トップページへ戻る

9月23日に市街地で1000人デモ
盛り上がる洋上風力反対運動
                  署名は6万6000筆到達       2014年8月11日付

 下関市に持ち込まれた大規模な洋上風力発電建設計画(事業者・前田建設工業)への反対行動が熱を帯びている。6月末におこなわれた650人デモを契機にいっそう行動意欲が高まっており、反対署名は8月現在で6万6000筆まで到達している。9日には吉見地区で初めて住民集会が開催され、10日には下関大丸前で街頭署名活動がおこなわれた。今後は8月末に県知事への陳情・署名提出をすることや、9月23日には細江町界隈の中心市街地で1000人規模のデモ行進をおこなうことが発表された。全市に参加を呼びかけ、市民各層が結びついた運動として広がりを見せている。
 
 下関大丸前で市民に協力訴え

 10日、午後3時〜5時まで下関大丸玄関前で安岡沖洋上風力発電建設に反対する会が洋上風力発電建設に反対する署名活動をおこなった。風雨のなか「風力発電反対」の横断幕と、片手にプラカード、もう片方に署名やチラシを持ち元気よく市民に協力を訴えた。周辺では宣伝カーが走り、「前田建設工業が計画している安岡沖洋上風力は公共事業ではなく、一私企業のもうけのためのものです」「安岡はイカ芝漁で有名でサザエやタコがとれますが、風力発電ができると生態系が変わり漁場が失われます」「安岡だけの問題ではなく下関全体の問題です」と訴えてまわった。
 「地域のすぐ近くに建設されようとしています」「体に影響が出るおそれがあります」「子どもたちの未来のために反対します」という会のメンバーの熱い訴えに、中・高校生をはじめとする若者、親子連れ、年配者など市民が足を止めて署名に応じた。「もう署名はしました」といっていく市民や、洋上風力発電がどういう被害があるものか知らずチラシを受けとりにくる市民、計画そのものを初めて知ったという市民もおり、宣伝カーの訴えをじっと聞いたり、説明を聞いて納得して署名するなど真剣な反応があった。若い母親たちが「体によくないものはつくらないほうがいい」と署名したり、「祖母が病院で話を聞いて署名したといっていた」という安岡の中学生が署名していく姿もあった。
 垢田地区の教育関係者は、「安岡の洋上風力発電のことは低周波被害のことなどよく聞いている。洋上風力を経験のないゼネコンが来てつくるもので、故障したときに最後まで面倒をみるのか不安だ。まして安岡は病院がたくさんあるところで、祖母も入院していたが嫌な思いをしながら亡くなってほしくない」といい、署名に応じた。
 大学町の婦人は、「先日友だちと角島に行く途中に安岡を通り、そのときに風力発電が話題になった。低周波が人体によくないと聞いている。病院の先生たちが先頭になって運動をやっているのも当然のことだと思う。頑張ってください」と語って署名した。市民の反応に触れて、とりくむ側からは「広く知らせることができた」と手応えが語られていた。

 吉見で住民集会 安岡だけですまぬ影響

 9日の吉見地区の住民集会は悪天候のなかでの開催となった。集会ではまず、オーストラリアや和歌山県での風力発電の騒音・低周波被害の実態が上映された。つづいて反対運動を担う安岡の医師が低周波の被害についてや、風力発電事業の問題について講演した。
 風力発電の引き起こす健康被害について、風力発電が風を切るときに起きる低周波は、頭の骨を伝って内耳のリンパ管をふるわせ、その振動が常にあることで、ふらつき・めまい・吐き気・船酔い状態・耳鳴り・耳閉感などの症状を引き起こす。それを全国各地の風力発電立地点の住民の声を出しながら紹介。そして、風力発電の稼働によって起きた健康被害について、事業者や政府はその因果関係はほぼ明らかで世界的にも病気として認められているにもかかわらず被害を認めようとしないことをあげ、「“つくってみないとわからない”ではだめだ」と強調した。
 風力発電建設によって、安岡の海や地域が駄目になれば下関の水産業や市内全体に影響は広がること、一企業の金もうけのために安岡をはじめ下関をつぶしてはいけないと力を込めた。また、風力発電の距離について、民家との距離は8〜10`離してもたりず、軍の核実験監視施設の周辺には風力発電は建設してはならないと決められていること、欧米諸国が風力発電の8割以上を10`以上の場所に計画し、安岡のように二`以内に建てる国などどこにもないとその無謀さを指摘した。そして「被害にあわないためには計画を中止させるしかない」とのべた。
 また、今年3月、市議会に請願を提出し市議会が全会一致で反対の請願を可決したが、市長はいまだ反対表明をしておらず、海面の使用許可を出す県知事も市長が反対を表明しないと動かないと指摘。県知事が許可を出さなければ終わりなのだが、洋上風力発電は国策であり余程のことでないと動かないといった。「それを動かすためにはどうするかだ。そのためにはみんなのパワーで署名をどんどんあつめて10万までもっていくことが大事だ。8月に入って6万6000筆まで署名は増えている。10万までもっていかないといけないので、みなさんにももっと頑張ってほしい。ホームページもあるのでそれを見て、百、千の害があって利益は一つもないということを知ってほしい。この平和な吉見がなぜ前田建設のためにやられないといけないのか、とっとと出て行ってくれという気持ちになる。大変なことになると、みんなに伝えていかないといけない。みんなで署名活動をして市長と県知事を動かしましょう」と締めくくった。
 参加者からは「なぜこれだけ悪いとわかっているのに市長は反対といわないのか」という質問が出されたり、今後の環境調査拒否や反対運動の進め方について論議が進んだ。前田建設が昨年の冬からとりかかっている環境調査については夏の調査が今月5〜30日のうちの平日、休日の1日ずつでおこなわれるが、「それをさせてはいけない。これはきれい事ではなく実力行使だ。住民の反対が強いので前田建設は総出で8人ぐらいでやってくる。これに対して安岡の住民は20人ぐらい出て阻止している。体を張って反対していかないといけない。吉見では漁港で調査をするはずだ。調査をしないと環境アセスメントは永久に進まない。威力業務妨害だと脅しをかける人もいるが絶対にそんなことはない。押し売りが来て断ったら業務妨害になるだろうか? そうではない。これは住民の基本的人権だ。企業に調査する権利はない。環境調査が終われば必ず風車が建つ。だから体を張って環境調査をさせないことだ。これは国策だから県も市も従う。反対しているのは地域住民だけだ」「上関の祝島では漁民が目の前に補償金がぶら下がっているのにそれをいらないといって頑張っている。それぐらい頑張らないと国策には勝てない」と述べられ、署名をさらに広げていくことを確認し、拍手のなか閉会した。
 集会参加者は、「参加して本当に良かった。風力発電というのがこれほど酷いものだとは思っていなかった。住民に良くないことばかりではないか。それなのになぜこんなものをつくるのかと腹がたってきた。今までは安岡沖洋上風力といわれていたので、吉見にあんなに近いということも知らず、関係ないと思ってきた。集会で位置も問題点も知って、これは大変なことだとわかった。4000`hという全国で例がない大きなものなのに、それが下関の安岡だけに来る。この問題を市全体に広げていかないといけない。外国では街がゴーストタウンになっており下関が潰れるという事態なのに、市長がいまだに反対をいわない。時期を待つのではなくすぐにでも市民を代表して、前田建設につくらないでくれというべきだ。なぜいつまでも黙っているのか。安岡だけの問題と思っている人もまだ多いと思う。知らせたらみんなわかるはずだ」と述べていた。
 別の男性も、「とにかく情報がほしいと思って参加したが、先生の話はよくわかった。そうおちおちしていられない。風力のことを知っていてもみんなどう動けばいいのかわからない人も今は多い」と語っていた。
 風力発電反対にかかわる医師たちはこの間の運動のなかで、「この地域で長年病院経営をやってきて、地域のみなさまへの恩返しと思い、神様が与えてくれた仕事だと思ってやっている。安岡は第二のふるさと。住民のみんなが安心してくらせる安岡でなくてはいけない」と語っていた。
 経済産業省が鳴り物入りで推進している全国初の洋上風力発電の大量設置をめぐって、首相のお膝元が揺れている。国策独特の強引さや住民を欺くような手口も暴露されてきたが、それに対して市民自身が下から力を束ねて連帯を強め、行動の輪を広げてたたかいに挑んでいる。9月23日のデモ行進は中心市街地に「風力反対!」の地鳴りのようなシュプレーが轟くことは疑いなく、大きな注目を集めている。

 

トップページへ戻る