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「安保」戦時国家作りが中心争点
総選挙巡る記者座談会
                国民が政治主導する機会    2014年11月24日付

 安倍首相が衆議院を解散し、総選挙が実施されることになった。国会において3分の2以上の議席を確保している自民党政府が、議席が減ってもかまわないといって挑んでいる。これは何を意味しているのか、なぜいま選挙なのか、真の争点は何か、国民はどう対応すればよいか記者座談会を持って論議した。
 
 「信任得た」恰好狙う暴走政府 有権者が突き上げ縛る

  いきなりの総選挙で、「どうしていま?」という疑問をみなが感じている。自民党もボロだが野党もボロで、どう対応するかが問われている。大衆世論はどうなっているか、率直な反応から出しあってみたい。
 B 「増税先送りの信任を求める」という理屈で解散したが、集団的自衛権なり国の行方を左右するような大きな問題で国民の信を問うたことがないヤツが、どうして?という疑問として語られている。しかも消費税増税の賛否の信を問うのではなく、先送りの信を問うというから、余計でもみなをバカにしていると話題になっている。
  ある年配の知識人と話した時、「今度の選挙でやり過ごしたらいけない」「戦前と酷似している」と危機感を抱いていた。何らかの形で国民の意思を示さなければもっと暴走するという意見だった。信を問うといって消費税を唯一の争点にしようとしているが、この2年で進めてきたTPPや集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法の制定、NSCの設置など戦争政策のすべてが承認されたことになり、もっと突っ走れるようになるんだという指摘だった。
 戦争体験が脳裏に刻み込まれているから、安倍政治への問題意識は鋭い。わだつみ会の人に聞いた話を紹介されていた。東大工学部に在籍していたお兄さんが必死に勉強していたが、気がついた時は理系もみな学徒出陣で引っぱられ、最後に見送りに行った時に本人が「遅かった…」と話していたこと、何千人もの学徒たちがバシー海峡で一発の魚雷によって沈められていった経験を語り、「遅かった…」と後悔するような事態をくり返してはいけない、同じ状況にしたらいけないんだといわれていた。今度の選挙でどう安倍政治を叩きつぶすか危機感を語られていた。
  戦地での体験がある高齢男性は、海軍に所属していたが生き残って帰ってきた。そして戦後は船員をしていた。「戦時中は人間が1銭5厘で引っぱられ、戦後も土方や船方は人間以下の扱いをされていた。一生懸命たたかって人間扱いするよう地位向上を求め、船方は船員になった。それがまた戦争で人の命を簡単に扱って構わないという方向に向かっている。年寄りは死んでも構わない。若者は戦地で死んでも構わないという政治をまたやっている。それが許せない」と思いを語っていた。なんとかしたいという思いが充満しているし、緊張感がある。呑気な話ではない。
  ただならぬ感じで政府への怒りがうっ積している。このまま放置していたら、少しの票差でも「勝った」といって突き進む。まともな野党がいないにしても、何とかしないと気が済まないと論議になる。安岡で風力反対の運動を熱心にやっている自治会長が、沖縄知事選の勝利に喜んでいた。「沖縄の人はすごい。自民党本部が総掛かりでやってきた選挙で、10万票も差をつけて圧勝した。裏切り者を叩きつぶした。今度は安倍の足下である下関なり山口県で意思を示さないといけない」と。しかし選挙となると「どうしたらいいだろうか…」と語っていた。山口4区は対立候補が「日共」の候補しかいない。なんとか力を結集したいという思いと同時に、有権者としてどうこの選挙を迎え撃てばよいのだろうかという戸惑いもある。
  中小企業では、消費税増税もたまらないという思いがある。8%に上がってからバタバタと倒産が続いてきた。売値に転嫁できず経営が行き詰まったりしている。小売店や飲食店の倒産や閉店、夜逃げもこの春以降は頻繁に起きている。ある零細企業の経営者は、「安倍は東京の大企業の方ばかり向いて政治をしている。これに対抗すべき野党がいないのもわかりきっているが、もっとも頭にくるのは、“渡辺喜美が新党を結成する”とか“小沢一郎がこう動いた”とかメディアが小さな出来事ばかりに国民の視線を釘付けにして、世論をばらばらにしようとしていることだ。国民を混乱させて、どれだけ得票が低くても自民党が“国民の皆様の信任を得た”といってやっていく」といわれていた。
  沖縄の40代の男性は、あと2年残してなぜ解散するのか意味を考えていた。「その後の暴走体制を作ろうとしているんだ」と警戒していた。知事選で圧勝したが、これを次の総選挙につなげて、自民党国会議員を叩きつぶそうという空気が沖縄では支配的だ。候補者が立派であるか否かは関係なく、県民なり有権者の世論を統一して正面の敵をまず叩き落とす。そのことによって政治を揺り動かすことができるという確信が強まっている。全国で同じような行動が広がればすごいことになる。
 
 議席減覚悟の自民 解散の背景にある狙い 何を意味するか

 A 
誰が見ても不思議だ。いま自民党(295議席)と公明党(31議席)で合わせて326議席を持っている。それなのに選挙をしかけて、「過半数で勝利」といっている。過半数となると、今回の総選挙から定数は475議席だから、238議席になる。88人の与党議員が落選しても安倍政府にとっては「勝利」なのだという。一年生議員たちが飛び上がって動揺するなか、自公幹部が慌てて目標ラインは「270」に訂正したが、議席が減ってでも挑む何があるのかだ。社民党が「党利党略の選挙だ」といっているが、党利党略なら議席を失うような選挙はしない。自民党が減るのはわかりきっていながら、なぜ与党が議席を減らすような選挙をするのかだ。数が多いなら今のほうがやりやすい。しかしこれではやれないという問題がそこにはある。
 「アベノミクスが焦点だ」とかメディアが思いついたことを書いているが、最大の争点は日米「安保」だ。集団的自衛権の行使容認にあらわれているような憲法改定、一連の戦時法制、TPP、原発再稼働など、信任を得ずに突っ走ってきたものを、選挙で過半数を得ることによって「信任を得た」という格好に持っていこうとしている。その後の四年はもっと突っ走るということだ。選挙で信任を得たのだから国会どうこうではない。大きな政治が働いている。背後で操っているのがアメリカだ。
 C 早くから解散総選挙は仕組まれている。8月には与党内部で既定事実になっていたという。それを隠密にしておいていっきに動かしている。今だったら国会内の政党の力関係でいえば、ボロな野党を相手に過半数は取れるという計算だ。国会内政治勢力の抗争で、そのように判断している。奇襲作戦で選挙を実施し、国民の信を得た格好をとりたい。その最大の争点は戦時国家作りであり、「安保」だ。とてもではないが増税を先送りするか否かという話ではない。
  年明けには原発再稼働が迫っている。集団的自衛権の行使を具体化する安保関連法案の審議も先送りしているだけで、選挙後に動かそうとしている。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の最終報告も春の統一地方選後に出して改定する予定になっている。新ガイドラインでいえば、集団的自衛権の行使容認にともなって、自衛隊と米軍の新たな役割分担を定めるのが狙いになっている。具体化を進めていく段階に入っていく。「アベノミクスで格差が拡大した」とか、部分的批判にメディアは持っていこうとしているが、命をさし出せというものであり、戦時国家作りで信任を得たといって突っ走るための選挙だ。
 A 世界は激動して、シリアやウクライナなど米国は早く自衛隊を使いたくて仕方がないし、待ち構えている。だから辺野古も岩国も米軍基地はガンガン整備しているし力づくだ。命をかけた抜き差しならない政治が動いている。80議席減ってもかまわない選挙をやるのだから、米国金融独占や国内独占資本の大きな戦略的意向を受けてやっている。それに対して為政者なりの使命感で挑んでいる。
 
 あり得る与党惨敗 前回選挙の支持率は20%弱 脆い支持基盤

 G
 「今回の選挙は米国の影がある。虫眼鏡で見ていたらわからない。大きな視点から見ないとわからない」と沖縄の人が話していた。
  みんなを部分しか見えないようにしたがる。メディアが些末な問題を騒ぎ立てて選挙の争点を見えにくくしているのも特徴だ。しかし大きな諸関係から見ないといけない。アメリカが関与しているのは疑いない。総選挙は大きな斗争になる。しかしこの斗争によって戦争政治に大ダメージを与えることもあり得る。現状では野党がつまらないのがネックになっている。しかし政治は与党と野党の政党だけで動いているのではない。基本は国民との関係で動いている。野党に期待するだけなら希望はない。国民大衆が主人公になって政治を動かすということが決定的に重要だ。沖縄県知事選のように、大衆斗争で力を強めて縛り上げるという手法だ。今回の選挙ではまず自民党を叩きつぶしてダメージを与えるのが中心課題になる。それが同時に野党も縛り上げる選挙になる。
 この間の選挙は対立する側が良いから勝ってきているわけではない。小泉改革などで自民党が散散嫌われた結果、2009年に民主党が与党ポストを得た。民主党が勝ったのではなく、自民党が負けた選挙だった。そしたら天下をとった気になって自民党と同じ事をやり始めた。だから世論は怒って民主党を一発で叩きつぶした。民主党に愛想を尽かせた結果、自民党の勝利になった。これも自民党が支持されて勝ったのではない。この「順番の法則」でいけば、今度は自民党の大惨敗となり得る。得票率から見ても20%余りだった。それしか支持基盤がない。メディアが「安倍政府は高支持率だ」と持て囃して、安倍晋三もその気になってやってきた。しかし選挙を何度やっても、有権者の60〜70%という票を得るような結果にはなったためしがない。地方選でも滋賀県知事選で敗北し、名護市長選でも敗北、沖縄県知事選も自民党は敗北した。実際の支持率は少ない。中枢部はそのことをわかっている。だから早く信任を得たいと焦っている。信任された格好をとりたがっている。
  総選挙では80人といわず、いつも100人くらい与野党の議席は入れ替わっている。今回もその可能性は十分ある。自民党候補と野党候補の一騎打ちだったら、前回の選挙でも114議席を野党が獲得していたといわれている。前回、前前回の選挙よりもいまの自民党に対する怒りの方がはるかに強い。集団的自衛権の行使容認、原発再稼働、TPPなど様様なことをゴリ押ししてきて、「いい加減にしろよ!」の世論がすごい。
 2年前の総選挙は、政権交代選挙よりも10%近く投票率が下がったなかで、自民党が「圧勝」した。しかし自民党が全有権者から得た得票率は比例区で16%、公明党の応援を含めた選挙区でも24%程度だった。比例では200万票以上減らしていた。郵政選挙の時から比較すると1000万票近く減らしているのに、結果は「圧勝」だった。むしろ民主党が小選挙区において2000万票近く減らし、比例でも2050万票減らしたことが幸いした。民主党に地滑り的な勝利をもたらした有権者の多くが幻滅し、投票に行かなかったから自民党が「勝った」だけだった。
 F 自民党を助けているのが野党だ。「日共」集団は前回選挙でも322人が全滅したのに、今回もはしゃいで擁立している。票割り候補を担いで各選挙区で1万〜2万票を分断して、もっとも自民党を喜ばせている。山口県内でも町議選や市議選で落選したような者を平然と擁立している。そうした構図を見抜いた上で自民党をやっつける選挙にしなければいけない。
 A 野党は選挙区調整など進めているが、いわゆる革新を標榜してきた社民党にしても負け犬型だ。自民党の付属物として長らく生息してきて、ファッショ的な戦争政治に対して恐怖に駆られている。あと、野党のなかでも維新とか解党したみんなの党とか、次世代とか自民党の別働隊として動いてきたのも多い。これらが精一杯嫌われるような事ばかり演じて、いかにあてにならない政党であるかを印象付けるのがもう一つの陰謀だ。如何せん魅力がない。各政党が争点を真っ正面から訴えないのに特徴がある。
 B 各党がどんな主張をしているのか見てみると、「日共」は志位が街頭演説で、「日本共産党の躍進こそ、安倍政権の暴走ストップ、政治を変えるもっとも確かな力になります」「昨年の参院選に続き、総選挙で日本共産党をさらに躍進させてください」などと叫んでいる。社民党の吉田は「アベノミクスの失敗を隠し、政治と金の疑惑を隠し、沖縄県知事選挙の敗北をリセットするための国民無視の大義のない解散。アベノミクス失敗隠し解散、党利党略、政権延命解散だ」などとピントぼけも甚だしい。民主党もアベノミクス批判や増税批判などするが、「オマエがいうな!」状態で何とも知れないものだ。
 
 侮れない投票行動 大衆世論の結集が要

  最大の争点は日米「安保」だ。憲法改定を実質的にやって、歴史的な大転換をやろうとしているのに、野党がそのことを正面から批判しない。部分的な批判をやって正面からの勝負を挑まない。そして「負けるだろうけど票をくれ…」といっている。沖縄でも基地撤去を訴える野党がいない。県内か、県外かに問題を限定して改良的なものや手直しにすり替えている。県民世論は米軍基地撤去だ。基地があれば戦争になるから反対している。そして独立を求めている。しかし政党でそのことを訴えるところがない。日共にいたるまでがそうだ。
 C 全国からは「山口県で安倍をやっつけてくれ」といわれるが山口4区は対抗馬がいない。「日共」が負けてばかりの男を性懲りもなく担いでいる。民主党は県議の加藤が「4区は出しません」と早くから宣伝している。総選挙なのに、自分の娘婿の親類が出馬する市議選に熱を上げている。本当なら加藤本人が民主党県連幹部の責任として出馬すべきなのに、何やっているんだ! の世論は強い。
  山口県は重要な戦場になる。
  山口県内でも前回選挙では小選挙区で自民党候補はみな得票を減らした。2区の岸信夫(安倍実弟)は2回落選した山本繁太郎の票よりも少なかったのに、民主党の平岡がそれ以上に票を失ったことから当選できた。河村建夫や高村正彦も8000票近く減らして当選した。安倍晋三も過去最高は03年の14万票だが、前回選挙では前々回選挙よりも減らして11万票台だった。選挙の度に得票を落としているのが特徴だ。今回の選挙は有権者の怒りははるかに激しい。
  1区には知事選で落選した高邑(元民主党)が維新で出馬するようだ。2区は平岡、3区は三浦が民主党から出馬する。情勢は変化しているし、力関係は変わっている。おもしろい結果になり得ると思う。
  小選挙区になってから、毎回選挙で○○チルドレンが出てきては消えていく。前回選挙でもおかげで自民党は119人の1年生議員を抱えた。その前の選挙でも100人の小沢チルドレンができた。小泉チルドレンも83人だった。2年前の選挙では、民主党の減り方が半端じゃなかった。全国の有権者は何の打ち合わせもしていないのに、2000万人が同じ動きをして、ドサッと民主党から票が引き上げた。その票はどう動くかだ。幻滅して棄権していたら自民党の思うつぼで、戦争狂いがますます好き放題にのさばる。そうではなくて自民党に鉄槌をくらわせるために、意識的に動いたらどうなるか。状況はひっくり返る。
  沖縄県知事選での有権者の政治的な動きを見たとき、その投票行動は決して侮れない。大衆世論の恐ろしさはそこにある。沖縄も自民党は予測がついていなかった。「拮抗になりました!」と仲井真陣営が叫んでいたが、蓋を開けたら10万票差が開いていた。大衆世論が読めない政治の姿をあらわしている。選挙常識でいえば圧勝シフトだったが敵わなかった。自民党も政権交代選挙より票を減らして大勝したが、その支持基盤は極めて脆いものだ。今度は政治的な意識が鋭さを増しているから状況がひっくり返る要素はある。大激震を与え得る。
 大衆的な力を結集することが第一に重要だ。そしたら、選挙後もその力を行使できるような関係になる。政党はすべて腐っている。あてになる政党がいない。そのなかで、大衆的な力を結集して自民党打倒の投票行動として統一していけば、野党も縛られることになる。勝つわけなかったのに勝ってしまうのだから、自民党打倒の世論がいかに強いかを示すし、野党もにらみつける力となって作用していく。自民党批判の力であると同時に、野党批判の力として示されることになる。
  何かが起こり得る雰囲気は充満しているし、果たして自民党政府なり背後の米国の願望通りに事は動くかだ。
  安倍は過半数をとって信任を得た格好がとれると思い込んでいる。しかしそうだろうか?いままでの経緯から見ても圧勝した後は大惨敗してチルドレンが消滅していく。今度の順番はどうなるか。みなが安倍自民党打倒で世論が大結集したらどうなるか、選挙は蓋を開けてみないとわからない。大衆の側は統一戦線で迎え撃つことが重要だ。憲法改定反対、安保反対、アベノミクスによる格差拡大、TPPによる売り飛ばしなど一連の売国政治が争点になる。
  農村部でも怒りはすごい。なんとしても自民党を叩き落とさないと地方は潰れるという危機感がある。役場をつぶし、農協も漁協もなくしてきた。地方創生というのであれば合併を元に戻せ! という話だ。コメの買取価格でも半額になった。酪農も成り立たないからバターが足りないといって騒いでいる。「日本を潰すには武器はいらない。食料を止めれば一発だ」と農民はいう。各層の怒りをつなげていかなければならない。
  大震災に見舞われた東北も放置され続けて矛盾はすごい。各層の基本矛盾を鮮明にしていくことが大切だ。その中心は戦争だ。国民の生命をないがしろにしていく戦争政治、ファッショ政治に対抗していかなければならない。日米「安保」、戦争との全面対決だ。かつての大戦のように国民に「死んでこい」というところまできて、野党がつまらないからといって黙って静観しているわけにはいかない。

 

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