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小泉政府の構造改革
アメリカのために日本をつぶす
                 「郵政改革」も米国の要求      2005年9月8日付

  小泉首相の4年半に審判を下す衆議院選挙が、数日後に迫っている。小泉は「郵政民営化こそ、すべての改革の本丸」などと絶叫し、構造改革に抵抗するものはみな時代遅れのように騒いできた。しかし小泉改革がすすむほど、働いても食べられない国民がふえ、中小業者はなぎ倒され、農漁業は立ち行かなくなるなど、しぼりあげられるばかりだった。それは小泉首相の構造改革が、ブッシュのいうがままとなり、もっぱら米国側の指図に従って、日本が食いものにされる道だったからである。郵政民営化の350兆円はアメリカ政府が国債として巻きあげたり、アメリカの金融資本が巻きあげるために持ち出したものである。

 郵貯・簡保の配分話も 米国
 9月11日投開票の解散総選挙の結果を待たずして、米国ではウォール街の有力経済誌『ウォール・ストリートジャーナル』8月26日付に、「約3兆jの金融資産が再分配される」との見出しがおどった。世界最大の米金融独占・シティーグループが分析したもので、郵便貯金と簡易保険の三兆jの大部分は、郵政民営化で米国債やユーロ債、普通株へ巨大な放流が起こり、「勝ち組」になると予測。これまで郵貯が支えてきた日本の債券市場は、「大敗北」をきっするとしている。
 シティーグループはすでに2001年に、日本国内に合弁会社「日興シティーグループ」を設立。日本最大の株式引受会社として、ベンチャーキャピタルおよびデリバティブの会社を運営している。郵便貯金と簡易保険の350兆円の大部分を、米国債や株式市場にとりこむため、米国政府や駐日大使館をつうじて圧力をかけてきた。郵政民営化は「2003年・日米投資イニシアティブ」で、米国から要求され実行してきた合意事項のうち、小泉首相がブッシュ大統領に約束した最後の法案となっていた。
 日本の1400兆円といわれる個人資産は、1985年のプラザ合意、91年のBIS規制(国際取引は自己資本比率8%以上)、1996年の橋本内閣による金融ビッグバンで、安全資産の比重が高かった預貯金などから、リスクの高い投機的な株式市場に流動化させられてきた。とくに91年以降、日本の金融機関はズタズタとなり、99年に旧日本長期信用銀行が破たんし、米投資会社リップルウッドが10億円で買いとったのをはじめ、旧山一証券、旧日債銀がのっとられ、北海道拓殖銀行や興銀など、大手も姿を消した。りそな銀行など、いくつかが米投資会社に狙われている。日本の金融機関に預けられた約300兆円が、米国のいうがままの金とされた。
 つぎのターゲットは、米投資会社では買収しようにもできなかった郵貯と簡保の350兆円だった。郵政民営化特命大臣として選ばれたのは竹中平蔵氏で、BIS規制による日本の金融機関つぶしが、80年代にハーバード大やペンシルベニア大のシンクタンクで練られた当時、客員研究員として参画していたことを見こまれた格好。2003年の日米投資イニシアティブでは、5つの重点分野と七四施策のうち、郵政民営化をのぞくほかの施策は2004年中にすべて法案となって成立させていた。懸案となっていた郵政民営化は、国民の350兆円を米国の株式市場に流しこむために、小泉首相や竹中大臣が衆議院解散までさせて、米国からせき立てられて成立させようとしている。

 中小企業の倒産に拍車 異常な米国債抱え込み

 「構造改革」による米国の資金吸いあげは、巨額な米国債を抱えこんでいることにもあらわれている。2004年9月の残高で、米国債を79兆円も買いこんできた。とりわけ03年度には市場介入額は、過去最大の32兆円で前年度の8倍に達した。米国債発行残高の海外保有残高2兆jのうち、4割を日本が占めており、欧州諸国が控えているなかで異常にぬきんでている。大量に発行される国債を日本に買いとらせることで、米国はイラク戦争で財政赤字と貿易赤字の双子の赤字がふくらんでも、長期金利の上昇をまぬがれて経済破たんにおちいらなかった。さらに日本が買ったはずの米国債は、ニューヨーク連邦準備銀行で管理されて、米国の意志のもとにおかれ捨て金となっている。
 また金融ビッグバンで市中から資金が吸いあげられたため、中小企業は貸しはがしや貸し渋りにあい、倒産や廃業に追いこまれた。企業倒産ピークは2000年で約2万件にのぼった。2004年は1万3837件で、大型倒産はへったが中小が横ばい状態で、この4年間で約7万社がつぶれた。大銀行のうち総額7兆円の公的資金を受けた5行・グループは、中小企業への貸し出しを2002年上半期で、5兆1400億円(前年同期比)もへらしていた。

 外資が乗っとり本格化 米投資会社等
 金融機関をガタガタにして、大手から中小業者まで疲弊させたあとは、米投資会社をはじめ外国企業の乗っとりラッシュである。2003年の日米投資イニシアティブは、「小泉総理大臣の今後五年間で対日直接投資残高を倍増するとの表明は、より迅速な改革を推進することを主導している」として、日本国内の投資環境を整備するよう、74施策にわたって要求した。ハゲタカファンドのいいなりになって、小泉首相は構造改革をすすめてきたのである。
 5つの重点分野に分けると、@に行政手続きの見直しをかかげた。外国企業がスピーディーに進出できるよう、簡素化と迅速化を求めた。Aに事業環境の整備をかかげた。外国企業が日本国内で合併するさい、子会社をつうじて完全子会社化することを可能とする。債務の株式化や企業統治を強化すること、教育および医療サービスの外国投資を促進。公共サービス分野への民間参入拡大を求めた。Bは雇用・生活環境をかえることで、「日本においてより柔軟な労働市場を形成することが、外国からの投資を誘致する重要な鍵になる」などと主張。婦人労働者の活用と、外国人労働者の受入をすること、使用者が労働者を解雇しやすいよう基準の明確化を求めた。
 Cは地方と国の体制整備について。構造改革特区制度を地方自治体が「自主的」に誘致することを要望。具体的には積極的に外資誘致につとめる自治体・五地域をさだめ、大阪・東大阪・茨城、仙台、兵庫・神戸、広島、福岡・北九州・下関を選定した。この構造改革特区では、外国政府や外国企業の創意工夫により、対内投資の促進に寄与することが、位置づけとなっている。Dは外国報道機関などをつうじ「対日投資歓迎」姿勢を表明するよう要求した。
 その結果、1998年は3兆円だった対日直接投資は、2004年末残高で10兆1000億円までふくらんだ。米国からの直接投資がトップで、4兆2000億円にのぼった。新規設立企業はわずかで、8割から9割は米投資会社などの買収となっている。2005年の日米投資イニシアティブでは、「5年間で倍増させるという小泉総理の目標から、3・5兆円増と1・5倍の増加となる」として、ひきつづき努力を継続するべきとしている。東京証券取引所の全銘柄のうち、1980年代は外資が数%だったが2割を所有するまで拡大し、優良企業のなかでも完全に乗っとられたところもある。

 労働者は食えぬ状態に 外資乗っとりの整備
 構造改革で、労働者は働いても食べられない状態に落とされた。リストラ「合理化」と雇用を不安定にすることで、大企業の利益率が上がり「効率化」がすすみ、外資乗っとりの整備ができたというわけである。完全失業率は2002年10月に過去最悪の5・5%を記録した。今年6月の完全失業者数は280万人で、完全失業率は4・2%と減少傾向にあるが、失業中の一時的アルバイトも雇用者としてふくまれ、失業・半失業状態は若年層にも広がっている。パートタイム労働者は1259万人と、雇用者総数(5410万人)のうち4分の1を占めている。いつ首を切られるかわからない不安定な労働市場のなか、自殺者数は1998年から7年連続して、年間3万人台を突破している。改革で労働力の流動化がすすんだといっているが、働く人人はすぐに首を切られる自由、自殺する自由に改革されたのである。
 地方経済に根づいてきた酒屋も米屋も薬屋なども、「規制緩和」による自由化で立ち行かなくなり、大手スーパーやコンビニにとってかわられた。流通再編で市場や仲卸をつうじて流れていた生産物や商品は、大手スーパーが対取引やダイレクトで独占し、中小業者は排除されていった。集中豪雨的な出店ラッシュで、スーパー同士のつぶしあい競争がはじまり、商店はなぎ倒されて商店街は消滅していった。住民がものを買っても利益は大都市や外国に流れていくため、税金は吸いあげられて地方財政は縮小となった。
 国は三位一体の改革と称して、地方自治体にたいして配分される、地方交付税と臨時対策債を約4億円も削り、約3200の市町村が1800ほどに強制合併させられた。第一次産業にたいする補助金や助成金は、大幅にカットされた。農漁村や山間部から役場をなくし、ものをいいたくてもいう場がない行政制度にした。農協も広域合併で支所や支店がなくなり、漁協も合併で解散させられて、田舎では生活できないようにした。大きくは輸入自由化により、外国から安い農作物を洪水のようにあふれさせ、農漁業が成り立たないようにした。
 古代人間社会は生産原理によって成り立ってきた。市場原理主義をかかげた構造改革はこれを否定して、金利稼ぎにうつつをぬかす、寄生的な金融投機資本の好き勝手なもうけの原理であり、この原理のもとで社会は成り立つわけがない。それはごく少数の大金持ちのために何千、何百万のホームレスを生み出す野蛮きわまりない原理にほかならず、社会をさんざんに荒廃させるだけの、度はずれた時代遅れの改革である。働くものがつくりあげてきた郷土をぶっつぶして、アメリカ合衆国の五一番目の州にしてしまいかねないものである。協同、協力して社会を支えてきた働くものが主張を束ねて、この投機資本原理の構造改革とたたかい、どこまで力にするかが、解散総選挙ではもっとも焦点となっている。

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