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学校教育への政治の不当な介入
小泉首相・「学校で派兵の正しさ教えよ」
               高校生の行動こそ正義を代表   2004年2月10日付

 小泉首相が、宮崎県の高校生から「自衛隊・外国軍隊のイラクからの撤退を求める署名」が届けられたことをめぐって、「教師は自衛隊のイラク派兵が正しいということを子どもに教えよ」と発言したことにたいし、それが教育への政治の不当な介入であり、若い世代の発展的な芽を抑えつけることは許せないと、あちこちで怒りの声が上がっている。
 ことの起こりは、宮崎県の高校3年生・今村歩さんが自衛隊のイラクへの派兵について「自衛隊や軍隊では問題は解決せず、イラクの人人との溝はますます深まっていくばかり」「平和的解決をめざし、各国軍隊の撤退を呼びかけ、これ以上イラク国民を傷つけないよう、そして日本国民一人一人の安全に責任を持つべき一国の首相として、勇気ある行動をしてください」という、小泉首相あての請願署名運動を昨年12月から開始したこと。口コミで宮崎県内の中・高校生などのなかに広がり、5358人分の署名が集まった。今村さんは母親といっしょに二日、東京・永田町の内閣府を訪れ、担当者に集まった署名を手渡した。
 ところがこうした中・高校生らの真剣な訴えにたいして、小泉首相は署名の内容を読みもしないまま、「自衛隊は平和的貢献をするんですよ。学校の先生もよく生徒さんに話さないとね」「この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない。なぜ、警察官が必要か、なぜ軍隊が必要か、先生がもっと生徒に教えるべきですね」と公言したのである。

 憲法・教基法無視する違法発言
 これにたいして学校の教職員や父母、地域のなかから驚きと怒りの声が出されているのも当然のことである。自衛隊派兵について国民の納得のいくような説明はなにもできず、アメリカに命令されるままに多くの反対世論を無視して派兵を強行した小泉首相が、日本の将来を真剣に考える高校生に「勉強して出直せ」というなど、本末転倒だというのである。
 とくに校長をはじめ現場の教師のなかでは、「学校では憲法を守り平和を守ることのたいせつさを教えることはできるが、国論が2分している自衛隊の派兵問題については、小泉さんのいうような一方的な考え方を子どもに押しつけることはできない」「これまで教育は政治的中立だといってきたのは、政府・文部省ではないか。日本の平和にかかわる安保条約や自衛隊の問題、地域の父母にとってぬきさしならない原発の問題など、発言しようにも教師の立場を明らかにすることはできないといわれてきた。それを勝手にくつがえすとは、メチャクチャだ」と話されている。
 敗戦後の日本で、あの戦争のたとえようもない全国民的な深い犠牲への反省から、2度とそれをくり返さないための人民の運動を反映して、憲法や教育基本法が制定され、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負っておこなわれるべきものである」(教育基本法第10条)と規定されている。したがって小泉発言は法治国家・日本のきまりである憲法や教育基本法をくつがえす違法発言で、人民の派兵反対世論の高まりにあせって、決まってもいないうちから憲法・教育基本法の改悪というホンネを思わず口にしたものである。

 日本の未来担う平和の担い手を
 一方、今回の問題をとおして、親が子を殺し子が親を殺す、弱肉強食の自己中心思想がまんえんしている日本で、高校生たちが自分たちの意志で日本と世界の平和のために行動を起こし、正しいことは正しいとして貫いていることが広範な共感を呼んでいる。宮崎県の教師のなかでは「大人であるわたしたちの方が、自衛隊の派兵であきらめてしまい、運動を広げようという気持ちが欠けていた」「これまで子どもの生き方に影響を与えるような教師であったか、反省している」と論議されているという。徴兵制の危機を身近に感じる中・高校生は、いまの事態を真剣に考えている。子どもたちに祖父母の世代の戦争体験・被爆体験を学ばせ、平和の担い手に育て平和の力を大きくしていくことこそ、日本の未来に責任を持つ誇りある態度である。
 それとは対照的に、小泉首相が、自衛隊員とその家族の悲しみも人ごとのように知らん顔を決めこんで、ただブッシュ大統領からいわれるまま、アメリカの石油ドロボーの下請として戦地に死にに行かせる、その無責任さ。こうした人物が国のトップに居座りつづけることが、日本を滅ぼす道である。なぜ国民がこれだけ反対しているのか、なぜ日本がこんな社会になってしまったのか、教育を受けるべきは小泉首相の方であろう。

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