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物価高騰に全国で抗議活発化
                日本社会と生産守るたたかい    2008年8月29日付

 投機資本の買い占めによる燃料や食料の値上げに抗議する行動が全国で活発化している。勤労者の給料や年寄りの年金、そして商店主や農漁業者、中小業者の実質収入が下がる一方でガソリンや食料品はなんでもかんでも値上げラッシュ。しかも国民が生活できるように国を運営するはずの福田政府は全く無策。おまけに庶民に増税や自己負担増を押しつけている。農漁業者、運送業者、製造業者が生産活動をできない。社会がマヒし崩壊しているのである。これは各界各層の生活問題だけではなく、日本社会を守る課題として、無政府状態の福田自民党政府に鉄槌を加えるたたかいとして波及している。

 「日本の動脈守れ」と行動 トラック協会
 26日に国内のトラック業者の八割(約5万1000社)が加盟する全日本トラック協会(全ト協)が燃料高騰問題をめぐり、全国で経営危機突破統一行動を行った。東京、大阪、広島、熊本など31都道府県で総勢約2万人が決起大会やデモ行進を決行。燃料税減税や高速道路料金の引き下げなど国に対策をとるよう要求した。全国の決起大会では「トラック運送事業者はわが国の国民生活、産業活動を支える公共的物流サービスの担い手としてその重要な使命を果たすべく努力しているが、異常な原油高で多くの事業者が事業存廃の岐路に直面している」とし、「国民生活のための物流サービスを預かる責務」に立って国に緊急対策を要求した。全国統一スローガンでは「マネーゲームによる異常な原油高の抑止」も盛り込んだ。
 トラック業界を襲う燃油高騰で今年7月の軽油価格は1g139円。03年度の平均価格64円と比べて2倍以上の暴騰だ。業界全体では年間総額で1・2兆円もの経費負担増。アイドリングストップやクーラーを止めるなどして経費節減の努力はするが、異常な原油高騰には焼け石に水。07年度だけで1370社が廃業に追いこまれ、自殺する経営者も出た。
 こうしたなか1月に九州地区のトラック協会が統一行動。漁業者の全国ストと呼応し山梨、福島、北海道などのトラック協会も下から行動を開始し、それが全国統一行動へ発展した。「日本の動脈を守れ!」「生活物資の安定輸送を守れ!」など国民生活を守る使命感に満ちた行動として広がっているのが特徴だ。

 国民の生命の源を守れ 農業者も全国で行動
 JA全中と、全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)も26日、東京都内で原油高騰・肥料・飼料高騰対策全国代表者緊急集会を開いた。全国から農業者の代表1000人が結集し、国に対し早急な資材高騰対策を求める緊急決議を採択。この日、JAグループ北海道など道内3協同組合は燃油や生産資材価格の高騰で政府に支援対策を求める署名約56万人分を町村官房長官に提出した。農業者も今月に入って宮崎、北海道、鹿児島、熊本、沖縄、高知、山形などで数千人の決起大会を開催。ムシロ旗を押し立てトラクターを先頭に果敢なデモを行った。
 農業では、ラクターなどに使う農業用A重油価格が4年前の2倍以上、肥料原料も昨年に比べ2、3倍。畜産農家が使う配合飼料もこの2年で5割上昇した。果樹、野菜、花卉農家に不可欠なビニール類も軒並み値上げ。そのうえに輸入自由化を進める対米従属の売国政策のもとで進行する農産物価の値崩れが追い打ちをかけている。
 手広く農業生産を営む農家ほど借金、赤字がかさむ構図で専業農家がやっていけない。食料自給率は先進国中最低ラインの40%という有様で、全国各地で「日本農業を潰す気か!」「このままじゃ農民一揆だ!」「農家の声を聞け」「食・農・くらしの危機を共同で打破」などの要求を押し立て行動が広がった。畜産、野菜、米作など分野を超えた農業者の連帯が強まり「国民の食料を供給する生命の産業を守れ」と国政へ向けた要求が沸騰している。

 食料生産担う漁業守れ 漁業者は全国スト
 漁業者は全産業に先駆けて先月15日、「食料供給を担う漁業を守れ」と20万隻の漁船が全国ストを決行。市場関係者も連帯して閉店ストを行った。しかし国が発表した「745億円の支援策」も燃油高騰の補てん枠はわずか80億円。それも嫌らしい条件をいくつもクリアしなければならず、実際に支援を受けられる漁業者はほとんどいない状態。「絵に描いた餅」で愚弄する政府の仕打ちに、漁業者の怒りは増幅している。
 今月18日には全国さんま棒受網漁業協同組合と道東小型さんま漁業協議会の約230隻も全面操業解禁日にあわせて一斉休漁を決行。政府に打開策をとるよう要求した。7月は操業解禁前で漁業者のストに参加できなかったが、サンマ漁の漁業者も抗議の意志を行動で示した。
 漁船関連では燃油価格高騰でA重油価格が5年前の約3倍に到達。漁業者は漁船の減速航行、イカ釣りで光力を落とすなどしてきたが、このままでは漁に出るほど赤字となり廃業の危機に直面している。
 さらに、1975年頃まで100%を維持していた水産物自給率も、輸入魚の増加で2006年には59%に急落。漁業破壊政策の延長線上に燃油高騰問題が起こり「日本漁業を守れ」という要求が噴出した。

 タクシーやバスも行動 様様な産業に波及
 抗議行動は漁業者、トラック、農業者につづき様様な産業に波及した。今月23日には神戸、大阪港の海上コンテナ陸送業者275社でつくる阪神海上コンテナ協議会が燃料高騰の打開策を国に求め、24時間の一斉休業に突入。全日本港湾労働組合(全港湾)も参加しけん引トラック約600台が神戸市内で行進した。
 バス業界も先月28日に北海道バス協会が、日本バス協会に燃料高騰問題で国に対して行動を起こすよう求める要望書を提出。北海道バス協会は緊急社長会で「このままでは路線廃止しかない」「動けば動くほど赤字が膨らむ」と論議し行動を起こした。タクシー業界も先月31日、沖縄県ハイヤー・タクシー協会の約150人がガス価格高騰に抗議して「タクシー事業者総決起大会」を那覇市で開いた。タクシーもバスも「市民の足・公共交通を守れ」と要求している。
 沖縄県老人クラブ連合会も22日に1600人が県民大会を開催。物価高騰で生活を切りつめている年寄りの年金から高額な保険料を有無をいわさず天引きしたうえ、まともな医療も受けさせない後期高齢者医療制度の廃止を求めた。
 そのほか沖縄県では29日に県漁業協同組合連合会、JAおきなわ、県トラック協会、県ハイヤー・タクシー協会、日本ホテル協会沖縄支部、県バス協会など主な経済団体の主催で6000人規模の「原油高騰経済危機突破総決起大会」を県立武道館(那覇市)で開く。宮崎県では建設関連19団体でつくる県建設産業団体連合会が9月2日に、3000人規模の危機突破決起大会を開き、原油や資材高騰、入札制度改革による業者しめつけに抗議し県庁にデモをかける予定である。

 全産業襲う物価高 生産すればするほど赤字に・生産破壊進行
 しかしこれだけ各界から要求が噴き出してもまともな対策をとらないのが福田政府だ。そのもとで家計を襲う物価高騰は深刻さをます一方だ。8月に180円台を突破したレギュラーガソリンは、石油元売り最大手の新日本石油が9月から170円台に値下げすると発表。暴騰した価格が少し下がったが、1g80円台だった頃と比べれば家計への圧迫はほとんど解消されていない。
 食料品の値上げラッシュも止まらない。8月の主な値上げを見るとブランド卵が1パック約30円値上げ。冷凍食品は最大手の加ト吉が5〜10%、味の素が平均20%値上げ。丸大食品の魚肉ハムやソーセージ、ハウス食品のレトルトカレーなどは価格を据え置き、容量を減らして実質値上げをした。9月からは明治乳業の家庭用チーズが4・5〜20%、マーガリンも3・6〜18・5%値上げ。ビールもサントリーが3〜5%値上げを発表。日清製粉もパスタを6〜25%の値上げすると発表した。
 そして10月からはまた輸入小麦の値上げである。4月に30%も値上げしたため、パン、うどん、そうめん、ラーメン、焼きそば、弁当類などが軒並み値上がりしたが、それをまた23%値上げすることを検討中。半年で50%もの高騰となる異常さだ。
 ほかに影響が大きいのは赤ちゃんの紙おむつ、クリーニング代、銭湯代、家庭用ラップ類、電気料金、ガス料金、航空運賃、海運運賃など。これも軒並み値上げとなる趨勢だ。車に乗っても、食事をしても、風呂に入っても、服をクリーニングに出しても、何でもかんでも物価高騰がつきまとう。そのうえ建設ラッシュだったマンションも買い手がつかず国内のデベロッパーが次次と破産。中小企業も資材高騰のなかで倒産の危機。そして農漁業やトラック業界も燃油高騰で廃業の危機。こうして日本国内の生産活動が崩壊の危機に立ち至っている。
 車も家もその他の工業製品も買い手がいなければ経済が鈍化するが、明確に表れているのは将来の労働力を補充する若い世代が徹底的に搾り上げられ、購買力が落ち込んでいる現実だ。24歳以下では非正社員の割合が5割近くに到達し、結婚も子育てもできない状態。農漁業者の後継ぎ問題も深刻だが、生産労働者も後継ぎを育てられない事態に直面している。
 普通車に乗っていた人が軽自動車、バイク、自転車へと生活を切り詰めたり、買い控えをする動きが広がるが、もっとも深刻な問題は個個人や個別家庭の生活破壊にとどまらず、日本社会全体の生産活動破壊が進行していることである。

 米欧独占企業は大儲け わざと値段つり上げ
 こうして日本国内における物価高騰で人が困っているときに、史上最高益を上げているのは米欧の石油メジャーなど世界をまたにかけた大企業である。米エクソン・モービルは四半期ベースの純利益で約1兆2600億円に到達。ロイヤルダッチ・シェルも約1兆2500億円に達し、BPも最高益を更新した。「好景気」「史上最高益」でボロ儲けをしたのは大手金融機関や大企業だけで、利益は社会全体に配分されず、株主配当や役員報酬など一部に蓄積している。人人を激怒させているのはその向かう先だったサブプライムなどの金融投機が破綻すると、今度は有り余った余剰資金を使い、人が生きていくためには買わずにはおれない食料や燃料を買い占めて値段をつり上げ、投機の具にしていることである。
 日本における物価高騰・生活苦はこうした世界をまたにかけて暴れ回る金融投機資本を規制し、一掃することなしには解決できない関係にある。福田政府は世界的な投機資本を規制して国民生活を守るのではなく「投機による物価高騰は仕方がない」と主張し、国民生活に責任をもつ独立国の政府とはいえない姿を露呈している。はっきりしていることは勤労者はアメリカいいなりの大資本・政府にたいしてたたかうことでしか自らの生活を守ることも、まともな日本の産業の発展や生産活動を守ることもできないことである。
 燃料高騰による物価高騰は日本の将来を左右する重要問題である。漁業者の全国スト、トラックの全国統一行動、農業者の行動に連帯して、各界各層が団結して日本潰しとたたかう総反撃の運動が求められる情勢となっている。

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