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 「暴支膺懲」の失敗繰り返すな
 北朝鮮ミサイル問題
              米日側が戦争の脅威作る   2006年7月10日付

 北朝鮮のたいしたことのないミサイル発射問題をめぐる日米政府の大騒動は重大な危険性を持っている。小泉政府は経済制裁を実施し、北朝鮮制裁の国連決議を提起し、全国の自治体に武力攻撃事態に対応する警戒指示を出す異常な騒ぎである。額賀防衛庁長官は「ミサイル発射場を先制攻撃する能力を持つのは当然」と全面戦争をも辞さない調子である。「国際的な紛争は武力に訴えるのではなく話し合いで解決する」というのが、第2次大戦の体験にもとづく国是であるが、それを覆して経済だけではなく軍事的な力で屈服を迫るのを「普通の国」といって実行しはじめたのである。日本民族は、広島、長崎の原爆投下、沖縄戦や東京をはじめ全国都市の空襲をへて無惨な敗戦を経験した。その戦争の出発点は、中国全面侵略であったが、そのときのスローガンが「暴支膺懲(ようちょう)」すなわち「横暴なシナを懲らしめる」というものであった。いま「横暴な北朝鮮を懲らしめる」といって、北朝鮮への先制攻撃を叫んでいるが、この方向は日本民族にとって悲惨な結果に導く方向である。

 発射前から「悪の枢軸」と敵視
 北朝鮮の核開発とミサイル開発はアメリカとともに、日本も標的になっていることに疑いはない。なぜそうなっているか。アメリカが日本を攻撃基地にして北朝鮮への圧倒的な核攻撃の包囲網をとっているからである。北朝鮮がかりに1発のミサイルを発射したなら数1000発のミサイル攻撃をあび、瞬時に北朝鮮全土が壊滅されるという力関係にある。したがって、日本に核ミサイルを撃つときは、自国が廃虚にされるときしかない。北朝鮮の核開発が持ちうる意味は、自国が壊滅することを覚悟した捨て身で、「もしも核攻撃するならば日本のどこかの都市が廃虚になるぞ」という抑止効果以外にありようがない。
 客観的に事態を見るならば、北朝鮮側がみずからすすんで日本に核ミサイルを撃ち込む理由はない。軍事的な力関係が圧倒的に違うからである。スパイの力量1つとっても、アメリカ側にはミサイルを組み立てたとか燃料を入れたとかまで偵察衛星で丸見えだが、それにたいする北朝鮮は不審船のような原始的な手段で比較にならない。はっきりした事態は、米日政府側から金融制裁とか軍事演習で一方的に追い込まれているなかでの抵抗である。「北朝鮮の核ミサイルの脅威」の原因は、アメリカと日本政府側からの北朝鮮への核先制攻撃の脅威にほかならず、そのような戦争挑発をやめればなくなるというのが客観的に見た評価である。
 事態の推移から見ると、拉致事件を起こし、ミサイルを発射したから制裁するという順番ではない。ミサイルを発射するずっと前に、ブッシュ政府が登場するや、北朝鮮についてイラクやイランと同じように「悪の枢軸」と呼び、「核の先制攻撃をする」と広言してきた。アメリカは、世界中をアメリカと同じような「自由と民主主義」の制度にするといい、それに対立する国は武力を使って転覆することを広言し実行してきた。
 そしてニューヨークテロ事件が起きると、「テロ国家を退治する」といって、アフガン戦争を開始し、イラク戦争を開始した。イラク戦争は大量破壊兵器によるテロをなくすというのが理由であったが、占領した結果なかったことが判明しても釈明すらしない。イラクの石油資源を略奪し、アラブをアメリカ型の「自由と民主主義」の国家制度すなわち植民地にすることが目的だったからである。そしてイラクにおける強力な抵抗に遭い、大義名分も成り立たず、追いつめられたのは、ブッシュ政府の側となっている。
 「悪の枢軸国家・北朝鮮」にたいする核の先制攻撃は、口先だけのことではなく、実際にその態勢をすすめてきた。米軍再編をすすめ、日本、「韓国」の基地に配備した核搭載戦斗機、空母2隻態勢、攻撃型原潜、ミサイル、イージス艦、空には偵察衛星、偵察機などを配備して、核攻撃態勢をとってきた。いつでも数1000発のミサイルを撃ち込み、瞬時に朝鮮全土を原水爆で焼き払うことができる態勢をとっている。アメリカは金融制裁で締め上げ、日本政府も実質的な経済制裁をつづけてきた。

 報復の矛先は日本 攻撃する米国は安泰
 小泉政府の今回の北朝鮮制裁の騒ぎは、このアメリカの意図を代弁したものである。日朝関係は米朝関係の付属的な位置であり、日朝対立の基本は米朝対立である。アメリカは日本を基地にして勝手に北朝鮮に核攻撃をする関係だが、北朝鮮から報復されるのは日本であり、アメリカは攻撃するだけで報復される心配が少ない。アメリカのために日本が戦場になり、まかり間違えば核攻撃の戦場になるというのはとてつもなくバカげた売国奴の政治である。
 そして小泉政府は、アフガン戦争には海上自衛隊を派遣して人殺しの手伝いをし、イラクには空輸部隊とともに陸上部隊を派遣し、日本には何の脅威もない国への武装部隊の派遣に道を開いた。アメリカのために日本がテロ攻撃の標的に名のりを上げるというバカげたものである。そして小泉・ブッシュの首脳会談で、日米同盟を地球的範囲に拡大し、日本全土を米軍の自由使用にゆだね、自衛隊を米軍に統合し、一連の有事法制をやり全国民的な戦時動員態勢をつくってきた。そして、靖国、領土、資源などの問題で中国、「韓国」、北朝鮮などとの関係でかたくななまでの態度で対抗を強めてきた。
 今回の北朝鮮制裁問題で、ブッシュ政府は「話し合い」のようなポーズをとり、日本政府の方が強硬な制裁を要求する格好をとっている。しかしミサイル発射があった早朝に、首相官邸で在日米大使と安倍官房長官が会談しており、アメリカの指示による役割分担にほかならない。アメリカはイラク戦争でお手上げ状態になっているが、北朝鮮との戦争は日本にやらせるかのような様相である。
 米朝関係についてみれば、1950年の朝鮮戦争をやったが、その解決がいまなおはかられておらず、いままで戦争が継続した状態で国交が正常化されていないことが、基本問題としてある。日朝関係についても、かつての朝鮮侵略の清算がされておらず、植民地支配が継続した状態で国交が正常化されていないことが基本問題としてある。
 アメリカの核政策は、アメリカの核独占によって世界を言いなりにさせるというものである。北朝鮮やイランの核武装は許さないが、パレスチナを攻撃するイスラエルの核武装、中国に圧力を加えるインドの核武装は容認するという二重基準である。アメリカの言いなりになるかどうかが基準なのだ。

 独立が死活の問題・懲罰されているのは日本 挙げ句は鉄砲玉に
 現在多くの国民が、戦後60年がたち、とくに小泉政府になって5年、国民の大多数にとっては、「以前では考えもしなかったとんでもないことをやり始めた」と実感している。税金は、法人税や高額所得者は大幅に減税し、低所得者には増税をする。ゼロ金利で利息収入は銀行にとらせ、年金は削減し、医療や介護、保育などの社会保障、教育などは「自己責任」といって切って捨て、農業も漁業も食料は自給できないようにし、大企業や株投機屋どもが大もうけし、金融も財政も大企業もアメリカに乗っ取られ、日本の富はアメリカに吸い取られる。北朝鮮の話どころか、餓死、孤独死、自殺が増える一方で、ほんとうに働くものが食っていけない社会になっている。北朝鮮を懲罰するというが、日本社会も人民を懲罰する政治がまん延している。教育の場も育てるのではなく懲罰、駐車違反も懲罰、監視カメラにコンピューター管理の警察国家になっている。外交の自主権はなく、万事アメリカのいいなりで近隣諸国とは対立するばかり。そして毎年の米軍駐留費6000億円のほかに米軍再編に3兆円を差し出し、日本の空港、港湾、道路などを米軍が自分の基地のように使うことを認め、自衛隊は米軍に統合され、アメリカの鉄砲玉となって戦争をやる。
 現実が示すことは、経済制裁を受け、懲罰され、軍事占領をされ、さんざんな目にあっているのは北朝鮮のことどころか、日本民族の方なのだ。小泉政府がアメリカの言いなりになって、日本人民をさんざんに制裁したあげくに、北朝鮮を制裁しようというのが、あるがままの関係である。
 このような事態は、第2次大戦と同じ破滅の道である。しかもそれは、アメリカにさんざん食いものにされたうえに、その手先となり他国を攻撃してみずから破滅する、もっとも恥ずべきものである。日本の平和と繁栄のためには、独立を実現することが死活の課題である。

 危険な「制裁」騒ぎ・中国侵略の時と酷似
 今度のミサイル発射問題、拉致問題をめぐるテレビ、新聞、雑誌などメディアの「北朝鮮の無法、横暴」の大キャンペーンは、かつての無惨な敗戦につながった、中国全面侵略を始めたスローガン「暴支膺懲」「横暴なシナを懲らしめる」という扇動とうり2つである。北京郊外の盧溝橋で駐屯していた日本軍の近くで数発の銃声音がしたことを理由にして、「暴支膺懲」を叫び、あの中国全土への全面侵略をし、米英仏蘭帝国主義との植民地争奪をめぐる戦争となり、無惨な敗戦となった。南の島に送られた兵隊は餓死と病気で死に、丸腰の輸送船で送られては撃沈され、広島、長崎に原爆を投げつけられ、沖縄戦では20数万が殺され、東京空襲では、10万人、全国60数都市が空襲で焼き払われ、320万人が犠牲となった。この誤りを繰り返すのは愚かなことである。
 拉致事件は北朝鮮の国家的な犯罪であることは明らかである。しかしこれは国交不正常のもとでの敵対関係のなかの産物であり、このようなものをなくすには国家的な敵対関係をなくすことが解決の基本である。さらには拉致事件を理由に国家的な経済制裁をやり戦争をやるというのは、バカげたことであり、別の意図が働いている。拉致被害者家族の1部が、小泉政府に制裁を要求し、さらに北朝鮮への核兵器を先制使用すると広言しているブッシュのところにいってお願いする。その一挙手一投足をとらえてメディアが騒ぎ、小泉政府が煽っている。拉致被害の復讐のために、戦争をやって日朝双方におびただしい犠牲者をつくる、自分らの人権のために大多数の人権を踏みにじるというのは、人道主義とは縁もゆかりもない、犯罪者の論理である。それは北朝鮮にいる家族を無差別で焼き殺してくれということであり、被害者家族の本当の願いであるわけがない。

 日本での斗い急務・新鮮な怒り呼び起こし 核戦争阻止へ
 以上のようななかで、戦争を押しとどめ原水爆戦争を押しとどめる日本人民のたたかいが重要になっている。
 ここで平和の仮面をかぶったインチキ勢力が登場している。「日本共産党」の看板を掲げる修正主義裏切者集団は、今度のミサイル問題に関して「北朝鮮の瀬戸際外交が危機をつくっている」「北朝鮮の無法行為」と主張し、小泉政府の制裁を擁護している。山口県議会などでは、「日共」水野県議などが旗振りをして自民党と一緒に北朝鮮抗議決議をやっている。「日共」集団は北朝鮮批判の街頭宣伝をやれという指示を出し、右翼暴力団の街宣車と肩を並べて「北朝鮮制裁」の合唱をする関係となっている。これは、自分たちの身を守るためにはアメリカを怒らせるようなものは攻撃しなければならないというもので、アメリカの核戦争を擁護する、排外主義・戦争協力者の姿である。
 原水爆禁止運動の歴史のなかで、核兵器の拡散だけを問題にし、最大の戦争放火者であるアメリカの核独占を擁護するというインチキがはびこってきた。
 北朝鮮や中国はもちろん全世界の核兵器を廃絶させなければならない。そのためには唯一原爆を人間の頭上に投げつけた最大の核大国であり、いまも先制攻撃すると広言しているアメリカが原水爆をなくすようにしなければ、世界中の核兵器はなくならない。
 危険な戦争策動を押しとどめるには、第2次大戦の痛切な体験を思い起こし、語り伝えることである。原爆の体験、沖縄戦、空襲の体験、戦地の体験、そのなかでの日本人民が受けた苦難、そしてそのような戦争がだれが何のために、どのように人人を動員してやったのか、新鮮な怒りを呼び起こさなければならない。

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