七平さんの本(角川文庫)を紹介した時にも思ったのですが、この本も宣伝用の帯がミスリード。宣伝用の帯には「昭和天皇侍従長の戦後秘話」と書いてありますが、そのお題で想像されるようなお話ではありません。宣伝用の帯が「売らんかな」精神なのはともかく、中身読んで作ってねぇだろうという宣伝文句だというケースにまた出くわしたって所ですが、こ〜ゆ〜のはどうかと思うぞ。

ま、そうならないようにあっしは基本的には書店でパラパラ中身を見てから購入することにしているのですが。

ISBN4-12-204496-0 \1429


2005/06/13

大英帝国衰亡史(中西輝政著、PHP文庫)

近世の「世界帝国」であった大英帝国の歴史と、その帝国の本質は何であったかという点について論考する著書。とりあえずヨーロッパ近代史を勉強したくなりました(あたくし実はその辺りの知識は殆ど無い)んですがそれはともかく。

大英帝国の本質について著者が語ろうとし、現代社会へのメッセージとしたのはこの辺りなのかなぁと勝手に想像したのが94ページの第三章「帝国を支えた異端の紳士たち」の部分。引用させていただきます。

『世襲によるかどうかは別にして、まず何らかの意味での「貴族」の存在が許されない社会に、「剛直なエリート」のキャラクターは生まれえない。何らかの意味で文化としての「貴族」をなくした社会は結局、エリートを知識人双方のはてしない卑俗化を招き、いずれ民主主義あるいはリベラルな価値そのものを崩壊させかねない。というのも、民主主義とかリベラリズムといった価値は「大勢に抗する精神」がどこかにあって初めて存続しうるものであるのだが、そうした精神は、「大衆」の側からはけっして生まれず、それゆえ、「貴族」こそが民主主義の支柱、と考えられてきたのが近代英国の思想的文脈であった。そしてそれがまた、大国としての「帝国」の域に達したイギリス社会の、長期的存続の保障ともなってゆくのである。少なくとも、こうした意味での「貴族」をなくした社会が大国となってつくる「帝国」は、つねに数世代を経ずして終わる短命な「帝国」でしかないのかもしれない。』

まぁこのくだりが気に食わないという人は読まない方が吉だと思います。

ISBN4-569-57895-0 C0120 \648




2005/06/09

金融政策の理論と実践(アラン・ブラインダー著、河野龍太郎、前田栄治訳、東洋経済新報社)

元FRB副議長のブラインダーさんが96年に行ったロビンズ記念講演をまとめたもの(の訳本)です。そんなに量はないですが、金融政策に関する示唆に富むお話ですな。というかこの本は1999年12月30日初版なんで(書店に行ったら思いっきり初版本が置いてありました^^)大昔の本なので既にお読みの方も多いかと存じますが(大汗)。

各章の結びの部分を読むだけでも「うーん」と唸らされました。読んでいないお方は是非お勧め。何でこの本重版されてない(たまたま初版が在庫にあったのかもしれませんけど・・・・)んでしょうか??

ISBN4-492-65260-4 C3033 \1800




2005/05/12

第三帝国の神殿にて ナチス軍需相の証言(アルベルト・シュペーア著、品田豊治訳、中央公論新社)

実は上巻読み終えたところですが、まぁ確かに興味深いです。ナチスのダメダメぶりに関しては児島襄さんが文春文庫から出している全10巻の大作「第二次世界大戦、ヒトラーの戦い」ってのを読んだので軍事面の話は何となく理解してたんですが、内政というか経済運営もダメダメでしたなぁというのが判ります。

ベースの知識が何も無い状態で読むのはちときついかも。上巻では戦況の話しはあまり無く、その間に国内では何やってたのってのが判って興味深かったです。下巻も楽しみ。

(2005/06/09下巻読了後追記)

最近は日銀の人たちの講演などを読むのに忙しくて、読み終わるのに時間がかかってしまいましたが、「ヒットラーの建築家」から軍需大臣に転じ、ニュルンベルグ裁判で禁固20年の判決を受けたシュペーアの回顧録。

第三帝国の上層部が組織としてダメダメだったというような話も興味深かったのですが、あたくしとしてはヒトラーの人となりとか、第三帝国崩壊寸前の要人の動きとか、シュペーアのヒトラーに対する葛藤とか、そういう面を興味深く読みました。

ISBN4-12-203869-3 C1123 \1095(上巻)
ISBN4-12-203881-2 C1123 \1143(下巻)



2005/03/29

○読んだんですがいまだ??なのに書評と言うのもなんですが

日本経済 見えざる構造転換(西村清彦著 日本経済新聞社)

植田和男さんの後任の形で次期日銀政策委員会審議委員に就任予定の西村先生の最近の著書なんでどういう考えをお持ちなのか興味を持って買ったのですが、これがまたどうも一々突っ込みを入れながら読んでいると全然読書が進まないという難物であります。

判りやすく説明するためなのか譬えがやたら多すぎでして、却って説明しようとしている事が曖昧(というか論理が飛躍していると言った方が良いのか??)になっているという印象と共に、第2章の「日本企業の凋落」って所で「付加価値の源泉」として「プロセスの最適化」対「組み合わせの最適化」というお題で説明をおっぱじめているように、やたらと二元論っぽい説明も気になる所であります。そんなに単純化できるものなのかよって思うんですが。

で、ご本人はまえがきで『特に、主流派経済学に色濃いミクロとマクロの二分法、さらには経営と経済の二分法は、日本の経済の分析に不必要な桎梏になっているように思えてならない。本書はそうした二つの二分法を越える試みでもある。』と仰せなんですが、生産だの消費だのの個々の分析をする時に二元論と申しますか、どこぞの経営誌でよく見るような単純化した図式を持ち出すのはちと???でございます。

まぁ『本書の内容はミクロの個々の企業行動、個々の消費者行動に始まって、政府経済統計を用いたマクロの日本経済分析、そして経済システムの総体としてのデザインまで滝に渡っている。従って、分析の書物であるとともに、日本経済の「現在」を知る一種のガイドブックになっている。』(まえがきより)って言う事なんで、一般読者にも読みやすく作ったということなんでしょうねぇと一応纏めておきますか。

本書の結論部分というか今後の政策提言部分というか、まぁ最後の部分で「社会投資ファンド」の提唱をしているのですが、あたくしの頭が物凄く悪いせいなのか何でそういう結論になるのかさっぱりわけワカメでありました。ちなみにまえがき部分ではこういう話になってます。

『しかし、こうした「見えざる構造転換」は、システムとしての脆弱性を持っている。(中略)「見えざる構造転換」の主体は後者、費用の削減であった。しかし日本経済がそしてひいては日本社会が、真に新しい発展の軌道に乗るためには、新しい「価値」を効率的に創造する仕組みが必要なのである。費用の削減は、ともすると費用を「弱者」に押し付ける手段になりかねない。』

というのが前置きで、その「見えざる構造転換」で発生した「負の遺産」を解消して新しい「価値」の創造をする担い手として・・・・・

『そして90年代の経験から、その担い手にふさわしいのは単なる市場経済でもなく、その対極にある政府機構でもない。市場経済に立脚しながら政府資金と協働し、「社会的に重要な」有形無形の資本に投資し「社会的に重要な」財・サービスを対価を取って供給する、第三の主体でなければならない。』

ってお話(以上まえがきより引用)で最終章に社会投資ファンドのお話があるんですが、これがまた読んでみたものの、何で社会投資ファンドじゃないといけないのかよー判らんでした。

肝心の金融政策に関る部分はどうもあまりご興味が無い(のか現在社会投資ファンドに熱心なのか判りませんが)ようです。どうもインタゲを否定しているようにも思えますが、金融政策の効果に関して「期待に働きかける政策効果(つーかインタゲか?)」VS「構造改革論者」というこれまたお馴染みの二元論が出てきて、最後には『2004年後半の時点でこの論争を振り返ると、この論争は必ずしも生産的ではなかったという感想を持たざるを得ない。』としている所を見るとちょっと・・・・って感じがしますな。まぁ他にも文書書いておられると思いますんでもっと読まないといけないかもしれませんが。

ISBN-4-532-35113-8 C3033 \1600





2005/01/04

虜人日記(小松真一著、ちくま学芸文庫)

以前ご紹介した山本七平著「日本はなぜ敗れるのか−敗因21カ条」(角川oneテーマ21)に大きな影響を与えた(というか底本となった)本です。重複になりますが、小松氏は台湾でブタノール(ガソリンの代用品)製造に従事しておりまして、昭和19年に陸軍軍属として比島に渡り、ブタノール生産の拡大に働き、米軍上陸と共にジャングルに退却して敗戦と共に捕虜生活を送った人です。

大戦末期の比島の様子、米軍上陸後のジャングル戦、戦後の捕虜収容所生活について、本人が文章や絵で記述しているのですが、これを読みますと「日本は負けるべくして負けたのね」ってのが良く判ってしまいますわな。上記の3つの状況について小松氏がつけたお題が「漂流する椰子の実」「密林の彷徨」「虜人日記」とありまして、まぁ虜人日記というのはともかくとして、ブタノール製造の為に軍属となって派遣された比島での生活が「漂流する椰子の実」であり、ジャングルでの戦闘と後世言われている筈の戦いが「密林の彷徨」という事からも、日本は何やってたのよってのが何となく判って頂けるかと存じますが、極めて淡々と正確な記述をしつつ、内容はちょっと初心者には刺激が強すぎますわな。

山本七平氏も解説で指摘してますが、戦争体験の風化がどうのこうのとか言うよりはこの本一冊読んでみましょうって感じです。正直、あたくしなんぞ3日と生きてられませんわな。

ただし、この本は事実を淡々と記述しているだけであっても、天下泰平に慣れまくっている現代日本人にはあまりにも刺激が強すぎますので、とりあえず「アーロン収容所(会田雄次著、中公文庫)」→「日本はなぜ敗れるのか−敗因21カ条」→本書の順でお読みいただく事をお勧め致します。

ISBN4-480-08883-0 C0195 \1300


日本の総理学(中曽根康弘著、PHP新書)

ご存知中曽根元首相の本。総理大臣時代のお話は少々あるのですが、基本的には中曽根さんの国家論とか安全保障論とか教育論とかです。最後の方でリーダーの仕事って話をしていまして、「大局を見据え、小局にこだわらず」と言う事で「大をなすためには風見鶏である事も必要。要は背骨となる国家観や思想があるかが大事だ」って感じの記述があるのですが、その割にはあたくしの読み込みが足りないのかもしれませんが、中曽根さんが本書で語る国家論とか安全保障に関する考え方とか教育論が今一歩見えてこないのが残念ですな。特に何考えているのか良く判らんのが防衛に関する話なんですが。

虜人日記と比較しちゃあちょっとかわいそうかもしれませんが、虜人日記が1300円でこの本700円なのは如何なものかと。まぁ書いてあるテーマも文章の量も全然違いますから仕方無いのですが、事実を冷静かつ淡々と批判的な目で記述した「虜人日記」により深い思想を感じてしまうのは何故でしょう。

中曽根さん他にも本を出してるますので、そっちを読んだ方が宜しいのではないかと存じます。思いっ切り辛口書評になっちゃいましたな。

ISBN4-569-63830-9 C0230 \700




2004/12/28

経済論戦の読み方(田中秀臣、講談社現代新書)(実は途中で読むのを挫折、追記あり)

野口旭さんと共著の「エコノミスト・ミシュラン」でこの方の文章構成には辟易していたのですが、ご本人のブログで宣伝していて(ブログの中では)評判も宜しいようでしたので購入したのですが・・・・・

(更に追記@2005年5月25日:田中先生のブログにお邪魔するようになったから言う訳ではございませんが、金融政策に関してブログでは「リフレ派というより期待派と言って欲しい」とご発言だったり、大変マーケットに関心を持っておられたりということを知り、ちと以下の文章は「ああ自分も昔は先生を良く理解せず無茶書いてたなぁ」と読み返すとだいぶ恥ずかしいです。でもあまり攻撃的すぎると「中立派」というか「どっちだか良く分からんなぁ」という立場の人の中には拒否反応示す向きも出るのではないかと思料されますので一つよろしく・・・って先生に直接メールでもしたほうがいいですね。はい。)

自説が正しいって話しをしたいのは良く判りますし、新書と言う形式で字数が取れないから仕方が無いのかもしれませんが、自分と対立する説は「教科書的にも間違いが明らか」であり、自説はアプリオリに正しいという風に読める部分が随所に見られて非常に読みにくく、第2章の「構造改革とマクロ経済政策」の説明で漸進的改革がビックバン型改革に勝るって説明の部分で挫折してしまいました。正直基本的な素養に欠けるあたくしには手に負えない。

最初の方でも「世間知に対抗したい」という意識の現われなんでしょうが、「???」の理屈が展開されている箇所がありました。GDPの説明をしている部分で「純輸出の対GDP比率はわずか1割に過ぎず、『貿易立国』という日本のイメージにはほど遠い。米国、イギリス、中国などに比較するとかなり低い割合である。」って記載があるんですが、貿易立国かどうかって議論はネットの純輸出だけじゃなくてグロスの輸出入も見ないといけないんじゃねーのかよと思わず突っ込んでしまいました。

という訳で、読みかけで挫折した本の書評というのは誠に遺憾なのですが、とりあえず書いてしまいました。わけのわからん件を読み飛ばしてまた先を読む事としたいと思います。誰かリフレ派といわれる人たちの説を判りやすく解説してくれる書籍をご紹介賜りたいのですが・・・・・

(2005/01/06追記)

○再度「経済論戦の読み方(田中秀臣著、講談社現代新書)」と関連話

途中で一旦挫折しましたが、後半部分を頑張って読むとそれはそれで面白い本でありました。どうも経済の現状認識部分に関して所謂「リフレ派」の見方が市場からみる直感的な印象(理論的に話ができないのが甚だ遺憾なのですが)とどうも合わないので、市場関係者としては第1章の「実践(プラクティカル)マクロ経済学」のコアという部分は読まないで(そこでやたら引っ掛かる)第2章の「経済論戦の見取り図」以降を読むのが吉かと(^^)。

基本的に現在のデフレ状況(しかしデフレ継続で景気が回復している・・・って資産価格のデフレが止まって一部じゃ絶賛インフレ状態だから当然なのですけどね)をどうやって脱却するかって話になりますと、所謂「リフレ派」の皆様も市場に近いところにいる人も「金融を緩和状況にして、財政も緩和状況にする」という合わせ技しか無いでしょってのは意見が一致してると思います。現在の回復だって一般財政は緊縮の振りをしてますが、銀行への税金投入やら産業再生機構、外為特別会計経由の財政出動などが支えている訳ですし。

ただ、その結論に至るまでのプロセスが所謂「リフレ派」は「デフレは貨幣的現象」(そりゃそうだが)という面を重視しすぎる余り、金融政策に力点を置きすぎていると見える訳ですよ。市場にいる浅学非才なあたくしとしては。で、「金融政策はもう大して効かねぇから財政ですよ財政」ってのがどっちかというと市場の見方だと思う訳で(だからりそな救済以降株価が反転した訳だが)して、所謂「リフレ派」への市場からの疑問もその辺にありますが、何せ出てくる処方箋らしきものは本質的に同じなのにプロセスが違うってのは基本的に宗教論争に近くなってしまうようですな。そもそも経済学の基礎知識に乏しいあたくしは論戦以前の問題ですが、とあるブログで敢然と論戦をしているお方がいて(結局平行線であることが明らかになって目出度く終了したようですが)勉強になりました。勝手に紹介していいのか良く判らんから個別にお問い合わせ下さい。

話は戻って田中氏のこの著書ですが、本書の「流動性の罠に陥った日本経済」の中(77ページ)で『FRB理事のベン・バーナンキらは貨幣発行益を用いた減税政策を勧めている。』って書いて、そのあとに『貨幣発行益を用いれば、赤字国債の発行も増税も不要なので、財政赤字問題を悪化させることはない。』って説明しているんですが、(以前ドラめもんでご紹介した)バーナンキ氏の講演録「リフレと金融政策(高橋洋一訳、日本経済新聞社)」を見ますと、2002年11月21日の講演でバーナンキ氏は『通貨創造を財源とする減税は、ミルトン・フリードマンの有名な「ヘリコプター・マネー」と本質的に等しいものです。』と言及してまして、ご丁寧にも脚注(って高橋さんが入れているんでしょうね→1/8追記:この脚注はBernanke氏の講演原稿としてFRBから発表されている中にございます。つまり、高橋氏の入れた注ではなくて、元々から有った注です。当該講演脚注18番の部分です)では『通貨創造を財源とする減税は、債券発行で財源を調達した減税にFRBによる公開市場操作での証券買い入れを組み合わせたものと同じである。(この後の説明が長いのですが省略)』と補足して下さっている訳でして、ちょっと「通貨発行益の減税」に関する説明が雑なんじゃないのって感じですな。

先日も書きましたように、新書だから説明を端折ってしまうのは致し方ないと思うのですが、全体的に説明をちと端折っているのが残念なところです。


ISBN4-06-149760-X \720






2004/11/24

嗚乎、香ばしき人々(切込隊長@山本一郎著、扶桑社)

つい先日まで「週刊SPA!」で連載されていた「経営者ウォッチ」コラムを加筆編集したものです。面白おかしく書いてますが、根本には「日本に出でよ真の経営者」って思いが感じられます。良く良く読めば結構真面目でもありますが、とりあえず読みながら笑ってしまいます。

たまたま週末所用で出た時に「そういえば近くで出版記念サイン会をやってるんだな〜」と思い出してサインを貰いに行った(^^)のですが、本書のイラスト(似顔絵)を書いている金子ナンペイ(最近の有名な所では「ハッスル」のポスターを書いているようです)さんに似顔絵を書いて貰いまして、これがまたさすがプロ。あっという間に「おお!」と思うような絵をサインペンでささっと描くんですよね。

ご覧になりたい方はあたくしまで(って書評になってませんな)。

(追記:ちなみに書き下ろし企画で山本さんが触れている某ITベンチャーの関係者であったこともあります。そんな訳で重なってはいませんが、あたくしは切込隊長@山本一郎氏の「カイシャの後輩」になります。だからどうしたと言われると困りますが。)


ISBN4-594-04818-8 C0095 \1200


日本宗教事典(村上重良著、講談社学術文庫)

いやまぁ深い意味は無いのですが、まぁこういうのも手元にあると便利かなと思って買った訳ですな。一応歴史順に日本の宗教について解説しているのですが、神社仏閣には折々に参詣する訳ですが、背景にど〜ゆ〜ものがあるのかって事を(概説的にですけれども)知り、「へぇ〜」っていう感じであります。が、講談社学術文庫だけにお値段が張りますので、まぁ普通のお方は買うような本ではないでしょうな。

ただ、あたくしこんな文章であっても一応(生業じゃないけど)物書きの端くれのつもりで(自意識過剰ですな)いる訳ですので、特に宗教用語を使う時にあまりいい加減な使い方をするのも如何なものかと思う訳でして(と言いながら時々後から見て「うーむ」というのもあるのですが)、軽くでも理解はしておくかな〜と思って読んだ次第。まぁ面白い人には面白いのでは?

ISBN4-06-158837-0 C0114 \1400



2004/10/05

投資情報のカラクリ(山本一郎著、ソフトバンクパブリッシング)

以前ご紹介した「ネット界の切込隊長」の本第2弾。今回は一応統計なんぞを引っ張り出しつつ、アニメ産業、M&A、中国、バイオ、消費者金融の5つのカテゴリーのバブル斬りをしております(消費者金融はバブル崩壊してそうですが)。前回作よりは面白おかしさが減少している分、内容は掘り下げておりますな。

まぁいまさら「中国株で億万長者!」とかいうような本がうじゃうじゃ出版されている訳ですから、この辺の事情を理解した上で株式売買をやっている人に取っては「あっそう、だから何?」って感じかもしれませんが、まぁ今からこの手のバブルものに金を突っ込もうという方を一旦冷静にさせるのには良い本ではないかと思うわけです(^^)。

ISBN4-7973-2780-4


2004/08/30

アーロン収容所(会田雄次著、中公文庫)

そもそもの初版が1962年10月ということで42年前の出版。だいぶ前に買っておいて(従ってお値段が違うかもしれません)積ん読状態だったのですが、先日ご紹介した山本七平氏の「日本はなぜ敗れるのか―敗因21カ条」も読んだ事だし読んでみますかって事で読んでみました。

山本氏の著書のベースになっている小松真一氏の「虜囚日記」(*「虜人日記」が正しい。文書作成時の勘違いです)よりはまぁ読みやすい(内容を敢えて暗くしなかった事は著者もあとがきで認めている)のですが、日本人の特色を捕虜収容所の生活の描写を通じて鋭く斬ってますな。ご本人は当時の英国というか欧州崇拝(米国へのアンチテーゼとしての)に一石を投じるという意図もあったようですが。

ISBN4-12-200046-7 C1120 \560


2004/08/30

ツキの法則(谷岡一郎著、PHP新書)

あたくしの趣味に属する本です。「賭け」に関する科学、といえば確率と統計なのですが、その辺に関する素養が無くても読めると思います。いわゆる「ギャンブラーの迷信」に始まる色々な数学的なお話をわかりやすく書いて有りまして、あたくしも「おお!言われてみればそうじゃん」と目から鱗状態のお話もあったりしました。「確実に負ける賭け方とは」と言う部分が本書のウリでしょうな。まぁ仕事に役立つかどうかは別ですが。

「ツキ」の正体は統計学上の必然的な偏りに過ぎないってのが本書で述べることでありますので、期待してお読みにならないよう申し添えます(^^)。

ISBN4-569=55763-5 C0233 \657


2004/07/14

理屈で攻める、男の料理術(ラス・パースンズ著、忠平美幸訳、草思社)

本屋で30秒立ち読みして購入を決断(^^)。

この本の原題は「How to Read a French Fry」となっておりまして、本の内容としては副題の「食材と調理法の基本をきわめる」という方が正しい。

調理における科学というか化学というか、「揚げる」と「焼く」はどう違うのかとか、食材によって、調理法によって味付けはどうするものなのかといった事を科学的にお話をしております。料理における「おばあちゃんの知恵」を科学的に説明しているといった方が判りやすいかな?

一応あたくし理学部化学科出身の理学士でございますので、もともと料理の科学的なことに興味がありまして、この書は極めて楽しく読む事ができましたが、化学と聞くと脱兎の如く駆け出すお方も騙されたと思って軽ーい気持ちでご一読をお勧めしたい訳です(料理にご興味のない方は読んでも糞面白くありませんが)。既に化学の道を外れているあたくしが申すのも何ですが、できれば高校の化学の教科書なんぞを引っ張り出してきて用語の意味を確認しながら読んで頂きますと幸甚。

なお、この本を読んで理屈捏ね太郎になった挙句、パートナーから煙たがられる結果になっても当方は一切関知いたしませんので念のため(^^)。

ISBN4-7942-1319-0 \1600


2004/07/08

新円切替(藤井厳喜著、光文社ペーパーバック)

まぁこの手の本はいくつも出ているのですが、この本では筆者が前書きで述べているように身も蓋もない話をしている所が中々な所かと。前書きでいきなり結論としてこんな事を書いておりまして、そこが気に入ったので珍しくも購入してしまいました。

『あなた(もちろん筆者も含む)がすくわれるには、少なくとも数億円、いやそれ以上の資産が無ければ駄目だ。日本がやがて迎えるであろう国家破産の惨状から逃れるためには、少なくとも数億円ほどの資産は絶対に欠かせないのである。』

この手の本に良くある「海外投資やら実物資産への投資への投資の勧め」は『数千万円から1億円ぐらいの資産家では、やってもムダなのだ』といきなり切って捨てておりまして、書いてある事は身も蓋も無いお話が続いております。別に債券市場を生業にしている人にとっては目新しい事を書いている訳ではないのですが、まぁ一般向け啓蒙書(にしては夢も希望も無い悲観論一色ですが)です。

文章中妙に日本語の後に英単語を入れるのはこの出版社のお約束なんでしょうか???もしかしてこの出版社の出している「ヤクザ・リセッション」をはじめとするシリーズが売れているから同じようにしたのかとも思ってしまいますが、この英単語入れ(例えば『これらの方法は有効effectiveではある。』とか意味も無く英単語が挿入されるのですが)攻撃が激しく鼻について読んでいて萎えますな。筆者は日本人って事になっているのに英単語入れるなヴォケというのが正直な印象。

ISBN4-334-93336-X \952


2004/07/08

瀬島龍三 参謀の昭和史(保阪正康著、文春文庫)

第二臨調を実質的に切り盛りした瀬島龍三氏の陸軍時代、伊藤忠商事時代からの軌跡を検証して、所謂「日本型エリート」のありかたや行動様式について考える著書です。著者が文藝春秋昭和62年5月号に寄稿した「瀬島龍三の研究」を発展させた内容となっています。

で、この本をネタにすると現在のエリート論の与太話もできるのですが、そうすると話が長くなるのでまた後日(^^)。大東亜戦争やら連合軍の戦後処理やらというあたりに基礎知識が無い状態で読むのはかなりしんどいと思います。何となく流しながら読めないことも無いでしょうが。

ISBN4-16-749403-5 \457



2004/05/18

革命商人(深田祐介著、文春文庫)

先日深田祐介氏の著書をご紹介したときに「この本はお勧め」と教えて頂きまして読んだ本であります。実は書店に在庫がないところだらけで八重洲ブックセンターの5階というマイナーな所で発見したのですが。

1970年代のチリで民主的な選挙によってマルクス・レーニン主義を奉じる人民連合のアジェンデが政権につきました。世界をあっと驚かせたこの政権は3年足らずのうちに軍事クーデターで崩壊したのですが、このアジェンデ政権前後のチリにおける日本の二つの商社を中心とした人々の物語です。

とにかく面白かったというか圧倒されるお話で、まいった!って感じです。

文庫本は上下2巻ですが、一気に読めてしまいます。

ISBN4-16-721923-9 \600
ISBN4-16-721924-7 \600



2004/04/26

「大東亜会議の真実」(深田祐介著、PHP新書)

底本は同氏の「黎明の世紀−大東亜会議とその主役たち」(文藝春秋1991年9月)でして、大幅に加筆修正を加えてPHP新書として上梓されました。

昭和18年11月に東京で開催された大東亜会議は「アジアの傀儡を集めた茶番劇」と東京裁判史観では散々に評されるのですが、それだけの会議ではなかったという点を明らかにしようとする作品であります。

と言っても、単純な反東京裁判史観に見られるような「日本の戦争は全てが白人支配からの解放戦争であった」というようなこれまたバランスの取れない論点ではなく、「もともとが欧米帝国主義を模倣して権益を追求する戦争であり、自存自衛の戦争という位置付けであった戦争が、大東亜会議と大東亜宣言で戦争の目的が大きく変化したのではないか」という観点から、歴史的評価が低く貶められている大東亜会議の意義を見直そうというお話です。

当時の関係者の発言が色々出てきますが、フィリピン派遣軍軍属で大東亜会議の通訳を務めた浜本正勝氏の「大東亜会議の理念は正しかったが、現地の軍が全て駄目にしてしまった」という件なんかは「なるほど」と思わせるものがございます。

また、会議出席者の人物像や、当時の欧米(というか英国とオランダ)の圧政といえるアジア植民地支配に関してもコンパクトに纏めてあって読みやすいです。最後の福田和也との対談は福田和也に反東京裁判史観が入りすぎの感があって、却って余計なような気がしますが。

ISBN4-569-63495-8 \800



2004/04/05

「日本はなぜ敗れるのか−敗因21カ条」(山本七平、角川書店)

初出は雑誌(でしたよね)「野性時代」1975年4月号から1976年4月号に連載されたものということですから実に30年前の文書な訳であります。

小松真一氏の手記「虜人日記」にある「敗因21カ条」をベースに氏の手記を引用しつつ山本氏の体験も踏まえて日本の敗因はどこにあったのかを記述しております。

この「虜人日記」を書いた小松真一氏は陸軍専任嘱託として徴用されて、ブタノール(ガソリン代用品)を粗糖から製造する技術者として昭和19年1月にフィリピンに派遣を命ざれて辛酸を舐めた方です。分析も表現も的確かつかなり冷静なのは兵隊ではなく軍属という立場もあったのでしょうか。

実はあたくし山本七平氏の著作を読むのは初めてでして、他の本もこんな感じなのかも知れませんが、とにかく心に染み入る痛烈さがございますな。思わず現在の日本あるいは自分自身の状況に敷衍して読んでいると背筋が寒くなります。

はっきり言ってこの本はお奨めなのですが、角川書店が何を考えているのかさっぱり判らないとしか言い様が無いのはカバーの作り。敗因21カ条に一言も入っていない「反日感情に鈍感である」などという言葉をカバーにつけてみたり、帯には「失敗を繰り返す日本人への究極の処方箋」などと(本書は処方箋ではない)書いた上に「マネー、外交、政治・・・・このままでは日本は再び敗れる」などと内容と全然関係ないというか、読もうとする人をミスリードするデザインになっております。

角川書店いかがなものかと思われますが、それは兎も角お奨めでございます。30年前に書かれている事と今と、本質的に何も変わっていない、結局は敗戦の頃と何も変わっていないのが日本および日本人ってことなんでしょうか。


2004/03/30

昭和恐慌と経済政策(中村隆英著:講談社学術文庫)

ベースになる本は昭和42年に出版された「経済政策の運命」という本。井上準之助蔵相の実施した金解禁政策の政策導入から崩壊に至る過程を詳細かつコンパクトにまとめてあります。経済をまともに勉強していないあたくしには序論にあった金本位制に関する解説(金本位制を維持するためにはどういう事が必要だったのかというお話)が判り易くて勉強になっていたりもします。

経済理論がどうのこうのというよりは実態に即した実証検証的な一冊です。

ISBN4-06-159130-4 \760



2004/03/30

信長の戦争(藤本正行著:講談社学術文庫)

副題は「『信長公記』にみる戦国軍事学」となっており、戦国時代の良質な資料である太田牛一の所謂「信長公記」をベースにして、史実として人口に膾炙している織田信長の合戦の真実を探った一冊。

まぁ正直歴史あるいは戦国ヲタ向けの本ですけど、「桶狭間の合戦は奇襲ではなく、正面攻撃で行われた」とか「墨俣一夜城の伝説はまるっきりのでっち上げ」とか「長篠合戦での『三千挺の鉄砲の三段構え一斉射撃』はなかった」などといった論証が緻密に行われておりまして、戦国ヲタ必見の一冊でありますが、そもそもドラめもん読者に戦国ヲタがいるかどうかは不明だったりします(汗)

ISBN4-06-159578-4 \1000



2004/03/11

リフレと金融政策(ベン・バーナンキ著、高橋洋一訳:日本経済新聞社)

以前ドラめもんでご紹介しましたが、バーナンキFRB理事の講演集の翻訳です。本の帯では岩田規久男先生が大絶賛。まぁ日本でも岩田一政副総裁が水を得た魚のように頑張る今日この頃でありますので、リフレ派と言われている人たちの主張を簡単に知るのにはよろしいかと。

しかし1900円はちと高いような気がする。

ISBN4-532-35075-1 \1900

以下同書について2004/02/28に書いた書評です。

英「エコノミスト」誌で「世界で最優秀の中央銀行総裁かもしれない」などと相変わらず海外で絶賛されて国内では日銀のお膝元に行けば行くほど酷評されるという不思議な日本銀行総裁様でございます。

FRB理事にバーナンキというお方がいらっしゃいますが、このお方の講演を訳出して解説、インタビューを加えてまとめた本が日本経済新聞社から「リフレと金融政策」という題で出版されています。(高橋洋一訳、吉次弘志解説・インタビュー:ISBN4-532-35075-1価格1900円)

一応読み終えたとはいえ、浅学非才でまだまだ勉強途上の段階で、極めて稚拙な疑問点しか出せないのですが、読後感第一弾という感じで。


○日銀総裁が海外で絶賛なのは当たり前ですな

本書に出てくる氏の講演は5本あるのですが、リフレ政策に関する提言として出てくるのが正に日銀がせっせと実行しているものとして現出しております。かつてあたくし(去年の4月くらいでしたっけ)「日本を新型兵器の実験場にしないで頂きたいものですな」というような駄文を書いたことがあるのですが、まさしく新型兵器の実験中。そりゃ海外からは評判高くなりますわな。

何で日本がわざわざ人柱になって新型兵器の実験を行わなければいけないのかは相変わらず理解に苦しみますし、だいたい株価は戻ってますけど、金融政策が株価の戻りに対してどのような波及効果を与えているのかも明確なパスは見出せていないと思うのですがねぇ。株価の戻りは「りそな救済」と「産業再生機構による救済」という一種の財政政策というか税金投入政策によるところが大きいと思いますが・・・・・。


○通貨価値毀損は良くて財政破綻は不可というのが現実に可能か?

リフレ派の皆様と同様に「不換紙幣システムの元では政府が紙幣をより多く発行する事によって調整インフレが可能である」という貨幣数量論をベースにした金融政策のお話をしております。

貨幣数量論自体はその通りなんですけど、政府部門が通貨供給を野放図に拡大するようなリスクをどうやって抑えるかという話になりますと「財政政策は国債の対GDP比率を妥当な水準に安定させておく必要があります。」としかも「どんなに厳しくても構いません」とまで言っております。

実際の政治の場でそんな規律がきっちり守れるというのは歴史的に見た場合どうなんでしょう?

いわゆる高橋財政でデフレ脱却には大成功しました(リフレ派の方はそれ故高橋財政への評価が非常に高いのですが)が、デフレ脱却に成功し、引締めと財政健全化へと転換しようとしたら軍部の猛反発を受けまして2・26事件に至る伏線になったというのは歴史の教訓。経済問題とは関係ないですけど、ナチス党が政権を取ったのは「最も民主的な憲法」が生きていたワイマールドイツでの出来事でもあります。

金融政策は何でもありで財政政策はきっちり縛るというのは非常に難しいお話だと思うのですが、その点は何かスルーしちゃっているんですよね〜。

というか日本では既に国債の対GDP比率が絶賛増大中なんですけど、その状況を放置して調整インフレ政策とやらを実施したらやはり大変なことになると思いますが。氏の講演を援用いたしますと・・・・・・・・・


○長期金利へのコミットメント

最近は氏もこの主張を取り下げているというお話を聞いたような気もするのですが、「長期財務省証券の金利操作で政策目的を達成できるのではないか」という仮説を述べておられます。

短期金利がゼロになってしまった場合の政策オプションとしてというお話で現在の日本銀行のやっているような「ゼロ金利へのコミットによって長期金利の下落誘導」というのと、「短期金利ではなくやや長い財務省証券(氏は2年物を例にあげています)の利回り上限を公表する」というのをあげております。

でも、結局金利下落が碌に効果を生んでいない(生んでいたらとっくの昔にデフレ脱却できていると思いますが、この低金利状態ですから)のは既に日本において実証済み。

まぁ日本経済と米国経済では根本的な構成要因に色々な違いがあるわけで、日本では効かなくても米国では効くかも知れませんけど、氏が「より好む政策」としている財務省証券の利回りコミットメントっていうのはありていに言えば金利統制みたいなものでして、市場関係者としてはどうかな〜と思ってしまいます。有効かも知れませんけどね、と市場関係者にあるまじき印象は有りますが。

もしかしたら最近急に長期金利の話を福井総裁が国会でするようになったのは「バーナンキ講演集を見た議員あたりが何か言い出す前にコメントしておくと受けが良いだろう」なんて思っていたりして。


○解説で喧嘩を売るのは止めましょう(-_-メ)

この本は解説が2本立てになっていて、その一本が各講演の解説でして、そちらの部分は訳者でもあります高橋洋一氏(財務省総合政策研究所研究員)によります。講演への解説部分はわかりやすく書いてあって大変結構なのですが、高橋氏の主張部分で日本におけるインフレ目標批判に対する解説(反論)がありまして、ここにくるといきなりこの書の格調が低くなってしまうのは残念です。

日本でのインフレ目標批判を列挙して「無効論タイプ」と「弊害論タイプ」に分けております。それはそのとおりですが、その後に「批判には互いに矛盾する無効論タイプと弊害論タイプがある」と文章のレトリックを駆使して如何にもインフレ目標批判者が支離滅裂であるかのような印象をあたえるような書き方をしているのはいただけません。


で、その後には「金利債券市場関係者の反対論が強い」として、その理由を「インフレ目標が採用されると名目長期金利が上昇(フィッシャー効果)し保有債券の評価損が生じると信じられているからであるといわれている」などとあたかも市場関係者が私利私欲の権化であるかのような印象を与えるような書き方をしております(-_-メ)。

せっかく喧嘩を売っていただきましたので格調低く同じレトリックを使用致しますと、「野放図に拡大した財政赤字縮減の政策努力を放棄する為にインフレ目標導入を提唱する存在があるともいわれている」とでも申し上げましょうか、財務省総合政策研究所研究員様。

日本におけるリフレ派の方々の著作(≠思いっきり研究的著作)っつーのを真面目に読むのはこれで2冊目なのですが、自説に対する批判が何でこう格調の低い(というかはっきり言って罵詈雑言)書き方になるのか実に理解に苦しみます。といっているあたくしも殆ど悪口雑言になっている場合が多いのですが、一応学究の徒なんですからもうちょっと格調高く批判して頂きたいのですけど。

2005年3月3日追記:上記取り消し線部分は全面的に撤回します。と申しますのも、追記部分を記入している現在起こっている「当座預金残高目標引き下げ問題」に関して「市場関係者」と言われる人たち(特にマーケットストラテジストとかマーケットエコノミストとかの肩書きで「市場の声」を外部に発信する役割を担っている人)の言説がいかにポジショントーク全開かが良く判ったためです。以下その件を長くなりますが引用します。

まぁそういうわけで徐々に「筋論派」の周囲からは楚の歌なんかが聞こえて来るような展開が絶賛進行中な訳でございますが、正直申しあげて日銀の政策が筋として(もともとかなり理屈が破綻している政策ではありましたが)崩壊するような「技術的対応」論を勧めるというのはいかがなものかと思う訳ですよ。そりゃ相場が動いて金利が全体的に上昇してくれりゃぁ市場参加者としては商売繁盛だし運用環境も改善するし結構な話なんですが、だからと言ってもポジショントークというのにも限度があると思うんですよね。

景気がそんなに絶賛大回復していて金融引き締めにも無問題ってぇ話だというのなら別に結構なんですが、「技術的対応」って言ったってアナウンスメント効果って物もある訳ですし、それなりに長期金利やら貸出金利に響いてくる中期ゾーンの金利やらが上昇して経済やら財政やらに悪影響を与えないんでしょうかねぇと思うんですよ。「それよりも俺様の明日のメシの種が大事だ」って話ならまぁそれはそれで一つの考えですし、いちトレーダーとしては当座預金残高目標問題で相場が盛り上がった方が収益チャンスもありますが。

ただねぇ。一応「市場の声」として機能しているマーケットエコノミストだとかマーケットストラテジスト(などという表現が適切かどうか判りませんが、ニュアンス汲み取って頂けると幸甚)だとかの人が「技術的対応論」を支持するのは如何な物かと思いますよ。そういう事を言っているから「市場の人間はポジショントークばっかりしている」と言われてしまうのではないでしょうかねぇ。

以前ご紹介したバーナンキ氏講演集「リフレと金融政策」(日本経済新聞社)の書評を書いた時に、訳者の高橋洋一(しかもドラめもんに書いた時に「高橋進」と間違えると言う失礼の上塗りを・・)さんが解説で書いた「ボンドトレーダーなどの金融市場関係者はインフレ目標が採用されるとフィッシャー効果によって名目長期金利が上昇して保有債券の評価損が生じると信じられている」という部分に「市場関係者はそんなポジション上の理由で反対しているんじゃない」と散々悪態をつきましたが、謹んで撤回して深くお詫び申し上げたい(って高橋さんが見ている訳ではないのでお詫びもないが気持ちの問題)と存じます。ええ、市場関係者はどうも「政策は如何にあるべきか」などと言うことは考えてないようですわ。ポジショントーク全開なんですな。

(追記終了)

念のため申し上げますと、バーナンキ氏の講演は格調の高い調子でありまして、その格調の高さというのは訳者でもある高橋氏の高い能力のお蔭でもあると思います。





2004/03/11

金融政策論議の争点 日銀批判とその反論(小宮隆太郎、日本経済研究センター編:日本経済新聞社)

以前ドラめもんでちょっとだけ取り上げましたが、ヒーヒー言いながらも8割方読みました。初版が2002年7月ですので、参加している岩田一政さんが内閣府政策統括官だったりしておりますが、それだからこそまた面白いというところもあったりする訳です。執筆陣も豪華メンバーで、メンバーに白川方明日銀理事(当時審議役)が参加している所がまた論議を充実させていると思います。読むのには予備知識が必要かも知れませんが、この内容で2800円は割安だとおもいますけど。

ISBN4-532-13236-3 \2800


2004/03/11

証券取引等監視委員会の活動状況(証券取引等監視委員会編:国立印刷局)

毎年出ておりまして、只今出ているのは平成15年版。平成14年検査年度(14年7月〜15年6月)までに検査が終了して勧告のでた事案のご紹介何ぞがございます。個別の内容はSESCのWebで出ていることと同じなのですが、一冊の本にコンパクトにして貰いますと、読むという面については便利ですな。

興味本位でお読みになるのも吉かと。

ISBN4-17-211254-4 \760


2004/03/11

美人(ブス)投票入門 ブス銘柄をつかまされないための13か条(山本一郎著:オーエス出版社)

山本一郎といってもこの前実刑が確定した経済革命倶楽部の人ではなく、「ネット界の切込隊長」として局地的に有名な人の本。株式投資本と言う事になっていますが、どちらかというと経済社会批評みたいな本ですな。面白いけど1500円は高いです。1時間も有れば読めますので(以下自粛)。

ISBN4-7573-0213-4 \1500


2004/01/04

武富士対山口組(木村勝美著、イーストプレス)

イーストプレスがこの本の宣伝広告を全国紙に打とうとしたらどこからともなく(自主規制)ので広告無しでの出版になってしまったというウワサを聞いたので千代田書店に行ったら思いっきり平積みになっていたと言う本。

あえてやっているのかも知れませんが、構成が散漫(特に前半部分)なので、ちと読みにくいのが難点ですが、まぁあっさりと読める本でしょう。背景知識が全然無い状態で読むのはちとしんどいかも。

著者の事情もあるでしょうから仕方無い面もありますが、武井会長がほぼ一方的に問題があるような書き方になっているのは(事実なのかもしれませんが)やや残念ですな。株式公開に絡む話にもっと突っ込むと株屋的には面白かったかな〜と思いますが。

海外投資家に向けてこの本を英訳して送り付けたら洒落にならんだろうな〜などと思ってしまったりする訳です(^^)。

ISBN4-87257-395-1 C0036 \1600




2004/01/04

三酔人経綸問答(中江兆民著、桑原武夫・島田虔次訳・校注、岩波文庫)

新刊の次はいきなり古典。中江兆民の有名な「恩賜の民権」「回復の民権」というフレーズや、問答の最後に国権拡張論者の豪傑君が上海に渡る件なんかはとても明治20年に書かれたものとは思えません。辛亥革命の支援を行った日本人に所謂右翼系の人が相当加わっていたのを予言していたのでしょうか・・・・・

吉田茂の「大磯随想」を読んだ時にも感じたのですが、優れた洞察力の持ち主の書いた文章ってのは後世になってその評価が定まるものなんでしょうな。

ISBN4-00-331101-9 C0110 \600



2004/01/04

国家なる幻影 わが政治への反回想(石原慎太郎著、文春文庫)

文庫の初版が出たときに流し読みしたのですが、改めて熟読。

この人に関する報道は悪意で歪められている場合と好意で歪められている場合がありますが、というよりは淡々と報道されないお方であるな〜と改めて認識してしまいました。まぁこの人の発言をきちんと見たければ都庁のWebを見るか、東京MXテレビの都知事定例記者会見を見るかが必要でしょうな。

読み物としては面白いです。文体が25年くらい前に流行ったような新文学系のキザなものだったりする事や、東京都知事選挙で美濃部知事と選挙戦をやって敗れた事が相当「恨み骨髄」なのね〜と思わせる所なんかもございまして、このお方のやっている諸政策や言動なんかがど〜ゆ〜ベースにあるのかという事を理解するには宜しいかと。

上下2巻ですがそんなに重くはありません。議員辞職をした所までの回顧録ですので、現在のお話はございません。念のため。

ISBN4-16-712804-7 C0131 \590
ISBN4-16-712805-5 C0131 \552


2004/01/04

チベットわが祖国(ダライ・ラマ著、木村肥佐生訳、中公文庫)

これも前に読んだ本なのですが多分ご紹介していなかったと思うので。

インドと共産中国が協力関係に転じてしまってますし、人権外交を標榜していたクリントンからブッシュ政権になって益々孤立無援状況が深まるチベットの今日この頃ではありますが、アジアで爆発する可能性のある爆弾候補の「台湾問題」「チベット問題」の一方を理解する一助になるのではないかと思うわけです。もちろん「ダライ・ラマ14世の主張」でありますので、その辺は割り引いて読まないといけないとは思いますけど。

そういえばダライ・ラマ師が昨年訪日して両国で講演会を行ったのですが、誰に遠慮しているのか知りませんが、ダライ・ラマ師の来日に関して全くと言って良いほどメジャーなメディアで報道されていなかったような気がします。気のせいでしょうか??


ISBN4-12-203938-X C1123 \1048