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10万署名侮る市議集団 
下関・満珠荘問題
               市民の怒りがぜん沸騰へ   2010年12月15日付

 下関市では、17日の市議会最終本会議で中尾市政が提案した老人休養ホーム・満珠荘の条例廃止を強行採択しようとしている議会にたいして、市民各層の世論と行動が活性化している。来年1月の市議選を前に、10万人もの存続署名を踏みにじる中尾市政と議会の傲慢さへの怒りと、4年間にわたってあきらめずに堅持している運動の強靱さへの共感が広がり、市民の力を知らしめようと世論が盛り上がっている。議会は市民を代表するものではなく、すっかり飼い猫になりはてて、自分を代表する議員ばかりになっている。このような議会があと四年も続けば下関はつぶれてしまうこと、満珠荘切り捨ては高齢者福祉の切り捨てであり、社会福祉全体の切り捨ての象徴、市民生活切り捨てをめぐる象徴的な攻防戦として市民世論が盛り上がっている。ろくでもない議員への怒りとあわせて論議が広がっている。
 12月7日、市議会・文教厚生委員会はついに老人休養ホーム・満珠荘の設置条例廃止を強行採択した。密室で人目に隠れてやるのを関谷議長は「議会のルール」といって押し通した。委員長・山下(社民党)、副委員長・田辺(自称市民派・民主党)、関谷(議長)、佐伯、石川、西本(安倍派)、鵜原(林派)、末永(公明)、明石、桧垣(「日共」)の10人で構成される。満珠荘請願の紹介議員(山下、松村、「日共」江原)や「わたしに任せて!」などといっていた自称市民派が委員長・副委員長ポストと引き替えに売り飛ばしをした。17日の本会議で可決すれば、利用料金は2〜3倍近く値上げされ、老人福祉とは別物の民間経営施設に移行する。
 議会審議には、強行採決を後押しする材料として、緊急に公衆浴場組合から「新たな料金設定でも満珠荘は安い」と「民業圧迫」を指摘する意見書が出された。委員の一人で浴場組合の顧問をしている鵜原議員が関与したもので、福祉は金儲けの邪魔になるというのである。はやり言葉の「民業圧迫」といえば「黄門様の印籠」のような調子だが、民業による福祉圧迫が問題なのだ。補助金による高齢者福祉がダメというなら、公衆浴場への補助金も必要ないということになる。三七年間満珠荘と共存してきた浴場組合からの要求ではなく、議員や市当局がそそのかした「意見書」であることは明らかだった。
 下関市政では、市民からの請願や要求のかかった案件を議決するさい、他の市民団体や組織に真反対の意見書をぶつけさせるのが常套手段になっている。数年前に角島保育園の廃園条例を強行可決するさいも、地元の漁師や父母らが島民の九割にあたる存続署名を提出したのに対して、地元振興協議会の地域ボス(元議員)たちが「廃園にして滝部に幼保一元化施設(一カ所集約した保育所)を新設してほしい」と要望書をぶつけ、「廃園も地元の意志」などといって存続の願いを踏みにじったことがあった。あるかぽーと開発やその他の事業でも、都合の良い「民意」をコンサルタントに発注してつくり出すことすらある。
 問題浮上から4年間、利用者の会の高齢者たちは粘り強い署名活動を取り組み、市民の3分の1にあたる10万人近くを集めて市に存続を求めてきた。10万人に込められた市民の願いは半端なものではない。「老人休養ホームとして再開する」の公約を破棄して突っ走る中尾市政であるが、幕引きとなって市民があきらめるどころか、俄然世論に火を付ける効果となっている。市議選をまえにして、10万人署名を踏みにじる姿が、あらゆる場面で市民をまったく代表しない威張りくさってばかりの議員への怒りとなって噴き出している。

 市議集団の空気を表現 安倍派福田議員

 この市議集団の空気を表現したのが安倍派の福田幸博議員であった。文教厚生委員会が強行採決した7日の朝、市役所玄関前で抗議の署名活動をする高齢者たちに「ここで署名をするな!」「ルールを守れ!」などと恫喝する場面があった。大声で吠えまくる姿を道行く市民が驚いた表情でながめていた。 その様子を本紙が紹介し、民主主義と生活を守る下関市民の会が食ってかかる同議員の顔写真【写真参照】入りで、満珠荘条例の廃止を文教厚生委員会が強行採択したことと、あきらめずに運動を継続すること、本会議に向けて市民が議員に圧力をかけることを訴えたチラシを配布。市内各所で話題が広がった。 12月議会本会議では、満珠荘問題をめぐって珍事が起きた。福田議員が13日の一般質問で「下関市の有名新聞の一面に悪役として掲載された。一方的に書かれた立場なので、記事への弁明をさせてもらう」と発言。本紙が福田議員の行動を報道したこと、下関市民の会が写真をチラシにして配ったことに激怒し、自分の選挙妨害であると吠えた。この行動がいまの議員の度はずれた姿として、全市民の話題を呼ぶことになった。
 福田議員の7日の行動は、市民が満珠荘再開署名をまだつづけており、中尾市長やその背後勢力、市議会に逆らっていることへの激怒であった。「ルール違反だ」「政治活動をやっちゃいかん」などとあたり構わず大声で吠えまくった。そして市民の会がチラシにして配ると、怒り狂った一般質問におよんだ。
 今度は「選挙妨害だ」「訴えてやる」がおもな主張となった。チラシは「某安倍派議員」と書いてあるだけで、福田の「ふ」の字も書いてなく、写真を掲載しているだけ。写真は修整はなくあるがままに映った福田議員の姿であった。それが選挙妨害というのなら、自分の顔が自分の選挙を妨害していることを意味する。しかも知らぬ間にとられたものではなく、カメラを見据えて自信満々にポーズをとった写真である。
 通常自信満々の顔をチラシにして知らせてもらうのは、選挙応援のようなものである。そのときは写真で見るとおり自信満々だった。「議会に逆らうけしからん市民運動を懲らしめることができるのは自分しかいない」「若手ばかり持ち上げる安倍事務所に、自分のようなベテランの存在価値を認めさせなければならない」との意気込みだったと思われる。
 しかしその後変わる。経過を分析すると、上の方しか目線がないときは堂々の売り出し意識だったが、その時有権者のことは頭になかった。自分の常識は世間の非常識であることがわからなかった。写真を見た人たちの多くは怒るとともに笑い出すのが特徴であった。自分の顔と振る舞いに対する世間の評判の悪さに直面することによって、自分の選挙にマイナスだと考えがおよび、今度は「選挙妨害だ」と騒ぎはじめた。自分の振る舞いが失敗だったわけだが、チラシがけしからんと、怒りをぶちまけなければおさまらない感情爆発となった。
 一般質問で吠えたあと、選挙管理委員会にも行って「選挙妨害だ」と吠えまくった。さらに「警察に訴える」というが、選挙運動ができるのは告示後だけである。「いま選挙運動をやっておりワシの事前運動のじゃまをした」と警察に訴えたら、縄にかからなければならないのは自分の方だと思われるが、そんな常識も忘れてしまった。
 怒りにまかせて一般質問をやりインターネットで流れた結果、本紙の報道や市民の会のチラシの注目度が一気に上がり、満珠荘問題への関心が高まるとともに中尾市長や議会に対する怒りを改めて沸き立たせるものとなった。福田議員の行動がすっかり裏目に出ることとなった。
 以上のような福田議員の顛末はいまの議員連中の実態を代表している。ある意味では「正直に議員の感情を表現したのだ」といわれる。「正直」でないろくでもないのがたくさんいるのだ。

 「日共」市議等の正体も 利権獲得に躍起

 なお中尾市政になってから、議会では「中尾市長を応援する会派」を自認する関政クラブ(会派代表・福田幸博)が与党ポストを独占してきた。自称市民派だった田辺、松村市議らが仲間入りし、それまで保守系二軍会派といわれていたのから躍り出た。しのぎを削った副議長選では、もう一つの保守系会派である志誠会と公明党市議団を陥れて、労組ダラ幹の市民連合や「日共」市議団と手をつないで、副議長、4つの委員長ポスト、監査委員ポストを総なめにした。
 このなかで、はめられた安倍派与党会派のお粗末さもさることながら、中尾与党会派と「日共」市議団、連合出身議員が野合して、飼い猫議会の主流をなして利権獲得に躍起になる姿が露呈した。
 副議長選で志誠会の木本氏が勝ったつもりで祝勝会まであげていたところ、水面下で裏取引をしていたのが林真一郎議員を擁立した関政クラブと、アリバイ候補を擁立していた「日共」市議団で、選挙開始10分前になって「日共」明石候補が突然立候補を取り下げ、関政クラブの応援に回るという、息のあった芸当であった。そして各ポストを関政・「日共」・市民連合が分け合い、監査委員ポストを「日共」近藤議員に与えることで、「ウィン ウィンな関係(両者が美味しい思いをする)」などといった。
 「明石に前日に立候補を取り下げさせよう。近藤さん(「日共」市議団長)と話はついた」「いや、それだったら志誠会に気付かれて考える時間を与えてしまうではないか。当日の朝に取り下げさせよう」「いや、まだ早い。ゲーム開始(選挙)は昼の1時から。明石には10分前に取り下げさせればよい」などのやりとりが交わされ、「日共」市議団候補の届出取り下げのタイミングまで保守系会派がシナリオを作成し、その通りに動くという、市政にたかったオール与党たちの、利権に目がない姿を暴露した。
 その結果、文教厚生委員長には山下、副委員長に田辺、経済委員長には松村、建設委員長には異儀田といった顔ぶれがつき、「日共」近藤が念願の監査ポストをもぎ取った。
 「日共」市議団のインチキも大いに暴露された。満珠荘問題で「議会の多数が得られないからあきらめて民間委託にする」といって、紹介議員の江原議員が采配議員になって、満珠荘利用者の会を分裂させ、世話人代表を議会に呼んでそれを認める印鑑を押せと脅しつけ、ことわられることがあった。議会で反対の手を挙げるがインチキで、行動で民間委託を先導したのだ。表向きは市政批判を吹聴するが、実態は生活保護・市営住宅斡旋などで、市当局に買われて議席を温める。そのために福祉切り捨ての象徴である満珠荘問題のような大きな問題では、市民をあきらめさせ、推進する行動をする。そういう汚い姿が露呈した。

 私欲優先で下関食潰す 傲慢さに通じる生態

 委員会審議や本会議など含めて年間に40〜50日足らずしか出てくることはないのに、1000万円プラスアルファの高額報酬や交通費が支給され、イスに座って寝ているだけのものも少なくない。4年間の任期中、一般質問で発言回数ゼロなのが佐伯伸之、石川潔、林透、兼田一郎、倉田健治郎(2年前の補選で当選)で、1回なのが門出眞治、林真一郎、田中義一の3人。ヤジを飛ばしたり、かと思えば眠っていたり、抜け出してメールをしていたり、夜の豊前田豪遊だけ元気になっている実態も、ひどいものがある。
 定例議会が終われば、執行部との飲み会や野球大会といった親睦会が必ず開催され、記者クラブとの会費一万円の飲み会もある。夏、冬にそれぞれ北海道や沖縄まで、数十人でゾロゾロと慰安旅行(税金でまかなわれる)に向かう様も異様だ。
 「金に目がない」のも特徴で、市政報告パーティーの5000円券を売りつけて、さらに後援会費を1万円納めろと主張する副議長経験者、企業に飲み代をたかる副議長経験者、高校同期会のプール資金を不明瞭にした副議長経験者、娘夫婦の自宅を建てるといって檀家に40万円のお布施を要求する坊主出身議員など、市民が目撃するろくでもない実態は枚挙にいとまがない。「女に目がない」議員の評判もすごいものがある。議員の人格崩壊状況が市民の大評判になっている。
 江島暴走政治の補完役として、長年賛成マシーンになってきた下関市議会が、公約破棄の中尾市政のもとでも引き続き安倍・林代理人政治の一翼としてとぐろを巻いている。威張っているのは福田議員だけではない。議員になって威張りだし、市民をバカにするという実態は共通性がある。主権者は有権者ではなく議員だと思い込んでいる。すっかり議会の常識は世間の非常識になっているのに、議会の多数派が世間の多数派だと勘違いしている。染みついたそういう感覚から、選挙依頼の場で説教をはじめる者までいる。
 一つも市民を代表せず、自分の損得しか代表していないのに、議会では「市民代表」の権限で、市民生活切り捨て議案や箱物を片っ端から採択していく。議会内「多数派」というのが、圧倒的市民から見たら異質な小集団であるのに、「多数派のワシに何をいうか」と横着さにブレーキが利かない。それが10万人署名を踏みにじる身の程知らずな傲慢さとつながっている。
 議員が「民業」すなわち「ワシの商売」になってしまっており、「市民のため、下関の将来のため」は、建前上からも消失してしまっている。公益を切り捨てて私益を優先する、自分の欲得だけ考えてほかは何も考えなくてもよいというアメリカ渡来の新自由主義の哲学の信奉者揃いになってひどくなった。自分が儲けさえすれば世の中はどうなってもかまわないという新自由主義の政治が下関をつぶしたのだ。
 議員どもは「市民のことを考えないのが偉い人なのだ」になってしまって、民意がさっぱりわからなくなった。新自由主義政治のもとで、政治がなくなった。そして突っ走っては失敗を繰り返す羽目になっている。
 満珠荘運動は、議会の騒ぎとも結びついて、多くの市民が注目し、共感を広げるものとなっている。10万人におよぶ半端でない署名、4年におよぶ高齢者を中心とした運動、民間委託計画を出そうとも、それを委員会が採択しても、本会議で仮に決めたとしても、署名した10万人への責任において絶対にあきらめない、そういう運動が多くの市民の喜びとなり、激励するものとなっている。
 本会議でどうするのか決めるのは議員である。とくに関谷議長をはじめとする安倍派議員、門出議員ら林派議員、公明党安倍派の長議員など、ボス連中がどういう判断をするか見物となっている。採択を強行したらしたで、市議選の激変は避けられない。つぎは市議選での審判であり、政治的激変になることは疑いない。


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