トップページへ戻る

米国下請の戦時国家作り
秘密保護法やNSC法
             軍事情報共有の弾圧体制    2013年11月29日付

 低得票で独占した国会議員数にものをいわせ、戦時体制準備で暴走する安倍政府への怒りが全国で噴出している。アメリカの軍時戦略を忠実に実行する下請司令塔・日本版NSC(国家安全保障会議)設置法を、ほとんど内容も明らかにせぬまま成立させ、「秘密を漏らした」と称して厳罰を加える特定秘密保護法も、与野党の茶番劇で衆院通過を強行した。商業メディアが「知る権利が制約される!」と煽るが、福島原発事故の現状にしろ、TPPの内容にしろすでに「秘密保護」状態は横行している。安倍政府は12月半ばに防衛大綱を見直して自衛隊に海兵隊機能を持たせ、来年には集団的自衛権行使を可能にする国家安全保障基本法の国会提出を企んでいる。もはや選挙や国会内の審議などで国政を変えることはできないと、だれもが実感するところにきている。全国的な団結で安倍売国・戦争政治と真っ向から対決し戦争を阻止するしかないという、直接行動の機運が拡大している。
 秘密保護法をめぐる国会審議で、安倍政府がいくら「国民を守るための秘密保護だ」と説明しようとも、「結局はアメリカが日本を戦争に連れて行くための秘密を守るものだ」「戦時中のように戦争に反対する者を監視し処罰するものでしかない」と国民の目は鋭さを増している。秘密保護法への批判世論が強いため、「特定秘密」の扱いについて与野党の議員が修正協議を求めたり、各論で反対を唱える議員はいるが、それも茶番劇にすぎない。現実にNSC設置法は成立させ、秘密保護法も筋書き通りに「多数決」で衆院を通過させた。「選挙や国会の審議に頼るだけではなにも変わらない」「朝鮮やイラクが独裁国家だと政府やアメリカはいうが、日本もまったく民意が通らない独裁国家だ」との実感が渦巻いている。
 安倍政府の暴走を援護する商業メディアへの怒りも増幅している。秘密保護法の最大眼目は、アメリカが日本を戦争へかり出す下請司令塔として日本版NSC設置を要求し、その情報漏洩防止・監視体制を作ることだ。しかし商業メディアは秘密保護法について「安全保障に必要な機密保全と“知る権利”のバランスをどうとるか」と煽るだけで、NSC設置法の早期成立へ誘導。「福島原発事故の実態も、TPP交渉や米軍再編の交渉内容も隠し、情報操作やウソの報道で国民を欺き続けてきたのがメディアだ」「さんざん情報を隠し“国民の知る権利が制約される”ということ自体が白白しい」と各所で語られている。

 米国直結の軍事司令塔 日本版NSC

 来月4日に設置する日本版NSCの中核は、首相、官房長官、外相、防衛相で構成する4大臣会合。月2回程度開き、軍事問題を中心に政策を具体化していく。当面は対中関係、在日米軍再編、北朝鮮の核・ミサイル、領土をめぐる問題を扱うとし「防空識別圏」の対応も俎上にあげている。事務局となる国家安全保障局には外務、防衛、警察など各省庁の出向者や自衛官など約60人を配置。局内は総括、戦略、情報、同盟国・友好国(米国など)、中国・北朝鮮、その他(中東など)の6班で構成。4人の閣僚がアメリカから直接指令を受けながら即座に戦時対応をとっていく体制だ。
 この元締めとなる米NSCは大統領、副大統領、国務長官、国防長官で構成し、その下でCIAが国内外の情報収集に暗躍する。日本版NSCはこの米国版NSCの下請として組み込まれ、アメリカの意図にそって戦時動員したり国民弾圧で機能することになる。
 アメリカは中東やアフリカで反米斗争が高揚し、軍事費がかさんで財政危機に陥るなかで、日本を矢面に立てアジアで戦争を企む戦略にそって中国への軍事挑発をくり返している。このなかで日本を鉄砲玉として戦時動員する下請司令塔が、日本版NSCのあからさまな姿である。

 強権で暴走する脆弱さ 「秘密保護」急ぐ内実

 この日本版NSCが米NSCから受けた情報や命令などを「外に漏れればアメリカに不利益をもたらす」として「特定機密」と規定し、厳罰を加えるのが特定秘密保護法である。自民党は修正協議の過程で「米国より統一的な情報保全法制定を求められている」と野党に文書で回答。安倍首相は「日本版NSCが各国と情報交換をしていくうえで秘密が保全されていることが前提だ」「ある国の情報トップは法整備すれば日本との情報交換はもっと進むと話していた」とのべた。日本の国家機密を筒抜けにし、アメリカと軍事情報の交換を活発化させる意図は明らかである。
 「特定秘密」は「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的の安全脅威活動の防止」「テロ活動の防止」と規定。具体的には原発警備や暗号などあらゆる軍事情報で、各省庁の大臣が決めればなんでも特定秘密にできる。地域全体が軍事要塞として特定秘密に指定されれば、住民すべてが写真撮影やスケッチは禁止。友人に近所の人のことを話したり、道を聞くのも処罰対象になる。戦争体験者は「昔は神風が吹くといわれれば信じ、小さいときから奉安殿にこまめに最敬礼することが義務づけられ、疑問を持つだけで処罰だった。今回の秘密保護法もアメリカがやることにおかしいと疑問をもつと処罰するもので、国民を守るものではない」と指摘している。
 「特定秘密」を扱う公務員には「適正評価」を実施し、負債や経済状況や犯罪歴、精神にかかわる通院歴の有無、家族や同居人の国籍、住所などを調べ適任かを判断する。自治体との契約業者も対象で、民間企業労働者も対象となる。「特定秘密」を漏らした公務員の罰則は懲役10年か罰金1000万円。「特定秘密」を知った契約業者が情報を漏らせば懲役5年。今の公務員の守秘義務違反の罰則は懲役1年だが、アメリカに不利益をもたらす罪は10倍重い。
 国民の反発は日増しに強まっており、強権や弾圧体制で暴走することしかできない「砂上の楼閣」内閣の脆弱さを浮き彫りにしている。

 米国が求めた情報統制 「日米安保」の具体化

 特定秘密保護法制定は1952年の「日米安保条約」制定から用意周到に準備された有事体制整備、すなわち戦争準備の延長である。
 01年のNYテロ事件以後、「備えあれば憂いなし」と叫びたてて自衛隊法を改定。自衛隊の戦地派兵をにらんで「防衛秘密漏洩」の罰則を強化した。そして武力攻撃事態法をはじめとする有事3法で、「有事」となれば民間港湾や自治体などが総動員できるようにし、自衛隊のイラク派遣を強行。2004年には有事関連7法を成立させ、戦時に国民の行動を規制することを定めた国民保護法、米軍に自衛隊が物品提供するための自衛隊法改定、米軍の行動を円滑化する関連法、戦時に最優先で公共施設を使わせる特定公共施設利用法などを整備した。
 そして「反テロ」「国民保護」「防災」を掲げて地域総動員の訓練を実施。近年は自衛隊や米軍が装甲車や軍用ヘリなどとともに参加する訓練が増えている。そして日本中の道路はNシステムやETC、監視カメラなどで監視し、盗聴法で警察が電話の中身を管理し、マイナンバー法(国民総背番号制)で自治体もチェック。一人一人の暮らしや行動はすべて監視され、戦時の国民弾圧や戦争動員のさいにはいつでもフル稼働できる体制となっている。
 すでに安倍政府は新防衛大綱で、自衛隊に敵基地攻撃能力を持たせ、米海兵隊をモデルとした「水陸両用団」を創設し、自衛隊の海兵隊化を準備。2014年には「国家安全保障基本法」で、米軍が攻撃されれば自衛隊が自動参戦する集団自衛権の行使を可能にしたうえ、アメリカの利益を守るため教育、科学技術、建設、運輸、通信など多様な分野で軍事上必要な措置をとり、秘密保護法制を作って、原水爆戦争体制を構築する意図を露わにしている。
 しかし、いくらアメリカの指令で日本の若者を戦地へかり出す体制を作っても、国民を動員できなければ戦争はできない。かつての戦争で日本国民は天皇制政府によって目も耳も口もふさがれ、むりやり戦場にかり出されて殺され、空襲や原爆で焼き殺され、320万人が犠牲になって国土は灰燼(じん)に帰した。それを今度はアメリカのいいなりになって、日本を米本土防衛の盾として原水爆戦争の火の海に投げこもうというのである。それを許さぬたたかいは、国の命運がかかる問題となっている。「日米安保条約」を破棄し対米従属の鎖を断ち切る全国的な政治斗争を組織することが待ったなしとなっている。

トップページへ戻る