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江島市政と市民の鋭い対立点
2カ月後に迫る下関市長選
             「現職を倒せ」が世論の焦点    2005年1月27日付
 
 現職支持で動く安倍事務所
 豊関合併にともなう下関市長選挙が2カ月後に迫るなかで、注目された自民党安倍事務所は、予想どおり腐れ縁の深い現職江島潔市長の推薦の方向に動きはじめた。連合下関、公明党の安倍・江島与党もその方向に動いている。ところがこれまでとは様相が違って、安倍事務所が決めたから選挙は終わりという空気はない。自民党支持層をはじめリストラにあう連合内もふくめて市民の反発が大きく、豊浦郡四町民も町解散・切り捨ての現実に怒りを募らせている。対立する候補・中尾、松原氏の存在感は乏しいが、市民のなかでは「なにがなんでも江島を倒せ」の世論が「安倍代議士もろとも審判だ」といって沸騰している。こうして選挙は、安倍事務所かいらい市長である江島氏の3期10年への審判の様相を強めている。江島・安倍支配体制を倒す力を結集するならば、つぎの当選者に安倍事務所が乗りかえてもそれを縛りつける力をつくることができる。市政の主人公は権力者の側ではなくて市民であるという現実を思い知らせなければならないとの意欲が強まっている。この選挙をめぐって、3期つづいた江島市政と市民の対立点をふり返ってみたい。

 突出して高いゴミ袋代
 全国的にも突出して高い有料指定ゴミ袋の値下げを求めて、2003年12月、母親たちや自治会などから10万人をこえる署名が提出された。だが江島市長は「10万でも20万人でも、下げる気はない」と検討の余地すらなくはねつけた。これは「市民のいうことに聞く耳を持たない」「ボクの下関」という江島市長を象徴することとして市民に深い印象を与えた。
 同年七月からスタートした新ゴミ収集体制は、燃やせるゴミの大袋が1枚50円で、山口市の5倍、北九州市の3倍という異常な高さであった。子育ての家庭や一人暮らしの大学生、年金生活者などの困難などかまわず、問答無用で有料化を強行した。
 指定ゴミ袋は意味不明の“ミミ”をつけたもので、県外の一業者しかつくられない利権をうかがわせる袋。古屋町のリサイクルプラザは、全国で3本指に入るという65億円をかけた豪華ホテルなみ施設。奥山工場ゴミ焼却炉とあわせて約二〇〇億円が、官制談合の情報どおりに安倍晋三代議士の出身・神戸製鋼所が落札した。さらに毎年の運営費として、8億円近い税金がつぎこまれてきた。江島市長と神鋼利権の腐れ縁が、市民に異常に高い1枚50円のゴミ袋を押しつけ、これを断ち切らないかぎり値下げできないことが浮き彫りとなった。

 大学予算は全国一貧弱
 下関市立大学(堀内隆治学長・約2000人)は10年間にわたり、全国一の貧弱予算が押しつけられつづけてきた。今年度予算も学生からの授業料、入学料収入の12億5000万円のみで、市大にたいする地方交付税の数億円はピンハネされ、一般会計からの繰入はわずか141万円だった。自主財源比率は99・9%と、国公立大学で全国一低い。
 パソコンの台数は十数人に1台と少なすぎるうえ機種が古いため、卒論の時期になると電算室は学生でごったがえしてパンクする。大学図書館の蔵書数が少ないため、専門書を求めたり語学を習得したくても不十分である。昼食時には狭い食堂から学生があふれ、夏場は蒸しぶろの教室で講義を受けている。グラウンドは野球やサッカー、ラグビー、陸上の各サークルがぶつかりあいで、体育館は田舎の中学校以下のひどさ。教員室の廊下や階段は、雨漏りで黒いシミができている。学生1人当りの予算が全国でもっとも少なく、非常勤の教員ばかりで疑問点を聞くことすらむずかしい。
 市立大学は予算を削っていく公立大学のモデルとされ、三位一体改革で地方交付税削減をやる小泉政府に、江島市長がコビを売り自慢するタネとなっている。これまで学生のなかには、大学の正常化を求めて学内集会をおこなって市議会に陳情したり、商店街に実情を知らせるチラシをまくなど、市民と結びついた運動を求める積極的な動きも起こっている。

 行き着いた先は軍港化
 地元経済が破壊され、市民生活がズタズタになって、行き着いた先は軍港化であった。2003年2月に、下関商港に米掃海艦2隻、海自掃海艇を初入港させて、民間の経済活動に支障を与えた。米掃海艦入港のさいには、全国でも異例の歓迎レセプションをして、花束を贈った。昨年は人目につかないよう公用車でこっそり訪れて、艦内で小一時間ほど会見した。「ぼくも小学校はアメリカの米国市民。あらゆる便宜ははかる」「本国のしかるべき方に、ぼくの名前をよろしく」といった調子だったのだろうと語られている。
 昨年7月には「テロ対策」として下関商港は、5億5000万円の税金を注ぎこんでフェンスや検問所、監視カメラがとりつけられることとなった。米艦船がいつ来てもいいように、釣りや散歩する市民さえ「テロ対策」として遠ざけるため、便宜をはかるものであった。さらには「イラクの自衛隊を後方支援する」などと主張して、海響館を半額にするとマスコミ発表した。アメリカにコビを売り出世したいとの思いつきで、職員はムダな仕事をさせられ世間を騒がせたあげく、東アジアとの関係でいらぬ緊張をつくり出そうというものであった。

 あまりに多い海外旅行
 江島市長の海外出張は外相なみとなっている。今年度だけで八回にのぼり、全国の首長のなかでもあきれるほど突出している。国内出張をあわせると、年間で3日に1日は役所を空けていた。2期目の4年間には25回にわたっており、3期目の2年間で15回。この6年間で、公費による海外出張は40回にのぼった。ところが熱心な海外視察でなにを勉強してきたのか、市民にも市議会でも説明したことはない。下関にとってよいことがなにかあるのか、あるのは江島市長が遊ぶ自由だけだった。

 市民との訴訟は10倍化
 市民とのあいだで問題が起きても、市長の対話で解決せず裁判所に丸投げされるため、昨年度だけで下関市は20件の訴訟をかかえることになった。2件だった96年度から10倍化で、なかには独居婦人が37年間住んでいた家屋退去で、市当局とまともな話しあいもないまま被告人として、裁判所に引っぱり出されたケースもあった。「ボクのいうことに従うか、従わないか」の二者択一で、意に添わなければ問答無用で切りつける。選挙でなく裁判所で選ばれてイラク戦争へ突っこんだブッシュ米大統領が、「われわれにつくか、テロにつくか」と各国に戦争動員を迫ったやり方である。
 江島市長は女性関係のうわさも流れているが、昨年春、妻を被告に「子ども4人の親権は被告にある」などと主張する離婚訴訟を起こし、世論に驚いて1カ月半には訴訟はとりさげた。家庭崩壊の実情もさることながら、もっと市民が驚いたのは、「離婚訴訟などしてません」と堂堂とウソをいって回る神経であった。

 最大の争点は合併問題
 選挙の最大の争点は合併である。とくに町の解散で、町長も議会も役場もなくなる4町の審判である。江島市政側が、「つぶれる四町を救ってやったのだ」という姿勢をとっているとして、郡民の反発を受けている。明らかなことは、小泉、ブッシュ筋にほめられることを喜びとして、市民のいうことを聞く耳がなく、「ボクの下関」とみなす江島市長が、地方自治を徹底的に破壊することは疑いない。
 選挙は、候補者が主人公ではなく、市民が主人公である。それは理念としてそうなっているが、現実の問題としてもそうなっている。二カ月後の市長選は、安倍事務所にかかえられた江島市長にたいする市民の審判として世論は沸騰している。この支配構図をうち負かす市民、郡民の力を結集するならば、安倍事務所が当選者に乗りかえても、それを縛りつける力を持つことになる。選挙は単純な、候補者のファン投票ではなく、市民が主体となって、市政を動かす運動が最大注目点となっている。

 下関食い潰す経済政策
 江島市長の経済政策は、下関の食いつぶしであった。2002年の8月から、小泉首相の地元・横須賀市につづいて全国2番目に電子入札および条件付き一般競争入札を導入。昨年4月には500万円以上の中小規模の公共事業にも導入され、地元建設業者の参加する入札はたたきあいとなった。昨年6月から9月まで発注された500万円以上の公共事業91件(総額・約27億3000万円)のうち、地元中小業者が入る1億円未満の工事は81件と9割を占めたが、金額ベースでは5割で平均落札率は76・8%だった。1件の入札に37社が殺到するなど、半分以上の41件が落札率75%を下回り、撤廃された最低制限価格以下だった。
 現場で働いている建設労働者は、日給1万5000円近くが9000〜6000円まで下げられ、しかも仕事がなく、深夜に代行タクシーや製造ラインでかけもちをして生活をしのぐ状態。2003年は下関市内で建設業の死亡事故は5件で、20年間のうちでもっとも多かった。市政が市民の雇用と生活を守るように作用するのではなく、江島市長のダンピング入札、おまけに市外業者導入政策が、市内の全労働者の生活を引き下げる先導役となった。
 地元雇用は冷えきってしまった。来春卒業予定の高校生は、下関市と豊浦郡4町に就職希望者が約750人いるが、このうち就職先の決まっていないものが、昨年12月現在で2割強の157人もいる。ダンピング競争が激しい地元建設業にいたっては求人がないに等しく、下関中央工高や早鞆学園の土木・建築科は、10年まえは全員が地元業界に就職できたが、「いまは頼みこんで数人がやっと。地元に仕事が少なすぎる」(就職指導の教師)という状態である。
 公共事業のダンピング入札政策を見直してほしいと、1万2500人の就業者をかかえる業界から要望が出されたが、「1万人にとおしてもらっているわけではない」と、江島市長は頭ごなしにはねつけてきた。地元中小業者は「自由競争、効率化」で淘汰させるが、大手企業やゼネコンは「談合の自由」であった。

 地元締め出す利権事業
 あいつぐ大型公共事業と市債乱発で、市財政は一般・特別会計あわせて1933億円(2004年度)にのぼる。大型公共事業を市外業者に発注して、地場産業を衰退させる郷土食いつぶし政策をおこなうから、市税もふえる見こみがない。総務省の市町村合併プランにそって、豊浦郡四町を吸収合併することで、合併特例債の約460億円をあてにした、新市庁舎建設をはじめ大型公共事業をすすめようとしている。
 合併後に建設がすすめられる予定の新博物館は、総事業費108億円をかけPFI方式(民間資金と手法の活用)でおこなうとしている。市文化会館および消防施設や図書館も、PFI方式が進行中となっている。資金のない地元業者ははずして、三菱重工をはじめ神鋼など大手しか参加できず、下請から孫請まで市外業者が入る。

 予算削減突出する教育
 下関市内の小・中学校では、給食費や教材費が払えない家庭がふえ、子どもたちを暗い気持ちにさせている。家計の収入はへらされているのに、学校からは教材費からトイレットペーパー代、修繕費といったものまで請求がくる。地方交付税でおりるはずの学校図書費は、県下13市で下から四番目の少なさで、クラブの遠征費は菊川中学校の数%しかない。子どもたちが心待ちにする運動会や文化祭は、自治会や後援会などへ管理職が頭を下げて回り、やっとの思いで運営費をつくる。
 校内では壁面の落下が起き、トイレが壊れたままで数年放置されているところもある。ロープで通行禁止にするぐらいで、いつまでたっても改修工事がおこなわれない。現場の切実な要求は「予算がありません」「自己責任で」の一点張りで突き返される。豊関合併のおかげで行政サービスがよくなるどころか、教育予算は毎年10%カットで、各校予算は過去10年で最低水準。未来を担う子どもたちの義務教育予算が、全国でも突出して削減されている。

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