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米国に指図される「司令塔」
日本版NSC設置法案提出
              政府にCIA真似た諜報機関    2013年6月12日付

 株価乱高下の騒ぎに紛れて、先週末に安倍政府が米国の「国家安全保障会議」(NSC)を真似た「日本版NSC」を設置するための法案を国会に提出した。会期末の駆け込みで、次期国会での成立を目指す動きを見せている。外交や安全保障政策とかかわって司令塔になる組織とされ、首相、官房長官、外相、防衛相の4人を会議の司令塔に指名し、その下に専従スタッフ100人ほどを揃えた「国家安全保障局」を内閣官房に設置する内容になっている。第一次安倍政府の時期に米国ブッシュ政府からそそのかされ、その後も米国NSCと一体化した組織として機能する日本版NSCの設置が求められてきたが、今回の法案で盛り込まれている「国家安全保障局」の任務たるや情報収集で、米国政府の諜報機関であるCIA(中央情報局)や、ネットや通信傍受での覗(のぞ)き見趣味が暴露されたばかりのNSA(国家安全保障局)といった組織の、いわば日本支部を設置するような動きになっている。
 日本版NSCでは、司令塔4人による「4大臣会合」を定期的に開催して国家戦略を策定していくとしている。現有メンバーで見てみると安倍晋三、菅義偉、岸田文雄、小野寺五典の4人が「司令塔」になるというものだ。新たに安全保障担当の首相補佐官を常設し、さらに官房長官が指揮する国家安全保障局が内閣官房に設置され、省庁を飛び越えた強い権限を持って情報収集にあたるとしている。
 今のところ、日本版NSCがいかなる組織なのか、100人もスタッフを抱えて具体的に何をしようとしているのかは、漠然として明らかになっていない。ただ、ブッシュ政府が「対テロ」戦争を進めるにあたって日本政府に創設を要求し、米国本国のNSCとの一体的な運用、すなわちホワイトハウスの支店として機能することを願望してきたことや、こうした国会を飛び越えた「司令塔」の存在、国家警察的な組織の設置が、自衛隊が米軍の下請軍隊化するのとセットで進められてきたのは疑いのない事実で、官邸に軍事的な司令塔機能を強化することが狙いとなっている。
 母体となる米国本国では、情報・諜報活動をおこなう政府機関が幾つもあり、もっとも代表的なものとしては米国政府の諜報機関であるCIA(中央情報局)が世界を股にかけて諜報活動をしていることが知られている。また、国防総省の諜報機関で、主に通信関連の傍受を専門としているのがNSA(国家安全保障局)で、最近では一般人のパソコンや通信記録に至るまで情報収集していたことが発覚し、世間を賑わせている。
 安倍晋三は官房長官時代から、首相直轄の「対外情報機関」創設を掲げ、「日本版CIA」を内閣官房に設置することを目指してきた。「テロ」情報や外国の政治、軍事情勢の収集活動にあたる要員を育て、それらが米中央情報局(CIA)や英対外情報部(MI6)など各国の情報機関とも情報交換するなど連携体制を構築し、その要員としては警察、防衛省、内閣情報調査室、外務省などから人材を登用するというものだった。
 こうした動きの発端になったのは、日米同盟強化を合意した日米防衛政策見直し協議で、2005年に打ち出した「日米同盟:未来のための変革と再編」で、「部隊戦術レベルから戦略的な協議まで、政府のあらゆるレベルでの緊密かつ継続的な政策及び運用面の調整をおこなう」「部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至るまで情報共有及び情報協力をあらゆる範囲で向上させる」と合意したものの具体化として進められている。
 さっそく「官邸主導」といってホワイトハウスの真似事を始めたのが安倍晋三で、第一次安倍政府の時代にも「チーム安倍」といって盛り上がったあげく、お友だち内閣が空中分解した経験がある。その後も民主党の菅・野田政府が引き継ぎ、昨年末の衆院選で与党が入れ替わるよりも前に日本版NSCの設置は決定され、関連する秘密保全法の法制化も進められてきた。民主党政府であろうが、自民党政府であろうが、米国政府からの要求に従って進めてきたホワイトハウスの「支店化」といわなければならない。

 日本国民の弾圧を意図 「対テロ」口実に

 近年、「日米同盟の強化」「対テロ」を口実にしながら、警察国家・国民監視社会の整備が進められてきた。「治安維持法」の上をゆくといわれた「共謀罪」「盗聴法」の導入、さらに警察官の増員など、国民弾圧体制を何年来にわたって強化してきたのが特徴だ。単純に「犯罪」撲滅のためというよりも、国家と国民の関係において矛盾がますます深まり、権力者が国民の反乱を恐れる時代が到来したなかで起きている。
 すでに車はNシステムで日本中の道路を監視、高速道路はETCで利用状況を監視、盗聴法で警察は盗み聞きもやりたい放題、監視カメラが街のあちこちに設置され爆発的に普及された。便利と思った携帯電話は電波傍受が簡単なだけでなく、GPSが組みこまれて居場所が宇宙から丸見えとなり、国民総背番号制で一人一人の暮らしもデータベース化されていく。情報をすべて住基ネットのID番号で整理すれば、どの銀行のどこの端末からだれに送金したか、何円預入れ・払戻ししたかといったことまで、一挙手一頭足がすべて監視されることになる。
 さらに、それら国民生活の膨大な情報データが一本化され、アメリカのCIAがオフィスで閲覧することも可能なシステムに統合されていく。なんでもかんでも電子情報化するのとあわさって、「日本国民監視」体制がつくられようとしている。
 小泉改革以後、日本社会では格差社会の浸透、絶対的貧困化や社会の退廃状況を反映した犯罪、猟奇的な殺人事件などが確かに増えた。それを逆手にとって進められる弾圧体制の特徴は、国民弾圧そのものに向いており、「プライバシー保護」を叫びながら、最大の「覗き見」国家になる方向に進み、国民監視だけではなく海外に向かって情報収集に出かけていくCIAの手先まで、政府機関に設置するところまできた。
 米国政府がチーム安倍をアゴで使う機関のことを「日本版NSC」といっているにすぎない。国家を動かす「司令塔」の司令塔がホワイトハウスに置かれ、国会を否定してその機能を飛び越えて権限を持たせる動きになっている。

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