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学校で非正規雇用教員急増
山口県は1300人も配置
             コスト優先で国の未来犠牲   2009年4月29日付

 未来を担う子どもを育てる学校現場で、非正規雇用の教員が増加している問題が年年深刻になっている。「民間企業のように非正規雇用のような人が子どもを育てる学校現場に増えていっていいのだろうか」と多くの教師が危惧(ぐ)している。山口県内では今年も小・中学校の現場に約700人の臨時採用の教師と約600人の非常勤講師が配置された。
 下関市内のある中学校では、今年の人事異動で半数近い約20人が他校に異動または退職となった。20人の中には1年契約の臨時採用の教員も含まれている。「子どもは歳が近い若い先生が好きだが、若い教師の多くが臨採なので1年で学校を替わっていく。子どもにとっても若い教師にとってもマイナスしかない」と語られている。
 教師は、授業時間や掃除、給食、部活動など学校生活全体を通して子どもとかかわり教育している。「授業でも今年はここまで教えたから、つぎはこうしよう」というように1年1年子どもの成長を見ながら系統性を持ってやっている。それが非常勤講師の場合は、授業時間しか学校にいないので生徒がわからないところを職員室に聞きに行っても先生はいない。1年契約の臨時採用の教師は、1年たてばいなくなる。「教育は系統性が必要で中学校であれば3年間責任を持って育てていくというつもりで私たちはやっている。県教委は“学力を上げろ”というなら、まず正規の教員を雇うべきではないのか」と指摘する。
 また非常勤講師を経験したことがある教師は、「授業時間だけのかかわりでは子どもはつかめない。授業で叱ったとしても掃除や給食時間などにフォローできないので、子どもと本当にかかわることが難しかった」と話していた。
 ある小学校では全6学級(1学年1クラス)のうち、3学年分のクラスを臨採の教師が担任するという異常事態となっている。また昨年、下関市では新学期が始まる4月段階でも非常勤講師や常勤臨採が足りず、6月になってやっと着任した。ある小学校にはこれまで萩の方から臨時採用の教師が来ていたが、「アパート代や交通費がかかるから」と北九州から連れてきたという例もある。「子どもを育てる学校現場で、教員を安上がりですますようなやり方でいいのだろうか」と、県や市のやり方に疑問が語られている。

 本採用の教員を増やせ 学校現場の声切実
 今年度山口県では小・中学校の122人の新規採用者に対して欠員補充の臨採教師は423人となった(4月9日現在)。定数内(正規の教職員として必要な数に含まれるもの)にもかかわらず、新規採用者の約3倍となった。圧倒的に新規採用が少ないのだ。今年度、少なくとも423人は教員として絶対に学校に必要な人材であるが、安上がりのために臨時採用でまかなっているのである。
 非常勤講師(原則として授業指導をする時間給のパート教員で運動会等の行事にも参加できない)は582人となった。
 山口県内の中学校に大量の非常勤講師が配置されるようになったのは、2004年度から導入された「35人学級」が大きな契機となった。中学2、3年を40人学級から35人学級にするというものだが、1学級増えるごとに当然必要な本採用の教員を雇わず、2人の非常勤講師を配置するという方式をとったからだ。当時、「安上がりのパート教員ではなく、正規の教員を配置してほしい」と現場から強い反発が起こり時間割をいかにして組むかなど現場は大矛盾となった。その後、手直しがされ今年度からは1学年4学級以上の学校で、35人学級制度によって1学級増えた場合は、常勤の教師を1人配置することとなった。
 目先の安上がりを求める県教委の手法が、県全体の教員の年齢構成のアンバランスを生み出している。2008年4月の県内の正規の中学校教員の年齢構成は、20代の教員が圧倒的に少なく、40代後半から50代前半の教員が多いことがわかる。そのため部活を持つ教員がいなかったり、またそれ以上に、ベテラン教師の経験が若い教師に継承されていかないことが指摘されている。「学校には1人秀でた先生がいることも大事だが、若い先生からベテランの先生までいろんな先生が集団で子どもとかかわっていくことで子どもが育っていく。そういう教師集団ができにくくなっている」と語られている。
 下関市内のある中学校教師は、「若い先生は歳が子どもたちと近いから部活の指導もバリバリできる。しかしうちの学校は20代の教師は1人しかいない。優秀な若い先生もたくさんいたが山口県では採用されず県外に流れていっている。国体でいい成績を出すためには県外からも指導者などを引っ張ってきて山口県の教員として採用しているが、目先のことばかりで長期的なプランがない」と語る。
 山口県の教員採用をめぐる教育費切り捨てのやり方は、ここ数年多くの教師が指摘するようになっている。またこれらの動きは、教員給与の義務教育費国庫負担金を削減しようとする国の動きと無関係ではない。04年度(当時の小泉内閣)から義務教育費国庫負担金を「総額裁量性」にし、各都道府県が国庫負担金の総額の範囲内であれば、非常勤や臨採を自由に増やせるようにしたことである。将来的には、教員の定数法や義務教育費国庫負担制度そのものを廃止して一般財源化することが狙われている。
 これまで全国どこにいても義務教育は平等に受けられるようにと国庫負担でまかなわれてきた教材備品費や図書費などはさんざん削られてきたが、「最後の砦」といわれる教員給与まで削減しようと動いている。日本のGDPに占める教育支出の割合は3・5%。OECD加盟国30カ国の平均の5%には日本は遠く及ばない。「教育を切り捨てたら日本は終わりだ。もっと教育予算を増やし、教員を増やすべきだ」という声は強い。

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