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安倍派落日の衝撃が走る
下関市長選開票結果
              市民が強い意志を表明     2009年3月16日付

 下関市長選は15日に投開票を迎え、6万2964票で中尾友昭氏が当選した。自民党安倍派および公明・創価学会が丸抱えで挑んだ友田有氏は4万706票で、香川昌則氏は2万401票だった。安倍派の現職市長、現職県議、現職市議の3人が吹き飛ぶ結末となった。難攻不落と思われていた政治支配の構造が瓦解をはじめていること、安倍代理市政を粉砕する市民のゆるぎない力を見せつけたことが最大の特徴となった。終盤になって自民党林派主導で正体をあらわした中尾陣営であるが、中尾氏個人および林派の実力による勝利とはだれも思っておらず、市民世論に縛られ、今後は掲げた公約を実行していくことが迫られる。江島市長を引きずりおろした市民の底力が発揮された、痛快な結果となった。
 投票率は53・47%で、過去最低だった前回49・3%よりは4・17ポイントほど上向いた。過去の下関市長選のなかでは史上2番目の低投票率で、冷めた視線でながめる市民が多数いたことも特徴となった。当日有権者数は23万4585人で、投票者数は12万5442人。およそ       友田氏の敗戦にがく然とする自民党や公明党の議員
有権者の半数に近い10万9143人が棄権している。また無効投票数は1369票で前回1364票とほぼ同じだった。
 有権者数から見た中尾氏の得票率は26・8%で、「支持率19%」だった江島市長よりは少しだけアップした。
 10時から市体育館ではじまった開票作業は、陣営関係者のほか、安倍事務所・林事務所の秘書たちや、多数の市民が見守るなか進められた。大勢が判明すると、はしゃいで帰っていく中尾陣営、神妙な顔つきで帰っていく友田陣営と明暗が分かれていた。
 自民党、公明党所属の県議・市議などが詰めかけていた友田事務所では、議員たちが表情を硬直させて開票速報に見入っていた。泣いている人や「これだけ議員がいて、何をしていたのかね!」と叫ぶ女性の姿もあった。中尾陣営は「勝った勝った」の大はしゃぎであった。

 安倍代理市政打倒の力示す
 今回の市長選は、4期14年続いた江島政治にたいして、抜本転換を求める世論がうっ積するなかでおこなわれた。告示日の2週間前まで現職・江島市長があがいた末に、出馬断念に追いこまれるという、前代未聞の出来事もあった。選挙戦は、安倍派から友田、香川氏の2人があらわれ、市民が担ぎ上げる格好をして林派が便乗した中尾氏が登場。自民党安倍・林派を中心に各政治勢力が入り乱れ、情勢は二転三転の奇妙きてれつな展開をしてきた。市民派偽装の政党内選挙のような様相にしたことへの批判も強まっていたが、最終的に市民は限られた選択肢のなかでの判断を迫られた。
 メンツがかかった安倍派は「友田危うし」の危機感から臨戦態勢をとり、終盤にかけては安倍事務所の秘書軍団が飛び回り、安倍選挙のスタッフたちが陣営に乗りこむなど、懸命なテコ入れをはかった。自主投票といっていた自民党下関支部も、県議・市議が勢揃いして応援をはじめ、公明党・創価学会は組織のひき締めに躍起となった。企業関係では恐怖の締めつけで、山口銀行などの金融機関もうごめいたが大惨敗。「消去法選挙」で市民の判断として真っ先に消去されたのが安倍派の代理人となった。
 それほど、4期14年におよぶ薄汚れた箱物利権と、聞く耳のない市民切り捨ての暴走政治にたいする怒りが充満しきっていることを物語った。
 林派が取り仕切る選挙として代理人としての姿をあらわしたのが、中尾氏である。直前にマニフェストが配られ、また選挙公報などで公約として新庁舎建て替えをやめること、満珠荘の老人休養ホームとしての再開、学校統廃合は地元から要望がない限りやらない、あるかぽーと計画の撤回、公共事業は地元発注するなど主張してきたことへの期待から、安倍代理を否定する強い意識が雪崩を打った。反安倍・江島政治の批判票をかっさらった。
 今度の市長選を主導したのは、まぎれもなく市民の力である。これは安倍代理を粉砕して「林代理ならよい」というものではなく、中尾氏にたいする無条件支持という性質では決してない。選択肢が限られた条件のもとで、安倍・江島市政打倒の世論が吹き荒れていたことが最大の特徴である。勝ったと思って汚れ選対及び便乗した自民党林派などが調子に乗るなら大間違いというほかない。
 下関を散々に食いものにし、疲弊させてきた江島政治は、後継者も含めて完膚なきまでに打倒された。自民党および安倍派としては、全力投入した友田氏が完敗を喫し、安倍代議士の権威もがた落ちである。柳井市の市長選・県議補選の惨敗に続くもので、創価学会・安倍派フル動員での敗北という意味合いは大きい。次期衆議院選挙にもおおいに影響すると見られる。
 下関の政治構造は“戦国時代”に突入する気配となっている。いずれにせよ、自民党安倍派・林派をはじめとする既存の政治構造を震撼させる、市民の力を思い知らせたことは疑いない。これは今後、「ハーバードを出た小商人」率いる勢力のさもしい市民派偽装が通用するほど甘くはない。今後の下関市政をめぐっては、たいへん興味深い展開になっていくことが予想されている。

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