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8・6に戦争反対の全国世論結集
第1回原水禁全国実行委
              各地で発展する原爆展運動    2014年3月31日付

 峠三吉の時期の原水爆禁止運動を継承する原水爆禁止全国実行委員会は30日、下関市内で今年初めての全国会議を開き、今年の八・六集会に向けた運動の基本方向について確認した。とくに、安倍自民党政府による秘密保護法制定、集団的自衛権の行使をめざす憲法改定、国家安全保障法など戦時国家づくりに対峙して全国的な戦争阻止の世論が充満しており、これにどのように働きかけて国民的な原水禁運動をつくっていくか。これまでの実践を踏まえて、路線上の教訓と展望について論議された。
 
 教育や文化の戦線を先頭に

 はじめに、事務局の川村なおみ氏が基調報告を提起した。
 提起では、「日米同盟重視」を掲げて登場した安倍政府が、アメリカの国益のために昨秋から日本版NSC(国家安全保障会議)の設置、特定秘密保護法の強行成立、さらに解釈による憲法改定で戦後タブーとされてきた集団的自衛権の行使を容認し、今時国会では「国家安全保障法」の制定をめざすなど「政治、経済、軍事、教育、地方自治体まで国を挙げて戦争への動員体制をかって出ている」こと、そして、オバマ米政府の「アジア太平洋重視」の戦略に従って米軍再編、ミサイル防衛網の配備をおこない、尖閣諸島や合同演習などをはじめ挑発的に危機をあおって「いつ戦火を交えてもおかしくない事態」をつくり出していると指摘。
 一方で、詐欺的な金融政策が破綻したリーマン・ショック以降、アメリカの衰退は財政から政治、軍事に至るまで激しく進行しており、アジアでは日本を核攻撃の前線基地とし、自衛隊を下請にして戦火に放り込み、日本全土をアメリカ防衛の盾にする屈辱的な事態を進行させていると指摘した。
 そのなかで、被爆・敗戦から69年目を迎えた日本社会では、アベノミクスや増税による大企業収奪と国民の貧困化、選挙公約を覆したTPP交渉への参加による国内産業、雇用の危機、東北被災地ではその先取りとして土地から住民を追い出して、ゼネコンの市場づくりや核燃料処分場づくりを先行させていることに、全国各地で「これ以上今の支配層にこの国をまかせてはおけないとの怒りがかつてなく高まり、それが戦争反対の激しい世論となって発展している」と強調した。
 1月の名護市長選挙では、日本を守るために「日米安保」が必要という戦後の欺瞞がはがれ「安保」が日本を守るものではなく、植民地的な支配のために国民を抑えつけ、朝鮮、ベトナム、イラクなどアメリカの侵略戦争に動員するためのものでしかないことが暴露され、沖縄と本土が連帯して、日本の独立の問題として核基地を撤去させる共同斗争が飛躍的に発展する機運の成熟が示された。そのうえで、戦後のアメリカ民主主義を賛美する側から「沖縄独立」論や「沖縄の痛みを分かちあえ」といって本土と沖縄を対立させてきた「日共」修正主義や社民潮流など、「平和」を掲げて人人を欺瞞し、安倍政府の暴走を補完してきた勢力の暴露が進んだことも明らかにされた。
 また、秘密保護法に反対する知識人の運動、TPPに反対して生産振興させる農漁業者の運動、上関原発阻止斗争がこれらの欺瞞をはねのけて相互に連動して発展し、下関での軍港化反対の市民運動、戦争体験者に学び、鉄棒・かけ算の全員達成など「みんなのために」でめざましく発展する教師集団の実践、劇団はぐるま座の『原爆展物語』『動けば雷電の如く』『礒永秀雄の詩と童話』公演が全国の各階各層の人人に展望を示しながら発展していることを報告。被爆者、戦争体験者の新鮮な怒りを共有し、原爆と戦争展、はぐるま座公演、署名活動などのとり組みを通じてさらに運動を広げて世論を束ね全国的な原水爆禁止、戦争阻止の力を今年の8・6集会に大合流させることが呼びかけられた。
 提起を受けて、各地の活動家から実践報告と今年の運動への抱負が語られた。

 戦争体験重ね行動意欲 広島・長崎

 広島からは、3月の広島市安佐北区高陽での原爆と戦争展のなかで、「戦争情勢のなかでの危機感と怒り、行動意欲が世代をこえて高まっている。被爆者のなかでも安保斗争のような運動を起こさなければいけないと語られ、現役世代への働きかけを強めている。子どもたちへも“悪いものは悪いとはっきりといい、戦争に反対する大人になってほしい”と熱情を込めて語り、大学生や子どもたちも真剣に応えている。参観者のなかでも、戦争体験とともに戦争が始まった経過や原爆投下まで戦争を長引かせた問題、そして、アメリカも軍や三菱を狙わなかったことなどが怒りをもって語られている」と報告した。
 さらに、「みんなのためになる生き方がしたい」「この運動を受け継いでいきたい」という学生、親世代、被爆二世、退職者が協力者となって地域でのポスター貼りやチラシ配布、受付などの運営に積極的に参加するなど、「展示会をするたびに行動参加者が増えている。そして行動を通じて市民の反響からさらに確信を得て意欲的になっている」と紹介した。
 本紙記者からは、広島での原爆と戦争展で子どもを集団参観させた小学校教師たちが熱情をもってパネルを解説し、「家庭の貧困化や競争社会の格差がひどくなるなかで、被爆者の方たちの生き方に学ぶことは大切。困難に負けるのではなく、このような体験者が困難を乗りこえて築いてきた社会を受け継いでいく子どもを育てないといけない」「このパネルには教科書だけでは教えられない現実社会で役立つ知識が詰まっている。ぜひ学校でも展示を考えたい」と意欲的に語っていることを紹介した。
 また、広島でも長崎でも「集団的自衛権などの動きのなかで被爆者や戦争体験者の激しい怒りをともなって戦争中の体験が語られている。“安倍の教育改革は戦前の戦争教育と重なる”“集団的自衛権はみずからアメリカに奴隷宣言するようなものだ”と語られ、この体験者の経験を若い世代に継承して形にしていくことが切望されている」とのべた。

 米基地撤去へ世論高揚 沖縄・岩国

 沖縄の活動家は、安倍体制のもとで普天間基地の辺野古移設が公約を裏切って強行されることへの怒りが名護市長選に示され、沖縄戦体験者のなかでは「新基地をつくらせたら沖縄はミサイルの標的になる」「子や孫たちに同じ経験をさせてはならない」「体験者が生きている間に基地を撤去させなければならない」と強く語られていることを報告した。
 原爆と戦争展では、「沖縄戦をせずとも戦争は終わっていた」の本紙号外や原爆展パネルが体験者の根底の願いを発動しているとのべ、今後は4月に名護市のショッピングセンター、5月に那覇市の公設市場や文化施設、7月には沖縄市で原爆と戦争展開催を準備していることが明らかにされた。
 岩国の活動家は、沖合に拡張された米軍岩国基地が極東最大の基地として、巨大な地下施設をはじめすべての軍用施設がリニューアルされ、基地につながるすべての道路の拡幅整備が進められていることに「全市民は怒りを高めており、とりわけ戦争体験者が人生をかけて運動に参加している」と報告。原爆遺族や商店主、戦争遺児などの市民が精力的に署名を集めていることや、五月に開かれる原爆と戦争展のとりくみのなかでは遺族会や老人クラブなどが「今大事なときであり、体験を伝えていくときだ」と積極的に宣伝に協力していることを報告した。
 「以前は、米軍について“安全保障のためには仕方がない”という抑圧があったが、今では“米軍が守るわけがない”“利用されるだけだ”と普遍的に語られている。原爆と戦争展を継続し、戦後の抑圧構図を覆して若い人たちに結びつけていきたい」と抱負をのべた。
 愛知の活動家は、東別院での原爆と戦争展をとりくむなかで、「秘密保護法、集団的自衛権について戦争体験者が直感的に戦争と結びつけて激しく思いが語られる。これが戦争反対の力の源泉だということを鮮明にすることが重要」とのべ、「これまで修正主義や社民潮流から“加害者”“軍国主義者”と見なされてきた人たちこそ強力な戦争反対の意識をもっており、情勢観も鋭い。この立場に立つことが決定的だ」と教訓をこめて語った。
 岡山の活動家は、岡山大学や金光町、鴨方町での原爆と戦争展をとりくむなかで、「地域にチラシやポスターをもって回ると神社から学校、体育委員、民生委員まで断るところがなく、逆に地域の案内をしてくれたり、宣伝活動のために車で送ってくれる人までいる。これが情勢だ。一人でも大衆を主人公でいけば住民主体の会がつくっていける確信が生まれている」とのべた。そして、「一方で、修正主義や社民が妨害するが、この正体をみんなが見抜いている。広島でいわれているように“アメリカの手先”であり、この大衆を馬鹿にする思想とたたかっていくことで実体ある戦争反対の運動がつくれる」と確信をこめて語った。

 子供らに響く礒永作品 教育運動と結び

 劇団はぐるま座は、昨年から沖縄県内で『雷電』公演が復帰斗争や安保斗争をたたかった世代の人人が中心になってとりくまれ、全県的な世論を動かし、名護市長選での勝利後は「公演が大きな力になった」「全国と一致していったから勝てた」と感謝の声が寄せられたことを報告しその反響が広がり、教師の熱意とつながって学校公演が次次に決まっていることを報告した。
 また、礒永秀雄作品の公演が学校や宇部・小野田地域でおこなわれ、「礒永秀雄の戦争体験、戦後社会での生き方や詩精神が青少年に響いている。子どもの感性は大人の常識をこえて鋭い。戦争体験者の“今戦争を止めなければ”という思いを青少年が受け止めている」とのべ『原爆展物語』では「死なないためのたたかいを命をかけてやらなければいけない、というところに響きが大きい。実行委員会でも“安保のようなたたかいをやらなければ”と口口に語られている」と報告した。
 山口県の男性教師は、最近、下関の特攻隊体験者から教師が集団で体験を学んだことを明かし、「貧乏から戦争になっていったことや、戦時中の教育、実際の凄惨な戦争体験を学ぶことによって、実体のある戦争阻止の運動をつくること、子どもや教師のなかにその土台をつくっていくことが強く望まれていることを実感した。若い教師たちも“戦前は暗黒”といって切り捨ててきたが、そのなかで生きてきた人たちの生き方や平和への思いに衝撃を受けていた」と報告。
 また教師交流会を県内をはじめ九州や関西でもおこない、「体育重視から始めた上宇部実践を通じて、子どもの見方が変わり、知育、徳育にまで波及していったことが確信になっている。勤労人民の後継ぎ、平和の担い手にする方向で実践するなかでみんなのために力を発揮し、友だちの成功を自分のこととして喜ぶ作風が広がり、“自由・民主・人権”の個人主義で抑圧されてきたものがとり払われ、新しいものに触れた開放感が広がって継続が望まれている」とのべた。
 また、劇団はぐるま座の『礒永』公演に参加した子どもたちのなかで強い感動が残り続けており、「厳しい現実に負けることなく、“一かつぎの水”の馬新さんのように科学的で批判力のあるたくましい時代の担い手として、新しい時代意識にたった子どもを育てる教育を進めていく指針になった」とのべた。
 別の教師たちからも、学校での修学旅行や地域での原爆と戦争展のなかで子どもたちの変化を教師たちが敏感に感じており、「体験者から学んだものが教師の使命感につながっている」「戦争反対を共通の土台にして全校や地域に広げていきたい」と力強く語られた。

 米国美化との決別が要 敵と味方鮮明にし

 論議は、こうした情勢の発展のなかでの路線上の教訓についても明らかにされた。
 とくに名護市長選の勝利では、「沖縄の痛みを分かちあえ」や「沖縄独立論」など本土と分断してアメリカ支配を補完してきた「革新」潮流のインチキの暴露をともなって、「安保」を争点にしてたたかわれたことで、安倍戦争政治を覆す全沖縄県民の意志が示されたこと、今もまた「安倍は反米右翼だ」といって戦後のアメリカ民主主義を持ち上げる傾向との決別が重要な分かれ目として提起された。
 劇団はぐるま座からは、名護市長選につながる沖縄全県公演の教訓として「敵はだれか、味方はだれか、そして敵の共犯者について、新しい時代を建設する側から鮮明な境界線をもつことが要だった。礒永さんの詩が子どもたちに響くのも、本質的にもっている民族的な誇りと直に響いているからだ。それを引き出していく側の態度や作風で、個人主義を打ち破って真理、真実を貫いていく立場に立つことで大衆とともにたたかう活動者集団がつくっていける。劇団再建もそのように純化することで支持され、大衆の根本的な願いに貢献できる質に転換してきた」と確信を持って語られた。
 また、「社民潮流と戦争体験者では情勢観が全く違う。分かれ目は、大衆のなかに足場があるのか、そこに戦争阻止の力があると見るかどうかだ。そこに確信がないものは、戦争策動ばかりが大きく見えて我が身の保身で排外主義に転じていく」「体験者をはじめ人人の行動意欲はかつてなく盛り上がっているが、一方で自分の利益しか考えない者は内側から音を立てて崩れていく。片隅で文句をいう側から、大衆とともに新しい情勢を切り開く立場に立つことが重要」と論議された。
 最後に、この路線を握り直し、全国でみなぎる戦争阻止の巨大な世論に能動的に働きかけ、8・6集会に大結集していくことを確認して散会した。



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