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江島市政三期と合併への審判
3月下関市長選挙
              地方自治破壊との対決  2005年1月13日付

 下関市と豊浦郡四町の合併による新市移行が1カ月後と迫り、3月27日におこなわれる市長選にむけた動きが激しくなっている。江島潔市長が昨年12月に出馬表明をし、中尾友昭県議が年明けに立候補を正式表明したのにつづいて、松原守県議もにわかに出馬表明となった。「すべての道はローマに通じる」ということわざがあるが、「すべての選挙は安倍事務所に通じる」というのが下関の市長選挙の常識である。おもしろくもない世をどうすればいい方向にむけることができるか、大多数の市民が考えている。いずれにしても、安倍事務所の本命は現職江島市長であることに疑いはなく、安倍カイライの江島市長のこれまでの政治への審判、とりわけ合併への1市4町民の審判が焦点となる。
   
 安倍事務所の本命は現職
 安倍晋三代議士は5日山口県庁での記者会見で、市長選が近い江島市長について「市町村合併でリーダーシップを発揮したと思う」と持ち上げた。江島市長は先におこなわれた昨年12月の下関市議会本会議で、「合併をめざしてとりくんできた新市で、リーダーとしての役割について有権者の信を問いたい」といっており、安倍代議士の発言はこれに応じて現職支持を出したと受けとめられた。17日には市長選の推せんについて、下関市と豊浦郡四町の各支部関係者が一定の結論を出す。ここにきて自民党支部の推せん騒動は決着がついたとされ、茶番劇だったとも語られている。
 もともと安倍代議士と江島市長は、ダンピング入札による中小業者たたきの一方で、神戸製鋼所や三菱重工業への100億円単位の異常な発注額が示しているように、腐れ縁がぬき差しならない関係となっている。従来の統一地方選挙で年末には決まっていた市長選の推せんが、年明けまでずれこんだのは、市民のあいだに江島市長への嫌悪感が急激に広がっているためである。安倍代議士は、マスコミが「総理候補」と持ち上げているが、下関で認められるかどうかは、おおいに気になる問題である。ここは、現職江島市長が続投することが自身の安泰につながることは明らかである。
 公明党とともに安倍事務所の選挙にいつも走っていた連合・三菱重工出身の松原氏が出馬表明したことで、中尾陣営は有利になったとの声もあるが、多数は現職有利の布石との見方が一般的である。中尾氏は自民党に推せん願いを出すようなへっぴり腰をやめて、草の根で断固としてやればよいのにとの意見が多い。
 
 実態は4町の解散 住民に犠牲転嫁
 今回の市長選は、合併にともなう選挙であり、合併が大きな争点となる。下関では、これまでの江島市政のやってきたことについての審判となる。なによりも新市移行が近づくにつれて、吸収合併対象となる豊浦郡四町五万人の住民から「こんなはずではなかった」「だまされた」と憤りが、強くなっている。
 豊浦郡町長会(会長・林哲也菊川町長)と豊浦郡議長会(会長・佐伯伸之菊川町会議長)は豊関合併を3カ月後にひかえた昨年11月、合併協会長の江島市長にたいして意見書を提出せざるをえなくなった。「一部協議の方向性について危惧(ぐ)すべき点があるように思われる。現状の住民サービスを低下させないためには、合併当初の一定期間は急激な変化を基本とせず(中略)、時間をかけて一元化すべき」と訴える様は、吸収合併の危機感をつのらせる郡部側と、江島市長への従属関係をいっそう明らかにした。
 意見書の内容は、@各団体のとりくみ地域の事業を継続、A公共施設の管理運営は、現状の利活用に支障ない部署へ、B補助金・助成金、委託金などは現行の引きつぎ、C入札執行、契約は総合支所に権限を、D健康づくりを新市の重点項目とし、健康づくり課設置、を求めている。郡部のある執行部は、「すべてが下関に合わせられて右へならえとなり、郡部が吸収されることに、一石を投じるものにはなっただろうが、ほとんどが認められずにはねられた形となった」とてん末をのべる。
 「対等合併」などという話は調印式までの見せかけであって、ハンコを押したあとは、下関市側の正体むき出しで郡部にたいする問答無用の切り捨てがすすんでいる。新市移行にさいして農林部については、結びつきの大きい郡部に分庁化してほしいとの要求も、江島市長から「論外だ」とあっさりけられた。合併後の新市予算編成についても、経常経費、投資的経費ともに04年度予算の10%以上カットするよう、下関市主導で方針が出された。
 林菊川町長が異議をとなえ、合併特例債を利用することを提案したとされるが、聞きおく程度の対応でかたづけられた。江島市長の独断専行ぶりは、まるでブッシュの孫のような様相である。住民の知らないところですすめられる生活や教育、福祉カットに、住民の疑問はふくらんでおり、譲歩しつづける町長や執行部への反発が強まっている。

 ゴミ袋代や介護保険料等も大幅に値上げ
 豊浦町に住む50代の男性は、「下がったのは水道料ぐらい。介護保険料もゴミ袋、町民税など公共料金はみんな上がった。なんのための合併だったのかといいたい。住民サービスを維持するために合併しなければいけないといっていたではないか」と、憤りをあらわにする。ゴミ袋や介護保険料の値段については、合併協で結論を出さず調整項目にしていたものを、合併決定後に行政が決めた。
 有料指定ゴミ袋の値段は、燃やせるゴミは大が50円、中が35円、小が20円、特小が10円で下関市に合わせるとした。豊浦町、豊北町は大袋で2倍に引き上げられ、菊川町や豊田町も19円以上の引き上げとなる。介護保険料は月額3880円で、現行より豊北町が630円の引き上げ、豊田町が510円、菊川町、豊浦町が420円の引き上げとなる。
 郡部には小学校が21校、中学校が10校あるが、図書費、備品費、修繕費、消耗費、報償費など、多岐にわたって下関市なみにカットされる。豊浦町の小学校長は「学校はもうけるところではないのだから、効率でくくられない。だけど出された予算でやるしかない、頭をひねらないといけない。寄付を募って回るわけにもいかないし…」と、頭をかかえる。
 小・中学校にかよわせている母親たちのあいだでは、「子どもたちが守れなくなる」と危機感を強めている。保護者や教育関係者の強い要望が出されたが、合併後1年間だけが現行どおりで、「1行政では1制度しか認められない」と、悪い下関市までレベルを下げることとなった。
 豊浦町では町独自の施策として、保育所と幼稚園の「一元化施策」を実施しているが、4月からは保育料も国が定めた所得ごとに15段階の基準の7割から8割の額で統一される。1家庭に園児2人がいれば、1万円前後は保育料が上がることになる。

 農漁業潰し地方生活切捨て
 農漁業の補助金、助成金は、廃止かいずれ整理されることになるものが少なくない。豊北町の関係者は、「国はアメリカのように20〜30fもあるような農家を育成するというが、中山間地域に集落が寄せあっているような日本にあわない。農業を守ることが、集落を支えることに結びついており、大平原に農家1戸あるようなアメリカといっしょにすることがおかしい」と話す。
 「60年まえの敗戦で大地主解体をへて、1fで家族を養う自作農がふえた。しかし高度経済成長で生産費がわりに合わなくなり、90年代には農産物輸入自由化で力が落ちていった。合併もその結果で、力関係で押されているからだが、力を合わせれば変えられる」とも語られている。
 農漁業とともに基幹産業となっている建設業は、電子入札導入でダンピング競争は避けられない。建設関係のある業者は「下関市の工事現場には、保険さえかけていない作業員が九州からたくさん入っている。いっしょになってたたきあいをやるわけにはいかないと、廃業したり会社を売ってしまった業者もある。つぶれないようにとここまで必死になってやってきたのに、行政からやられたという思いだ」とのべる。
 郡部にはほかに働き場所がないため、建設労働者は死活問題である。「住民のためといってコスト削減をかかげて、なぜ議員定数や報酬はお手盛りにしているのか。首長は参事になって、現行の給料のまま総合支所に残るというが、それこそ解散して住民に信を問うべきではないか」と怒りをぶつける。
 郡部四町の小・中学校の保護者でつくっていた教育委員制度も廃止、豊浦郡教育研究会もなくなる。自治会、婦人会、老人会など、住民が首長と直接対話をおこなうといったこともできなくなる。町役場そのものがなくなるため、商工業振興も心配されている。豊北町を例にとると現在、滝部の町役場には約100人の職員が働いているが、人口1万3000人は下関市内では安岡支所クラスとなり、嘱託もふくめてわずか職員八人というもの。
 また郡部の財布である一般会計は、豊浦町が90億円、豊北町が80億円、菊川、豊田町が各40億円で総額250億円にのぼるが、これはすべて下関市役所に集められる。合併特例債の四百数十億円、合併算定替による財政措置は、新市づくりの大規模箱物である新市庁舎建設の利権事業につぎこむとみられている。
 各町長は1カ月後に失職したあとは、各総合支所に参事として現行の報酬でポストが与えられることが決まっている。市議、町議合わせて106人の議員たちは、在任特例が適用されて2カ年は、現行プラスアルファーの報酬が約束されている。安倍事務所と林事務所が首長を牛耳り、議会をオール翼賛議会の去勢された飼いネコのような姿にしているもとで、住民の意見は反映されようがないのである。
 合併は4町を解散するものであり、地方を切り捨て、地方の住民の発言の場をなくし、要するに中央集権化の戦争の教訓から重視された地方自治をなくしてしまうことである。その最大の問題は、農業と漁業、それと関係を持って存在してきた商工業、地方生活を切り捨てるものである。
   
 沸騰する市民世論 運動起こす動き
 3期目の江島市長は、母親や職場、自治会などがゴミ袋値下げを求めて10万人をこえる署名を提出しても、「10万でも20万でも下げる気はない」と拒絶。「市民の言うことを聞かない市長」の姿をあらわしている。母親たちは、小・中学校の教育費が毎年10%カットで、トイレの戸は破れたまま、水漏れがする校舎が修繕されずに放置されている、プリント代、トイレットペーパー代など消耗費も保護者負担に回され、給食費が払えない家庭も出ているなかで、子どもに暗い顔をさせるなと、運動を起こそうとしている。
 市立大学は学生の授業・入学料だけで運営され、国からの地方交付税・数億円はピンハネされていることから、老朽校舎に非常勤教員が半数以上を占める事態となっている。学生のなかには、市民と連携して状況を変えようという動きも出ている。市内の幼稚園休止は、保護者の署名運動で撤回させるまで追いこんだ。
 市内の商店街に打撃を与える「あるかぽーと計画」は、凍結を求める世論を無視してすすめられており、市長選で計画にとどめを刺そうと商店主たちが動いている。小泉首相の地元・横須賀市につづいて電子入札を導入して、地元経済がダンピング競争におちいり高校生の就職先もなくなっても、大企業との利権重視で突っ走ってきたが、多くの建設業者や商店主など、長年にわたり自民党を支えてきた市民が、安倍事務所のカイライ江島市政に反旗をひるがえすすう勢が強まっている。
 市長選挙は、安倍事務所を中心とする権力側と豊浦郡四町と下関市の有権者30万人の対立である。これを規制するには、これらの市民の大衆的な運動を強めることであり、江島市長への審判を下し、それと対立する候補を市民の大衆的な力を発揮して当選させ、当選後は縛りつけて市民の要求を実行させるような力をつけることである。世論は沸騰している。

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