トップページへ戻る

「町民の力示そう」と論議
              町長選告示迫る上関町内   2007年9月21日付

 今月30日に投開票される上関町長選の告示が、わずかと迫った。町民のなかでは、表の推進と「反対派」の仮面をかぶった推進の両方の加納派が町民を分断し、町を衰退させてきた25年の原発政治の転換に向けた意欲が強まっている。

 拍車かかる町民の原発離れ
 推進派の柏原氏と「反対派」山戸氏の息子という選挙構図には、顔ぶれだけを見れば、しらけた空気がただよっている。どちらも同じ加納派で、出来レースだとみなされているからだ。しかし町内では、その構図を乗り越えて町民の力を示そうという声が強まっている。
 上関の70代の男性は、「反対派はもう候補を出さないのかと思っていたが、選挙になってよかった。候補者が山戸の息子だろうが、誰であろうが関係はない。これまで推進だった人も、原発で潤うというのは幻想だったとみんながいい出している。町内で推進を必死でやる人はいなくなっている」と周囲の様子を語る。
 また、「今の町の状況では、下手をすれば反対の得票率は確実に上がるのではないか。昨日になって、柏原がじきじきに家を回っていたというが、ただお願いしますというだけだった。おもしろいことになるのではないか」と意気込んで話した。
 室津の80代の婦人は、「選挙は、絶対にしないとダメだった。町民からすれば、“またわずらわしくなる”という思いもあるけど、林宮司も命をかけて反対してきたものを、終わりにさせてはいけなかった。山戸の息子というので、大丈夫かともいわれるけど、室津ではこれまで顔を知らない人でも、原発反対をいう候補にずっと入れてきた。誰であっても、町民の意志を示せばいいんです」と語った。
 50代の男性は、「最近、反対運動が陰に隠れてきたように思っていたが、反対派の票で議員になっている連中は、なにを考えているのかと腹が立つ。」と「反対派」議員の態度に強い憤りを語る。しかし、「そんな候補が出た選挙で、もし4割を超えるような得票となればそれは候補者が誰だろうと本物の反対票ということだ。そういう意味ではやりがいのある選挙になったな」と明るい表情で語った。
 町内では、推進派と反対派の両方の実権を握り、町民を争わせて町を売り飛ばすという仕掛けが広く暴露され、「騙された」と推進派から離れる動きも大きなものとなっている。
 原発が持ち込まれたころ、推進で旗を振ったという男性は、「“無投票でなくなりよかった”という言葉は、すごい意味を持っている。原発の推進、反対の幹部が組んで、町をコントロールしてきたことに怒っている人は多い。今度の選挙は、25年で初めて本当の民意が出る選挙になるかもしれない」と静かに語る。当初、「町のため」と信じて推進をしてきたが、結局、原発推進は自分の金儲け、損得だけの我欲の争いとなった。それは、「反対派」から推進に鞍替えした人たちが増えた時期にひどくなった。初めは人のことを泥棒や乞食のようにいっていた人たちが、原発旅行を誘いにきた時は「こんなはずではなかったと思った」と振り返る。
 「今の推進は、質が変わってしまったようだがそれが元元の姿だったんだろう。今度の選挙でも、まともに動いている町民はほとんどいない。選挙ブローカーのような者と、電ばかりが選挙をしている。中電は初めから町民が話し合う余地をなくして、上関を好き放題にするつもりだった」といった。そして、「今回は、反対といいながら推進をしてきた人間も正体を出した。推進の中には、7割とか8割とるという者もいるが、本当にそんなことが出来るのかが注目だ。もし反対の得票が前回を上回るようなら中電は終わりだし、4割でも、原発の芽はなくなることになるぞ」と話した。

 混乱の原因は中電と加納派
 80代の住民は、「町中の混乱の原因をつくったのは、中電と加納派だった。経過を見ても、加納派に反対派をやらせ町民をケンカさせてきたのが事実だ。4年前の選挙では、中電も推進派を次次切って捨て、汚さを思い知った推進派も多い。結局、本気で反対した祝島のおばさんたちが1番可哀想だし、このまま騙されて終わりでは見るに忍びない」と語る。
 また、これまでの経験から、「山戸の息子ではダメだ」という声もあるが、反対票の4割は、中電がなにをやっても25年の間必ず出てきたこと、この力をひっくり返すようなことは絶対に無理なのだと話す。
 「それより、推進側の方が原発に愛想をつかせて、選挙で動く者が少なくなっている。原発で町が良くなるといったが、人はいなくなるばかりで中電の町になるとみんな話になっている。反対が勝つというのは、4割を切るということと同じぐらい奇跡に近いだろうが、推進票が減るということは、十分にある」と語った。
 商工業者の1人は、「私は、以前から原発などない方がいいと思っていた。ただ、商売上いろいろな仕事があるから推進という格好できただけだ。でも、町の雰囲気が、昔ほど推進で選挙という感じもなくなった。選挙前というのに、電話も1回かかったきりだ」と話す。そして、「原発が来て、ろくなことはなかったと思う。結局、いいことをしたのは賛成も反対も上の者だけの仕組みだった。原発が来る前に、町は消滅しそうだ。温泉施設とかいっているが、その施設に入る町民がいなくなることが問題だ。上関だけが大変だといわれていたが、都会も田舎もどこでも大変なのは同じになっている。上関だけが、無理に原発を持ってくる必要はない。私と同じ意見の人は多いと思う」といった。
 上関の80代の漁業者は、「原発への関心は冷めている。漁師も涙金をもらって長年の漁場を売ることになれば、上関の魚を捕っても買う人はいないし、自分たちでさえ安心して食べられなくなる。いくら魚価が下がったといっても二五年漁師で食べてきたことには変わりない。半農半漁だけがとりえの町が、半農半漁さえできなくなればなんの魅力もなくなるし、若い人も帰ってこなくなる。それに、原発がどうなるかわからないという不安定な町では、家を建てる人もいないし、土地を買う人もいない。そうやって上関は荒れ地ばかりになった。もういいかげんにケリをつける時ですよ。山戸の息子では頼りないが、私たちの反対には変わりないことを示したい」と語った。
 推進派のなかでは、「第3の候補が出るのか」と非常に気にする意見もある。そうなれば完全に負けだとの思いがある。町民の力がそこまで押し上げるかどうか告示日までの注目点となっている。

トップページへ戻る