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江島市長の暴走またもくじく
下関・あるかぽーと用地売却
              市民の運動が市政動かす力    2006年12月20日付

 下関市の江島潔市長が進めるあるかぽーと商業開発問題で、すでに仮調印をしてこの12月議会でなにがなんでも通そうとした用地売却議案が、18日の建設委員会(門出眞治委員長、16人)で継続審議に追いこまれた。世界に誇る海峡を守る会をはじめ商業者、住民たち約50人が、のぼりや横断幕を掲げて傍聴につめかけ、継続審議が決まると大喜びとなった。下関では、安倍総理誕生で江島市長の利権事業暴走となったが、先に文化会館建て替えで10億円高い安倍総理の実兄企業である三菱商事グループに落札させた問題で、同グループを辞退させたのにつづいて、市民の世論と運動が市政を変える力だとの確信が全市に広がることとなった。

 市民の力が強行採決を阻む
 あるかぽーと商業開発をめぐっては、11月に唐戸商店会が有志の団結した力でやり直し総会を開催し、みなとまち開発との合意書破棄を決めた。また南部町自治会と中央地区自治連合会も反対の要望書を出していた。下関市を良くする連絡協議会の1万人アンケートや、下関商工会議所の消費者アンケートも、大型店誘致は反対が圧倒していた。民主    あるかぽーと開発反対の行動を行った市民や商業関係者
主義と生活を守る下関市民の会は、理事長の兵頭典将氏が全市的に街頭宣伝をやり「安倍総理と江島市長の縁故がらみの開発阻止」を訴え、この問題での本紙号外を配布した。
 江島市長は、「仮契約をしないから論議が起こっている」、「反対があったからと中止するような、ローカルな事業ではない」と、11月に勝手に仮契約をして、市議会12月定例会に用地売却議案を提出、一気のごり押しをはかった。104人のマンモス市議会が来年2月の市議選で解散される直前に、かけこみで売却しようというものであった。市民に嫌われても市長によく見られた方が得という引退組や、次回がなく「下関のことはわからないから賛成する」という旧郡部の出稼ぎ議員がいるあいだに強行採決を狙った。
 建設委員会は、強行推進の門出委員長や野稲議員をはじめ、16人中9人が旧郡部議員という顔ぶれで、議員構成からいえば採択は楽勝の構図であった。しかし議員の中だけのなれあいでは収まらなかった。

 採決を狙う議員の動き縛る 建設委員会
 2回目の審議となった18日の建設委員会は、1時間前から市民がぞくぞくと集まり始めた。「守れ関門海峡」ののぼりや「許すな第2の夕張」のプラカード、「あるかぽーと開発計画反対」の横断幕が広げられた。会場に向かう議員たちが現れると、「市民の声を聞いてください」「よろしくお願いします」と大きな声援が上がった。
 引退間近の野稲議員などが「おまたちは何か」と、どう猛な顔つきで難癖をつけたのが集まった市民の注目を引いた。
 建設委員会の審議はいつもと同じで、反対派の議員六人が執行部を追及するだけで、そのほかの門出委員長ほか10人の議員は、黙ったままだった。再度、江島市長に対して、地元自治会と商店会から合意をとる約束が、ほごにされたことが問われた。江島市長は「今の時点では一定の理解を得ていると思っている」「別の観点から、あるかぽーと開発に期待する声を聞いている」などと、従来通りの人を食ったような答えしかしなかった。
 またあるかぽーとを二束三文の疑惑鑑定をした不動産鑑定士の1社が、みなとまち開発の藤井社長と縁故関係にあることに質問が出た。市当局は「資料ができていない」といい、縁故を隠しているのではないかと疑問が出された。
 核テナントのイズミは、食品売場は何平方bかも分からないといい、来るわけがない年間326万人の来客目標は根拠も示されなかった。長府イズミ出店により、長府商店街がどうなったかを問われても、江島市長は「波及効果もある」「事業者とみずほ銀行のリスクだ」と、まともな回答もしなかった。
 さらに野稲議員が、「あるかぽーとは40回くらい会合した。条件付で通したらどうか」といいだし、門出委員長に投げかけた。ここで小浜議長が、登場。「これだけ問題点が上がっているのに、市民に対して解明をしないといけない。議員としての価値がない」と発言。これまでことごとく反対意見を恫喝でひっくり返して、江島利権事業の立て役者をつとめてきた小浜氏が継続審議を主張するという珍しい光景が現出した。
 小浜議長は、来年はじめの市議選で仲間が不安に駆られているという事情、それ以上に来年夏の参議院選挙で、林芳正内閣副大臣への恨みを買っては大変という心配が作用したものと見られている。いずれにしても市民の世論と運動が小浜議長の態度をも規制したことを意味することとなった。
 来年2月に市議選があることから、今回の継続審議は常識的には、廃案を意味することになる。しかし門出委員長は来年1月17、18日の臨時議会で参考人を呼んで審議する、「やれるだけやる」と表明し、江島市長は「廃案になっても再度出す」といって、市民財産の二束三文の売り飛ばしにかける執念をあらわした。

 「正義勝つ」と喜び 建設委の結果受け 地元業者も激励
 建設委員会の様子をモニター室で見ていた市民のあいだからは、喜びの声があふれた。長府の60代婦人は、「下関を夕張にさせないために、市長や議会のやる不正やむだ遣いを、市民がしっかりチェックすることだ。市長は市民をバカにすることなかれ。下関も捨てたものではない。正義が勝つ」と、喜びを爆発させた。
 別の40代婦人は「市民がこれで勇気づけられる。市民の力が熱を上げ、市民の血潮が怒涛のように流れはじめている。下関はこんなにすごいと、全国に発信したい気持ちだ」と、興奮冷めやらぬ面持ちで語った。「もっとがんばらないといけない。あるかぽーと開発に賛成するような議員は、落とさないと下関のためにならない。賛成議員の名簿を明らかにするべきだ」と、廃案と白紙撤回に向けて意気ごみを高める。
 ゴミ袋値下げ運動からかかわった婦人は、「子どもや孫たちの将来や、高齢者の明日のためにがんばらなければいけないと思ってきた。行動したのは1部の市民だが、市民全体が後ろ盾にいることで、あれだけの威力を発揮した。私たちは、自分の利害のためには動いていないから、怖いものは何もない。正義が通るということが、またはっきりした。白紙撤回にするまでは、火種はまだあるから、しっかり見ておかないといけない」と引き締めていた。
 はじめて朝からの行動に参加した商店の婦人は「市民運動はこうやってやるのですか。力があるんですね」と感動の面もちであった。山の田地区の婦人は、「下関市は今でも夕張になりかかっているのに、なんとか止めないといけない。門出委員長は私たちの前を通りきらなかった。野稲議員は暴言を吐いていった。ああいう議員がいるから、下関がだめになる」と話し、さっそく近所や友だちに知らせて回っている。
 議会への行動には、唐戸や赤間商店街をはじめ市内各地から、商店主や従業員がかけつけた。飲食店主の男性は、「議会を傍聴してわかった。江島市長のやる行政は、ていをなしておらず、議会もチェックしない。情けないの一言だ。あるかぽーと開発は一つの問題。この人たちが文化会館建て替えや新市庁舎や、下関駅舎のことを決めてきた。今からは市民の運動が勝手なことをさせない」と、確信を強めている。
 シーモール専門店街でも、「江島市長と議会は、強行する気で議案を出してきた。そうさせなかった市民の力はすごい」「江島市長が暴走すれば、リコールでも打てる雰囲気になっている」と語られている。
 また市民の行動は、多くの人人を激励するものとなった。ある地元業者は、「やっぱり市民の力には、飼い犬議員も勝てなかった」とうれしそうに笑った。「あるかぽーと開発で商工会議所が合意したときは、もうだめだろうという悲観論がいわれていた。経済界と政治の上を押さえれば、今までの常識では通ってきた。江島市長が1番力を入れている利益誘導の固まりみたいなものだ。その政治生命をかけ死にものぐるいでやった事業が止められた。これはすごいことだ」とのべ、「市民の力は強い」とくり返し話していた。
 建設関係者は、「あるかぽーと開発や文化会館建て替えは、市外業者発注といっしょに廃案に放り込まれようとしている。あんなものは建てなくていい。地元業者もがんばらなくてはいけない」と励まされていた。

 強権の発動も破綻 新博物館、文化会館に続き 江島市長は危機
 あるかぽーと開発計画は、6年前に市役所内部の審査委員会で、神戸製鋼所グループとして選定された。安倍総理が出身の神鋼九州支社は、江島市政のもとで破格の待遇を受け、00年に奥山工場ゴミ焼却炉(105億円)、01年にはリサイクルプラザ(60億円)と、土木建築の会社ではないのに、5年間で200億円の大型公共事業を独り占めしていた。
 ピンハネ目的だけで、入札のたびに官製談合騒ぎを起こし、下請業者や建設労働者にはだまし討ちのような仕事をさせ、倒産があいつぐなど市内では嫌がられてきた。あるかぽーと開発では04年には神鋼が連帯保証人を断り、社長からも引いた。それと入れ代わりに登場したのがみずほ銀行である。初期投資135億円のうち、みずほ銀行が95億円の融資意向表明をしたことによってあるかぽーと計画は息をつないだ。
 みずほ銀行の持ち株会社は、安倍氏の叔父・西村正雄氏(8月に死亡)が会長をつとめたみずほホールディングスであり、これも安倍総理の縁故企業であった。
 あるかぽーとを5年まえの5分の1である1平方メートル6万5000円という二束三文でみなとまち開発に売り飛ばし、イズミを核テナントにした大型商業施設や外資ホテルを誘致するという計画は、下関の財政を食いつぶし、地元商業会も壊滅させるものとして商店をはじめ全市民的な怒りを呼んだ。
 下関商店街連合会や南部町自治会、下関市を良くする連絡協議会など7団体が、世界に誇る海峡を守る会を立ち上げた。ゴミ袋値下げ運動や学校食器のやりかえ、新博物館の白紙撤回をつうじて、強まった市民の力を継承して発展したものだった。
 今年の2月末、唐戸商店会の1部の役員は、常任役員(当時)の平岡泰彦議員が、自分のビルにテナントとして下関競艇の場外舟券売り場を入れて家賃収入を稼ぐこととひきかえで、突然あるかぽーと開発の合意書を交わした。そして安倍総理誕生というなかで暴走に拍車がかかった。
 8月の市民の反対集会に200人が集まると、建築利害がらみの関連業者をかき集めて、イベント会社を雇った建設促進の業者集会をやって、「500人の地元住民の賛成集会」を装うインチキをやり、地元要望の形で賛成の要望書を出させた。9月初旬には、反対する地元自治会長に、市の顧問弁護士が開発会社の代理人となって脅迫文書を送った。中央地区自治連合会の反対が崩せないとなると、江島市長が自治会長宅の戸別訪問をはじめて、セールスマンぶりを発揮し、議会に「反対ばかりではなかった」などと報告する茶番を演じた。
 江島市長のあるかぽーと土地売却議案は、新博物館計画がつぶされ、文化会館建て替えもつぶされるなかで、これまでもつぶされたのでは役立たずになるという危機感のなかで強硬姿勢で臨んだものであった。
 しかし、この権力を振り回したやり口も、市民の世論と運動の力がうち負かすこととなった。江島市長は、あるかぽーとの土地売却についても、事実上見込みは遠のいているのに、なおもなにがなんでも通すと息巻いている。

 JR駅に200億円も またも市民食い潰す計画
 さらに9月議会では、JR梶栗駅という無人駅に、血税として5億6000万円を注ぎ込むことを決めている。12月議会では、長府駅の改築等に29億円かける計画を出した。新駅整備は今後、下関駅100億円のほか彦島駅、幡生駅、山の田駅、勝山駅、長府豊浦駅、王喜駅、王司駅など7カ所をあげており、JRのために200億円はこえる市の税金を注ぎ込む計画も持っている。
 以前、海響館の飼育槽を28億円で受注した三菱グループは、ペンギンハウスも20億円で決まっていると見られている。ペンギンハウスは、江島市長がにわかにつけた予算で、60億円以上という常識はずれの額ですすめられていたし尿汚泥処理施設のPFI事業が、談合疑惑ではずされた穴埋めと見られている。また200億円をかける市庁舎移転も動いている。
 江島体制を支えた小浜議長・林芳正派の企業であるサンデン交通グループも、赤字路線の補てんや下関競艇場の送迎バスなど、バスだけで約四億円が固定化されている。さらにサンデンハウジング、サンデン造園、山口合同ガス、新ホームなど、市財政に食い込んでいる関連企業を含めると、はかりしれない金額である。市財政はそうとうに逼迫し、学校はボロボロの校舎で使用禁止トイレで困りはてても放置し、ゴミ袋をはじめ市民の負担は大きくするなかで、大型箱物利権事業をさらにやろうというのである。
 近年の江島市政のやり方を見ると、神戸製鋼や三菱、JR西日本、サンデン交通などがさんざんに食いものにして、市民に付けを回すというものになっている。
 昨年初めの市長選挙で、江島市長は、市民からは嫌われたが、それを押さえつけて安倍事務所や林派これらの大企業に抱えられることによって当選することとなった。その後の姿勢は、自分を当選させたこれらのために粉骨砕身し、自分を嫌った市民をさんざんな目にあわせるという市政運営をしている。
 このデタラメ江島市政をつくった最大の後ろ盾となったのは誰がどう見ても安倍総理である。それはいまのようなデタラメ利権事業をやらせるためであったのか、まともな神経で見るなら安倍総理の責任がないとはいえない。
 下関市民を苦しめる市政の抑圧構造に対して、それをうち負かす力は市民の世論と運動である。市議選、参議院選挙に向けて市民の運動を各方面から強めることによって、権力の暴走を押しとどめ、市民の生活を守ることができる。

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