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物価高の上に増税や福祉切捨て
安倍政府の社会保障改革
             生活保護の改悪を手始めに    2013年6月28日付

 安倍政府の社会保障改革 「マスコミは“アベノミクスで景気がよくなった”といっているけれど、もうかったのは輸出大企業とヘッジファンドだけ。一般庶民の暮らしはますます厳しくなっている」という声がちまたにあふれている。そのなかで安倍政府は、社会保障制度改革と称して、消費増税に加えて医療、介護、子育て、年金などの、社会保障を切り捨てる方針を具体化している。憲法改悪をはじめとする戦争政治と連動した、安倍内閣の大収奪・貧困化政治に対して国民の怒りは爆発せざるをえない。
 
 国民搾り米国や財界に貢ぐ

 下関市内に住む70代のある婦人は、燃料から光熱費、食料品まで、日日の生活に不可欠な物の軒並み値上がりに直面している。
 月6万円の国民年金から、介護保険料や後期高齢者医療の保険料が引かれ、家賃や光熱費を支払うと残りはわずか。さらに離婚してパートで働きながら2人の子どもを育ててきた娘に仕送りもしてきた。葬式代にと貯めてきた貯金をくずしてきた。
 生活保護は受けておらず「いつ倒れてもおかしくないから携帯電話が頼り」だという。
 近所では、親が亡くなったことを契機に60代の子ども世代が都市部から帰省してきたが、非正規雇用で働いてきたため、年金は少ない。「子どもや孫の世代が年をとったとき、私たち以上に大変になる」と心配している。
 同じく下関市に住む90歳の婦人は、市役所から突然、年間4万7000円の市県民税を払えという請求が届いて驚いた。この婦人は毎年確定申告をおこない年金は年間200万円あるが、夫が死亡し寡婦ということで市県民税は無料になっていた。しかし昨年から国は、年収400万円以下の人は確定申告をおこなわなくてよいとした。本人はそれを知らず、用紙が送られてこないのでそのままにしていた。
 これまで確定申告が市税の目安であった。ところが確定申告がなくなると、夫が死亡したデータもなくなり、市は2人暮らしとみなして4万7000円の市県民税を請求した。申告をしなかった者の自己責任のような扱いだが、なんの説明もなく事情がわからなくて当然で、その他にも不当に支払った人も出ているといい、詐欺のようなやり方に怒りがつのっている。
 国というものが国民の生命や財産を守ってくれるものだと信じていたら、とんでもない目にあうことが、市内のあちこちで語られている。それに安倍政府の社会保障の切り捨てが追い討ちをかける。

 来年4月からは8%に 消 費 税

 そもそも安倍政府の社会保障改革は、昨年8月、民主・公明・自民3党などの賛成多数で消費増税を柱とする「税と社会保障の一体改革関連8法」が成立したことに始まる。
 それによって消費税は来年4月から8%、2015年10月からは10%に引き上げることが決まった。消費税は食料品をはじめとする生活必需品や公共料金の支払いなど、あらゆる消費に課税するもので、低所得者ほど負担が重くなる。そしてこのとき、年金、医療、介護など社会保障の切り捨てを同時に進める目的で「社会保障制度改革国民会議」が発足した。
 今月12日、安倍首相は成長戦略の「第2弾」として、企業の設備投資を促す減税を来春から実施すると発表した。法人税減税については、すでに民主党内閣の2010年末、法人税の実効税率を40・69%(東京都内の企業)から35・64%に引き下げることが決まっている(2015年4月実施)。国民に消費増税の新たな負担を強いる同時期に、大企業はダブル減税となる。
 過去の現実は「消費税収はすべて社会保障のために使う」など大嘘で、法人税減税による税収減の穴埋めに使われている。1989年の消費税導入時に法人税率は42%であったが、99年までのその後の10年間で12%も引き下げられた。法人3税(法人税、法人事業税、法人住民税)の1989年から2010年度までの減収額の累計は約208兆円。一方、同時期に国民からしぼりとった消費税額の累計は約224兆円にのぼった。税金負担を庶民に押しつけたのが実態である。
 しかも消費税は海外への輸出企業に仕入れでかかった税額を還付するしくみになっている。消費税の税率が増えれば増えるほど還付金は増えることになる。ちなみに税金に関しては、日本の所得税制は累進課税を採用しているといわれるが、所得額が1億円をこえると所得税負担率は急激に下がる。100億円に至っては13・5%にまで下がる。その多くは株式の売却による所得だが、日本の税制がそうした所得に特別措置を適用しているからだ。
 それに加えて、所得や利益を海外のタックス・ヘイブン(租税回避地)に逃がして、本来なら国に納めるべき税金を払わないですませている大企業や高額所得者がたくさんいる。そこから生まれる税収のギャップは、アメリカでは年間3450億j(32兆円)といわれる。日本の課税当局は推計すらしていない。

 全基準の引下げに直結 生 活 保 護

 安倍政府は生活保護の支給額を、この8月から2015年4月にかけて総額670億円減らす。生活保護基準額の削減幅は平均6・5%(最大10%)となり、1950年に現行の生活保護法が制定されて以来、過去最大の基準引き下げとなる。
 生活保護制度の基準値は、最低賃金の額や基礎年金の支給額、また就学援助の基準、住民税の非課税基準、国民健康保険の保険料や窓口負担の減免、介護保険料の軽減基準、保育料の徴収基準など多くの低所得者対策の基準となっており、それらの切捨てに直結する大きな問題になっている。
 下関市内の学校現場では、生活保護基準引き下げが就学援助の縮小につながると問題にされている。下関市の就学援助の基準は「生活保護基準の1・3倍以下の世帯」となっており、市内の小・中学高校の就学援助受給率は35・1%、山口県内でトップとなっている。
 ある小学校では「市内の小・中学生の3割が収入の少ない家庭で生活している。生活保護基準が引き下げられると、これまで就学援助を受けていた家庭で受けられなくなる子どもが出てくる。教育費が払えない子どもを切り捨ててしまうということだ」と話されている。

 「要支援」外す事を策動 介 護 保 険

 介護保険をめぐっては、小泉改革で「要介護1」の人人の5〜7割を「要支援」に引き下げて給付制限をしたが、安倍政府はさらに「要支援」の人人を介護保険からはずすことを狙っている。社会保障制度改革国民会議で「軽度者向けサービスの見直し」として論議し、来年の通常国会にも介護保険法改定案を提出しようとしている。
 下関市内の要介護認定者(2012年度)は1万7595人だがそのうち「要支援1」が3221人、「要支援2」が2462人、合計して5683人となっている。つまり「要支援」の高齢者は全体の32%にのぼっている。この高齢者を介護保険の対象からはずそうというのである。
 市内の介護現場からは、「いずれみんな年をとるし、病気にもなる。戦火をくぐり、焼け野原から今日の日本をつくってきた世代をないがしろにすること自体、国として恥ずかしいことだ」との声があがっている。
 介護をめぐっては、保険料負担額は年年上がる一方で、「施設から在宅へ」といって特別養護老人ホームなどの介護施設は増やさず、このため介護施設に入所したくても入れない人が全国で42万人、下関市内でも約1700人にのぼっている。在宅で親の介護をするために「介護離職」をする人が増え、「介護殺人・心中」などの社会的悲劇すら起こっている。「介護の社会化」を政府に要求する声は切実さを増している。

 物価下落を理由に削減 年金制度も

 最近、日本年金機構から「10月から年金を減額する」という手紙が届き高齢者を驚かせた。この間物価下落にもかかわらず年金額を据え置いたので、その2・5%分を2015年4月まで3段階に分けて減らすというのである。この年金制度でも安倍政府は大幅な改悪を狙っている。
 今月3日に開かれた社会保障制度改革国民会議では、「年金の支給開始年齢について、早期に引き上げを検討する必要がある」との意見で一致した。日本の公的年金の支給開始年齢は今年度から段階的に65歳まで引き上げられるが、その後67歳〜70歳に引き上げる論議がされている。
 年金問題の専門家は「平均寿命は永遠に延び続けるものではなく、今後下がる可能性が大きい。事実この2年は下がっている。70歳支給開始が決定し、平均寿命が75歳に落ちたと仮定すると、年金ももらえず職もない高齢者が増えるとともに、年金を40年間かけ続けてたった五年しか受けとれないことになる。国家による詐欺だ」と訴えている。
 そのうえ安倍政府は、国民が零細な収入のなかから積み立てる掛け金(公的年金資金)に目をつけ、これを社会的に横領し、国債をはじめとする国内債券・株式や外国債券・株式を買って資産運用しており、それが急落すればツケは国民に回されることになる。
 しかも3日の国民会議では、東大大学院の御用学者が、日本政府が膨大な債務を抱えている下で「国債市場での信任を確保するため、将来にわたって社会保障改革を続けていく意志と能力があることを市場に示していかなければならない」として、「消費税の再引き上げ」や「高齢者医療費をカバーする目的での死亡消費税の導入」を提案した。現在、日本の相続税は国民全体の4%の資産家にしかかからないのを、死亡した全国民の財産に消費税と同じ税率をかけて巻き上げる。税金は死んでもなくならない。

 ODAや米軍費に散財 福祉切捨てる一方で

 安倍政府や財界は「高齢化が進むと医療、介護、年金にかかる金は増え、借金はふくらみ、放っておけば将来にツケを回す」「国の財政が危機だ」という。しかし消費税を引き上げ社会保障を切り捨てた端から税金を散財してきたのは歴代政府や財界である。
 この間安倍政府は、「国土強靭化」といって10年間で総額200兆円もの国家資金をゼネコンにつかみどりさせようとしてきた。またミャンマーにはODA(政府開発援助)910億円と債務免除5300億円、アフリカ諸国に対してはODA総額1兆4000億円と、日本企業の進出先に異常なバラマキをおこなった。
 軍事費は11年ぶりに増額して、中国や北朝鮮をにらんでPAC3を買ったり南西方面の軍事力強化に使った。
 そして異次元の金融緩和によって市場にマネーを注ぎ込み、アメリカのヘッジファンドや外国人投資家をもうけさせた。安倍政府に対して、法人税率の引き下げや農業分野の規制緩和、消費税の15%以上への引き上げを求めたのはIMF(国際通貨基金)である。
 そして歴代政府は、毎年の在日米軍への「思いやり予算」に加え、米軍再編にも3兆円もの大盤振舞をしてきた。日本国民は、自分の納める税金で原水爆戦争の危機に追いやられようとしている。
 日本社会を構成するすべての国民が、社会の一員として集団で労働し生活し、税金を納めているのに、国家の責任で社会保障すらしないのはみずから統治能力もない末期症状をさらけ出しているだけである。アメリカと独占大企業が、国家を使って税金を巻き上げては好き放題に使い果たし、国政が機能する構造はもはや隠しおおせなくなっている。
 ヨーロッパでは緊縮政策による増税や教育・医療の切り捨てに反対して各国でゼネストが起こり、ブラジルやトルコでも物価の高騰を契機に数十万人がデモ行進をおこなっている。日本でも消費増税や社会保障切り捨てに反対する怒りは充満しており、それが安倍政府に鉄槌を加える大規模な行動に転化することは必至となっている。そのたたかいは、日本の独立と平和、繁栄をめざす運動のなかで重要な位置を占めている。

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