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「梅光の教育取戻せ」の声圧倒
同窓会総会に200人超が参加
               同窓生や保護者が思いぶつける     2016年5月18日付

 下関市にある梅光学院の経営・教育方針をめぐって、同窓生や保護者、生徒・学生と執行部の対立が鮮明になり、理事長の退任を求める署名が1万8000人集まっている。14日には同窓会総会(シーモールパレス・エメラルドの間)が開催され、現状を憂える同窓生ら200人以上がつめかけた。初めて本間理事長・中野学院長が出席し、同窓生や保護者の思いや疑問を直接ぶつける場となった。経営陣の受け答えは「はぐらかした」という印象を参加者に与えたが、総会全体は梅光の教育をとり戻すことを願う同窓生らの思いが圧倒するものとなった。
 
 一生の支えとなる伝統継承を

 同窓会を開催するに当たっては質疑の場をもうけようと、コール梅光(同窓生の合唱グループ)の演奏時間を短縮するなど急きょプログラムを変更。参加する同窓生らも構えて臨んでおり、当日には経過と問題点を整理した資料も配布された。
 挨拶に立ったM谷静枝会長は、昨年、佐藤泰正元学長が逝去したことにふれ、「梅光は地方の小さな私学だが、佐藤先生は“私学だけでも志がある学校でなければならない”という信念で70年間、梅光のため、学生・生徒、同窓会のために尽くしてこられた。研究者、文学者、キリスト者として捧げた生涯だった」とのべ、その志を学び受け継ぐことを強調した。
 現状について「梅光の教育を真剣にとりくもうとする指導者がいないと考えている。卒業生は人間として生きるときに大切なもの、立ち返るものを与えられて卒業した。それが梅光の宗教教育であり人間教育であった」とのべた。人口減少、少子高齢化は今に始まったものではなく、学院の定員割れは10年前から続いていること、中・高校は1200人いた生徒が400人を切っており、「改革は必要であるが、それが突如として過酷な、非情な方法でやられた」ことを指摘。「厚労省が注視しているような民間会社から人が派遣され、中・高では専任が11人、非常勤が4人、計15人がやめざるを得ない形でやめていった」と報告した。学院長・教職員が信頼関係を築きつつ教育第一の学校運営・経営をしてきた梅光100年の教育が忘れられている気がするとのべ、「梅光が教育をとり戻すため同窓生は支援しなければならない。それはいいなりになることではない。生徒・学生が梅光で学んでよかったといえる教育をしてもらわなければならない」と発言した。
 さらに、下関の人口が27万人を切り、市民の平均年収が290万円というなかで、月謝を払って私学に子どもを送るのは決意がいることであり、「とくに中・高は市民の信頼を失ったら成り立たない。同窓生、保護者、市民の方の信頼を得る改革をしていただきたい」「経営も大切だが一番大切なのは教育だ。すばらしい人と出会い、よい本を読み未知の世界にふれて感動する、こういうことから人は知識を重ね、人間性を磨いていくのだと思っている。そのような教育をとり戻してほしい」とのべた。
 続いて挨拶した中野新治学院長は、「相当な事実無根の風評が広がっている。大学はV字回復したが、その反面で悪いことも起きる。その対応で問題が起きたことは確かだし、お詫びする。責任をとってやめるべきだが事情があってそうはいかない。ここを乗り越えなければ梅光の未来がない」「中・高は経営的には完全に破綻している。毎年一億数千万円の赤字だ。そこに理事長は入ってこられた。火中の栗どころか火中の爆弾を拾う仕事をしてこられた」とのべ、「私が一千何百万円も給料をとるとか理事長が1500万円などの数字が入っているが、そんなことあるはずがない!」「中・高は大変よくなっている。胸を張ってこれがミッションスクールだといえる」とのべた。
 続いて本間政雄理事長は、「友人にもこの学院の立て直しは無理だといわれ」ながら、「只木統轄本部長の熱意と学院長の真摯な態度に打たれて」、一肌脱ごうと理事長に就任したことを強調。グローバル化が進むなかで財政難の梅光が他大学との競争に耐えられないことを力説し、「中・高校は先生の給料すら授業料でまかなえない状況だった。大学は学生数が増えたが、大学の教職員がいくら頑張ってもお金が入ってくるそばから出て行く」「残念ながら梅光学院はみんなその日暮らし、目の前の仕事を片付けているだけで、3年後、5年後の学院のことをだれも考えていない。だから私は梅光ビジョンを九カ月かけてつくったのだ」といった。そして「地元の新聞とか未来を考える会で、お金の使い道が不透明とか、私が高額な報酬をとっているといわれている。当初月額30万円ということで来たが、カットして21万円。ボーナスも退職金もない」「お金や名誉がほしくて理事長をやっていると思うのはとんでもない間違いだ」「このポストにいつまでも固執するつもりはない。批判は結構だが、なにかいうのだったら具体的な提案を出していただくのが条件だ」などと、終盤は語気を荒らげていた。
 その後、新たな同窓会長に片山宣子氏が就任した。片山氏は、梅光には卒業生が学校を訪ねてくる伝統があり、「一生の、とくに危機的な状況のときに梅光を思い出し立ち直れた人が多い」と紹介。「梅光は小さな塾から始まった。世の中に本当に役に立つ、しかも判断力のある、人間として正しく、隣人のために生きていく、そういうものを育てようというのが始まりだった。その精神はずっと受け継がれてきたと思う。今の世の中は進学率など、数字であらわされることが一番大切だという時代になり、資本主義はどこまでいくのだろうかという状況にまでなっている。梅光のような教育はなかなか受け入れてもらえないかもしれないが、逆に人間として一生を生きるときに“梅光の教育が自分を助けてくれた”という言葉は非常に意味の深い言葉だ。厳しいなかで経営し、判断するのは困難を極めることは理解するが、失ってほしくないものははっきりある」「小粒でもしっかりとした意志を持った、志を持った教育をしていく学校として残ってほしいと思っている。長崎から140年以上、下関にできて101年。その重みを大切にしていきたい」と挨拶し、今後の同窓会の姿勢を明確にした。

 生徒犠牲に進む「改革」 質疑応答で追及

 質疑応答の時間は10分あまりとなったが、そのなかで同窓生、保護者から質問や意見があいついだ。
 最初に9期卒業生が「本間先生は1年に何回くらい来られるのか」「今の梅光の現状を報告される方はどんな方か」と質問。本間理事長は、この1年はほぼ毎週来ていることに加え、金銭的な不透明さについて「いわれても仕方のないような事務進行のあり方はあった。コンプライアンス違反で労基署が入ることもあった」が、それが梅光の旧弊のせいで起こったかのような説明をしていた。再び同窓生が「風前の灯火の梅光に向き合ってもらうためには週に一度来る理事長を相手に立て直しはできない。学院長がもう少ししっかりしてもらわないと困る」と発言すると、「立て直しができないというが、この数字をどう評価するのか!」「抽象的な話は結構だ。具体的な数字で失敗したのかどうか、この数字を見て下さい」と感情的になっていた。
 同窓生で現役の保護者は、オンヌリ教会から中・高校の宗教主任が来たことへの疑問や、その発言に子どもたちが戸惑っていること、「改革、改革といわれるが、それが現在学んでいる子どもたちの犠牲のうえに成り立っていることや先生がいなくなる悲しみなどをどう考えているのか」と発言。
 娘が期待にあふれて梅光に入学したという保護者も、イースター礼拝の式次第に不思議な表現がたくさんあったこと、そこに記載されていたホームページを開くと、ファミリーインターナショナル(アメリカのカルト宗教)につながったことを発言。「間違いだとは思うが、おかしいと気づく人が今の梅光にいないということだ」と危惧を語った。
 保護者らの発言に対して中野学院長が、「生徒が悲しい思いをしたのは申し訳ないが、人事のことはだれが辞めるとかいえない状況だった」とか、オンヌリ教会について「キリスト教の内容についてカトリックもローマ教もあるし教えることも違っているが、基本的な考え方は聖書に基づいたものだ」などとのべたので会場はざわついた。宗教教育については、オンヌリ教会の背後には別のカルト集団がいるという話を出す参加者もおり、「本気で探したら梅光のために力を尽くしてくれる宗教の先生はいるのではないか」「日本の気持ちや言葉を大事にするような宗教主任を選んでほしい」などの意見も出た。
 また人事権の所在に質問が及ぶと、本間理事長は長長説明しながらも「私は非常勤なので学院長が事実上の決済をすべてやることになっている」といい、「経営責任を負っているのは理事長ですよね」と問われると、「梅光の場合は変則で、私と学院長が同じ権限を持っているが、私が毎日学校に来ていないので…」といい始め、司会に遮られる場面もあった。
 別の同窓生は、「梅光で私たちが感動したのは広津先生をはじめとして、人を育てることが教育の基本としてあったことだ。学生を育てるためには教員を育てることをもっとも大事なこととし、この小さな学校がたくさんの先生を国内留学させてきた。そういう学校だったことに誇りを持っている」とのべた。「今回外から人事に携わる会社を引き入れたのは、人事権を持った人が、私たちの学校が大事にしてきた学院の信頼関係を切るために、自分がその痛みを負うことを放棄したからではないか。自分が責任を負うことが嫌だったからブラック企業と同じように、人をモノとして扱えるところに委託して人事をおこなった結果ではないだろうか。それを一番不安に思う。教育がもっとも大事にしなければならないのは人間の信頼関係だ。その関係を断ち切るためにそういう力を使ったことがとても残念だし、そここそが私たちの学校の教育の大きな転換点になったのではないかという不安を抱く」とのべた。
 最後に一人が「中高の存続についてどのように考えるか」「丸山の校地についての考えと将来像は」「私たちが梅光をいかに愛しているかわかったと思う。こんな同窓会は初めてだ。署名も全国各地から1万8000人集まった。本間理事長はどのように受け止めているか」の3点を質問した。それに対して本間理事長が、「署名を屁とも思っていないということはない」が、自分たちがいかに愛を持って頑張っており、いかに誤った情報で署名活動がおこなわれているか、「経営方針を撤回してなにもしなければ2、3年で破綻し、全教職員が職を失うんだ」と、自身の他大学での業績も含めて力説していた。
 一部の総会が終わった後、保護者たちが本間理事長をひき止め、子どもたちに好かれていた教師をなぜあのような辞めさせ方をしたのか問いただしたりする場面もあった。母親たちは、新1年生が放置されていることや、教師が大幅にかわり手探り状態であることなど、新学期の状況を切実な思いで語っていた。

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