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豊関合併に伴う下関市長選
江島市長陣営が現金配る
                   安倍事務所丸抱えで        2005年4月12日付

  もみ消す小串警察署
 豊関合併にともなう下関市長選にかかわり、現職・江島潔市長を推せんした自民党豊浦支部(岩崎義男支部長)で、選挙活動をめぐる現金のやりとりが明るみに出て騒ぎとなっている。3月27日に投開票がおこなわれた市長選は、江島市長と次点の中尾友昭氏がわずか2470票差という大接戦であった。江島氏の得票はとくに、郡部への依存が大きかった。現金を受けとったり拒否した複数の市議によると、現金のやりとりは告示日を前後して複数回にわたりおこなわれた。江島氏推せんのハガキ書きやポスターはりなどの選挙活動のためで、市議のなかには住民を戸別訪問して魚を配って歩いた者もいた。さらに選挙後、問題になりはじめると、小串警察署が、受けとりを拒否した市議にたいして、証言しないよう働きかけている。

  自民党豊浦支部の市議に
 旧豊浦郡4町では、安倍事務所が江島選対を丸抱えしてとりくみ、とくに選挙戦の終盤で物心ともに力を注いだ地域であった。投票日を2日後にひかえた3月25日には、安倍晋三代議士が直接にテコ入れに回るほどであった。旧市内では「自分のまわりには現職の支持者が見あたらない」「江島をやればやるほど、嫌われていく」といわれるなかで、頼みの綱は3期10年の江島市政とかかわりのなかった郡部票といわれていた。住民のあいだでは「三人とも知らない人」「むこう(下関)の人たちの選挙」と、なじみの薄い市長選であった。
 二月末の自民党五支部が江島氏推せんでフル稼働をはじめていた。江島潔事務所が豊浦町川棚につくられたのは、告示も一カ月とわずかに迫ったころで、旧市内と同じく後援会組織がないことから、安倍事務所が丸抱えした態勢となった。
 市長選告示を2日後にひかえた3月18日の午後2時、豊浦総合支所2階の会議室に、自民党豊浦支部の市議ら10人前後が集められた。この席で同支部長のI市議(警察出身)と、幹事長のT市議が司会進行させ、「今度の選挙は中尾氏がクローズアップされているが、(江島氏が)負ける選挙ではない。がんばってくれ」と安倍事務所の豊浦担当・S秘書が、ハイテンションでハッパをかけて、市議たち一人一人に白い封筒が渡された。
 このときは一時間弱の会合だったが、江島氏推せんのハガキ50枚と、一週間にわたる選挙カーの工程表がいっしょで、白い封筒の中身まで気がつかない人もいた。ほとんどのメンバーはふところにしまったが、自宅に帰って現金だったと気がつき、あわてて幹事長のT市議宅まで返しに行った市議もいた。
 それ以後、ポスターはり、後援会の作業など、なにかにつけて市議たちに現金が配られるようになったといわれている。K市議は、「自宅のある団地の選挙看板にポスターを7枚はった。たしか翌日に、支部長のI市議が6000〜7000円を持ってきた。“こんなものもらっていいのかな”という思いはあったが、むこうが持ってきた『江島潔後援会事務所』あての領収書にサインした」とのべる。
 元監査委のI市議は、「8日の入学式で、ほかの市議から“あの金が問題になっているが、あれはポスターはりの労務費だから”といわれた。5000円だったか、1万円だったかは、ばたばたしていてよく覚えていない。だれからもらったかも記憶にないが、場所は江島事務所で、支部長からだったかもしれない」と、半月まえのことも記憶にないという、一年間分の監査をしてきた役職としては頼りない回答。

  葉書だし、ポスター貼り等
 M市議の場合はもっと踏みこんだもので、「告示まえにはポスターはりで5000円もらった。告示後は後援会活動の一環として、またいくらかもらった。幹事長のT市議に領収書は渡した」と、複数回もらったと話した。M市議は告示後に、不特定多数の住民にたいして魚を配って回っており、ほとんど知らない江島氏になぜそこまで入れこむのか、地域で疑問が広がることとなった。
 M市議は「日ごろお世話になっている人や、仕事でつながりのある人、親せきなどに渡しただけ」と、魚を配って回ったことは認めている。あわせて何人渡したのかも「わからない」ほどなのに、「選挙のためにやったのではない」と弁明している。地域の人たちからは「日ごろ魚を配ることはしないのに」とあきれる声が上がっている。同地域は漁業や水産加工が多く、中尾陣営の影響が大きいところだったが、投票日まえ数日でひっくり返りが起こったと語られている。
 このほか旧町議会ではじょう舌なことで有名だったU市議は、「記憶にない」とのべて黙して語らず。幹事長の子分といわれるN市議は、いくらもらったのかについて「わからない」「侮辱ではないか」と気色ばんで、住民に広がっている疑惑への不信にたいして、釈明すらしようとしなかった。そのほか元町長で自民党豊浦支部顧問のI氏や、元市議のK氏のかかわりもとりざたされている。

  支部長は警察出身市議
 一方で渡した側とされる、警察出身の支部長のI市議は、「わたしはゼニをあつかったこともないのに、(わたしから)もらったといっている人はウソをいっている。幹事長のT市議と、江島後援会事務所(田中町)に行ったときも、わたしが受けとったのは資料やポスターだけ。後輩の警察官からとり調べを受けるようなことを、先輩としてするわけがない。カネが出たとしても、あたりまえの労務費としてだろう」とのべている。総括主宰者としての責任については、「わたしではない。だれかはいえないが別の人。会計もだれかはいえない」と言葉をにごしている。幹事長のT市議は、「後援会内部のことを話す必要はない。どこからカネが出たかもいう必要はないが、わたしが自腹を切ったわけではない」と強気の姿勢であるが、各市議で配られた金額や回数のばらつきが気になるところ。
 このなかで小串警察署の対応に注目が集まっている。白い封筒を返しに行った市議宅を訪問した小串署の某警官は、「おたくがなにもいわなかったら、わたしらも調べなくてもすむ」と、疑惑を解明するのでなく、もみ消しを願望している態度をとっている。疑惑のカネがやりとりされた当事者には、いまだに訪問すらしていない。
 下関警察署は昨年、林芳正代議士の車が当て逃げした事件で、被害を受けたタクシー運転手の方を書類送検するという転倒したことをやった。江島市長の汚職事件は何度も問題になったが、警察が動いたためしがない。今度も警察出身市議がかかわっているという身内擁護のためなのか、総理候補といわれて権力の座にある安倍晋三代議士がかかわっているからなのか、としか市民の目には映っていない。
 市民の側からすれば、交通違反などではうるさく罰金を稼ぐが、「権力者の犯罪を調べてはならない」というマル秘の内規があって、それを法律より優先しているのであろうと語られている。
 当節は「市場原理」ばやりで世の中の常識がひっくり返った感があるが、すでにお上の方では選挙も市場原理となって、公職にかかわる選挙の法律なども、アメリカなどからは「貿易障壁」かなにかと文句をつけられ、規制緩和、自由化、民営化になってしまっているのかもしれない。

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