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食いつぶし政治に拍車
安倍首相地元の下関
              神鋼や三菱が公共事業落札   2006年10月18日付

 朝鮮制裁を叫び戦争を引き起こそうと騒ぐ安倍首相の地元下関では、安倍総理誕生を機に安倍代理市政である江島市長の暴走が目に余るものになっているとして怒りが噴き上がっている。自身の選挙協力者に海峡に面した一等地を二束三文で売り飛ばし地元商業に壊滅的な打撃を与えるあるかぽーと計画をごり押ししはじめたが、それにつづいて社会教育複合施設も地元業者を排除して安倍首相の実兄が中国支社長を務める三菱商事に落札させたことが明らかとなった。下関では、市外発注やダンピング入札で、建設業者をはじめ中小企業の倒産が相次いでいる。労働者は仕事がなく、あっても食っていけない状態。全国突出して高いゴミ袋、修理されない学校、老人は高い税金、介護保険料と医療や介護の切り捨てなどで苦しんでいる。制裁されているのは北朝鮮の話ではなく下関市民なのだという怒りは抑えがたいものとなっている。
 江島市政は細江町の社会教育複合施設(20年間で総事業費155億円)について13日、総合評価一般競争入札の結果、三菱商事を代表とした佐藤総合計画、ジェイコムなど6社の企業グループが落札したと発表した。貿易会社である三菱商事のほか、新博物館PFIやあるかぽーと開発業者として疑惑を呼んでいる佐藤総合計画(東京都墨田区)が組み込まれている。
 三菱商事グループに対して、地元の原弘産グループの入札価格は10億円前後も安かったといわれる。地下駐車場と1階がホールの三菱商事グループ案に対して、地元グループ案は数年前に大被害を出した高潮対策で、1階は駐車場で3階にホールとしていた。江島市長の選んだ審査委員会(8人)でさえ、当初は評価が二分していたが、「全員一致で出し直せ」との市長周辺から天の声が下って、ひっくり返ったという。総合評価点数は三菱商事グループが66・2点に対して、原弘産グループは63・8点と差がつけられており、10億円も安かったものが逆転したのは、相当の力が働いたと見られている。社会教育複合施設のアドバイザリーとして、江島市政はパシフィックコンサルタンツ(東京都)と契約しており、汚泥し尿処理施設につづく高値落札をさせた。
 この社会教育複合施設は、昨年9月に展示内容がない総事業費105億円の疑惑つき新博物館計画が、市民の運動で否決に追い込まれたことにともない、突然スタートしたいわくつき事業である。
 そして注目されているのは、落札した三菱商事の中国支社長・安倍寛信氏が安倍晋三首相の実兄であることだ。また同企業グループは、外資の色濃いことも特徴で、ジェイコムはモルガン・スタンレーが株31%を大量保有しているほか、リーマン・ブラザーズなど欧米投資会社が名を連ねている。松井建設は外資が買いあさる東証1部で、建設会社としては異色の株価上昇を続けているほか、日本管財、図書館流通センターも含めて、外資がらみや大手がさらっていく構図となった。安倍氏は、「外資を誘致して活性化」といっていたが、その意向が働いたものとなっている。
 江島市政の市外特定業者への大型事業の発注による地元業者排除のなかで、下関では商工業者が相次いで倒産に追い込まれている。9月末には受注不振で業界のリーダーであった河久電気工業所が2億3000万円の負債をかかえて破産手続き準備に入った。10月に入ってアクアテック(旧つた工務店)が民事再生法を申請。最近では栢野建設が倒産し、建設業者のなかでは「人ごとではない、明日は我が身」と倒産が連続するという危機感に満ちている。商業では老舗の中野書店が倒産。シーモールに4月に出店した県内最大規模の「くまざわ書店下関店」(本社、東京都)が大きく影響して、売上が前年比で4割も減ったこと、本店は駐車違反モデル地域とされたことが打撃となった。
 安倍代理市政といわれる江島市政が、大手や外資への税金注ぎ込みを大きくし、地元商工業者の発注を極端に減らして、絞め殺し政策を続けていることに激しい怒りとなっている。

 制裁受けた状態の下関市民
 こうして市民の働く場が少なくなり、雇用状況は悪化の一途をたどっている。1部公表された05年の国勢調査結果では、下関市は人口29万693人で5年前からマイナス1万404人となった。減少率は3・5ポイントで、県下市部の平均より1・5ポイントもひどかった。2000年の国勢調査では旧下関市の就業者数(15歳以上)は、95年調査と比べてマイナス7000人の11万8806人となり、下げ幅としては戦後最悪であったが、05年はこれを上回ると見られている。
 下関の基幹産業であった水産業はほったらかし状態で衰退のままにし、大型店乱立の放置で地元商店は激減し、市場と卸・仲卸は困難になっている。5年間で約1600の事業所がつぶされ、3228人が職を奪われた。製造業だけで見ても、水産加工など、マイナス2564人となった。なかでも若者の失業率は10%前後で、家庭すらつくれない状態が広がっている。小売業の商店数は1979年には4667店あったものが、2002年には2949店と1718店も減少した。茶山のように商店街ごと消滅してシャッター通りと化した地域が、市内のあちこちに出現した。高齢者は年金は少なくなっていくのに、近所で日用品も買えずに困っている。自殺者は2004年は63人にぼり、10年間で1・5倍以上も増えた。
 安倍首相は「美しい日本」をつくるといっているが、もっとも影響力のある下関では「一将功成りて万骨枯る」状態であり、下関食いつぶしの政治に拍車がかかっている。北朝鮮の制裁は下関の制裁の延長線上にあり、国民全体を制裁する政治ではないかというのが下関市民の実感となっている。

 あるかぽーと問題でも暴走
 もう1つの暴走は、関門海峡沿いの市有地あるかぽーとに、延床面積4万平方bの巨大な複合型商業施設を誘致する計画である。安倍首相が在籍した神戸製鋼所をはじめ、西松建設や佐藤総合計画、ガナス総合研究所など6社グループが2000年に選ばれてから、当初もくろんだ第3セクター方式は挫折し、神鋼が連帯保証人から逃げるなど計画が二転三転するなかで、巨大な箱物づくりだけは進行した。同グループは市が発注する100億円前後の大型公共事業をめぐり、奥山工場ゴミ焼却炉(2000年)、リサイクルプラザ(2001年)、新博物館(2005年)といつも官製談合騒ぎを起こしてきた。
 市当局が公募により選んだとするみなとまち開発の藤井社長は、江島市長の資金管理団体の会計責任者をしており、4年前に表面化して退いた形をとったが、5回の市長選には秘書などで深い関わりを持ってきた。93年に約60億円の負債をかかえて行き詰まった新日本勧業の元専務であり、本人は会社が倒れる前年に辞めて、国会議員の秘書をしていたとき、江島市長の私設秘書で同級生の疋田善丸氏から、指示をあおぐようになったといわれている。同社の監査役である高崎満幸氏は、昨年3月の市長選では後援会の会計責任者をしていた人物。6人いる取締役と監査役には、神戸製鋼所の出身者や岩国市商工会議所の元会頭が並び、以前は西松建設から役員が入るなど、江島市長と安倍事務所がらみの色が濃いものである。公募で選んだというが、始めからできレースの官製談合とされてきた。

 市民財産の売飛ばしが中身
 実態は市有地のあるかぽーとで暴利をむさぼる土地利権だと見られている。市当局が示した売却額は8000平方bで5億2000万円、隣接する水族館や商業施設カモンワーフと比べて、半分から3分の1以下のたたき売りである。2001年ごろの水族館用地は1平方b当り20万円で売却されていた。ところが江島市長は藤井社長には、3分の1の6・5万円で売り飛ばそうとしている。不動産関係者によると、下関市は水族館用地に隣接する国有地を、同じ時期に1平方b当り28万円で買収している。「今回の6・5万円は郊外の宅地並みで、無茶苦茶な価格だ」と指摘されている。
 また賃貸予定の1万7000平方bは、賃貸額が年間6000万円とされた。250b先の観光・商業施設カモンワーフ(5700平方b)は、駐車場も含めた市有地を1平方b当り6381円で賃貸する。これに対してあるかぽーと開発の大型商業施設は、1平方b当り3500円と半額で貸そうとしている。不動産関係者によると予定地(1万7000平方b)は駐車場にすれば約600台がとめられるもので、6割しか埋まらなくても、複合型商業施設の賃貸料を上回るというデタラメで、市民財産をたたき売りする背任行為の土地取引と見られている。関門海峡の景観としては市内で指折りのあるかぽーとを、江島市長がみなとまち開発に安い金額で独占的に占有させて、地元商店街や既存店をなぎ倒すものである。
 みなとまち開発の最終基本計画は、物販・飲食の延床面積について、04年に下関商工会議所(林孝介会頭・サンデン交通)と結んだ合意書では1万4220平方b以内としていた。しかし実際には、1部通路を除外する偽装計算であったことが暴露されている。大規模小売店舗立地法(大店法)を無視して、店内通路として7844平方bをギャラリーモールと勝手に名付けて差し引き、地元説明会や市議会建設委員会でもっともらしく説明していた。
 下関商工会議所の会員にも怒りが噴き上がっており、同会議所の担当部は「現在、みなとまち開発に問い合わせているところで、まだ返答はないが、(店舗面積を)変えなければ合意書通りと認められない」としている。商工会議所のチェックの甘さにも疑問が上がっており、大型店乱立により、どこも商店街はゴーストタウン化したことと合わせて、怒りが語られている。

 外資企業の誘致に意欲示す
 江島市長は12日に発表した2007年度の予算編成について、「安倍新内閣においても、小泉内閣で推進してきた歳出改革路線をさらに加速・補強し」「再チャレンジ支援、地域の活性化支援など、今日よりも明日が豊かになる国、美しい日本の国づくりにむけて」として、外資企業の誘致等に前向きに取り組む自治体に対する、地方交付税の支援措置等に注視するとした。地元の商工業者をぶっつぶして、税収を少なくし財政を立ちゆかなくさせて、外資に再チャレンジさせるというものである。全国では財政再建団体となった夕張市のように、箱物づくりを乱発させ財政破たんする例が出ているが、下関市では社会教育複合施設、市庁舎、駅舎改築など超大型公共事業が目白押しとなっており、市を丸ごと売り飛ばしかねないといわれている。
 来年2月に市議会議員選挙があるが、下関食いつぶし、下関制裁政治に対して、市議会が暴走の道具となってきた。選挙ではこの潮流がダメージを受け、態度を改めさせる力を発揮しなければならないという市民世論は強いものとなっている。

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