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貧乏人に増税で軍事費5兆円
2007年度政府予算案
               大企業には1兆円減税    2006年12月27日付

 安倍晋三総理がはじめて編成した2007年度政府予算案を24日の閣議で決定した。一般会計の総額は82兆9088億円(06年度当初予算比四%増)となった。その内容は米日独占・大企業のための「成長重視路線」であり、国民の90%以上を占める労働者、勤労人民に対しては定率減税全廃による所得税・住民税の増税を中心に高負担を押しつける。歳出面では、雇用保険(失業保険)の国庫負担を半減させ、生活保護母子加算の全廃開始など社会保障費の2200億円カットの一方で、軍事費はアメリカが要求する弾道ミサイル防衛(MD)の実戦配備を急ぎ、今年度補正で先取りした分を含めて大増額、なんの支出理由もない在日米軍再編経費は別枠扱い、アメリカの戦争の下請を担う軍拡予算である。

 増税は約1兆7千億円 庶民から搾り歳入増
 歳入では、定率減税全廃による個人所得税と住民税をあわせて約1兆7000億円の増税。これに独占・大企業が「過去最高利益」をあげ続けるなかで、法人税率を30%に引き下げたままでも法人税収が回復。税収は53兆4670億円(06年度当初比16・5%増)と過去最大の増税幅となった。
 これは、減価償却制度見直しと証券優遇税制の見直しによる約1兆円の大企業・大金持ち減税を見こんでの話である。
 労働者、勤労人民にたいする大増税は、非課税世帯を課税世帯にし、課税世帯のランクを引き上げることによって、健康保険料、厚生年金保険料、国民健康保険料、介護保険料の大幅負担増を押しつけ、大収奪のもとになる。さらに、住民税非課税から課税となることで、医療費などの減定措置がなくなり、低所得層をますます生活できない状況に追いこむ。
 大銀行グループは、法人税を1円も納めていない。大企業も定率減税と合わせて法人税率を30%に引き下げたままである。
 今年8月、谷垣禎一財務相(当時)でさえ「法人税率を40%に戻すと新たに5兆円の税収増が見こめる」としている。法人税率を引き下げたままで、減価償却見直しなどで1兆円の減税。安倍政府の米日財界いいなり、国民に自殺、孤独死、過労死を押しつけてはばからない正体を浮き彫りにしている。
 一方で、新規国債発行高は社会保障制度改悪などの歳出削減の結果、25兆4320億円と、4兆5000億円の減額としている。だが、日本が抱える借金残高は07年度末に国・地方合わせて過去最大の773兆円。国内総生産(GDP)比で148%と世界1の借金大国。国の借金だけで赤ちゃんから高齢者まで国民1人当り428万円の多重債務状況。「成長重視頼み」というが、行きづまる対米従属社会で打開の見とおしはない。

 MDに大盤振舞い 突出する軍事費 米軍再編は「別枠」
 歳出で突出しているのは軍事費である。「防衛関係費」は4兆8016億円(06年度比0・3%減)としているが、実際は大インチキである。
 アメリカが要求する「先制攻撃戦略」で、日本を米本土の盾として、「弾道ミサイル防衛」の実戦配備では、04年の導入開始以来最大の約1826億円(06年度比30・5%増)を計上。海上自衛隊のイージス艦に配備するスタンダード・ミサイル3(SM3)の経費、地対空弾道ミサイル迎撃誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)の購入費などを含んでいる。
 だがすでに06年度補正予算で、「防衛関係費」711億円を先取りしている。「北朝鮮の脅威」を煽り、パトリオット・ミサイル3の購入費の一部、海上自衛隊の電子戦データ収集機EP3改修費など。これを加えると2536億円となる。
 安倍総理は、任期中に憲法改悪をやって「戦争をする国」にするといっている。
 臨時国会で、「防衛省法」を自・公の賛成多数で強行。海外派兵を自衛隊の本来任務とした。予算案では、この海外派兵に迅速対応する実戦部隊=中央即応連隊(約700人)の新設を盛りこんだ。
 同部隊は、キャンプ座間に移転を計画する米陸軍司令部と連携する陸上自衛隊中央即応集団司令部のもとに配置。宇都宮駐屯地(栃木県)にもうける。同中央即応集団司令部は、陸上自衛隊の海外派兵に関する計画・訓練・指揮を一元的におこなう。
 来年1月の防衛庁から省への移行にともない、日米軍事協力と海外派兵を含めた政策立案能力を強化すると、「日米防衛協力課」「国際政策課」「戦略企画室」を新設する。
 在日米軍再編・自衛隊一体化を進める経費約313億円を今回、初めて計上した。安倍政府は同経費の一部166億円を「地元の負担軽減に資する措置」と称して「別枠」扱いしている。その中身は、キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県)に米海兵隊新基地を建設するための調査費約八二億円、米空軍嘉手納基地の戦斗機部隊の訓練を本土に移転するための経費約4億円、米海兵隊岩国基地(山口県)に米空母艦載機部隊を移駐する調査費約23億円など。
 安倍政府は「別枠」をつくることで、総額3兆円にのぼる在日米軍再編経費を確保するとともに、今後、「防衛関係費」の枠にしばられないで、軍事予算を拡張することを狙っている。
 「地元の負担軽減に資する措置」以外では、米陸軍キャンプ座間(神奈川県)への陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転調査費1000万円、米空軍横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部の移転経費約143億円、「ミサイル防衛」(MD)用レーダー配置にともなう航空自衛隊車力基地(青森県)の拡張費約4億円を計上している。
 20日決定した06年度追加補正では、キャンプシュワブ沿岸部への新基地建設の調査費など約110億円、米原子力空母の米海軍横須賀基地(神奈川県)配備のための港湾浚渫工事費約40億円も盛りこんだ。
 在日米軍駐留経費負担(「思いやり予算」)も合計で2173億円計上した。「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)関連経費は126億円。
 「第2の軍事費」である、内閣官房予算の情報収集衛星(軍事偵察衛星)関連経費約630億円。
 これら06年補正での先取り、「別枠」、内閣官房予算などを加えると軍事費は5兆円規模にはね上がる。
 安倍政府はアメリカの戦争の下請を担い、戦争に乗り出す軍事予算拡張へ突っ走り始めた。

 雇用関連費は半減 生活保護制度も改悪
 社会保障費は、高齢化などにともなう自然増分を2200億円もカットした。総額で21兆1408億円。2200億円削減の中心は雇用保険(失業保険)の国庫負担金3947億円を半分以下への削減である。雇用保険の大幅な黒字を理由にしているが、正規雇用の大量首切りとパート、アルバイト、派遣・請負などの非正規雇用の大拡大による失業給付者の減少と、失業手当給付期間の短縮などの制度改悪によるものである。
 安倍総理は「再チャレンジできる社会」を重点施策と宣伝しているが、政府予算案はまったく逆である。
 「生活できる仕事を保障せよ」。失業と半失業がかつてなく増大するなかで、「再チャレンジ」の中心は雇用である。雇用関係予算は、06年度の4327億円から2215億円に半減した。雇用保険への国庫負担金を除いた雇用対策費はわずか369億円。これまで、目玉としてきた「フリーター25万人常雇用化プラン」の予算も224億円から218億円に削減した。さらに経済産業省の、若者が就職相談や就労支援を1カ所で受けられる「ジョブカフェ事業」は、わずか3年で終え52億5000万円の予算を全廃する。
 フリーターの常用雇用を促進するとして、一定条件で企業に助成金を支給する事業に18億円を計上している。だが、これは目前のごまかしである。
 一方で、労働市場の規制緩和・構造改革の推進をはかり、1日8時間とした労働時間規制の適用除外制度を導入、残業代ゼロで働かせることを可能にし、命まで奪おうとしている。また、派遣労働で3年をこえて雇用する場合の正社員化の義務や、請負労働は請負った仕事だけで企業側の指揮・命令を禁止するなどの規制全廃を狙っている。これが「再チャレンジ」どころか、労働者を賃金奴隷として、低賃金・使い捨て労働として極限まで搾取しようとしている。
 社会保障費削減のもう1つの核は生活保護制度の改悪である。貧富格差のかつてない拡大のもとで、生活保護世帯は100万世帯をこえ、離婚の増加による母子家庭が増大している。このなかで安倍政府は、生活保護の母子加算を3年間で廃止することを決め、07年度から開始する。母子加算は子ども1人に月額約2万円である。
 もう1つは、持ち家に住む高齢の生活保護世帯への保護をうち切り、持ち家を担保に生活費を貸しつけ、担保資金がなくなった段階で生活保護に切りかえる。住んでいる家まで、むしりとろうとしている。

 教育改革には予算投入 学テや学校評価に
 文教・科学振興費は5兆2743億円、(06年度比0・1%増)。小中学校の義務教育費国庫負担金は同0・6%減。内容は競争原理による「教育改革」を盛りこみ、全国一斉学力テストに新規に66億円を計上。学校の序列化を進める学校評価システム推進に8億円を計上。教員免許更新制の導入調査・研究に新たに2億2000万円を確保している。
 教育現場の差別と競争による荒廃は一段と激化し、ごく1部のエリートと、圧倒的多数の落ちこぼれをつくり、アメリカの戦争の下請を担う肉弾にする腹である。
 国立大学法人運営費交付金は06年度比1・4%減、私立大学への補助も46億円削減した。
 中小企業対策費は1625億円で、一般歳出比では0・35%。1963年の中小企業基本法制以来最低水準。日本の全企業の99・8%を占める中小企業の切り捨てである。「中小企業地域資源活用プログラム」「戦略的中心市街地商業活性化支援事業」を目玉としているが、選別・集中による淘汰・再編策にほかならない。
 農林水産関係予算は、06年度当初比3・1%減の2兆6927億円。公共事業関係が同5・7%減、食料安定供給関係が同4・5%減。大多数の農家を切り捨て、1部の「担い手」に施策を集中している。品目横断的経営安定対策に1395億円、「担い手」育成・確保に176億円を計上した。
 公共事業関係費は06年度比3・5%減の6兆9472億円。「成長力強化」の名で、米日財界が要求する大都市圏の物流強化に重点配分。
 東京港などのスーパー中枢港湾整備に524億円(同37・5%増)、空港・港湾へのアクセス道路などの整備に、900億円(同34・3%増)、三大都市圏環状道路に1859億円(同9・7%増)。
 「経済成長戦略大綱」関連施策には、各省庁あわせて3092億円を計上。三菱重工、石川島播磨重工が参加する次世代航空機開発は06年度の5億円から13億3000万円に。インターネットを検索するプログラムを日本で開発する「情報大航海プロジェクト」に45億7000万円、NTT、電通、日立製作所、富士通、NEC、東京大学などが参加する。
 「成長重視」の名で、独占・大企業には、企業減税のうえに、血税で大盤振舞をやっている。
 地方関係予算は、市場原理による格差の拡大を促すものである。地方交付税は06年度比7000億円削減、15兆2000億円とした。
 交付税配分に市場原理を持ちこみ、「頑張る地方応援プログラム」を新設。2700億円程度を見積っている。その基準に、「出生率」「転入者人口」などをあげており、農漁村部はお呼びでなく、「行政改革」の指標にすることから、地方自治体のリストラを進めようとしている。
 市町村合併の推進のための補助金は06年度比45%増の58億円を計上、上からの第2次合併の強行をはかり、安倍総理が主張する「道州制」への道をつけようとしている。

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