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売国・貧困・戦争政治と国民の対決
衆院選巡る本紙記者座談会
           国政縛る大衆の力発揮へ  2009年7月1日付

 衆議院選が近づいている。2005年に実施された郵政選挙以来、4年ぶりとなる今回の選挙は、自民党売国政治への審判が最大の注目点になっている。この数年来、新自由主義・市場原理改革によって、働いても食べられない国民がふえ、中小業者はなぎ倒されるばかり。農漁業は立ち行かなくなり、自治体合併で地方は疲弊。医療改革、教育改革、行財政改革等等、「改革」と名の付くものによって国の形そのものを変え、国民を徹底的に搾り上げる政治が横行してきた。社会の上積みに巣くっている大企業や外資ファンドは史上空前の利益をむさぼったが、サブプライムローン破綻をきっかけにガタガタに経済が崩壊。そのなかで、大企業ばかりが税金をわけ取りし、貧困と失業に拍車をかけ、戦争を引き起こそうとまでしている。記者座談会をもって情勢と選挙の争点について論議してみた。
  大衆的な世論の激変状況があるが、選挙情勢としてはどうだろうか。
  衆議院選に対する問題意識は鋭いし、どこへ行っても話題になる。「なんとしてもひっくり返さないといけない」「自民党に思い知らせないといけない!」という思いがうっ積している感じだ。参議院選時期の比ではない。28日に、小泉純一郎の地元である横須賀市長選で、33歳の青年が勝ったことも話題になっている。自民・公明に民主までが現職を応援し、小泉元首相が4回も応援に入り、おまけに「日共」集団の票割候補を立てながら、無所属新人に小泉一派が敗北した。「どこでも同じような現象が起こり得る」という実感が語られている。
  自民党中枢の危機感は相当なもののようだ。山口県内では選挙区から安倍晋三(元首相)、高村正彦(元外務大臣)、河村建夫(内閣官房長官)、山本繁太郎(元国土交通省キャリア)の4氏が出馬するわけだが、それぞれ必死になっている。山口4区では安倍代議士が市役所の各課を回ったり、シーモールの専門店街を歩き回って握手を求めたり、中小企業や商店、地域を戸別訪問して、「写真とりましょうか?」といってツーショット写真を撮ったりしている。その様子を見て、「政治の劣化を感じないわけにはいかない」と語る人もいる。28日には田母神・元航空幕僚長を呼んできて核武装論を説いていたが、聴衆があまりにも少なかったと話題だ。
  徳山あたりでも「高村が商店街を回ってきた」「今までにないことだ」などと驚かれていた。ポスター合戦もすごくて、街中に貼り付けている。各所で話をしてみると「民主党が素晴らしい」などという人はほとんどいない。語られているのは聞く耳ない自民党暴走政治への憤りであるし懲らしめろ! の機運がすごい。首相が空気が読めないとか、漢字が読めないうんぬんの次元ではなくて、「このままだと、国がぶっ壊される」という切実な思いがある。
  高齢者のなかでは「放っておいたら戦争が始まる」「“まさか”と思ったときは遅いのだ」という思いが語られている。この情勢のなかで、原爆展の反応を見てもわかるように、現実に戦争の接近を感じないわけにはいかないし、戦争政治との対決が大きな争点だ。

 国民の生活を破壊 郵政選挙後暴走に拍車・強行採決を連発
  4年前に郵政のインチキ選挙で議席を取って、小泉、安倍、福田、麻生と引き継いで、審判を受けないまま好き放題やってきた。これが最終的に戦争をやろうという方向に向いている。
  あの劇場型選挙で「刺客」とか「抵抗勢力」などとメディアが煽り立て、自民党は480議席のうち296議席を取った。公明党の31議席とあわせたら与党が327議席と、衆議院の3分の2以上の議席を獲得した。自民・公明の与党が獲得した得票数は3350万票、その他の野党の得票が3132万票とほぼ半半なのに、議席は327対153になったわけだ。自民党は83人の“小泉チルドレン”が誕生し、国会も翼賛化するなかで、バンバン強行採決を繰り返してきた。
  90年代半ばから始まっているのだが、とくに小泉内閣で段階を画したのが一連の構造改革だ。これがいかなるものだったのか、さめざめと論議になる。郵政民営化で350兆円もの金融資産を外資に投げ売りしようとするし、アメリカ資本に日本を食い物にさせる道だった。市場主義が煽られ、大資本や村上ファンドのような投機資本、さらに上部にいる外資がボロもうけしたが、お金が有り余って金融投機をやりまくった結果、破裂。実体経済にまで襲いかかって、今のような状態になっている。その間、みなは貧乏になって生活がままならなくなった。自殺者が毎年3万人を超え、10年で30万人以上が自殺で死ぬ。大戦争が起こっているのと同じ異常社会だ。広島、長崎の原爆で殺されたほどの人がこの10年間自殺という名の殺人で殺されている。
  小泉構造改革などといってきたが、史上空前の人殺し政治がやられてきたということだ。この10年間で「いざなぎ景気を超える好景気」があった。ところがその間、正規労働者が400万人も減り逆に非正規労働者が600万人増えた。労働者派遣法が改悪されたのが99年で04年には製造業への派遣を解禁。退職金もボーナスもない、福利厚生もまともにない、企業にとって使い勝手のよいモノ扱いの労働力を増やした結果、貧困層が格段に増え、好景気に沸いたカネは独占資本のもとに積み上がった。
  しまいには自民党清和会などが「1000万人の移民を受け入れて多民族国家にしよう!」と旗を振るまでになった。大企業からすると、内需とか国民が食えるかどうかはどうでもよくて、外需に依存して儲ける。そのために、いかに安い労働力で働かせるかしか念頭にない。ところが、外需もなくなって、戦争特需に期待となっている。
  “不良債権処理”も結局銀行から融資を締められて潰されたのは多くの中小企業だった。倒産件数は2000年代前半には約5000件だったのがグングン伸びて、08年には1万2000件を突破した。今の恐慌を見ても、ツケは中小企業や国民にみな転嫁している。全企業数のうち0・7%しかない大企業を優遇して、こちらはエコカーか何かの在庫処分を政府が援助する始末だ。中小企業の多くが仕事がないなかで歯を食いしばっているが、明日の運命は銀行次第といった感じで、融資が受けられないところからバタバタいっている。そこで働く従業員には家族がおり、生活がある。影響はすそ野に広がる。大企業は真っ先に非正規雇用を切り捨てて、若者が路頭に放り出されている。

 医療も介護も切り捨て高齢者狙い撃ち
  この10年来、老人医療の窓口負担が増えて年金は減額となった。介護保険料、厚生年金保険料、国民年金保険料などは軒並み引き上げて、その他に、所得税配偶者特別控除の廃止、住民税配偶者特別控除の廃止、定率減税廃止、高齢者の住民税増額、障害者の自己負担増額、生活保護母子加算の廃止、後期高齢者医療制度など、「改革」をやりまくった。その結果、年間にして約12兆〜13兆円が国民負担に転嫁された。とりわけ高齢者が狙い撃ちにされている。
  病気になっても医療費が高いから行きづらい。国保が払えず、保険証を取り上げられるとかの事例もザラだ。
  診療報酬削減などによって医者不足も深刻になり、地域医療が各地でパンクしている。儲けにならない公立病院は廃止・統合、あるいは民間への売却といった現象が出てきた。救急車でたらい回しになった挙げ句、死亡するといった例も珍しくない。小泉内閣のもとで社会保障費は抑制されて、2002年度から毎年2200億円削減されている。これがすごく影響している。
  加えて消費税だけでも年間にして約10兆円を巻き上げている。導入されたのが1989年だから、すでに20年にもなる。この間何がやられたかというと、2009年度の見込額も含めると総額にして約210兆円を国民から巻き上げた。そして法人税はトータルで約180兆円分減少した。これも大企業から個人に負担が転嫁されただけだ。法人税は年間15兆円に満たないのだが、「法人税をもっと下げろ。そのかわり、消費税は2011年度には10%にしろ」と主張しているのが経団連などの財界だ。10%になったら前金として払わされる中小企業などは、さらにバタバタ倒産するしかないし、生活が回らない。年間20兆円の税収にして、法人税は限りなく引き下げるというものだ。

 失業させて肉弾に 教育や労働の改革連動・戦争特需狙う
  貧困と失業がますます深刻になっている。ここで教育改革でバカづくりをするのも動物的な兵隊づくり、派遣法などで食えなくしてしまうのも、独占がボロ儲けするのとセットで兵隊づくりにつながっている。昔は農家の次男坊、三男坊が兵隊にかり出されたが、現在はワーキングプアが食っていくために自衛隊に入っていくというのが現実だ。各政党が翼賛化して、宗教勢力がファッショ化していくのも戦争直結。そしてメディアがウソばっかりやる。貧困、失業、抑圧のもとで戦争へ向かうのだ。
 独占からすると内需をぶち切っていって、外需でボロ儲けをしようとやってきたわけだが、頼みの外需も破綻して、どこに需要を求めるかとなっている。そこで期待するのが戦争特需であるし、軍需生産で儲けてやろうとなってきている。戦争ならば日本が買って出てやろうというのが、北朝鮮騒ぎを見てもわかるように自民党政府の対応だ。トヨタもエコカーくらいでは我慢できない。三菱などもつかみ取りの軍需利権で虎視眈眈だろう。
  下関港の1番の水揚げは飛行機の羽などをつくるアルミで、安い今の時期に買い込んで港に積み上げている。生産はしていないが、時期を待っているという。
  消費税も軍需生産の為だ。米軍再編に3兆円を負担するのと同じで、アメリカの軍需産業を1番儲けさせるのだ。F22は1機400億円もするという。アメリカ国内では150億円で調達しているものを破格の値段で売りつけようとしている。そしてアメリカが使うものよりもバージョンが低くて、機能を低めて部品を外す費用までぼったくられている。
  9・11以後、小泉政府がアフガン・イラクに侵攻するアメリカの軍事行動の肩代わりをやったが、安倍内閣になって、憲法改定のための国民投票法や、集団的自衛権の行使、防衛省昇格、教育基本法の改悪などを、「戦後レジームからの脱却」と称して強行した。ここでやられたのはアメリカ本土を守るための日本全土の軍事基地化であるし、米軍の下請としての自衛隊の海外派兵など、日本を戦争のできる国にする体制整備だった。いつの間にか有事法が整備され、盗聴法なども国会を通過。構造改革とセットで進められてきた。安倍内閣時期には通常国会で強行採決を17回もやって、一連の悪法を通した。「押しつけ憲法反対」といって「自主的にアメリカの戦争に総動員する」性質だ。

 宗教勢力の台頭も特徴 「改憲」などを主張
  ここにきて宗教勢力の台頭も特徴だろう。公明党・創価学会に続いて、幸福の科学が母体の幸福実現党が出馬する。4区では安倍晋三ポスターの横に「ポスターを貼らせてくれ」と運動員が頼み込んだりして話題になっている。主張としては「憲法9条を改正し、国の防衛権を定める」「日本の主要都市にミサイルを向けている中国や核ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、原子力潜水艦や人工衛星から防衛できる核抑止力を築く」「北朝鮮が核ミサイルを撃ち込む姿勢を明確にした場合、自衛隊がミサイル基地を攻撃する」などを正面からいっている。
  政教分離の原則なんてへのカッパの時勢だ。宗教は神様のお告げで、正しいか正しくないかは二の次で突っ走る。ファシズム勢力だ。戦前は、天皇のためといって皇国史観で戦争に突っ込んだ。それはいけないといって政教分離になったのだ。ブッシュは、キリスト教原理主義だ。アメリカでは「進化論を教えたらいけない」「キリスト教の創造論を教えろ」という、中世みたいなアホなことをいっている。猿から人間に進化したのではなくて、神が人間をつくったのだと教える。日本の教育でやられている生活科とも共通する。科学的に物事を捉え、判断していく力をつけさせるのではなくて、動物的な攻撃的自己中心をつくっている。これが戦争になったら人殺し要員として動員される。すさまじい世の中になってきた。小泉以来の自民党政治というのが、まさに日本ぶっつぶしの売国政治だったということだ。

 戦戦恐恐の安倍代議士 横須賀市長選も話題
  山口4区は全国的にも注目されている。安倍代議士はこの間の自民党政治を象徴する位置にいる。
  安倍本人が自分で選挙を仕切るのは、恐らく初めてなのではないか。この間、見たことないような露出作戦や宣伝をやり始めたが、やり方から見て安倍調であり、代議士の直接指揮で動いているのは疑いない。自画自賛の宣伝カーを見ても歴然だ。「しかり屋がいないのだ」といわれている。本人は見るからに必死だが、見る側からは「終わりになっているようだ」の声も上がっている。
  昨年4月末にあった衆院山口2区補選ともダブる光景だ。あの選挙も、放り投げた後の復活戦として、安倍代議士が陣頭指揮した末に自民党は敗北した。空母艦載機移転問題が最大の争点だったのはもちろんだが、当時は後期高齢者医療制度も実施されて怒り沸騰なのに、「後期高齢者医療制度は素晴らしいのです!」と秘書軍団が1軒1軒住民に説教して回って、喧嘩したりしていた。下関で教育改革や防衛省昇格を自慢している姿と似ている。
  国民ことに下関の市民が安倍氏の実力とか実績を知らないのが問題なので、何としても知らしめなければならない。まだ自慢しようが足りないというものだ。
  首相職を放り投げたことも忘れているようだ。アメリカに行ったら鼻息が荒くなってくる。東京から呼んでくる連中も下関に行けば好きな事をいえると勘違いしている。嶋倉君(文科省キャリアから天下っている下関教育長)も、櫻井よし子も、田母神も共通している。しかし聴衆が少ないのが難点となっている。
  山口4区は下関市から長門市に至る地域だ。とくに下関が大票田となる。この下関の安倍代理江島市政の14年の疲弊はすさまじいものがある。安倍氏が総理になる過程で、箱物利権のオンパレードで散々に食いつぶされてきた。この江島市政をやっと打倒して中尾市政を発足させたが、これもウソの公約で市民をだまし、当選したら公約破棄のオンパレード。江島市政の施策も人事もそのまま継承している。市民がそれに腹を立て一気に評判が落ちると、安倍、林代議士推薦文と安倍、林企業オンパレードで山口新聞3面分を使った中尾激励広告を出す始末。下関の市政は結局安倍、林代理なのだということを市民に思い知らせた。安倍、林代議士を懲らしめなければ下関は変わらないというのが市民のなかで語られている。
  小泉の地元の横須賀で、小泉代理現職が落選したのが大変評判だ。おまけに民主党までが相乗り推薦して民主党もザマがない。安倍選挙もおもしろくなってきたの意見が広がっている。
  ザマがないのは自民党だ。古賀誠が東国原の所に出馬お願いにいって、総裁候補なら出るなどといわれてザマがない姿をさらしている。政治のスゴミもないというか劣化した状況。
  衆議院選挙は、自民党と民主党の対決などというものではない。自民党惨敗となったら政界再編で、トリックが働いて新自民党ができて、国会多数のつっぱしりをやるのは間違いない。下関の中尾市政と一緒だ。しかし、この間売国、亡国政治をやってきた自民党の政治を断じて許さない国民の力を示すのが大事だ。その力がつぎの政府を縛り付ける力になる。国政を動かすのは、大衆の力だけだ。その力をこの選挙でどう強いものとしてあらわすかだ。
 小泉以来の貧困と反動と戦争の政治にたいする、独立、平和、繁栄の日本社会を求める人民大衆との対立だ。選挙ではこの国の根本的な進路をめぐる争点を鮮明にして、全国的な大衆運動としてたたかうことだ。

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