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総選挙の争点
米国の下請戦争策動に審判
                  アジアと友好か敵視か       2005年8月18日付

 小泉首相は8月15日の靖国参拝をせず、「戦後60年の談話」を出して「かつて植民地支配と侵略によってアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えた」「改めて痛切な反省とおわびの気持ちを表明する」といった。「小泉の二枚舌」はだれもが知るところとなり、選挙を意識したパフォーマンスであるが、それは外交と軍事が重要な争点であり、しかも危機意識であることをあらわしている。小泉は登場後の四年間、ブッシュの飼い犬のようなふるまいで、朝鮮、中国を敵国とした核攻撃態勢に加担する道をすすめ、ブッシュ政府の指図で自衛隊のインド洋、イラク派遣をやり、戦時法制化をすすめてきた。アメリカ追従一本やりの外交で、アジアだけではなく世界で独立国の外交とはみなされず、笑いものとなってきた。アメリカの国益のために日本を下請戦争に動員するという問題は、総選挙の最大争点である。

  行詰まり象徴するイラク派兵
 軍事外交面での行きづまりを象徴するのは自衛隊のイラク派兵である。中東・アラブ諸国に強かった平和国家日本への信頼を投げ捨てて、アメリカの「大量破壊兵器」「アルカイダとの関係」などのウソの大義名分に踊り、陸海空自衛隊を1000人規模で参戦させた。イラク国内、各国での反米斗争が盛り上がり、欧州、中南米などの各国がのきなみ撤兵するなかで、小泉政府だけはズルズルと「派遣延長」を重ね、にっちもさっちもいかなくなっている。
 アフガニスタンへの戦争も「対テロ戦争を支援する」と声高に叫んで海上自衛隊を「無償給油支援」で派兵。泥沼状態に陥ったのは米軍の方で、海上自衛隊は窮地に立つ米軍を支援しつづける状態となった。
 小泉首相は就任直後の2001年9月にNYテロ事件が起きると、一週間後に自衛隊の海外派兵を決定。すぐ訪米し「米国への可能な限りの貢献とそのための新法を準備している」とブッシュ大統領に表明。翌10月に「テロとたたかう行動を支持する」とのべ、テロ関連三法(テロ特措法、自衛隊法改正、海上保安庁法改正)」を成立させた。11月には「情報収集のため」と海上自衛隊を派兵。12月から米艦船への無償洋上給油を開始した。
 首都カブールやタリバンの根拠地カンダハルが陥落するとPKO協力法を改悪。PKF本隊業務への参加凍結を解除し武器使用の制約を緩和した。
 イラク戦争の前段ではアフガン戦争に派遣されたアメリカのイージス艦をイラク攻撃に回すため、小泉政府はイージス艦「きりしま」をインド洋に派遣。米英軍がイラク戦争を開始すると「ブッシュ大統領を支持する」と即座に表明した。
 ブッシュ大統領が一般教書演説で「北朝鮮、イラク、イランは悪の枢軸」と断定したことに対応し、小泉政府は有事関連三法を国会に提出。03年に自衛隊による土地強制接収などを認める自衛隊法改悪、武力攻撃事態法などを盛りこんだ有事三法、イラク特別措置法を成立させ、テロ特措法は2年延長した。
 航空自衛隊のC130輸送機を中東に出発させ、川口外相(当時)は「イラク支援」は07年までに計50億j(約5500億円)の拠出を表明。防衛庁はイラク派遣の自衛隊員は手当を1日3万円にし、弔慰金の最高限度額を9000万円(これまでは6000万円)にする方針を決めた。
 そして04年1月、小泉政府は、イラクで窮地に陥って派兵を要求するブッシュと、圧倒的な国内の派遣反対世論のなか、顔を引きつらせて陸上自衛隊本隊のイラク派遣を強行した。小泉は派遣理由について「反テロ」「大量破壊兵器」「非戦斗地域だから」「憲法違反ではない」「人道支援」「国際貢献」などしどろもどろの答弁をくり返し「戦斗行為に参加しない」が「100%安全とはいえない」とのべ、ひんしゅくを買った。「日米同盟・国際協調を行動で示すのがみなさん方」と派兵命令を出し、1100人規模の陸海空三自衛隊を出発させた。
 右も左もわからぬイラクで、自衛隊が自力で判断したり動くことはできない。イラク・サマワへの派兵は米軍の下請軍隊として参戦する前例をつくるものだった。
 国内では戦時動員を具体化した有事関連七法成立など戦時国家体制づくりを強行した。有事関連七法は国民保護法、米軍支援法、外国軍用品海上輸送規制法、国際人道法違反行為処罰法、捕虜等取扱法、特定公共施設等利用法、自衛隊法改悪の七法からなる。国民保護法で国や県が食糧などを強制的に接収できる戦時総動員体制を規定し、米軍支援法で米軍が自由に陣地や輸送道路をつくれるようにした。外国軍用品海上輸送規制法で、「有事」になれば外国船の積み荷押収や警告射撃を可能にした。特定公共施設等利用法で自衛隊が港や飛行場を優先的に使えるようにした。
 小泉首相は有事法をめぐる論議のさい「自衛隊がわが国の平和と独立を守る軍隊であることが正正堂堂といえるように将来、憲法改正が望ましいという気持ちを持っている。いずれ憲法でも自衛隊を軍隊と認めて、違憲だ、合憲だという不毛な議論をすることなしに、日本の国を守る、日本の独立を守る戦斗組織にたいして、しかるべき、名誉と地位を与える時期が来ると確信している」とのべている。行き着く先は、自衛隊をアメリカの下請軍隊にし、日本全体をアメリカの国益の戦争に総動員する道だった。

 日本犠牲にする「安保」 米軍再編でも露呈
 昨年9月ごろから、米政府が世界規模の米軍再編をすすめ、小泉政府が新「防衛大綱」作成を急ぐなかで、新たな「安保共同宣言」(新安保宣言)発表にむけた調整を本格化させた。米軍再編はイラクなどで死者が続出している米軍陸上部隊をへらし空や海からの攻撃能力を増強するのが眼目。米陸軍の司令部機能を日本に移し、自衛隊を米軍のかわりに指揮するものである。
 日米会談で「われわれの欲求不満は強まっている。いつまでこんな重要な問題をひきのばすのか(ローレス米国防副次官補)」としかりとばされた小泉首相は「沖縄県に過重な米軍の基地の負担があるんだから、その点は日本国民全体で考えていかなければならない」とのべ、米軍再編に協力することを約束した。
 明るみに出た米国の要求はワシントンの米陸軍第一軍団司令部をキャンプ座間(神奈川県)へ移転させ、厚木基地(神奈川県)を岩国基地(山口県)へ移転させる計画。米軍司令部移転にとどまらず、厚木基地機能を米軍岩国基地に増設し、被爆地である広島湾一帯を米軍の核攻撃基地にする屈辱的な内容であった。
 小泉政府は年末に新「防衛大綱」をつくり、陸上戦に備えた軍備を増強したうえ「国際貢献を自衛隊の主任務」とし日本の自衛隊を米軍の肉弾として投入する態勢を整えた。今年からは、中国や朝鮮を敵視する米国との「共通戦略目標」にもとづき、アジア諸国との敵対をあおり、対中戦争準備を加速している。
 今月はじめに発表した2005年版防衛白書では、中国や朝鮮など近隣のアジア諸国への敵意をむき出しにした。アジア太平洋の軍事情勢の項で、中国の「核・ミサイル戦力や海空軍力の近代化」や朝鮮の「核兵器計画」にふれ、「新たな脅威」は「抑止を前提とした従来の考えでは対応に限界がある」とのべ「専守防衛」を覆し先制攻撃態勢をとることを明記した。
 「日米安保体制は、わが国の安全やアジア太平洋地域の平和と安定を維持するために不可欠。在日米軍再編協議は抑止力を維持する」と記述。白書の元となった新防衛大綱は「核兵器の脅威には米国の核抑止力に依存」とのべ、日米両政府の意図がアジアにおける原水爆戦争準備にあったことを暴露した。
 日米安保条約と在日米軍は日本の安全を保障するというのがたてまえであるが、米軍はアメリカの国益のためにアジア・中東・世界で戦争をやるためにいるのは明らかで、自衛隊はアメリカの戦争のための下請軍隊であり、日本はアメリカ防衛の不沈空母にほかならないという関係がますます露骨なものとなってあらわれた。それは多国籍化した日本の独占大企業が世界に広がった権益をアメリカの軍事力に頼って守るために、日本全土を犠牲にするというものにほかならない。

  侵略の道すすみ破綻 独立国の外交も放棄
 小泉外交は、アメリカ追随をするばかりで、独立国としての外交戦略などなく、中国、朝鮮はじめアジア諸国からも、同じ敗戦国であるドイツからも、ヨーロッパ、世界の各国からも冷笑のマトとなった。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問して国交樹立を約束した平壌宣言を出したが、アメリカが核問題をとりあげて騒ぎを起こすと、拉致問題で経済制裁をせよという戦争挑発に匹敵するような騒ぎをした。最近の六者協議では、アメリカの風むきが変わるとすっかり手をなくして孤立する羽目となった。
 さらに、靖国参拝問題、侵略肯定の教科書問題、そして尖閣諸島(釣魚島)や竹島(独島)の領有権問題、台湾海峡有事への介入宣言問題、そしてアメリカの核ミサイル攻撃体制への加担、国連常任理事国入り問題などで、挑発的な言辞と行動をつづけ、中国、「韓国」とのあつれきを強めてきた。
 小泉首相は靖国問題で「8月15日にいかなる批判があろうと、かならず参拝する」と公言して01年に登場。翌年4月にも「二度と戦争を起こしてはならないという意味をこめた」と屁理屈をいって靖国参拝をやり、中国は「強い不満と断固たる反対」を表明。江沢民国家主席が「靖国参拝中止」を要求する事態となった。
 今年5月には首相答弁で「戦没者にたいする追悼の仕方に他国が干渉すべきではない」と発言。激怒した中国の副首相が緊急帰国し会談中止となったが、小泉首相は「会いたくないのを会う必要はない」と挑発をつづけた。
 文科省は、日本のかつての侵略戦争を「自存自衛」のためと美化したり、南京大虐殺を否定する中学生の歴史教科書を検定でパスさせ、使いはじめた。東海のガス田探査で中国に開発中止を要求して拒絶されると、排他的水域内で日本の業者に試掘権を与え、海上保安庁の巡視艇がそれを武力で守る法整備をすすめた。領有権で論争がある尖閣諸島の灯台を国有化し海図にそれを日本領と明記し、国家間の武力衝突の危険をあおってきた。
 「韓国」との関係も、竹島(独島)問題で島根県議会が「竹島の日」条例を成立させたことを機に険悪な状態になった。「韓国」政府は対日抗議声明を発表し、竹島上陸を緩和し、日本の姉妹都市との交流を中断した。3月中旬には竹島条例成立を「第二の侵略」とみなし「歴史問題を外交問題化しない」としてきた対日政策を転換。「竹島及び歴史問題をめぐる植民地支配を正当化しようとする事案に断固対処する」などの対日新政策を発表した。
 小泉政府が「韓国が不法占拠している竹島」との記述を盛りこんだ中学校の公民化教科書を検定に合格させたことは「韓国」側が「青少年に歪曲した歴史を教えこもうとしている(潘基文外交通商相)」と激怒することを知ったうえでのことであった。
 北朝鮮とは02年9月に平壌を訪問して国交正常化を約束したが、アメリカが機嫌を悪くすると、メディアが拉致問題を騒いで敵対。北朝鮮に経済制裁をおこなうための外国為替・外国貿易法(外為法)改正、損害賠償保険に入っていない船は入港させない改正船舶油濁損害賠償保障法を成立。北朝鮮からの脱出住民を保護する「北朝鮮人権法」の採択をすすめ、対立をあおった。
 アメリカが「悪の枢軸」と叫んだのに乗ったわけだが、アメリカの方がアフガンでもイラクでも行きづまり朝鮮敵視政策の手直しを開始すると、小泉政府だけとり残されて恥をさらす結果となった。
 かつての朝鮮、中国、アジアへの侵略支配とその破たんの道を、今度はアメリカの手下となってくり返すのは愚かなことである。その戦争は米軍の指揮下に自衛隊が入って、日本の若者を肉弾にし、日本本土を核攻撃基地にし、戦場にするというものである。日本人民の生命と安全を守るどころか、アメリカの国益のために日本人民の生命、財産を丸ごと差し出すという恥ずべきものである。

  構造改革も米国の指図 民族的な伝統も抹殺
 小泉首相は、「アメリカのやることならなんでも万歳」という姿勢で、市場原理、自由競争をかかげた、アメリカの指図で構造改革をすすめてきた。そして、日本の国家財政を犠牲にしてアメリカ国債を買いこんでアメリカの財政危機を支え、郵政民営化では300兆円の貯金を奪いとろうというアメリカの要求にこたえている。倒産と失業はあふれ、就業労働者は不安定雇用で苦しみ、農漁業は破壊されて食糧の自給も放棄、医療、教育、社会福祉などは「自己責任・自己負担」の叫びで容赦なく切り捨て、税金は外資や大企業、富裕層ほど優遇して、大衆への増税ばかりをやり、貧富の格差は度はずれたものとなった。働き盛りの男子を中心にして自殺者は毎年3万人をこえている。
 小泉首相の構造改革は、自分で考え出したものではなく、アメリカ大使館が毎年発表する「年次改革要望」であげられたものを忠実に実行している。日本の国はアメリカに統治されたようなものとなっている。大学は独立法人化で学問が切り捨てられ、教育は機会均等は投げ捨てて一部のエリートを集中的に養成してその他は忠実な奴隷か戦争の肉弾のような消耗品扱い。日本の健全な民族的な伝統は抹殺するかのような扱いである。
 小泉首相は、この選挙を西部劇にたとえ、「真昼の決斗」にたとえて悦に入っているといわれている。まさにそのようなアメリカかぶれの売国政治が国民的な審判を受けることになる。総選挙は、アメリカの要求とメディアの騒ぎで、安っぽい小泉売りこみが演出されている。日本をふたたび戦争に追いこませるのかどうかが、今度の総選挙の最大の争点となっている。

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