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4月から介護保険制度激変
負担増のうえヘルパー派遣廃止
               介護が受けられない高齢者      2006年3月28日付

  4月1日から介護保険制度が激変する。小泉政府の介護費削減を狙った「制度改革」の結果である。昨年10月から、特別養護老人ホームなどの介護施設入所者から食費全額と居住費を徴収する負担増を先どり実施。4月からは、これまで家事援助のヘルパー派遣を受けていた要支援、要介護1の在宅要介護高齢者は、ヘルパー派遣を実質廃止される。要介護高齢者とその家族、介護現場から「小泉政府はだまし討ちにした」との怒りの声が上がる。

  介護の現場からも憤り
 4月1日からの介護保険制度の激変は「予防重視」をかかげた要介護度認定の変更である。要支援を2段階に分けて、これまでの要支援を要支援1とし、これまでの要介護1の認定者のうち、生活機能の「改善の可能性がある」との判定を受けた人を要支援2とし、要支援1、2の在宅高齢者にたいし、筋力トレーニング、食生活指導、口腔機能改善などの「予防介護」を提供し、家事援助ヘルパーの派遣は廃止、もしくは週1回など実質廃止にする。
 小泉政府・厚生労働省はこれまでの要介護1の認定者のうち七割が要支援2になると見こんでいるが、下関市介護保険課によると、「そのとおりになるかどうかわからない。六割台になるのでは」と実情を説明している。
 下関市内の在宅介護サービス事業者によると、「都市部では六割ぐらいというのが実情。問題は、要支援1の場合は週一回、要支援2の場合は週2回と、ヘルパー派遣は制限され、家事援助の生活支援は1回1時間半しか認めないとしたことだ。これでは実質廃止と同じだ」と語る。
 在宅介護ヘルパーの2人(婦人)は、「これまで1回2時間ぐらい家事援助をしていたのに、1時間半では完結しない家事が出てくる。それも週1回では努力のしようもない」と語る。家事援助は、炊事、洗濯、掃除、買物などの組み合せで、要介護高齢者の実情にあわせて支援してきた。
 たとえば、洗濯機を回しておいてもらって、ヘルパーが行って真先に干す。それから掃除なり、炊事、買物などをして、帰るまえに洗濯物をとり入れる。天気のよい日は、2時間干せば家の中に干してもよいぐらい乾く。とくに、ふとんの天日干しは、1時間半ではどうにもならない。ほかほかに乾かさなければ意味がないからである。
 あるヘルパーは「わたしたちが干して帰ったふとんを夕方に家族が来て入れてくれる条件のある人はよいが、そうでない人がほとんど。だから要介護認定を受けている。これまで要支援、要介護1だった高齢者は、人間らしいまともな生活も保障されないことになる。要介護1の70代男性は、“小泉のだまし討ちにあった”と怒っている。介護保険をはじめるときは“選べる福祉”とか、“在宅介護の社会化”と、よいことづくめの宣伝をしたからですよ」と語る。

 中小事業者も経営困難
 下関市内の要介護認定の実情を見ると、65歳以上の人口に占める要介護認定者の率は旧下関市の本庁地区が19・7%、彦島が19・5%、山陽地区が18・9%、山陰地区が18・0%、旧郡部の菊川町が19・1%、豊田町が17・0%、豊浦町が13・6%、豊北町が17・7%となっている。
 介護現場の分析によると都市部の方が要支援、要介護1の認定者が多く、郡部の方が比較的に少なく要介護3以上の重度認定者が多い。これは農漁村部では家族同居が多く、地域共同体が生きているからだ、と説明する。このため、「今度の介護保険改定は、都市部で問題が噴出する。筋トレや食事指導、歯の予防指導などが生活機能の支援にはならないからだ。たとえば、掃除は1週間に1回、1時間しか認めないが、これで人間らしい生活になるか」と指摘する。
 これまで、要支援は月6万2200円、要介護1は月16万8200円の範囲内であれば、ヘルパーの訪問介護、通所リハビリなどを利用することができた。ところが4月からは、要支援1の人は月4万9700円、要支援2の人は月10万4000円までしか保険を利用できない。要支援1の人は週1回程度しかヘルパー派遣を認めず、要支援2の人は、週2、3回程度としている。しかも、1回1時間半で、これをこえても保険の支払いはしない。
 在宅介護ヘルパー派遣の約五割を占めている要支援、要介護1へのヘルパー派遣が激減するわけで、小規模な在宅介護サービス事業所は成り立たず、多くのヘルパーが失業する。要支援、要介護1の在宅高齢者が人間らしい生活を保障されなくなることによって、中小在宅介護サービス事業はつぶされようとしている。「予防介護」の報酬は、ヘルパー派遣に比べきわめて低く、とても採算はとれない。
 下関市内の在宅介護サービス事業者は、「介護保険見切り発車で“在宅介護重視”をかかげ、在宅介護サービス事業に“参入してくれ、参入してくれ”と、国も行政もあおって回った。また、ヘルパーの養成も鐘や太鼓で宣伝し、多くの人人が努力して資格をとった。ところが、わずか5年で使い捨て。これは国のだまし討ちではないか」と怒る。

 施設の追い出しも続出
 昨年10月、小泉政府は介護保険制度改革を先どりして、特別養護老人ホームや老人保健施設、介護用療養病床の入所者から、食費全額と居住費の徴収を強行した。このため、旧来の複数部屋で月3万円、個室では月5万円の負担増となり、経済的に負担が困難なことから、介護施設を出なければならないケースが全国で続出している。
 さらに、医療制度改革関連法案は、介護用療養病床13万床を全廃し、医療用療養病床も10万床削減、療養型病床をあわせて23万床・六割も廃止する方針を盛りこんでいる。このため、下関では介護用療養病床からの患者追い出しが早くもはじまっている。
 さらに65歳以上の介護保険料の大幅な値上げである。本人が住民税非課税(家族は課税)の基準額が全国平均24%アップの月4090円。下関市を例にとると、基準額で月3880円から月4200円に8・2%の値上がりである。年5万400円、夫婦で10万800円の負担となる。さらに、現役世代の介護保険料も平均で5・6%アップの1人月額3964円(労資折半)となる。
 まさに、「高い保険料をとって介護なし」の大改悪である。「介護保険は老後の安心」などといえたものではなく、いまや「老後の苦しみ」となっている。在宅介護の現場では、「政府は、よいことづくめの宣伝をして介護保険を導入し、国民をだました。国が費用の4分の1しか負担しない公的保険がどこにあるか。国が二分の一を負担して、保険料を安くし、在宅介護の社会化を実現するよう老人パワーを発揮しなければならないときにきた」と強調している。

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