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遠慮を知らぬ国民収奪
円安・物価高騰に加え増税
               高齢者は年金上がらず     2014年10月8日付

 今年4月から消費税が8%になると同時に、急激に円安が進み、輸入食品やガソリンをはじめさまざまな物が値上がりして家計を直撃している。高齢者の年金は減るばかり、現役世代も給料が上がった人などごくわずかだ。多くの市民が収入が増えないのに、電気代、水道代、食べる物から着る物までなにもかもが値上がりして、いったいどうやって生活するのかとの声が充満している。中小零細企業や商店は、消費が落ち込むなかでコストだけが跳ね上がり、倒産や廃業も続いている。安倍政府が、今年中にも消費税を10%に引き上げるかどうか判断するとしており、「どこが地方創生なのか?」との怒りが語られている。
 
 法人税減収補う消費税の伸び

 下関市内では、唐戸の老舗であった豆のありよし、酒屋・尼安本店が多額の負債を抱えてあいついで倒産した。全国的にも円安による倒産が9月に昨年同月の2倍となり、市内の商店や中小企業のなかでは「明日は我が身」と深刻な思いが語られている。消費が落ち込む下関市内に、大型店が次次に乗り込んできて利益が減っているところに、消費税の増税と急激な物価高騰である。豚肉、鶏肉、チーズ、バター、小麦粉類、コーヒーなど、輸入食品や飼料・原材料を輸入に頼る食品などがあいついで値上がりし、今夏は長雨の影響で生鮮野菜も高止まりしている。石油を原料とする資材関係も大幅に値上がりしており、「消費が回復しないのに、経費ばかりが上がって利益が出ない」「価格に転嫁すると、また売れなくなるので簡単に値上げできない」と口口に語られている。
 市内のスーパーのなかでは、最近、高齢者の万引きや置き引きが増加していることが問題にされている。毎日何度もパトカーが来るような状態の店もあるほど。すき焼き用の肉を数パック万引きされたとか、支払いを終えた荷物をちょっと置いている間に袋ごとなくなってしまったとか、長年生きてきた高齢者が食べ物を盗まないといけない生活状態になっていることに関係者は心を痛めている。
 下関市内に店舗を構える地方系スーパーの関係者は、「今一番高いのが生鮮野菜。少し値段が落ち着いてはきたものの、8月の天候不順で苗が育たず、その後の長雨と日照不足で生育が遅れた。今は順調に育っているが、まだ成育中。少し前の大根1本350円、キャベツ300円、レタス300円といった頃に比べると、少し値段は落ち着いたが、それでもトマトなどはまだ高い。それに円安のせいで小麦粉関連の商品はメーカーの方が軒並み値上げしてきている。小麦粉はもちろん、パン、スパゲッティ、ラーメンなど小麦粉を使った商品はほとんどだ。まだ店頭価格を据え置いている商品もあるが、どこまで値上げせずに耐えられるかというところだ」と話した。「東京の方は景気がよくなったかどうか知らないが、地方はまったく景気は回復していない。消費税に加えて物価が上がっている分、みんな財布の紐を締めている」。来店客数は同じでも、今まで1000円使っていた人が800円になったりと一人当りの使う額が減った。食べる物は売れるが、嗜好品を控えたり、生鮮野菜が高ければカット野菜の安い物を買っていくというように、節約志向が顕著だという。
 トレーなどの資材関係も値上がりしているが、価格転嫁できないため減益となっている。「とくにうちは、近くに大手スーパーが出てきて相当お客さんが減った。そのなかで前年同月と同じ売上を追いかけているが、とても無理な話。どこのスーパーも前年と同じ額を達成することはできないのではないか」と話した。
 こうしたなかでスーパーの淘汰・再編が進んでいる。最近下関に本社を置くレッドキャベツがイオンの傘下に入ったが、ダイエーもイオンに組み込まれ、スーパー大栄(本社・北九州)も今年からイズミの系列下に入った。携わる人人のなかでは、「今後イオン、イズミともう一グループくらいに系列化されていくのではないか」と指摘されていた。
 フグのシーズンを迎えている市内の水産加工会社は、発泡スチロールなどの石油製品の大幅な値上がりに頭を悩ませている。発泡スチロールは300円だったものが400円に、230〜250円の物が310円になるなど、どの型も10〜15%、ひどいものになると30%値上がりしているものもあるといわれる。真空包装するラミネートや商品を入れて渡すレジ袋も、発送するときに使う段ボール箱も値上がり。昨年からじわじわ上がってきたが、今年の春の値上げ幅がもっとも大きかったという。
 ある関係者は、「今年はフグの値段が下がっているので、商品の価格も下げたいが、それ以外の経費がものすごく上がっているから値下げすることができない」と話す。資材だけでなく、クロネコヤマトも他の運送業者も運賃を軒並み値上げした。「資材業者の話では、石油が上がっていなくても円安のため、輸入した段階でかなり高くなっているという。資材屋さんも従業員の給料を上げないといけないし、値上げ分を吸収できるような状態ではないようだ」と話した。これ以上経費の上昇分をかぶることができないため、とうとう全商品を300〜500円値上げした。しかし店頭で売れるのは、値下げした一部商品ばかりだという。「消費税も1年間とっておかないといけないが、ここまで経費が高騰すると、うちくらいの規模の会社では、手をつけないというのも限界がある。消費税を10%にするといっているが、今でも経営は大変な状態だ。どれもこれも上がって、下がるのは社長の給料ばかり」と話した。
 包装資材を扱う業者によると、石油製品の原料になるナフサなどは、ガソリンと違って先物取引がなく、為替の変動をもろに受けるため、円安になって以後、値上がりが続いているという。「取引先の水産加工業者さんたちも、発泡スチロールをかなり使うから、コストが上がるのに商品価格に転嫁できないので、経営は大変だ。問屋との間に入るうちも厳しさは同じ」と話していた。
 ガソリンスタンドでは、JX日鉱日石など元売り大手が大規模なセルフの直営スタンドを出す一方で、地場の特約店が経営するスタンドの閉鎖があいついでいる。
 下関市内のスタンドに勤めていた男性は、「大手の会社は大量に売って値段を安くすればいいが、地場の会社は利益が出ないといけない。しかしJXなどが安く売るから、こっちは値段を下げないと売れないし、売れても利益が出ない。スタンド同士のつぶしあいになっている。大手が意図的にしているのではないかと思うくらいだ。福岡の方ではドトールを入れているところがあるが、ドトールばかりもうかって、スタンドはまったくもうからないそうだ」と話した。ガソリンを売るだけではもうからないので、スタンドがタイヤを売ったりカフェをしたりと、生き残りに必死になっていることを語っていた。
 建築業界でも、建築資材の高騰が深刻化している。先行して上昇していたH形鋼や棒鋼に続き、八月にはセメントも太平洋セメントや住友大阪セメントが値上げ。ガラスも旭硝子や日本板硝子、セントラル硝子の3社が9月から10〜20%値上げした。
 ある建築関係者は、「メーカーから卸に来て、そこから資材が下りてくる。8月から1カ所から値上げの連絡が来て、続いて同じ系列からまた来て、最後に一番大事な仕入れ先から連絡が来た。10〜20%上がっているものもあるし、5〜10%という資材もある。販売店としては価格に転嫁できないのでかぶるしかない」と話した。消費増税後の4〜6月の落ち込みが激しく、7月から上向くかといわれていたが、八・九月も動きが鈍いのだといい、市内で家が建たなくなっていることを指摘していた。
 別の建築関係者は、「この業界は今からが大変だ。とくに中堅の建築会社の下請。ある日突然、ということがあるかもしれないから、下請などにはとくに気をつけている。消費税が八%になり、ガソリン代や資材が上がっているが、お客さんにはもらえない。下請に支払ったら手元に残らない」と実情を語った。65歳で建設国保を外れ、市町村の国保に加入すると、それまで1500円だった保険料が7000円も来るようになった。夫婦で1万4000円だ。「ちょっと下関は国保料が高すぎる。先が見えなさすぎて恐ろしい」と話した。
 また不動産業者の一人は、「消費税の増税で、地元の不動産業界は大迷惑だ。大手が増税前の駆け込みで、マンションや住宅などをどんどん建てて買わせたから、既存の住宅から人が出てしまい、借家に入る人がいなくなった。不動産業者の方は家賃を下げたり、敷金をゼロにしたりするくらいの対応しかできない」と実情を語った。
 別の不動産業者も「空き家の実態調査をすると、市内約12万戸のうち空き家が1万戸くらいあった。人口が減っているのもあるが、住宅のつくり過ぎだ。地方創生といって、また増税をやろうとしているが、企業は1年間、消費税分をとっておくというのももう限界だ。市内の土地はイズミなどがどんどん押さえていくし、飲食店もみなチェーン店にとってかわっている。大手の略奪方式に規制をかけて地元を守らなければ地方創生はできない」と話した。
 急激な物価上昇は、みなの所得が増えて需要が伸びてきたからではなく、消費税と円安によるものにすぎず、安倍政府が掲げる「二%の物価上昇」は達成しても、まったく国民生活はよくならない。最低賃金は上がったが、「中小企業は今以上の人件費を払えないので、今まで10人で雇っていたところを9人にするなど、人数を減らして1人1人に頑張ってもらうというやり方で対応せざるを得ない」と、賃金アップが形ばかりのものであることも指摘されている。結局恩恵を被っているのは、ごく一部の輸出大企業のみで、その輸出企業も国内工場を閉鎖して、海外に進出しているから輸出も伸びない。
 消費税を増税しなければ、福祉の財源が足りない、財政再建には消費税の引き上げが不可欠だといって、10%への引き上げを強行しようとしているが、その税金が法人税の減税分に当てられたり、ODAなどで海外に何億円、何兆円規模でばらまかれていくことへの怒りが高まっている。「風力反対運動のように消費税を止めるデモができないか」「座り込みをするべきだ」と行動意欲も高まっている。


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