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奴隷化に逆戻りさせる法改悪
労働規制緩和図る安倍政府
              全国的な政治斗争に活路    2014年5月30日付

 安倍政府が労働法の規制緩和に乗り出している。小泉構造改革を手がけた竹中平蔵のような実質アメリカ人を産業競争力会議のメンバーとして登用し、そのもとで労働時間の規制をなくして残業代をゼロにする、タダ働き奨励の「能力給制度」を持ち込もうとしたり、企業がいつでも労働者を解雇できるよう解雇規制の撤廃を叫んだり、派遣労働をさらに全産業分野に拡大させたり、低賃金労働で競争させているところに外国人労働力を取り込むといった、諸諸の動きがあらわれている。

 残業代ゼロのタダ働きを奨励

 既に都会だけでなく、地方都市を見てもコンビニやスーパーに行くと、中国人研修生や東南アジアの若者たちがレジを打っている光景が珍しくなくなった。製造業に限らず、中小企業に対しても融資銀行を通じて「人件費削減」を目的にベトナム人研修生やインドネシア人研修生の導入が奨励され、鉄工所や食品加工など様様な職場で、生産拠点の海外移転に向けた技術指導の準備が先行して進められている。
 雇用契約は直接雇い主と交わすのが常識だったのが、2000年代を通じて第三者が人買い稼業によって送り込む派遣業が台頭し、今やパートや派遣を含めた非正規雇用労働者は2000万人(全労働者の38%)に達した。年収200万円以下の労働者は1000万人超えである。戦後に人買い稼業は禁止され、そのために職業安定所が設置されていたのに、69年たってみると解禁どころか政府みずからが貧乏人づくりを推奨し、職安まで民営化するようになった。
 大なたを振るっている竹中平蔵といえば、人材派遣会社パソナの親会社であるパソナ・グループの特別顧問を経て取締役会長になっていた人物で、「(若い人に一つだけいいたいこと)みなさんには貧しくなる自由がある。何もしたくないなら、何もしなくて大いに結構。その代わりに貧しくなるので、貧しさをエンジョイしたらいい。ただ一つだけ、そのときに頑張って成功した人の足を引っ張るな」といってはばからない。人買いの親玉が「改革派」として持ち上げられ、労働法や規制をみな取り払い、日本列島を大企業や多国籍金融資本にとって好き放題ができる草刈り場にするような行為が、平然とまかり通っている異常さである。

 非正規雇用は過去最高 アベノミクスの1年

 アベノミクスは1年たってみてどうなったか。非正規雇用は前年以上に拡大し、過去最高の割合になったことが国自身の調査からも明らかになっている。労働者が受け取る現金給与の総額も前年より減ったことを厚生労働省が発表した。そうした事実はいつもニュースの片隅で扱われ「株価上昇」「景気は緩やかに回復している」という白白しい発表ばかりがくり返されてきた。
 この間、上場企業は確かにもうかった。輸出に依存している製造業であれば、トヨタのように「1円の円安で400億円の利益」といわれるような為替差益を拡大した。あるいは日銀の大盤振舞によってつくり出された株式市場の人為的な操作によって、金融機関なども利幅を増大させてきた。上場企業の株主配当はリーマン・ショック前に過去最高額を記録していた08年3月期の6兆1600億円を上回り、2014年3月期は6兆3700億円に達する見込みといわれている。株主といっても東証などの金融市場に上場されている株式のうち60〜65%は外国機関投資家やヘッジファンドが握っている。直接配当金を受け取るだけでなく日頃から売り買いをくり返して、彼らが日銀マネーや安倍晋三のおかげで潤っただけであった。
 労働分配率は80年代に73%だったのが60%まで低下し、大企業のCEOや経営者が数十億円もの報酬を受け取る一方で、年収200万円程度の労働者がゴロゴロいる。ソフトバンクの孫正義は株主配当も含めて93億円の報酬を受け取り、ユニクロを経営しているファーストリテイリングの柳井正は52億円、セガサミーHLDの里見治は23億円、日産自動車のカルロス・ゴーンは10億円など、みな桁違いの報酬を独り占めしている。孫正義1人が受け取っている金額を年収200万円の労働者に換算すると4650人分にもなる。能力給というなら、孫正義が社会に対して4650人分に匹敵する、どのような能力なり労働で貢献したか? である。
 社会で生み出された利潤、みなが労働することによって積み上がった富が、人口の1%にも満たない大企業経営者や金融資本のもとに吸い上げられる。派遣や外国人労働など徹底的に搾取することで確保されている関係にほかならない。その際、搾取する相手が日本人であろうと外国人であろうとかまわず、「安い外国人の方がいいじゃないか」といって海外移転したり、国内に連れてきたりしている。大企業の海外生産比率はほぼ4割近くまで上昇し、モノづくりの拠点を低賃金の海外に移している状態だ。

 国境越えて労働者搾取 多国籍化する大企業

 金融投機集団が利得を稼ぐ市場争奪の主役になっているなかで、国内大企業も多国籍企業化してきた。こうした大企業が国家を利用して大きな利益を得ながら、その利益は決して社会に還元することなどない。リーマン・ショック後には膨大な国家財政を注ぎ込ませ、ECOを語った補助金ビジネスで息継ぎをはかったり、日銀マネーを食い物にしたり、様様やった。その結果、史上最高益をあげた。ところが法人税を減税させて消費税に転嫁したり、つけはみな国民、労働者に払わせていく。「国際競争力に打ち勝たなければ」といって合理化や首切りをやり、各地で工場を閉鎖してみな海外に出ていってしまった。
 安倍政府が進めているのは、こうした多国籍企業にとって搾取しやすい国づくりで、そのために厳しい労働基準法や労働法を取り払い、東南アジア並の労働条件に押し下げようとするものである。
 労働基準法や労働法は、労働者が人間として生活するために社会的規制として維持されてきた。資本による一方的な解雇を認めず、労働力として酷使した分は残業代を支払うルールも、労資の関係では当たり前のこととしてやられてきた。労働者から労働力を買って働かせることによって利潤を得るのが資本で、労働者を奴隷のように24時間束縛し、所有物にできるような関係ではない。
 8時間労働制についても資本主義の登場から今日まで、労働者がたたかいによって勝ち取ってきた人間としての権利である。放っておいたら死ぬまで働かせるのが強欲資本で、産業革命後の生成期には児童労働までやらせていた。ストライキや争議など資本とたたかうことで人間的な生活を獲得し、仕事を終えたあとは休憩してリフレッシュしたり、社会的な活動に参加したり人間としての尊厳や人格を認めさせてきた歴史がある。
 資本主義社会が一周し、搾取しすぎて国内だけでは利潤追求が頭打ちとなり、多国籍金融資本が世界を股に掛けて金もうけを謳歌しているなかで、国境を越えて人間をモノ扱いし、労働者は忙しい時に必要なだけ雇って自由に解雇するという資本にとっての自由を拡大しようとしたり、残業代ゼロのただ働きをさせようとしたり、奴隷状態に逆戻りさせていく流れが露骨にあらわれている。
 今や労働者が家庭を持ち、我が子を次代の担い手に育てようにも、親の介護をするにも、教育や保育、福祉にいたるまでみな企業が営利追求の道具にして負担を迫られ、国民生活は丸裸にされていく。政府というのが、そうした社会にとって必要な規制や法律をみな取り払い、公共部門にいたるまで無政府状態にさらした結果、貧困がひどいものになり、生命の再生産ができないほど急激に人口が減少するようになった。
 憲法は基本的人権の尊重や、文化的で最低限度の生活を保障するとうたってきた。しかし改憲する前から国民生活の破壊は極限まで進行している。今生きている者が食っていくのに精一杯で、未来の生命を再生産できないまで、資本による社会の食いつぶしがひどい。搾取がきわめて暴力的で、人間を人間と見なしていないことに最大の特徴がある。こうした非人間的な労働環境や社会状況を抜本的に転換しないことには、人民生活全般が消滅してしまいかねない所まできている。
 国家が個別企業、多国籍金融資本の道具になり下がり、彼らの都合がいいように財政運営についても社会運営についても実行され、労働者だけでなく国民全体を奴隷状態にしていく。終いには米国の国益を守るために、職のない日本の若者たちが地球の裏側まで鉄砲玉として出ていかなければならない。世界恐慌に突入し、ブロック経済圏同士の市場争奪や対立が激化しているなかで、「アメリカのために死んでこい!」といって民族的利益も何もかも売り渡していく象徴が集団的自衛権行使である。
 労働者としての権利はもちろん、国民生活全般を擁護する反米愛国の全国的な政治斗争が待ったなしの課題として迫られている。たたかわなければ打開などできず、遠慮など知らない連中であることを日本社会の現実が示している。

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