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米国の戦争に尽くすメディア
昔大本営、今ペンタゴン
                     TPP、尖閣、原発等      2013年2月20日付     

 安倍首相の訪米を前に、「日米同盟強化」「TPP交渉決断の時」「北朝鮮、中国への毅然とした対応を」「オバマ大統領に期待」など、商業マスコミの統一論調が露骨になっている。とくに最近の尖閣諸島をめぐる騒ぎ、朝鮮の核実験をめぐって戦争を煽る報道の異常さは大本営発表を想起させるものとして強い違和感を広げている。東日本大震災と福島原発事故は、新聞、テレビ、ラジオなどが「不偏不党」「公正中立」を掲げて、いかにしらじらしいウソをついて国民をだましてきたかを万人の目に焼き付けた。戦争とそれにつながる国民生活の死活をかけた問題で、マスコミが常にウソを報道し、あるいは問題をすりかえて欺瞞し、多くの国民の生命を奪い国を破滅に導いてきた歴史を消し去ることはできない。対米従属下でのマスメディアが果たす犯罪的な役割は今やすっかり暴露され、その欺瞞は通用しなくなっている。
 『朝日新聞』と『毎日新聞』は同じ15日付の社説で、安倍首相が訪米時にオバマ大統領に対して、TPP交渉への参加を表明すべきだと主張する論陣を張った。その前に『読売』が「首相はTPP参加へカジ切れ」(2月8日付社説)と書いたことに呼応するものである。
 『朝日』は「TPP交渉 主体的に関わってこそ」と題して、「まもなく日米首脳会談が開かれる。絶好の機会ではないか。安倍首相は交渉への参加を表明すべきだ」「オバマ氏の言質を取ろうと躍起になるより、新たなルール作りに主体的にかかわっていくべきではないか」とけしかけている。『毎日』は「安倍晋三首相は、今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談で参加の意向を示すべく、リーダーシップを発揮すべきだ」と主張している。
 マスメディアはこれまで、TPPについては「メリット」「デメリット」などいって、折衷的な装いで交渉への道を清めてきた。だが、農協を「守旧勢力」と憎悪を込めてターゲットにする問題のすりかえで、日本の主権を売り渡し社会の全分野を解体させる道を突っ走るようハッパをかけている。
 それは、「オバマ大統領 断固たる北朝鮮対応を」(『朝日』13日付社説)、「北朝鮮核実験/孤立国家に未来はない」(『毎日』14日付社説)、「オバマ演説 “北の核”対処へ行動が肝心だ」(『読売』14日付社説)など、日米軍事同盟を強化しアメリカの国益のための中国・朝鮮との核戦争の出撃基地に、つまり報復攻撃の的として日本全土を捧げるよう導いていく売国的な主張と一つながりのものである。
 それはまた、「核実験と昨年末の弾道ミサイル発射で、米国にも現実的な脅威が及んだ。大統領が言うように、日米をはじめ同盟国の結束が不可欠だ」(『毎日』)というように、どこの国の新聞の論調かとみまがうほどオバマの下僕としての姿をあらわにするものとなっている。
 こうした論調は、一方でテレビの報道バラエティー番組で、あるいは週刊誌や雑誌で、アメリカにひざまづく一方で「北の脅威」「中国の暴挙」を間断なく煽って好戦的な雰囲気をつくることと連動して生み出されてきた。

 根本問題をそらす役割 原発も基地も

 3・11の東日本大震災と福島原発事故は、マスメディアが電力会社、政府・官僚、御用学者と癒着(ゆちゃく)し、「安全神話」を垂れ流して原発推進の旗振りをしてきた犯罪とその構図をいかんなく暴露することとなった。そのことが国民の圧倒的な批判と怒りを買うと、新聞特集やテレビのニュース番組で政府の事故対応や「原子力ムラ」批判のポーズをとって見せるが、広島・長崎に原爆を投下したアメリカが、地震大国日本に54基もの原発を林立させた犯罪をあばき、圧倒的多数の国民が求めるようにすべての原発運転に反対するために論陣を張ることだけは避けた。
 それは、大飯原発の再稼働反対を掲げた首相官邸包囲の十数万人デモが連続していることを覆い隠したり、原発立地点の地質調査の成否などに問題をすりかえはぐらかしてきたことにもはっきりと示されている。ここでも、その背景に、アメリカの圧力があったことが暴露されている。
 沖縄米軍基地の辺野古移設、オスプレイ配備、消費増税や被災地復興をめぐる新聞、テレビの報道から真実味を感じることはできない。そこで浮き彫りにされるのは、窮地に立つアメリカや政府・財界の側からなだめすかしたりはするが、住民の実際の生活の苦難やたたかいについてはほおかむりする姿である。
 それは「劇場型選挙」を演出して小泉・竹中路線による「郵政民営化」に誘導、「規制改革」を金科玉条にしてアメリカの収奪に道を開き、格差拡大、失業、貧困、戦争の政治を推進する役割を果たしてきたことと一体のものである。事実、マスメディアは国公立の大学・病院などの「独法化」やアメリカ型訴訟社会をモデルにした「司法改革」など市場原理「改革」を称揚し、それに反対するものは時代遅れの「守旧派」であるといって、実はすでに破綻済みのもっと反動的な「新自由主義」の宣伝を休むことなくやってきた。
 大手新聞の世論調査のインチキは、アメリカによる首相の首のすげ替えに貢献してきたことに暴露されている。国民の反撃世論が高まり政府が死に体となれば、それに迎合するかのように内閣支持率低下を伝え、謀略的な選挙報道を展開する。そして、新しく担ぎあげた政府には高い支持率を与えて期待を持たせるように仕組んできた。
 それは、わずか16%しか得票せずに大量の議席を得た安倍自民党の「圧勝」ムードをふりまき、アベノミクスへの期待と幻想をふりまくことで、高い内閣支持率をはじきだす姑息(こそく)なやり方に共通するものである。
 最近のマスメディアの犯罪として、大津いじめ事件、桜宮高校体罰事件など教育現場をめぐる異様なキャンペーンがあげられる。これは、「いじめ自殺」「体罰」を教育の外側からセンセーショナルにとりあげ、教師と子どもとの血の通った信頼関係を破壊し、父母と教師を対立させて警察や行政を介在させていく方向に道を開くためのものであった。
 このキャンペーンは、戦前の学校現場に配属将校を配置し教師を萎縮させたうえに、子どもたちを戦争にかり出していった経験を人人に想起させている。当時は天皇制・皇国史観の教育で「御国のため」に「日の丸」を掲げて子どもたちが兵隊にかり出されたが、今は自己中心の新自由主義教育で星条旗のもとで戦争の肉弾に動員されようとしていることへの人人の警戒心を、高めさせることとなった。
 マスメディアが日本国民の命運にかかわる重要な問題で、幾千万大衆の利益の側に立ったことは一度もなかった。このことは日本のマスコミが戦前、天皇制軍国主義の戦争を鼓吹し、戦後は一貫してアメリカの戦争を支持し推進する宣伝機関として存在してきたことにはっきりと示されている。

 戦後も戦争動員繰返す 今度は米国の手先で

 第2次世界大戦で、『朝日』やNHKは国民を戦争に動員するためにすべての力を注いだ。1931(昭和6)年の満州事変の発端は、日本の謀略による鉄道爆破であった。新聞・ラジオは「中国軍による満鉄線路爆破」の政府発表を意図的に流し、「暴支膺懲」(横暴な支那を懲らしめよ)の風潮を煽り、1937(昭和12)年の中国侵略戦争の泥沼に突入していくよう導いた。
 そして、中国での戦争の敗北が決定的となるや、「鬼畜米英」「一億玉砕」のかけ声で、敗北しひれ伏すことを念頭においたアメリカとの戦争に国民をだまして総動員し、戦局はウソ偽りの「大本営発表」をそのまま垂れ流した。そうして、原爆投下や空襲、沖縄戦、戦地で320万の国民を殺りくするにまかせたのである。
 『朝日』『毎日』『読売』やNHKは戦後、こうしたみずからの戦争犯罪を反省するのではなく、軍部や「戦争に熱狂した国民」のせいであったかのようにふるまってきた。そして、今度はその汚れた手でアメリカの戦争の旗を振り、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン、イラク戦争など、あいつぐアメリカの戦争を正義の戦争として美しく描き、対米従属下の軍備増強、日米共同作戦体制への協力を、国民に強いるようふりまいてきた。
 イラク戦争は、「フセインはアルカイダと関係がある」「大量破壊兵器を持っている」という口実を大義名分にして、米軍の大空爆と侵攻がやられた。日本のマスメディアは、その途上、CNNニュースなどアメリカ報道機関、ロイターなど通信社が流す情報をなんの裏づけをとることなく、そのまま「ほんとう」のことであるかのように垂れ流した。そして、米軍のバグダッド侵攻を「民主主義の勝利」として大いに称えた。
 その後、大量破壊兵器はなかったこと、フセインはアルカイダと無関係であったことが、アメリカ上院で公式に確認された。それにもかかわらず、マスメディアがそのことを批判・検証したことはなかった。それはベトナム戦争の契機となった「トンキン湾事件」の謀略が判明したときも同様であった。
 森口尚史・特任研究員の「iPS細胞応用臨床ねつ造」事件や「あるある大事典」などバラエティー番組でのねつ造や誤報は大騒ぎするが、もっとも深刻なアメリカの戦争をめぐる「誤報」については、口をつぐんだままである。
 「昔大本営、今ペンタゴン」といわれるゆえんである。
 日本のマスメディアが他に類をみないまでにアメリカの宣伝機関に成り下がった構図は、第2次世界大戦後アメリカの占領期に形成されたものであることが、近年の歴史研究のなかでも明らかにされてきた。
 GHQは日本占領後、原爆投下などアメリカを批判する言論を一切封じる「プレスコード」を発令し、ラジオ・新聞に直接介入し、雑誌、書簡の検閲をおこない、違反者を厳罰に処して恫喝を加えた。『朝日』『NHK』などがその先頭に立って、「内部規範」を作製して自主規制をおこなってきたこと、それが占領後も続いてきたことも明らかになっている。
 また、アメリカのCIA(中央情報局)が、戦前『朝日』の主幹で戦犯とされた緒方竹虎と、同じく読売新聞社主の正力松太郎を「暗号名を持つ有力なエージェント」に組織して、アメリカの原発受け入れとともに、アメリカ文化を日本に注入していったことも暴露されている。
 メディア研究者の有山輝雄・東京経済大学教授は、「日本のジャーナリズムが、戦前も戦後も言論報道の統制にひたすら適応することに専念していたことが如実にうかがえる」と指摘している。
 大手マスコミの報道が信用できるものではないというのが、国民的な常識となり、中学校でさえ、メディアリテラシー(メディアを批判的にとらえる教育)を「新聞教育」としてカリキュラムにとり入れるまでになった。それほどウソがはびこっているのである。
 このことは、アメリカや売国的な支配層がもはや、真理真実を代表できるものではなく、ウソやハッタリで人人をだます以外にやっていけないこと、その代弁機関としてのマスメディアの極度の腐敗、腐朽を示すものである。
 それは、歴史を創造する原動力である生産人民のなかにこそなにものにもかえがたい真実があること、そこに流れる新しい時代を代表する世論を組織し、腐れ切った支配階級のデマゴギーをあばいて勝利させる大衆的な言論機関の必要性とその重大な歴史的役割を教えるものとなっている。

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