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円安の価格転嫁で物価急騰
消費落込むなか庶民生活襲う
                野菜、牛乳、酒、冷凍食品も     2013年9月13日付

 安倍政府が消費税を来年4月から8%に引き上げようとしている。「景気が回復してきた」ことを決断の理由にしようとしている。だが、昨年からの円安による原材料の高騰で、庶民生活をとりまくさまざまな物がじわりじわりと値上がりを続けており、「消費の落ち込みが昨年以上に激しい」というのが中小企業や商店主たちの実感。給料も年金も減り、夕方からの半額商品に頼る家庭も増えているなかでの物価高騰が庶民生活を直撃しており「いったいどこに景気回復があるのか?」「ここで消費税が増税になると、さらに消費が落ち込む」と強い憤りが語られている。
 
 消費増税で更に搾る安倍政府

 下関市に住む80代の婦人は、先日酢の物をつくろうとスーパーに行くと、キュウリが1本77円したので驚いた。友人に話すと「別のスーパーは1本118円でもっと高かった」という。ナスも小さなのが3つ入った1袋が247円、レタス1玉197円だった。毎日欠かせない食物、とくに野菜が値上がりしている。
 サケもついこの前までは1切れ70円程度だったのが、100円にあがった。「私は煮物などに醤油とみりんを使わず、めんつゆを使っている。友だちにも勧めているけど、めんつゆも今年の初めには1g197円だったのが今は297円になっている」といった。そのほかトイレットペーパーも巻の幅が狭くなったし、ティッシュペーパーは去年5つで98円だったのが148円になっていた。「アベノミクスで円安になってから、輸入品はみんな上がっている。食品や日用品のそれぞれで20〜30円は違うのではないか」と話した。
 食堂を営む70代の婦人も、近くのスーパーに買い出しに行くと、キュウリ2本で198円、キャベツ1玉248円、長ネギが1束398円だったこともあると話した。素うどん300円、チャンポン500円という値段は、何十年も上げずに踏ん張っている。「焼きそばやうどん、チャンポンにはネギやキャベツ、タマネギは欠かせないので、野菜が高いのはこたえる」と話した。
 今夏、雨がまったく降らなかったうえ、終盤に各地を襲った集中豪雨や長雨のため、野菜が急騰している。一番激しいのがキュウリで、普段なら1箱1000円程度で仕入れられるものが5000円になった日もある。八百屋も「地域の人のために仕入れたいとは思うけど、とても手が出ない。仕入れても高いから売れ残る」と話す。
 学校給食をやりくりする栄養士も、最近キュウリが値上がりしたので、メニューをもやしとキャベツに変更したと話す。「1食290円でやっていくのが私たちの仕事。今は上がっているのは野菜だから、別の野菜を使うことで対応している。来年度になるとパンなども上がってくるかもしれない」と話していた。

 値上げや中身減る所も スーパーや卸も変化

 市内の卸売業関係者によると、「小麦粉が値上がりを続けているので、関連してパン粉や天ぷら粉などが上がっているし、油が上がったため、マヨネーズやごま油など関連商品が値上がりしている」という。ゴマや大豆なども目立たないが、海外の不作が影響して値上がりしたり、内容量が減ったりしている。
 あるスーパーでは、マヨネーズを198円から208円に値上げした。特売日には若干安くするものの、「うちは高齢者が多いので10円上がっただけで、売れ行きが全然違う」という。
 最近ではネスカフェがエクセラ(250c)やゴールドブレンドの内容量を減らした。「メーカーの方も値上げばかりだと売れなくなるので、中身を減らしたりしている。うちも他のスーパーの様子を見ながら、価格を決めている」と話していた。
 別の中小スーパーも、これまで損が出ても目玉商品は100円の商品を50円で売るなどしていた。だがスーパーの経営自体も厳しく、安売り自体が「とても無理」という状態。全体的に商品が値上がりするなか広告に掲載する品数を減らしているという。
 9月から値上げになった商品も多い。日本水産も海外で生産している家庭用冷凍食品26品目を1日納品分から約7〜10%値上げ。日清オイリオグループは「すりたてむきごま 70c」「日清マヨドレ 315c」を5〜7%、キユーピーもアヲハタ55ジャムなど18品目を2日出荷分から値上げした。
 10月には輸入小麦の政府売り渡し価格を主要五銘柄の平均で4・1%引き上げることを発表しており、年末から年明けにかけて、家庭用小麦粉などを含む関連商品が値上がりする見通しだ。
 一〇月は牛乳も値上げになる。急激な円安と穀物相場の高止まりで、乳牛の輸入飼料が高騰しており、生乳の買いとり価格が引き上げになったからだ。森永乳業は「森永のおいしい牛乳」(店頭価格は平均220〜230円)など24品目の小売店への出荷価格を1〜4%値上げ。店頭価格にすると1g当り10円ほど高くなる。明治乳業や雪印メグミルクも同様に値上げする。
 ヤクルトも約22年半ぶりに乳酸菌飲料「ヤクルト」を1本35円から40円に値上げすることを発表した。脱脂粉乳や容器に使う樹脂など原材料価格の高騰に円安が重なり、コストを吸収仕切れなくなったためとしている。
 そして仕事を終えた後のささやかな楽しみである日本酒も値上げだ。清酒最大手の白鶴酒造は、10月から清酒約140品目の出荷価格を平均約4%値上げ。原料である国産米の価格高騰にパック用の資材価格の高騰が加わったためだ。パック酒「白鶴まる」(2g)は税別1413円から1480円に。瓶入りの「上撰白鶴」(1・8g)は1798円から1868円に上がる。大関も清酒約150品目の値上げを決めている。

 半額商品に頼る家庭増 年寄りも苦境

 こうした急激な物価上昇は、みなの所得が増えて需要が伸びてきたからではなく、円安で輸入物や原材料費が高騰して、その国内価格転嫁が始まっているからにすぎない。今の調子でいけば、安倍政府が掲げている「2%の物価上昇」は達成するけれど、庶民の生活はいっこうによくならず、さらに消費が落ち込むことをだれもが感じている。
 ある70代の婦人の近所には、小学生2人に幼児1人の3人の子どもを持つ家族が住んでいる。毎日夜6時頃になると家族五人で出かけていくので、「どこに行くのかな」と思っていたという。ある時、一番小さい子に尋ねると「今から半額にしまーす」と物まねを始めたので納得した。毎日半額になる時間に合わせて買い物に行くのだ。「私たちがもうご飯を食べる時間帯から買い物。若い人たちの生活がそうなっているんだと思った」と話した。小学生にもならない幼い子たちが、「○○○(スーパーの名前)よりも○○○の方が食べ物が安い」などと話すのを聞くと、若い世代の生活ぶりをかいま見るような気がするのだといった。スーパーの290円の弁当を2日かけて食べると話す市民もいれば、夕方5時頃になると、半額になる時間に向けて待機する人があふれるスーパーも多い。
 そして最近、スーパーで年寄りの万引きが多い。「私も万引きと疑われて不愉快な思いをした」という、ある80代の婦人は、「年金だけで過ごす年寄りの一人暮らしはやっていけない。国民年金で月6万6000円、それも来月から下がるし、そこから介護保険料、後期高齢者医療保険料が天引きされて、電気、ガス、水道代も引かれる。そのうえ食品からなにもかも上がったら、生活していけない人が増えるのもあたりまえ。年寄りの万引きをいけないというけれど、あれほど“国にはカネがない”といいながら、国民が払った税金でオリンピックだと騒いだり、アメリカに惜しげもなく使ったりする安倍さんは、国家財政を丸ごと万引きしているようなもの。毎日の食べ物をちょっと万引きするのとは桁が違う。そして破産会社の東電は、国が助けてくれるのでいい気になって、電気料金もまた上げるという。これから日本でも暴動が起こるようになるかもしれない。自分のことしか考えない政治家や大企業に思い知らせたい」と話していた。
 リーマンショックの直後に夫が解雇されたという50代の婦人は、自身は商店を営みながら、早朝は掃除のバイト、土・日は食品メーカーの派遣社員としてスーパーに出向き、試食コーナーの担当として働いている。だが先月からスーパーでの仕事がぱったりなくなった。スーパーの売上の落ち込みがひどく、品物を納めているメーカーへの支払いが滞っており、派遣社員への給料も遅配になっているのだという。スーパーがあまりにも買いたたくため、撤退するメーカーも多いことを話し、「“景気がよくなったから消費税を上げる”というが、いったいこの街のどこに景気がいいところがあるのか」と話していた。
 アベノミクスによる円安・株高で史上最高益をあげているのはトヨタなどの輸出大企業と、株投機でもうける富裕層のみ。給料や年金が減ったうえに、毎日の生活に不可欠な食料品などの物価高騰に直面する庶民のなかでは、国民の税金でアメリカや大企業に貢ぐのをやめさせ、国民がまともに生活できるよう国の政治を抜本的に変えさせようとの怒りが、爆発点に近づいている。


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