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米国の肉弾にするイラク新法
            最も危険な補給部隊として派兵  2003年6月12日付

 小泉政府が9日、米英占領軍のイラク鎮圧活動に自衛隊を派兵するため「イラク復興特別措置法案(イラク新法)」の概要をまとめ、今国会成立へむけた動きを本格化させた。13日に閣議決定し国会提出の予定。法成立をへて8月中にも派兵を狙っている。この自衛隊派兵はイラク国内で米英占領軍への襲撃事件が続発するなかで、米ブッシュ大統領が「米軍を支援するため陸上部隊を1000人派兵してほしい」と小泉政府に要求した。それは日本の青年を、もっとも狙われる物資補給部隊、さらには大量破壊兵器の処理要員とし、あげくは「襲撃を受ける米兵の身代わりで死にに行かせる」という屈辱的なものである。

  襲撃される米兵の身代わり
 小泉政府が成立を急ぐ自衛隊海外派兵のための法律は、国連平和維持活動(PKO)協力法(92年)、テロ特措法(01年)につづく3本目。イラク新法は、これまで「停戦合意。受け入れ国の同意。中立性(PKO協力法)」「受け入れ国の同意(テロ特措法)」が必要だった自衛隊派兵条件を「イラク国内は米英の同意。周辺国は受け入れ国の同意」と大幅緩和した。そのためアフガン戦争のときも米軍は「暫定政権」を発足させ「受け入れ国の同意」という形をとらざるをえなかった。だが今回は受け入れ国など関係なく、いったん米英軍が占領してしまえば、米英軍の要求にそって自衛隊を海外派兵できる前例をつくろうとしている。
 そのうえで活動内容を@イラク国民への生活関連物資の配布や医療・施設復旧・行政事務にかんする指導、A米英軍などへの医療・輸送・補給などの支援、B大量破壊兵器の収集・保管・処分――の3分野に定めた。それは米英軍の利益が第一となっている。小泉政府が売り物にする「イラク国民への支援」も、イラク国民に米英軍への感謝心を植えつけ、首尾よくばく大な石油利権をアメリカが手に入れるための宣撫工作にほかならない。それを日本の若者に下働きでさせるという屈辱的なものである。
 なお活動地域は「現に戦斗行為がおこなわれておらず活動期間をつうじて戦斗行為がおこなわれることがないと認められる非戦斗地域」と規定。イラク新法は4年間の時限立法で期間延長は可能。国会の事前承認は不要で、派兵命令から20日以内の事後承認が必要、としている。

  戦地への派兵が狙い
 このイラク新法で自衛隊を派遣するイラク国内は「戦斗行為は終結した」とブッシュ大統領が宣言したものの、治安はますます悪化し「非戦斗地域」などない状態にある。米占領軍へ怒りは高まる一方で米兵襲撃は2週間に10件以上のペース。しかも攻撃された米軍が腹立ちまぎれに住民に銃を乱射するなどし「全土が戦場」という状態はますます激しさを増している。 
 今月だけを見ても1日午後4時過ぎにバグダッドのアブ・ハニファ・モスク横の路上で米軍装甲車に手投げ弾のようなものが投げこまれ米兵2人が負傷。直後に米軍の応援部隊6台があらわれ、犯人の手がかりもないのに30分間も周囲の建物や路上に銃を乱射。米軍が近所の肉屋の男性(20歳)、モスクに近づこうとした信者(35歳)を撃ち殺し住民の怒りに火をつけている。
 バグダッドの北約90`の町バラドで3、4日の未明、幹線道路上で検問していた米兵が2日連続でロケット弾攻撃を受け、少なくとも1人が死亡。これは米軍が「バース党幹部が潜んでいる」という情報をもとに早朝、戦車や装甲車約20両で突然、部族長宅を包囲。部族長とその弟3人を拘束し、カラシニコフ銃などを押収し、武器狩りもひんぱんにおこなうなどの経緯のなかで起きた。
 真夜中に農家の捜索もおこない、フセイン政府に批判的な住民からも「フセインのころでもこんな手荒なまねをしなかった」と憤りが広がっている。
 バグダッド市内で3日におこなわれたイスラム教シーア派とスンニ派の合同反米デモでは数千人のデモ隊が米軍戦車前につめかけた。米兵が自動小銃を構えて見張るなか演壇に立ったイスラム聖職者は「イスラム女性に米兵が身体検査をやっている。今度やったら手を切り落としてやる。ブッシュはサダムと同じだ。米軍は出て行け」と叫んだ。
 イラク北部ティクリート近郊で7日朝、米軍部隊がロケット弾と小銃で襲撃を受け、米兵1人が死亡、4人が負傷している。
 すでに米英軍だけでは手に負えない状態で「韓国」、イタリア、デンマーク、チェコ、ポーランド、オーストラリアなどが合計約8000人の兵を治安維持で派兵。それでも治安は悪化するばかりである。米中央軍のマッキャナン司令官自身が「戦争は終わっていない。われわれは戦斗地域にいるのだ」と語る状況で「非戦斗地域」など線引きできる状態にないことは明らかである。ブッシュ大統領の「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(陸上部隊の派遣)の言葉は、そうした事情をよく知ったうえで、日本の若者を米兵の身代わりで肉弾にしようというものである。

  米軍の占領を支援
 こうしたイラクへ派兵された自衛隊はきわめて危険な活動にさらされることは確実である。しかも日本の国益のためでも世界平和のためでもなく、アメリカのイラク占領のためだけに動員される。
 小泉売国政府によるイラク新法の「イラク国民への物資支援」では敗戦直後に米兵がチューインガムやチョコレートをばらまき、あげくは「投げ銭事件」もひき起こして日本人を侮辱したのと同じ活動を、日本の青年にイラクでやらせるものであり、イラク国民にとってはきわめて屈辱的な許しがたい効果となる。そのほか保管、通信、建設、修理も重点にしているため、通信労働者、建設業者なども関係する問題となる。
 「米英軍への支援」は医療、輸送、補給が中心。アフガン戦争のときは海上での燃料補給にイージス艦の整備で民間大手の整備労働者が動員されたが、このたびは陸上派兵であり医療関係者、陸、海、空などの輸送労働者、軍車両のメンテナンス技術者など自衛隊以外に動員対象が広がることは疑いない。
 そのうえイラクで6月から再開された配給量は1人当り1カ月小麦粉9`、コメ3`、砂糖2`、植物油1`。この一部を売って野菜や肉を手に入れなければならない状況のなかで、生活はきびしい。
 そうしたなかで米英占領軍への怒りとともに戦斗でもっとも狙われるのは物資を持っており、しかも戦斗専門部隊ではなく攻略しやすい補給部隊である。
 さらに日本の自衛隊が任務とする「大量破壊兵器等の処理」は核兵器、化学兵器、生物兵器および毒素兵器の処理をする。
 しかも「大量破壊兵器等」には兵器類にとどまらず、「大量破壊兵器を運搬することができる射程距離150`bをこえるミサイルその他の運搬手段」「大量破壊兵器の散布のための装置」「大量破壊兵器の原材料および部品」「研究施設、開発施設、製造施設、その他の関連施設」をふくんでいる。それは「大量破壊兵器の恐れ」といって施設の破壊も自衛隊に強要するものである。
 イラク新法はイラク国民を支援するものでも日本の国益のためでもなくアメリカの石油利権のために日本の自衛隊を肉弾として戦地にかりたて、日本の国益を踏みにじるものである。

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