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  「愛国」騙る汚れを逮捕せよ 
 急転回見せる森友学園問題
浮かび上がる真相 一歩一歩本丸に迫る
                        2017年3月17日付
 
 学校法人森友学園(大阪市)への不可解な国有地払い下げ問題が急転回をみせている。同学園の籠池理事長を「トカゲの尻尾」のように切り捨て、「知らぬ存ぜぬ」で押し通そうとする安倍政府だが、鴻池元防災相などの自民党や「維新」の議員に続き、稲田防衛大臣、さらに暴露は安倍首相自身の関与にまで及んでいる。事実をもみ消そうとすればするほどボロボロと新事実が発覚し、与党が拒否し続けてきた籠池理事長の国会招致にまで進展した。国を私物化する「愛国ビジネス」が国民の知らぬところで横行していた実態について全国民的な関心は高まっており、真相の徹底究明が求められている。

 23日の国会証人喚問に注目

 この間、森友学園が豊中市に新設予定だった「瑞穂の國記念小學院」への10億円規模の国有地の無償譲渡、基準を逸脱した学校認可答申の経緯についての不明朗さが日日明らかになるなかで、これまで同学園の「愛国教育」を絶賛してきた国会議員らが、口を揃えたように籠池理事長に対するバッシングを開始。「一度も会ったことはない」という安倍首相をはじめ、関与が疑われる閣僚もムキになって事実を否定する一方、売却を担当した財務省の面会記録等の資料は「廃棄した」といい、関係者の国会招致も与党の拒否によって実現させぬまま、籠池本人だけを切り離して幕引きを図る意図をうかがわせていた。
 メディアも連日「森友問題」を報じ、森友学園が学校設置認可を求めて大阪府私学審議会に報告していた「海陽中等教育学校(愛知県)に推薦枠がある」という事実が虚偽であったこと、私学審議会への報告では「7億5600万円」としていた校舎補助金について、国への2つの補助金申請には「23億8000万円」「15億5000万円」とする契約書を提出していたことなど森友側の不正を追及した。それを口実に、大阪府の松井知事は3月末に期限が迫った学校認可に難色を示していた。学校認可が下りなければ4月の開校は頓挫し、「学校新設」を条件にした国有地払い下げの前提も収支見通しも崩れ、10年間の分納と定めた土地代金を支払えなくなるため、国は特約に基づいて土地は「原状復帰」して買い戻すことになる。他校へ編入することになる募集児童に対する賠償問題に発展するだけでなく、少なくとも2億円以上の補助金の返却や、15億円を注いで建設した校舎の解体は免れず、森友学園は膨大な負債を抱えて倒産することを意味する。
 追い込まれた籠池理事長は、動画配信サイト(9日)や記者会見(10日)の場で、「私学審議会から平成27年1月に(学校)認可適当の答申をもらったから、国有地の定期借地ができ、それによって校舎建設が始まった。認可妥当ということでなければ、ここまでの工事はしない」と反論。事実、認可妥当の答申を出した後に「不認可」とした例は過去一度もなく、「認可適当を出して、すべてを用意調達させて、後ではしごを外した」と大阪府の責任を指摘し、みずから学校認可申請をとり下げ、理事長を辞任する意向を示した。
 また、「国会議員の先生が、私を“全然知らない”という人もいますが、よく存じ上げている方もいる」と言及し、「10年前にしか会っていませんとおっしゃった(稲田防衛相)が、2年ほど前にお会いしたことがある。そういうこともいわないのはおかしい」と、シラを切り続ける稲田大臣を批判。また、「あいつは悪いやつや、とんでもない奴やとか、しつこい奴やとか、電話をしてくるとか。電話番号なんか知りませんよ。FAXなんか知るわけがない。人格潰しはやめて欲しい。籠池潰し、尻尾切りはやめてください」とのべ、「(籠池氏と話したのは)講演をお断りするさいに電話で代わって話したのが、ほとんど唯一に近い」などと言葉を濁して逃げ続ける安倍首相に対する憤りをにじませた。
 早急に幕引きを図りたい国は、森友学園に払い下げた土地を売却額の1億3400万円で買い戻し、違約金(10%の1340万円)を請求する方針を表明。前途を絶たれた森友学園は、11日に建設工事や土砂搬出の作業を中断していたが、学校用地の土砂搬出等の計画書提出期限である3月14日、見計らったように大阪府の松井知事は「この日までに提出されなければ4月開校は無理」と最終的なはしごを外した。

トカゲの尻尾切に反撃  単独インタビューで

 だが、それが幕引きにはならなかった。
 14日の国会では、過去に夫とともに森友学園の顧問弁護士をしていたことが指摘されていた稲田防衛相が、同学園の代理人弁護士として出廷していたことが発覚。連日の国会予算委員会では「弁護士時代に森友学園の顧問だったということもないし、相談を受けたこともない」「10年前に関係を断っている」と一貫して関係を否定し、「(籠池夫妻がいう)私に法律相談をしていただいたとか、顧問をやってもらったとか、まったくの虚偽」とムキになって反論していたが、04年12月に森友学園が起こした民事訴訟の裁判資料には「原告代理人 稲田朋美」と記載されており、出廷記録も見つかった。
 「国権の最高機関」である国会での閣僚の虚偽答弁は偽証罪にも該当する。14日、稲田大臣は発言を撤回し、「裁判所の記録は確かなので、私の記憶違いだ。虚偽の答弁という認識はない」と弁明した。同日、森友学園が運営する塚本幼稚園の修了式で、籠池夫人(副園長)が「2年前に園長会議が自民党であったときに(稲田大臣が)いた。私はあの人が嫌いだから話していないが、園長は話していた」と発言したことについて問われると、「非常に奥様らしいと思う…私の記憶に基づくと、お会いした記憶はない」と言葉に窮した。動かぬ事実を前にしてあくまで「記憶がない」といい続ける異常さが逆に疑惑を膨らませるものとなった。
 
「籠池切り」とも見える安倍政府、大阪府、商業メディアの動きに対して批判の矢を向けたのが、『日本会議の研究』の著者として知られる菅野完氏(フリーライター)で、同氏は10日、取材拒否中の籠池理事長への単独インタビューを敢行した。籠池理事長をして、「森友学園疑惑」追及の急先鋒であり、本来は宿敵であるはずの菅野氏だけの取材に応じさせるという急展開は、いかに政府とメディアによる「籠池切り捨て」と「事実もみ消し」が徹底したものであるかをうかがわせるものがある。
 そのなかで籠池氏は、「国会で“顔見知りではない”というが、稲田朋美大臣とは旧知の仲で、衆議院議員になる前には顧問弁護士だ。お嬢さん(稲田大臣)よりも父親の椿原先生と昵懇(じっこん)だった。訴訟を通じて稲田事務所と昵懇になった。2年ほど前にも、業界の会合で自民党会館で会っている。“知ってますよ”くらいいってもらわないと困る」と証言。土地払い下げ交渉の仲介を依頼していた鴻池元大臣とは母親とも知りあいで、以前からパーティー券を購入したり、政治資金を寄付する関係にあったこと、麻生財務大臣とも鴻池パーティーや所属する自民党麻生派の会合などで数度に渡って会い、写真撮影までしていることを明かした。
 稲田大臣の実父・椿原泰夫(元京都府立洛北高校校長、昨年死去)は、日本会議創設にかかわった宗教団体「生長の家」の国民運動団体「頑張れ日本! 全国行動委員会」の京都本部代表を務め、関西右翼の重鎮フィクサーの一人として知られている。「教育勅語」暗唱を中心にした学校づくりを薦めた人物として、籠池理事長が学校運営を始めるうえでの重要人物と見なされている。
 また、籠池理事長は、中国人や朝鮮人への攻撃的発言をくり返すことで知られる「在特会」の元幹部・増木重夫が運営する「日教組の解散を求める会」にも所属している。増木は、同じく右翼団体「教育再生・地方議員百人と市民の会」の事務局長でもあり、会長には「大阪維新の会」の辻淳子・大阪市議(弁護士)、顧問には中山成彬、大前繁雄、会員には山谷えりこ、鴻池祥肇、高市早苗、伊吹文明といった自民党閣僚経験者や森友学園で講演してきた面面が名前を連ねている。これらの芋づる式に出てくる森友学園をめぐる政治家人脈は、夫人が名誉校長となり、当初は新設小学校に自身の名前を冠することになっていた安倍首相をはじめ、顧問弁護士をする間柄だった稲田大臣、国と国有地払い下げの交渉仲介役を受けていた面会記録が明らかになった鴻池元大臣や「維新」の議員、さらには学校認可基準を緩和し、森友学園の小学校認可に道を開いた「大阪維新」の橋下元知事、松井知事などの政治的なキーマンたちが、本当に「関与していない」のかどうか、「国会招致にも応じない」「記録も棄てたし、記憶もない」でシラを切れば切るほど、逆に隠さなければならない深い関係にあることを感じさせている。

 公人にカメラを向けよ 理財局長と知事

 
15日にも籠池氏に単独インタビューした菅野完氏は、理事長宅前で中継カメラを並べて「なぜ理事長は取材に応じないのか」と詰め寄る各局メディアに対し、国有地売却当時の理財局長だった迫田英典・国税庁長官(山口県豊北町出身)の写真を提示して「理事長は、この人のインタビューをとってきたら個別取材に応じるといっている。当時の国有地売買の最高責任者はこの迫田だ。この人は国会招致にも応じていない。理事長は私人だが、この人は公人だ」とのべた。また、籠池理事長の顧問弁護士のところに財務省の佐川理財局長から電話があり、「10日間でいいから身を隠してくれ」といわれていたことを明かし、その理由は、「勝手にべらべら喋るなということ。この迫田を守るためだ」とのべた。
 迫田国税庁長官は、森友学園への売却交渉のさなかにある2015年9月6日に財務省の官房長とともに安倍首相と官邸で会談し、翌日に1億8000万円の補助金拠出が決まり、安倍首相は大阪訪問。翌日には昭恵夫人が森友学園で講演し、名誉校長就任が正式決定している。迫田氏は2015年7月に理財局長になり、半年間だけで5回も首相と直接会談(首相動静)している。財務省が「記録を棄てた」というこの国有地払い下げの8億円値引きを決定する期間、決裁権を持つポストにあったが、「すでに担当者でない」ことを理由に国会招致を拒否している。
 さらに菅野氏は、「私学審議会を曲げた男」として松井一郎知事の写真も出し、「今大阪府は必死になってこの人を守ろうとしている。この2人の自宅前になぜこれほどのカメラを並べないのか。冷静になって考えてほしい。籠池理事長が国有地の売買にどう関与しようと決裁印は押せない。私学審議会の認可の審査内容にどう介入しようが、最後の認可のハンコは押せない。認可のハンコを早く押すように催促できるのは松井知事であるし、国有地売買の最終決裁を下ろすのは近畿財務局の局長と財務省理財局長だ。であれば、判断の責任を問われるべきは私人である籠池理事長ではなく、公人である理財局長と知事だ。マイクを向け、カメラを向けるべきは、政治家と役人ではないか」と、「籠池切り」で加熱するメディアの姿勢を批判した。
 「佐川理財局長は国会で答弁しているし、松井知事も記者会見で…」と食い下がるメディア記者に対しては、「ではなぜ僕の家の前にくるのに、記者会見の場以外で彼らの家の前に行かないんですか? 国有地売買の不透明さを解明したいのなら、知っているのはこの二人だ」と一蹴。「籠池理事長が持っている情報が全部出てきたら、内閣が2つ分くらい飛ぶと思う」とのべている。
 同日、籠池理事長の代理人弁護士は「財務省の他の方からもそのような(身を隠してくれという)ことをいわれたことはない」というコメントを最後に森友学園の代理人を辞任。籠池理事長の周辺に強力な圧力が加わっていることを感じさせた。
 
国会でも「籠池理事長が警察に逮捕され、“口封じ拘留”がされる前に国会招致して真実を明らかにすべきだ」と山本太郎が指摘していた。

総理から100万円の寄付  籠池理事長が証言

 
国会で稲田大臣と同じく「一切関係ない」「犯罪者扱いするな!」とムキになって全面的に関与を否定してきたもう一人の人物は、安倍首相にほかならない。「私や妻が(国有地売却や学校認可に)関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」とまで明言してきたが、16日にかけて籠池理事長の口からは180度食い違う事実が飛び出した。
 外国特派員協会で予定していた籠池理事長の会見が急きょ中止となった15日、理事長にインタビューした菅野氏は「森友学園は、現役閣僚から小学校の建設費として数百万円規模の寄付金を受けとっていると聞いている」と記者団の前で証言。
 さらに16日、現地調査のために大阪入りした参院予算委員会の野党メンバーに対して、籠池理事長は2015年9月5日に安倍昭恵さんが、塚本幼稚園に講演に来たとき“総理からです”といって100万円を持ってきた」と証言した。その日は、昭恵夫人が名誉校長就任を正式に受諾し、「(安倍晋三小学校の)名前は総理を辞めてからにしてもらいたい」と発言した日にほかならない。事実ならば、文字通り安倍内閣は「吹っ飛ぶ」ことになる。
 自民党は、現地調査団に対して「籠池氏とは会わないように」と要請したといわれ、むしろ籠池理事長側に圧力をかけていたとみられるが、理事長本人が野党議員4人を自宅に招き入れて聞き取り調査に応じ、これまで拒否してきた国会招致にも応じる考えを示した。
 その中継がテレビで流れると、即時に菅官房長官が会見し「(夫人も事務所も含めて)寄付金を渡した事実はない」と安倍首相のいい分を代弁した。これまで「違法取引でない」「籠池氏は私人であり、慎重でなければならない」といって国会招致を拒否してきた与党側だが、本人が望む以上、拒否する理由はなくなってしまい、来週23日に籠池理事長の国会証人喚問が決まった。当初の「すばらしい」「感銘している」から、「非常にしつこい」「抗議した」へと変化し、「関係ない」「違法性はない」の一点張りで押し通してきた安倍首相の二転三転する答弁内容や顔つきも含めて、食い違いだらけの事実がどのような終着点を迎えるのかが注目されている。
 だが、肝心の安倍首相は、19日から23日までの四日間、ヨーロッパ外遊の日程を組んでおり、修羅場から逃げるのかどうかも注目されている。
 また、「第2の森友学園」といわれ、今治市に新設予定の大学用地に37億円の市有地の無償譲渡、96億円の公費拠出を受けていることが明らかになった加計学園(岡山市)についても、安倍首相が昨年、同学園監事であった木澤克之弁護士を最高裁判事に任命していたことが発覚。15人の最高裁判事のうちの「弁護士枠」は日本弁護士連合会がリストから複数の候補者を推薦し、内閣府が人選するのが慣例だが、それすら度外視した「安倍人事」がおこなわれていた。淡路島にある同学園グループの「吉備国際大学南あわじ志知キャンパス」にも30億円規模の土地の無償譲渡がおこなわれていたことが報じられており、安倍政府のもとで加速した「愛国ビジネス」のどす黒い実態が次次にあらわになっている。

 

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