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防犯防火態勢のない無人駅
下関駅舎全焼・JRの責任明確に
              駅舎改築計画のタイミングに疑問   2006年1月10日付

 下関市のJR下関駅で7日午前2時ごろ、火災が発生して3時間にわたり燃えつづけ、駅舎や乗務員センターが全焼した。別棟の小さな倉庫から出火して、初期消火の設備も体制もなく、なすがままの大火事になったと、目撃者たちは語っている。本州と九州を結ぶ重要駅でありながら、深夜の防犯防火体制はなく無人駅にひとしかった。人人が深い疑問を抱いているのは、江島市長が市民の税金をつぎこむ駅舎改築計画を出したなかで、タイミングよい大火事となったことである。
 出火元は25平方bほどの平屋倉庫だったが、駅舎や乗務員センター、名店街の一部など4000平方bが、出火から3時間後にすべてが焼け落ちて灰となった。放火犯として逮捕されたのは74歳の男で、刑務所から出たばかりで、所持品は小銭しかなった。過去2回、放火未遂などで逮捕されており、仕事もなく刑務所にもどろうとしたといわれるが、今回については不明な点が多い。
 第一発見者はJR西日本の下請社員(63歳)で、出火元から約20b離れた駅舎2階の仮眠室で、就寝中に室内へ入ってきた煙で火災に気がついた。同僚2人を起こして、消防署に連絡を入れた。1人(57歳)は寝間着のままコンコース一階に走り、消防隊員が入れるように出入口をあけ、1人は隣の建物の乗務員センターに行き、当直のJR職員に火災を知らせた。
 乗務員センターには29人の運転手や車掌などが、早朝からの勤務をひかえ仮眠中だった。火災報知器のベルと当直らに起こされて外に出た。燃えているのは平屋倉庫で、運転士たち数人がむかい、消火器やトイレの散水機で消そうとしたが、煙がどっと出てきて目があけられなくなり、避難したという。
 寝間着で逃げた男性は「非常ベルには気がつかなかった。ハンカチを口にあてて逃げたが、同僚に起こされなければ、煙にまかれていたかもしれない」と、命だけは助かったと青ざめた様子で語った。このときは建物内に煙はただよっていたが、炎は見えなかったという。まさか駅舎や乗務員センターまで焼け落ちるとは、思わなかったという。
 3時半ごろ現場にかけつけた近くの散髪屋の婦人(45歳)は、「もう焼け落ちかけていたときだった。うちは大丈夫だったが、名店街に出している知り合いは、なにもかも焼かれた。これほどの大火事とは思わなかった」と、先行きを心配した。第一の疑問は、燃えすぎであり、なぜこれほどの大火事になったのかである。JR西日本の防犯防火態勢がまるでないのである。
 午前零時すぎから四時までは、駅舎の泊まり人員は六人だけで、警備や見回りはおらず防犯防火の態勢はないにひとしい。無人駅のようになっていたのである。国鉄民営化の直後は、深夜でも構内のイスに始発まで休む人人が見られ、24時間態勢がとられていた。ところが1992年ごろ「不審者対策」などと深夜は構内に入れなくして、人がいないようにして保安要員も削減していた。本州最西端の重要駅として、人も情報機能も集中するが、非常ベルも鳴らず、初期消火のスプリンクラーもつけていなかった。JRのもうけ一点張りで安全軽視の経営姿勢が、JR宝塚線の大事故と同様に、大火事を招いたといえる。
 3連休初日の7日は、買い物客や旅行に出かける人など、在来線の利用者4万2000人の足が乱れた。8日は一部復旧したものの1時間に1本程度。駅舎内の配線盤が焼失して、隣接駅との連絡がとれなくなったのが原因。
 一歩まちがえば死者が出てもおかしくない大火事になり、利用者にも迷惑をかけたことについて、記者会見でJR西日本の松田好史・広島支社長は「想定外の大きな火災」といっている。スプリンクラーの未設置など対策の不十分さについては、「適法な状態だった」としている。

 10日前にぶち上げた改築案
 もう一つ市民のあいだで「話がうますぎる」と語られているのは、つい10日ほどまえの昨年12月28日に、JR西日本広島支社と下関市、山口銀行が3者による「下関駅舎改築プラン作成協議会」が、現在の駅舎や乗務員センターを更地にして、ビルを建てる改築計画案をぶち上げたばかりだった。改築計画には下関市民の税金が、相当額つぎこまれようとしている。昨年3月の市長選で、JR西日本が会社あげた江島市長応援をくり広げたが、駅舎改築はその担保になっているともいわれている。
 8日、下関地域鉄道部を訪れた山村副市長は「こんな状況で駅舎改築をいったら不謹慎になる」と話す一方、JR西日本の幹部は「本州の玄関口なのだから、JRだけの金でつくるものではない」と、焼け跡の復興に関心はそそがれている。出火原因もふくめて大火事になった原因解明なしに、江島市政が大火事にかこつけて、容易に税金を注ぎこむことは、おかしいとの市民世論が噴き上がっている。

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