トップページへ戻る

米国の世界支配破綻へ
今年1年の国際情勢
              斗う人民が勝利する時代    2007年12月12日付

 この1年、世界は戦後史、とくに米ソ2極構造崩壊後の歴史の大きな転換点を迎えている。世界随一の軍事大国アメリカは、「テロとのたたかい」を掲げ、戦争やグローバル化による世界一極支配の道を暴走してきたが、今やイラクやアフガニスタンでの民族独立をめざす人民戦争によって大惨敗をきっした。中南米などの社会主義をめざす潮流、アジアから欧州、アフリカに至るグローバル化に反対する斗争の発展、さらにはサブプライムローンを契機にしたドル危機などによって、「帝国の崩壊」「アメリカの世紀の終わり」が叫ばれるようになった。日本でも世界の反米潮流の高揚と響きあって、アメリカの植民地的支配をうち破り、戦争も失業も貧困もない日本を求める世論と運動が盛り上がっている。
 ブッシュ米政府は、2001年の「9・11事件」を口実に日本を含む多くの「同盟国」を糾合して「反テロ戦争」を開始した。アフガンに次いでイラクに軍事侵攻し、主権国家の政府を転覆、100万人もの罪のない人人を殺し、傷つけた。両国に米軍だけで18万人を投入、イラクだけでも約6000億j(約69兆円)というベトナム戦争をはるかに上回る戦費を投じた。
 イラク開戦から4年半、イラク人民の武装抵抗斗争の発展で、米軍は戦場の主導権を失って今では首都バグダッドを守ることにきゅうきゅうとしている。中小都市を奪還しようと、今年初め約3万人の米兵を増派したが、失敗した。米兵死者は月平均100人を超え、開戦以来の死者は3900人に迫った。逃亡兵、自殺者、精神障害者も増える一方で、とても戦争ができる軍隊ではなくなっている。
 イラクの「民主化」と称してかいらい政府をでっちあげたが、アメリカが煽った「宗派間対立」や原油利権分配をめぐって分裂、機能不全に陥ってしまった。かいらい政府を操って戦後日本のような植民地支配を敷き、イラクの原油略奪、中東支配の基地にする野望をとげることもできなくなっている。
 イラク開戦の口実だった「大量破壊兵器保有」のウソもあまねく暴露され、占領も泥沼化するなかで、当初36カ国約2万8000人余りの軍隊を派遣した「有志連合」も瓦解の一途をたどり、派遣部隊を撤退または縮小し、アメリカと組んで先頭に立った英軍も、ピーク時の約8500人から2500人に減少した。「有志連合」の中心だった英国のブレア、イタリアのベルルスコーニ、スペインのアスナール、オーストラリアのハワード、それに日本の小泉、安倍ら各国首相は、各国人民に唾棄された。
 米英軍が侵攻して6年となるアフガンの状況もイラクと変わらない。米軍2万、国際治安部隊を名乗るNATO軍2万を投入、カルザイかいらい政府もでっちあげたが、占領支配ができない状態だ。広範な人民の反米感情がいやがうえにも高まるなかで、旧タリバンを中心に抵抗勢力が力を盛り返し、東南部から全土へとゲリラ戦線を拡大し、首都カブールもしばしばロケット攻撃を受けるようになっている。
 そのなかで、アメリカはNATO諸国に兵力増派を求めているが、各国政府も戦死者増加で国内世論の反対が高まることを恐れて増派をしぶり、わりと安全な北部地域駐留とかヘリコプター派遣でお茶を濁している。そこでブッシュ政府は今年初め、日本とオーストラリアに「地域復興支援チーム」の名目で派兵を求めたが、安倍とハワードの退陣で幻に終わった。さらに日本のインド洋での給油・補給活動も停止する羽目となった。

 パレスチナも斗争発展
 パレスチナでも、民族独立のために武力斗争も辞さないとする力が強まっている。アメリカとイスラエルが自治政府議長ら親米分子を抱き込んで、イスラム抵抗運動ハマスを「テロリスト」呼ばわりしアラブのいくつかの反動政府を巻き込んで独立運動を圧殺する陰謀をめぐらしている。イスラエルを使ってハマスの支配するガザ地区に対し、軍事攻撃や兵糧攻めをしているが、人民はあくまでイスラエルを承認せず、奪われた郷土の奪還によるパレスチナ国家建設をめざして斗争を堅持している。
 イラク、アフガン、パレスチナのたたかいは、人民が民族独立と自由の旗を掲げ、武器をとって侵略者とたたかい続けるならば必ず勝利できるという歴史の真理をあらためて証明している。また、その勝利は、ブッシュ政府が「テロとのたたかい」を掲げて、アメリカに逆らう国を武力で征服し、世界一極支配をとげようとした戦略を木っ端みじんに打ち砕き、今や「テロとのたたかい」に人民はおろか同盟国も動員できなくなっている。

 朝鮮政策も手直し 単独行動主義も破産
 それはアメリカの朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)やイランに対する政策転換にも見られる。ブッシュは02年の年頭教書で朝鮮、イラク、イランを「悪の枢軸」と呼び、核兵器による先制攻撃を公言した。朝鮮とイラクの核開発疑惑を煽りたて国連による何度もの制裁決議をしたうえ、軍事攻撃の布陣を敷いて恫喝をかけ続けた。
 だが現在朝鮮が60年にわたるアメリカの武力干渉と真向から対決し、みずから核兵器を持って侵略とたたかう意志を示したため、ブッシュ政府は政策転換を余儀なくされた。朝鮮の核無能力化を条件としてではあるが、アメリカはテロ支援国家指定の解除、「対敵国輸出禁止令」の解除を約束し、朝鮮との休戦協定を平和協定に変える方向をとらざるをえなくなった。
 イランに対しても先日、米情報機関に「イランが03年秋に核兵器開発を停止していた」とする機密情報を公開させた。ブッシュは「対イラン政策を変えるものではない」と強弁しており、国連安保理での3度目の制裁決議も準備するとしているが、それが強権一本槍の政策転換の布石であることは明らかである。
 最近、アメリカ支配層中枢の意向を代弁するシンクタンクがブッシュの軍事偏重を批判して、「アメ」と「ムチ」の2面政策を併用することを提言していることは、それを裏書きしている。帝国主義が「アメ」と「ムチ」を併用するのは常套手段であり、警戒を解くわけにはいかないが、軍事力を過信して他国をアメリカのいいなりにさせようとした「単独行動主義」が大破たんをきたし、手直しせざるをえなくなったことはまちがいない。

 中南米支配も瓦解 グローバル化との斗いが流れに・東欧にも波及
 一方、アメリカは米ソ二極構造崩壊後、「世界をアメリカ化」するグローバル化を進めてきた。イラクやアフガンでの戦争も軍事力でそれを進めるものだった。アメリカが「裏庭」としてきた中南米、社会主義を転覆した東欧諸国、欧州連合(EU)諸国では、市場原理主義にもとづく「新自由主義」と称してそれを進めたが、今やそれとたたかう流れが中南米を中心に強力となっている。
 南米ベネズエラでチャベス政府が生まれ、「ボリバル革命」を掲げて米欧支配から脱却し、豊富な資源をとりもどして貧困を解消し、「21世紀の社会主義」をめざす動きが大きな流れとなっている。キューバやボリビア、エクアドル、ニカラグアなどと政治的経済的に固く連携し、さらに南米諸国の経済一体化をめざす南米共同市場の創設など、アメリカの中南米支配の枠組みを突き破る斗争が始まっている。
 1990年代の金融危機に乗じて、国際通貨基金(IMF)と世界銀行が「新自由主義」を南米各国に押しつけ、経済の停滞、人民の貧困を加速させた。ベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、エクアドル、ウルグアイなどはIMFへの債務を完済したうえ、この九日には独自の金融機関「南の銀行」を創設、IMFや世銀に頼らずに相互金融支援で経済発展をはかる保証をつくった。
 また、今年3月の南米エネルギー首脳会議は、エネルギー共同開発計画などを討議し、天然ガスに関する新機構を発足させることを決めるなど、アメリカのエネルギー支配をうち破る方向を確認した。すでに、ベネズエラ、ボリビアなどが他の南米諸国に天然ガスを供給するパイプライン敷設もスタートしている。
 南米南部共同市場や南米共同市場も発足しており、アメリカ主導の米州自由貿易圏構想(FTAA)に対抗して、南米諸国が相互支援、有無相通じる経済協力の体制がつくられつつある。
 アメリカとEUは東欧諸国に対して、EUやNATO参加を条件に市場原理主義による経済、軍事基地建設などを押しつけてきた。だが、資本主義化は勤労人民に低賃金や社会保障切り捨て、増税などによる極度の貧困をもたらし、ストやデモが起こるようになっている。また親米欧政府はこの間、イラクに派兵したり、ポーランドとチェコにミサイル防衛(MD)基地やルーマニア、ブルガリアに米軍基地建設を企んでいる。
 人民の反米機運が盛り上がるなかで、東欧諸国は相次いでイラクから撤兵し、2400人を派兵していたポーランドも先に発足した新政府が来年末までに全面撤退すると表明した。MD基地建設計画に対して、アメリカのための戦場にはしないという世論や運動が高まり、ポーランド政府が「慎重に検討する」と表明、頓挫しかねないすう勢となっている。
 米欧諸国でも、中東やアジア、中南米、東欧などの市場原理主義や侵略戦争反対の斗争と響きあって、斗争が新しい様相をもって発展している。

 米本国で反戦斗争発展
 アメリカ本国では、イラクからの米軍撤退を求める数万数十万規模の集会・デモがくり返したたかわれている。その先頭にイラク帰還兵や現役兵士、その家族らが立つようになっており、イラク侵略のウソがあばかれている。また労働者などが、賃上げ、医療費負担や教育費負担の軽減要求と結びつけて、イラク戦争に反対していることが特徴となっている。
 イギリスでも、大規模なイラク戦争反対運動が展開されるなかで、「ブッシュのプードル犬」ブレアが辞任に追い込まれ、イラクからの英軍撤退、縮小が始まっている。イタリアでも、イラクに大量派兵していたベルルスコーニ首相が退陣させられ、撤兵が進むと同時に、米軍基地拡張に反対する10万人デモが起こっている。
 こうした反戦運動の発展と呼応して、欧州各国でグローバル化による規制緩和、自由化、民営化に反対するストライキなどが多発している。イギリスの郵便労働者、フランスやドイツの国鉄労働者、ベルギーのGM傘下労働者、フランスやポルトガルの公務員などの首切り、賃金カット、年金支給引き下げ反対斗争はその代表的なものである。

 経済支配も危機に 住宅バブルはじけ・各地で金融不安
 米ソ二極構造崩壊を「資本主義の勝利、社会主義の終えん」などといって、アメリカ一極支配の「世界新秩序」をめざしたアメリカの暴走は世界人民の反米斗争によって八方塞がりとなり、超大国の地位から転落の一途をたどっている。それは、ITバブルに次ぐ住宅バブルがはじけて世界各地で金融不安をひき起こし、世界経済恐慌の呼び水になろうとしていることに端的にあらわれている。
 住宅バブルは、01年の恐慌からの脱出策だった。独占財団は、中南米からの移民や低所得者向けの「サブプライムローン」を開発して、そこに活路を求めた。
 住宅ローン会社は、その債権を高利回りの証券の形で売り出し、それを投機の対象にした。だが、そのローン金利の上昇と住宅転売がままならなくなったため移民や低所得層の利払い、元金返済の焦げ付きや家屋差し押さえが多発し始めた。現時点で約100万戸の住宅が差し押さえられ、推定約1000億j(約12兆円)が焦げ付いた。このため膨大な高利回り証券の1部が、利子保証もない紙切れ同然となり、これに投機していた米欧の金融機関やヘッジファンド(国際投機集団)などが巨額の損失を出して破産したり、経営危機に陥った。ニューヨーク株式市場が7月末に株価下落したことをきっかけに世界的な連鎖株下落となった。
 サブプライムローンで融資を受けているのは625万人、融資残高は1兆3000億j(約156兆円)にのぼっており、焦げ付きがどれほどになるか見当もつかない状況となっている。各国政府や金融当局は、巨額の焦げ付きをかかえた銀行などに数10兆円規模の資金をつぎ込んだが、欧州の銀行ではとりつけ騒ぎが始まっている。
 こうした金融危機の根源は世界的な生産過剰を土台にしており、米日欧の銀行、証券、生命保険などの金融機関や大企業、多国籍企業は投資先のない巨額の資金を投資に回し、ヘッジファンドなどを使って世界であぶく銭を稼ぐようになっていることである。1997〜98年のアジアからロシア、ブラジルをへてアメリカ本国に至った通貨・金融危機は、まさに金融経済が実物経済を振り回す転倒した時代に入ったことを示した。
 それは世界資本主義が寄生的で悪臭を放つものに落ちぶれた証拠であった。とくにその中心にあったアメリカでは、GMなど3大自動車メーカーが経営困難となり、情報通信資本が国内部門を閉鎖して、インド、ベトナム、中国をはじめとするアジア各国に移転し、みずからは生産活動より金融投機を膨張させた。
 これがグローバリゼーションの結果でもあった。製造業や建設業中心に成長するアジアの新興国が世界経済の重心になりつつある。そのなかで、欧州やアジアの経済統合が進み、アメリカの支配権は弱体化している。ドルの基軸通貨としての地位が低下し、ユーロが第2の基軸通貨となりつつある。アラブやアジアの1部の国は、外貨準備を次第にドルからユーロへと移し始めている。先日の石油輸出機構(OPEC)総会もドル決済を別の通貨にかえることを検討するとなった。まさに戦後世界をずっと支配してきた「ドル帝国」の黄昏が始まったのである。

トップページへ戻る