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没落世界反映する若者の犯罪
相次ぐ通り魔や気狂い沙汰
               敗北的で反社会的な弱さ    2014年3月24日付

 社会生活や家庭生活で破綻した若者が、通行人をいきなり刃物で切りつけたり、車で歩道に突進していったり、世の中を震撼させる猟奇的な事件があとを絶たない。若者の犯罪率は1960〜1970年代よりも格段に減少しているといわれているが、近年あらわれている犯罪の特徴を見てみると、妄想や空想、自己の願望世界と現実世界との乖離に起因したものや、ある日突然みずからの感情世界を満たすために、赤の他人を襲って生命を殺めたり、襲われる側からするとなぜ死ななければならないのかわからないような、気狂い沙汰のケースも目立っている。絶対的貧困を背景にして、社会の荒廃はますます進んでいく。このなかで、近年の若者の犯罪からどのような思想世界があらわれているのか、特徴を見てみた。
 
 社会のため力発揮する斗争急務

 3月初旬、千葉県柏市で24歳の無職の男が深夜に、通りがかりの男性四人をつぎつぎにナイフで刺し一人が死亡、一人が軽傷を負い、男は車や財布から現金を奪って逃走した。逮捕された男は、不動産経営の父親からの仕送りと生活保護を受けて一人でマンションに住み、ネット上ではみずからを「24歳のセレブニート」と呼んでいた。逮捕される前日にはマスコミの取材を受け、「犯人は笑いながら何度も背中を刺した。見境なく襲いかかるのは怖い」と、まるで目撃者のような調子で延延と話し、メディアに注目されて目立ったことを喜んでいた。
 この男は97年に神戸で起きた酒鬼薔薇事件を尊敬し、刃物や武器の収集に強い執着を持っていたとされている。いつもはおとなしいが、カッとなったら何をするかわからないと周囲から見られていた。ネット上では、中学時代に友人を傷つけて少年院に2回入っていたこと、「この世は理不尽と弱肉強食と運、そしてもっとも重要な頭脳で成り立つ人生だ。うさぎをナイフで刺してサカキバラを尊敬し、真似事で首と腹を刺した。そして母校の中学の正門前に置いて大騒ぎになったこともある。ハムスターを真冬に外に出して凍死実験もした。バケツに水を入れてハムスターを泳がせ、スタンガンでそのバケツの水に電流を流した際、一瞬にしてハムスターは死んで水に浮いていました。つまり、プールなどで大量に人が泳いでいる中で電流を流せばどうなるか。大量殺人になる恐れがあるのでそれはいたしませんが…」などと自慢し、異常な精神世界を披露していた。
 2月23日の昼下がり、多数の通行人が行きかうJR名古屋駅前の歩道では、30歳無職の男が自動車で暴走し、男女13人をはねる事件を引き起こした。警察官の父親と薬剤師の母親、弟まで警察官という家族構成のなかで、男は大学卒業後、就職活動に失敗し、警備員や工場作業員などの仕事を転転としたが長続きせず、昨年からは親から生活費を受けとって一人暮らしをしていた。一人暮らしといっても自宅に住んでいるのは男で、他の家族は手を焼いて別居していたという。
 引きこもってゲームに現実逃避し、ネットでゲームの攻略法を投稿して「ベストアンサー」に何度も選ばれていたことも明らかになった。一方で「誰も僕の肩を持ってくれません」「子持ちのキャバ嬢にメールするだけの日々です」とネット上で嘆き、犯行の日はレンタカーを借りて駅前に直行し、アクセルをめいっぱい踏み込んで35b暴走した。タイヤ痕や事故検証から、躊躇なく突進していたことも判明した。「家族との折りあいが悪かった」「誰でもよかった」と話した。
 3月18日には東京都で新聞配達員の男(32歳)が放火で逮捕された。自分の配達区域周辺にある住宅や車のバンパーに八件放火して回り、それによって80代の女性が死亡した。「むしゃくしゃしてやった」といった。2月21日には東京都東大和市の路上で無職の男(31歳)が女子高校生を切りつける事件が起きた。女子生徒とすれ違うさいに刺したといい、「自転車が向かってきたので身を守ろうと思った」と話している。
 今年に入って京都の中学3年女子が路上で男にいきなり殴られたり、神戸で女子大生を男が切りつけたり、弱い女性や女子学生などを狙う通り魔事件が6件も起きている。
 20〜30代だけでなく、10代の犯罪も頻繁に起きている。
 昨年8月に三重県朝日町の中学3年の女子生徒が殺害された事件で、3月2日に現場近くに住む県立高校3年生男子が逮捕された。「カネ目当て」で殺害し、その後に衣服を脱がせて全裸にしていた。遺体が見つかった昨年8月29日以降、ツイッターで「地元で女子中学生の死体が見つかったって…手の震えが止まらん」「平和な町やったのに 気持ちの整理つかんわ」などと自分の犯行を隠すために投稿していた。周囲からは成績優秀で友だちにも人気があったといわれた。
 広島県呉市では昨年7月、16歳の少年少女他六人が元同級生をワゴン車の中で集団暴行して殺し、約20`離れた山中に遺棄した。殺された少女とスマホの無料通話LINE上での悪口や言いあいがきっかけとなって呼び出し、「火のついたタバコの吸い殻を耳の穴の中に根性焼きしたら気絶してしまった」「やれ! やれ!」「いけ!いけ!」とおもしろがってやったとのべている。集団暴行した少女たちは親から相手にされず、退学や家出をして社会に居場所を失い、広島市内のアパートで寄り添って「家族のように」生活していたとされた。そのうちの一人がLINEで悪口をいわれたことをきっかけにして、集団暴行にまで至った。
 昨年1月、広島市では高校2年の少年(17歳)が「祖母から不登校を怒られ腹が立った」と頭をダンベルで殴ったあと、包丁で腹部や背中を複数回刺し、その後1階で寝ていた祖父の腹や背中を刺して殺す事件が起こった。少年は前年まで父親と2人暮らしをしていたが事情があって祖父母と暮らすようになったという。貧困化を根底にした離婚、家族離散などの家庭崩壊が深刻なものになり、拠り所となるはずの家族間でこそ、虐待や撲殺、刺殺事件が起こっている。2000年当時、約2万件程度であった児童虐待に関する児童相談所への相談は、2013年には6万件近くにのぼり、児童虐待の被害件数も2012年の1年間で476人と10年前の倍以上になっている。
 神奈川県川崎市では昨年3月、パート従業員の19歳の息子が同居する43歳母親を殺害し、その遺体を刃物で切断。ビニール袋に入れて室内で遺棄していた。「母親を殺すことによって、自分自身がどのような気持ちになるのか確かめたかった」「2人で生活し、依存や憎しみ、失望感があり、それを断ち切りたかった」といい、スマホで人体の解体方法を検索して母親を切断した。息子は内気でゲームが大好きだったという。
 2013年の1年間で、全国でのストーカー被害は初めて2万件をこえた。「恋煩い」が一方的に昂じて、殺傷まで至るケースもあいついでいる。昨年10月、東京都三鷹市では男(21歳)が交際していた女子高生の首を刃物で切って殺害した。6月には横浜市で大学1年生の男(19歳)が、交際相手の女子大生(19歳)を刃物で刺して殺害した。思い通りにならなければつきまとい、嫌がらせをして殺すという、みずからの欲求や願望、満たされない思いや腹立たしさを抑えることができず、攻撃的なのも特徴となっている。
 親のすねをかじり、生活費や居住空間まで世話になるなど、社会的に自立しきれていない20〜30代が、バーチャル(幻想)世界をさ迷いつつ自己顕示欲だけは強く、その鬱憤をはらすために、恨みなどない他人をいとも簡単に殺傷していく。犯罪を起こさないまでも、ネットで「大物」になりきり、現実で「小物」という二重の虚構世界も往往にしてある。あるいは、2008年に起きた秋葉原事件では、派遣労働者だった男が浮かび上がれない自らの境遇にヤケを起こし、無差別殺人に訴えたこともあった。「僕を見て!」といわんばかりにネットで犯行声明をやり、犯行に及んだ。派遣労働という社会的な構造ともかかわった問題に対して、その根源に立ち向かっていくような積極的反抗ではなく、より弱い者に矛先を向けて自滅していくという、敗北的で反社会的なあらわれでもあった。
 派遣社員、アルバイト、期間社員、契約社員、臨時採用など、いまや若者の多くが不安定雇用におかれ、正社員でも結婚できず、子どもを生み育てることができない者が増えている。こうした厳しい現実のなかで、圧倒的多数は揉まれながら社会生活を切り結んでいるし、自暴自棄になって他人を殺めるような言動には及ばない。しかし一方では、自分本位で果てしもなく身勝手なイデオロギーが浸透していることも特徴になっている。気狂いに殺される側はたまらない。
 「社会のために」「みんなのために」という世界観とは真反対で、自分の思うようにならなければ人殺しも辞さない人間、躊躇なく刃物を振り回すような気狂いが、衰退著しい日本社会のもとで生み出されている。教育は早くから米国型の「自由・民主・人権」に犯され、学校現場では「そのままの君でいいんだよ」の個性重視が真顔でやられてきた。社会に合致しない「そのままの君」で育ったあげく、極めて自己中心的で、動物的な人殺しをやってのける人間が出てきた。その行き着く先は「集団的自衛権」で駆り出される戦地の肉弾、殺人兵でしかない。物事を願望からではなく社会的、歴史的にとらえて解決するような力が骨抜きにされ、思考方法としても科学的に考えたり、批判的にとらえる力が弱まっていること、短絡的で自己顕示欲が強いことと同時に、あきらめや敗北、凶暴さがセットになっていることを教育関係者たちも危惧している。
 世の中は人間を人間扱いしない残酷な弱肉強食の世界であり、日本社会をめぐっても強烈な搾取と貧困があらわれている。社会が潰れても知ったことではないといって金融資本が暴れ回り、大企業も日本社会の将来など知ったことかといって海外移転をくり返す。個別家庭の悲劇や不幸、社会の荒廃を生み出す最大の根源であり、反社会的なイデオロギーの震源地といわなければならない。自殺者は毎年のように3万人を記録し、気狂いたちが殺傷していく以上に、絶望してみずから命を断っていく者も多い。
 社会に役立つものを生産するためにみなが団結し、協力する勤労人民のイデオロギーだけが未来を代表しており、その力を強いものにしなければならないことを教えている。


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