トップページへ戻る

米国の盾で日本廃虚にする暴走
岩国・愛宕山問題
              下からの運動再建が急務    2011年11月16日付

 米軍再編計画の要として厚木基地からの艦載機部隊の移転が計画されている岩国市では、米軍基地拡張のために土砂を掘り出した愛宕山について「米軍住宅ありきでは売らない」と公言していた福田市長が防衛省への売却を了承。米軍基地への売り飛ばしであるとともに艦載機部隊の受け入れ容認であり、市民の総反発を受けている。おとなしかったといわれてきた岩国では、基地の町岩国は日本の縮図であり、日本の平和と独立の譲れぬ問題として、市民全体の大衆的な「基地は撤去せよ」の世論と運動が発展してきた。今回二井知事と福田市長の売却了承は、市民的な運動の後退に乗じたものとなっている。とくに民主党の裏切り、井原前市長や「日共」裏切り者集団の運動破壊が推進の役割を果たすものとなっている。
 
 米軍基地撤去が市民の要求

 愛宕山開発をめぐっては、「騒音軽減」のための滑走路沖合移設のうたい文句で始めた米軍基地の拡張工事のための土砂を掘り出すために、愛宕山に宅地や病院、学校を備えた「21世紀型の多機能都市」をつくるという夢物語で住民を黙らせて土地を買収。「基地拡張のための方便だ」「絶対に実現しない」という反対世論を無視して強行し、その後、「住宅需要の低迷」による250億円の赤字を理由に事業を廃止した。その「赤字解消」の手段として国が示したのが米軍住宅用地としての防衛省への売却だった。
 すべては艦載機部隊移転を前提にして基地を大拡張し、愛宕山を米軍住宅として接収するために市民をだますシナリオだったことが明らかになり、市民の怒りにさらに火をつけることとなった。
 2001年の9・11テロ事件の際には、米軍は銃口を市民に向け、市民敵視の占領者意識をむき出しにした。市民は、米軍基地が日本の安全を保障するものではなく、アメリカの代理戦争のために日本を盾にするものであることを肌身を通じて経験しており、要求しているのは米軍基地の撤去である。
 だが同時に、市民のなかでは全市的な世論と行動の高まりのなかで、「日共」集団や井原前市長をはじめとする政治勢力が市民運動に乗っかり、議員バッチを振りかざして主導するようになってから、表面上、運動が停滞してきたことが実感されている。
 「米軍再編見直し」を掲げて与党になった民主党が政権交代後にあっさりとその公約を投げ捨てたことに始まり、代議士から市会議員に至るまで選挙目当てのパフォーマンスには熱心だが最終的に市民を裏切ることが暴露されてきた。また全国的な平和と独立の視点に立った「基地撤去」の世論が発展したが、それを目先の環境問題や騒音被害などの地域利害に切り縮めて運動を孤立化させる役割を果たしてきたからである。その結果、渦巻く市民の怒りは表に出しにくくなり、福田市長が暴走できる条件がつくられた関係にある。
 4年前の市長選敗北後、「艦載機移転反対」のリーダー的な存在として振る舞ってきた井原前市長は、来年一月に選挙への出馬を表明しているが、しだいに「米軍再編反対」を口にしなくなり、米軍問題を選挙の争点から外している。
 「日共」集団は、爆音訴訟や愛宕山への座り込みなどにしゃしゃり出て、選挙のために市民の運動を利用する姿を暴露した。そうやって信頼を失った結果、県議選で議席を失った。トップ当選した井原夫人が基地反対票を独占したとして、その腹いせに「井原氏は艦載機問題についての態度があいまい」といって第3の候補を立てると息巻いている。そうやって移転容認の福田市長(すでに出馬表明済み)を助ける役を買って出ている。
 あたかも市民の味方の顔をしながら、自分の議席のために市民運動を利用するだけという議員連中への市民の不信感は強い。いかさまな政治勢力の介入の経験をへて、市民主導の運動を下から盛り上げていくことが切望されている。
 福田市長の側は、前回市長選で偽装した「市民党」はもはや通用せず、応援した商工業者のなかでも得をしたのは第三セクターで建設する民間空港ターミナルビルの社長に就任した柏原氏(カシワバラ・コーポレーション社長)やそれに連なる一部の利権集団のみで、中小企業や建設業などの倒産は相次ぎ、求心力は崩壊している。それでも「愛宕山売却」で暴走できるのは、反対運動を主導する井原氏や「日共」集団が市民の運動をつぶしてきているからである。
 市民のなかでは、米軍再編とTPP(環太平洋経済連携協定)が重なって問題意識が鋭くなっている。基地があることによって岩国はすっかり寂れてしまった。愛宕山が米軍基地になって米兵が倍増すれば岩国はアメリカ村になって、市民の方が片隅に暮らす関係になる。
 
 対中国戦争を準備 ミサイル攻撃想定し体制整備 TPPと連動

 アメリカに脅しつけられて野田政府が交渉参加に突っ走っているTPPは、国内を完全自由化で破壊し尽くすとともに、中国の封じ込めを目指したアメリカのブロック経済化の意図を持っており、それに日本を動員して、中国と対抗させようという性質を持っている。それは中国との軍事的な対抗を強めている米軍再編と日米同盟の方向と結びついている。
 米軍再編計画は、当初、沖縄に駐留する米海兵隊司令部の大部分をグアムへ移転させる方針であったが、一転して司令部機能と戦斗能力を日本をはじめグアムやオーストラリアなどへ分散させる方向へ進んでいる。対中国戦争を想定して、いざ戦争となったら中国が弾道ミサイルの精度を高めていることから、在日米軍基地がその攻撃を受けて瞬時に壊滅することを回避する意図を隠さない。岩国や沖縄など基地の町が核ミサイル攻撃を受けることを想定するというゆゆしき事態なのである。
 海兵隊司令部は安全なグアムやオーストラリアなどに分散させ、前線基地である日本をミサイル攻撃の盾にして戦争を遂行するというものであり、日本の安全を守るどころか、日本をまるごと核戦争の火の海に投げ込もうとしている。
 岩国での米軍住宅売却問題は、「県外・国外移転」を求める沖縄に対して、名護市辺野古への移設をぶり返して強行することとセットになっている。さらにイラクやアフガニスタンにも出撃したオスプレイ(垂直離着陸輸送機)を配備し、「北朝鮮や南シナ海にまで広がる海兵隊の出撃拠点」としての整備を進めている。ハワイでのAPECに出席した野田首相が、辺野古移設に必要な環境影響評価書(アセスメント)を年内に沖縄県側に提出することをオバマ大統領に報告し、オバマは「さらに前進させよ」とハッパをかけており、沖縄県民との大激突となっている。
 イラクでは「大量破壊兵器の保持」をでっち上げて武力侵攻し、100万人もの市民を殺戮し、都市をさんざんに破壊した。イラク国内を大混乱させたなかで、アメリカの石油メジャーやハリバートンなどの外資が乗り込んで国営企業を民営化させるなどして、アメリカの新自由主義市場と対抗するイスラム経済圏から奪い取った。アメリカは中国型資本主義経済をアメリカの新自由主義市場に従わせようという野望をもっている。TPPを使った経済的ブロック化と、日米軍事同盟が一つに結びついている。かつて中国侵略によって大敗北した経験をもつ日本が、今度はアメリカの国益のために再び繰り返すというのである。

 日本の命運かかる問題

 岩国基地に艦載機部隊が移転した場合、現在3000人体制の岩国基地の米兵の数は厚木の1万人規模に拡大し、駐留機も130機となり、沖縄の嘉手納基地をしのぐ極東最大の基地となる。すでに市街化区域の4分の1を基地として占領したうえに、岩国市の中心に位置する愛宕山を米軍住宅を含む米軍用地としておさえることは、利便性を求める米軍側の作戦上の要求に他ならず、騒音や治安の悪化どころか岩国全域をミサイルの標的としてさらすことを意味している。
 岩国市内では、戦後66年間の歴史的経験のなかで、日本の縮図としての岩国基地の増強に対して強い反対世論と行動が盛り上がってきた。それは、騒音をはじめとする生活被害に加えて、道路整備からまちづくりに至るまで市政はすべて米軍優先、米軍による強盗、殺人、婦女暴行、事故などの犯罪が起きても無罪放免になる治外法権地帯の岩国の現実は、植民地的な支配のもとにある日本の縮図であり、基地を撤去し、日本の独立を願う岩国市民の歴史的な怒りの爆発であった。
 米軍再編をめぐってこの間、現実におこなわれてきたことは、市民に対する露骨な脅迫と制裁だった。厚木からの艦載機移転計画が浮き彫りになった2005年には、市民の反対世論の高まりに押されて当初は基地容認だった井原前市長が「移転反対」を表明し、当時の安倍自民党政府が普天間基地の空中給油機移転にともなって交付される予定だった岩国市庁舎建設費の35億円を凍結。その後の住民投票、市長選では「移転反対」が圧倒したが、市長に「現実的対応(移転容認)」を迫って自民党市議を中心に五度も市予算の否決をするなど露骨な経済制裁を進めた。
 その後、小泉チルドレンの福田代議士が「市民党」を偽装して市長選に出馬し、自民党本部が金力、権力を総動員した謀略選挙で市長に就任。だが、市民のなかで「米軍反対」の世論は逆に強まり、福田市長をして「移転容認」とはいえない強力な市民の力が市政をしばりつけてきた。
 国民世論を無視して野田民主党政府が突っ走るTPP交渉参加と同時並行で、全国的な反発で立ち往生している米軍再編計画も強行突破の動きとなっている。これは地元岩国だけの問題にとどまらず、日本をさらなるアメリカの支配の枠にしばりつけて富を吸い上げると同時に、日本をアメリカがアジアで企む侵略戦争の盾として使い、日本全土を再び核戦争の焦土へと導く全国的な命運のかかった重大な問題である。


トップページへ戻る