4.蓄音機の針について
蓄音機の針についてよくご質問を頂きます。
「針はどれくらい使えるのですかねえ」とか、「どんな針がいいのでしょうか」というご質問です。
そんなときは、自分がしているようにレコード片面聴いたら換えた方がいいですよ、とか、
「鉄針の方が音は良い」などと答えていました。
しかし、実際はどうなのだろうと、調べてみることにしました。
耐久テストをするのが一番でしょうが、そんな根気はないので顕微鏡で調べてみました。
針先の調査
一度使った針の先端を回転させながらよーく見ていただくと、キラッと光ることがあります。
これはなぜか拡大鏡で調べました。それが下の写真です。
SP10インチ盤を片面聴いたものです。
先端が斜めに鋭くカットされたようになっているのがおわかり頂けるでしょうか。
それでは、なぜこうなるのか図でご説明します。下の図は針がレコードの溝にのったところです。
V字型にカットされた溝に先端の丸い針が左右の壁に点で接触して乗っています。
針はこの溝の壁をこすりながら音をひろっていきます。

それでは「針が減る」とどうなるか?
レコードの溝が針をV字型に削っていくのです。 減ると言うより「 研ぐ」といった方が正解です
。
まるで大工さんが使うノミの様になっていました。
研がれて平らになった部分が光を反射してキラッと光っていたのです!
それでは、その様な針でレコードを聴くとどうなるでしょう。
下の図はその状況を上から見たところです。


左が新しい針、右がすり減って平らな部分のできた針の上から見たイメージ図です。
針の接地面が平らに削れ、針がその分溝に沈みます。そして、接地面が大きくなります。
両サイドが研がれてノミのようになった針がレコードの振れ幅が大きいところにさしかかると、

新しい針は問題ありませんが、すり減った針は尖った角で溝の壁を削る様に通過していきます。
何回もこの状態でレコードを聴くと針はどんどんレコード溝の壁を削って溝を広げていきます。
そして、しまいには V字型の溝が広がって底の平らなドブのようになってしまいます。
顕微鏡でレコードの白くなった部分を見ると、すり減って平らになった溝の底が白く見えている事がわかります。
そうなってしまうと新しい針に変えても、上の図のように溝と針の間に隙間が出来て音がわれてしまいます。
そして、針が溝の中を暴れながらガタガタと通過するので、ますます溝が破壊される悪循環に陥ります。
このような発見から、結論として、
針はすり減りにくく堅い方がよい。
1度使った針は変えた方がよい。
使った針は角度を変えて
付け直してはいけない。
という事が言えるのではないでしょうか。
針は変えられてもレコードは代わりがあるとは限らない事を考えても、
針はケチらない方が良いでしょうね。