1.蓄音機の仕組み

●蓄音機のサウンドボックス(針の付いたレンコン状のもの)と トーンアーム(S字に曲がったパイプ)
音を出す
音は空気の振動で、太鼓やスピーカーのように振動するものから音が発せられます。
レコードには歌手や楽器が発した音の振動が溝の蛇行として記録されているので、
この蛇行を再び空気の振動にもどしてあげれば音を再生することが出来ます。
この、レコードの溝の蛇行を音にもどす装置がサウンドボックスです。
reproducer(再生機)とも呼びます。
仕組みは、回転するレコードの溝の蛇行を針で振動として取り出し、
シーソーのように支点を設けた金属の棒によって、テコの原理で振動を増幅し、
スピーカーに相当する振動板に伝えて音を再生します。
振動板はマイカ(雲母)やアルミ合金などで出来ていて、
ゴムなどのダンパーで固定されています。
これらを納めるサウンドボックスのケースは、 針をレコードにしっかりと押さえつけ、
振動エネルギーを逃がさないように 重い金属などで作られています。

●サウンドボックスの原理(実際はこれほど激しく振動しない)●
サウンドボックスで再生された音はこのままではまだ良い音ではないので、
パイプで出来たトーンアームの中を通ってホーンへ導きます。
初期の蓄音機はホーンが外に取り付けられているので、ラッパ蓄音機と呼ばれています。
しかし普及するにつれ、このラッパがじゃまになったため、
蓄音機のキャビネットの中に収納されるようになりました。
良い音を出すためには高音から低音まで、きれいに出るようにする必要があります。
そこで紙や木材、金属など様々な材質が用いられました。
一般的に金属のホーンは明るくて堅めの音、
木材のホーンは落ち着いた柔らかい音 という傾向があるようです。
低音を出すためにはホーンが長い方がよいので、蓄音機のホーンは次第に長くなりました。

●短いホーンは高音は出しやすいが低音が出にくい●

●長いホーンは低音は出しやすいが高音が出にくい●
音をホーンで集めて直接レコード原盤に録音するアコースティック録音に代わって
マイクとアンプを使って録音する電気録音方式が現れ、高音から低音まで録音できるようになり、
雑音の目立ちやすい高音を強めに、針の振り切れやすい低音を弱めにしてレコードに録音する方法がとられ、
これをちょうど良く再生するためのサウンドボックスとホーンが開発されました。
長い ホーンを複雑に折り曲げたり分割してキャビネットの中に押し込む方法が考えられ、
高級な蓄音機に取り入れられました。

●ハーフ・リエントラントホーンの概念図●
レコードを回す
レコードを回す動力にはスプリングモーターが使われています。
レコードをかけるときにはクランクを使ってゼンマイ(スプリング)を巻きます。
仕組みは昔の柱時計によく似ていますが、シンプルで丈夫に出来ています。
柱時計が2本の針を1時間に1周と12時間に1周回転させるのに対し、
蓄音機のモーターはターンテーブルを1秒間に78回前後(80回転のレコードなども有り)で回します。
柱時計が針を正確に回転させるために振り子を使う代わりに、
蓄音機のモーターは遠心ガバナー(写真中央下部)を使っています。
ターンテーブルの歯車に連動した高速で回転する軸に重りの付いた板バネが取り囲むように付けてあり、
遠心力で重りが板バネを外側に広げる事により軸に付いている円盤をスライドさせ、
ブレーキに押しつけてスピードを調整する仕組みです。
回転数はつまみを回し、円盤とブレーキの間隔を変えて調整します。
蓄音機のゼンマイは強力で大きなものですが、
高級機は安定した回転が持続するようにゼンマイを3個〜4個つなげています。
後期の蓄音機には電気モーターを使ったものもありました。

●一般的な蓄音機のスプリングモーター(ビクター社製)●