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あんな人たちに負ける訳いかぬ
全国で安倍退陣求める行動
               「こんな人たち」は街頭へ    2017年7月12日付

 過去最低議席へと転落した東京都議選の結果に飛び上がった自民党安倍政府は、加計問題についての国会閉会中審査に応じるなど「説明責任」の形をとり繕ったものの、最も国民の疑惑の目が向けられている安倍首相は外遊に出かけ逃亡したような格好となり、中途半端さが否めないものとなった。「一強」「独裁」といわれてきたが、まるで10年前の放り投げ時期を彷彿とさせるような末期的空気を漂わせている。国家権力の私物化が全国的に問題視され、街頭では「こんな人たち」が「あんな人たち」に向かって「安倍はやめろ!」の声を上げ始めた。不誠実極まりない対応を見て「首相を信用できない」と感じる人が増え、内閣支持率は急落して情勢は流動化している。退くタイミングはいつか、はたまた粘って自民党を道連れにして自滅していくのか、その動向に注目が集まっている。
 都議選最終日、応援演説ではじめて秋葉原駅前に出た安倍首相は、「安倍辞めろ」コールをする人人に激昂し、聴衆を指さして「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない! 都政を任せるわけにはいかないじゃありませんか!」と叫んだ。選挙中に首相が有権者に向かって「こんな人」呼ばわりするなど前代未聞だが、それはみずからの政治の私物化疑惑について隠蔽し、棚上げしてきた報いに他ならない。その姿は、有権者の「あんな人」には入れたくないとの印象を確信に変え、「安倍辞めろ」の世論に火を付ける結果となった。首相の演説が、自陣営の応援どころか自爆炎上を招く選挙となったが、菅官房長官は「『安倍、菅を監獄へ』という、大きな看板もあった」「総理の発言は、きわめて常識的だ」などと弁明に終始した。「敗戦の将」たる首相自身は選挙後の記者会見の場にすら出てこなかった。
 都議選を経て潮目は変化している。9日には、共謀罪法(改正組織犯罪処罰法)の11日施行を前に、東京、名古屋、大阪など全国一斉に安倍政府の退陣を求めるデモ行進がおこなわれた。
 8000人が集結した新宿では、「安倍政権に退陣を求める緊急デモ実行委員会」が主催して、新宿の目抜き通りでデモ行進をおこなった。新宿駅東口アルタ前での集会では、「どれだけ嘘の情報を流しても、嘘はいつまでも国民を欺し続けることはできないし、真実も隠し続けることはできない。共謀罪もテロ等準備罪といったが、実際にはテロ対策は含まれていない。しかも国会中継がなかったことは、メディアが操作され、国会が中継できない内容であることを証明した」「“こんな人”は少数ではない。モリもカケも、山口敬之(元TBSワシントン支局長)のレイプ事件もみんな忘れていない」「九州が大変な事態になっているときに、首相はヨーロッパで遊んでいないで帰ってこい」「これからも何度でも声を上げ続ける」など、大学教授や学生、市民団体の代表などが安倍政府の姿勢を批判した。新宿駅前は、大規模な世論の動きを象徴する群衆の熱気に溢れた。
 同日は、北海道旭川市、名古屋市、大阪市、和歌山県新宮市、福岡市でも同様のデモが開催され、「安倍辞めろ」「政治の私物化をやめろ」「嘘つき稲田も菅もやめろ」などのコールが全国各地で響き渡った。
 この雪崩を打つ世論の動きと連動し、これまで「高支持率」と報じてきた各メディアも支持率の急落をあいつぎ報道し始めた。NHKは、安倍内閣の支持率が先月に比べて13減の35%とし、不支持は48%に上がったと報じ、安倍首相自身が「熟読しろ」といった『読売新聞』も36%、『朝日』は33%、『毎日』は36%、NNN(日本テレビ)は31・9%と、軒並み過去最低の数字を発表した。首相が腹痛を誘発した第1次安倍政府退陣時の支持率(28%)に限りなく近づきつつある。

 国会閉会中審査 疑惑はますます深まる

 慌てた与党は、国会を強制終了させてまで審議を打ち切り、憲法53条に基づく臨時国会召集要求をも拒否し続けてきた加計学園問題についての閉会中審査に急きょ応じ、参考人として前川喜平前文部科学省事務次官を招致した。当然、「国民の信頼回復」「丁寧な説明」云云といっていた安倍首相本人が出席しなければならないはずなのに、G20出席後に帰国せず、国会審議を避けるようにそのまま北欧諸国への外遊へ出発してしまった。加計疑惑の中心にいるのは首相自身であるにもかかわらず、籠池証人喚問時に続いてまたも敵前逃亡する様を見せつけた。しかも、九州豪雨災害が発生しても日程を変えず、閉会中審査が終わった翌日に「被災地に入る」といって外遊から帰ってくる始末で、再び世間を唖然とさせた。
 また、閉会中審査には、「総理に代わっていう」などと豪語し、加計学園獣医学部のための国家戦略特区の指定を文科省に迫っていた内閣府の和泉洋人首相補佐官や木曽功前内閣官房参与(現・加計学園理事)、森友学園へ8億円値引きした事実をもみ消し続けた佐川宣寿前理財局長(国税庁長官に栄転)も出てこないなど、与党側は安倍首相ともども主要人物の出席をことごとく拒んだ。
 閉会中審査では、文科省の内部文書である「10/7萩生田官房副長官ご発言概要」(文科省は未確認)の真偽が焦点となった。文科省が「見つからなかった」とするこの文書には、常磐高等教育局長と面会したさいの萩生田発言として、「加計学園が誰も文句がいえないような良い提案をできるかどうかだ」などと記されていたことが暴露されている。
 萩生田副長官は、現在も加計学園・千葉科学大学の「名誉客員教授」で、同時に官僚の人事権を一手に握る内閣人事局長でもある。同じく「10/27ご発言」(文科省が公表)には、「和泉補佐官からは、農水省は(戦略特区による獣医学部新設を)了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、といわれた。官邸は絶対やるといっている」「総理は“平成30年4月開学”とおしりを切っていた。工期は24カ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのこと」などと記され、加計理事長を担当課長に会わせる意向を示している。
 前川前次官は、二つとも「事務次官在職中に担当課から説明を受けたさい、受けとった文書に間違いない」と認めたが、萩生田は常磐高等教育局長との面会は認めたが「このような発言をした記憶はない」「なんら能動的に関わりを持ったことはない」とし、常磐局長も「記憶がない」と口を揃えた。
 前川前事務次官は、「内閣府が(国家戦略特区指定の)仕事を進めるにあたり、その背景に官邸の動きがあった。中でも私が直接指示を受けた和泉氏(首相補佐官)がさまざまな動きをしていたのは明らか」とし、国家戦略特区の制度で認める過程で、文科省としては、大臣や局長はいいにくいだろうが、無理を強いられている。そのような思いは、文科省の職員はみんな持っていた」と強調。最大の疑問点として、「広域的に獣医学部がない地域(四国)に限る」「開学時期は平成30年3月」という意味不明な「条件を付すことで今治市の加計学園しか残らない。それはなぜなのか。ブラックボックス化されている。文科省からはうかがい知れない部分がある」「閣議決定の(獣医学部新設の)四条件を満たしていたのか?京産大との比較検討がおこなわれたのか? など不明瞭な点が多い」とし、「真相を明らかにするには、和泉補佐官、加計学園理事長、今治市長の話を聞くなどしないと、全体は到底わからない」と主張した。この疑問点に対しては、山本創生大臣が長長と資料を棒読みして時間稼ぎに終始した。
 自民党や公明党、維新を含めた与党議員は、「出会い系バーに通った理由」や「在職中になぜ問題提起しなかったのか」「天下り問題の責任」など、前川氏の人格問題に話をすり替える質問に終始。自民党の平井卓也(香川県)や、森友学園の「広告塔」でもあった青山繁晴などが、「四国に獣医師が足りない」「今治市が新たに獣医学部をつくることは行政を歪めるということなのか?」と詰め寄ったが、前川氏から「獣医学部の入学者は全国的に散らばり、卒業後も全国に散らばっている。獣医師が不足しているから、この地域に作るというのは単純に考えられない」「規制緩和をすべきかどうかという問題と、その規制緩和の結果として加計学園に獣医学部の新設を認めるかどうかという問題は次元が違う。加計学園だけに決まったプロセスを問題視している」と整然と切り返され、逆に無知を露呈する場面もたびたび見られた。
 「獣医学部の新設を拒むのは、(あなたが関与していた)既存大学への文科省の天下りと関係しているのではないか」(自民・青山)という質問に対しては、前川氏から、「仮に(天下りと)結びつけるのであれば、具体的な事例は木曽理事(加計学園理事)の問題だ。木曽理事はたしかに私の先輩で、内閣官房参与の身分をもったまま加計学園の理事になっておられまして、そのふたつの肩書きをもった状態で私のもとにおいでになり、加計学園の獣医学部新設に向けて働きかけをされた。こういうOBによる現役に対する働きかけこそ、いわゆる天下り問題の、弊害の一つの端的な例」と指摘され、追及すればするほど墓穴を掘るものとなった。
 加計問題で嘘をつく理由のない前川前次官の明快な口調と対照的に、菅官房長官をはじめとする閣僚は、「そう聞いている」「記憶にない」などと他人に責任を投げたり、言葉を濁す答弁に終始し、権力の上にあぐらをかいて平気で事実を隠蔽し、嘘を並べ立てる人種であることが浮き彫りになった。肝心の当事者が欠席するなかでの閉会中審査は、与党側が嘘の上に嘘を塗るだけに終わった。

 盛り上る街頭行動 国有財産私物化許さぬ

 事実経過についての「証拠」があろうがなかろうが、まともに説明すらできない理由によって、首相の「腹心の友」の学校建設のためだけの特例が設けられたことは紛れもない事実だ。そのために人事権を振りかざして各省庁へ圧力をかけ、その結果、疑惑が生じているのであって、現在までに明らかになっている事実への疑問について、説明責任も果たさずに逃げ回ることはできない。
 「あんな人たちに負けるわけにはいかない!」の声を全国で強め、権力や国有財産の私物化を許さない力を示すこと、街頭にくり出して世論を盛り上げることが求められている。

 

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