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ガザ侵攻に世界中で抗議デモ
イスラエルの蛮行を糾弾
               米国の支援で連日空爆     2014年7月23日付

 米国が全面的に支援してきたイスラエル(ユダヤ人国家)がパレスチナのガザ地区に連日のように武力攻撃を加え、無辜の老若男女を殺傷していることに世界的な非難の声が高まっている。もともとアラブ人が住んでいたパレスチナにユダヤ人国家を建国して奪い取り、第2次大戦後の中東世界ではイスラエルとアラブ諸国の矛盾が何度となく激化してきた。イラン、シリア、イラク、レバノンなど多くの火種を抱えているこの地域において、軍事的にも経済的にも米国の支援を受けたイスラエルが、戦争狂いのネオコン(ユダヤ系が多くを占める新保守主義勢力、ネタニヤフ首相率いるイスラエルの右派政党リクードとつながりが深い)ともつながって軍事行動をエスカレートさせている。米国の中東戦略が破綻したもとでの動きとなっている。
 
 「準同盟国」約束した安倍政府

 発端となったのは、イスラエルの3人の青年が拉致され死体で発見されたことで、イスラエル側は即「ハマス(イスラム系武装集団)の仕業」として報復宣言した。その直後に今度は1人のパレスチナ人青年の死体が見つかるなどして、パレスチナ側も「イスラエル側の報復」と確信し武力衝突に発展した。青年の殺害事件はきっかけにすぎず、それをもっけの幸いにして徹底的な武力攻撃に訴え、パレスチナ全滅をはかるイスラエルの姿を暴露している。
 軍需産業国家のイスラエルが圧倒的に軍事的優位性を保っておりその差は歴然としている。イスラエルは米国から提供された白リン弾と呼ばれる発火性が強く人体に付着すれば重大な後遺症をもたらす爆弾を投下するなど、連日のように空爆を加え、地上部隊も送り込んで侵攻している。それに対してハマスなどパレスチナ側は地下トンネルからの奇襲攻撃で応戦している。壁に囲まれたガザでは女子どもなど逃げ場のない一般市民が爆撃によって多数殺され、片腕が吹き飛んだ幼い女の子の写真や、パレスチナの負傷者たちの生生しい写真が次次とアラブ世界のネットに発信され、世界に向けてその残虐性を訴えている。

 パレスチナに連帯し英仏では10万人規模に

 イスラエルの容赦ない武力攻撃に対して、アラブ諸国だけでなく世界各地でパレスチナと連帯した大規模な抗議デモが展開されている。フランスのパリでは10万人がデモをくり広げた。若者や女性の積極的な参加が目立っていたことを現地メディアは伝えている。「イスラエル消えうせろ! パレスチナはおまえのものではない!」「ガザのかたわらで、パレスチナのかたわらで殺しているのは人類だ!」「イスラエルは殺人者!オランドもオバマも同じだ!」「パリからガザまでレジスタンス! レジスタンス!」とスローガンを叫び、横暴な武力侵攻を非難した。
 イギリスのロンドンではイスラエル大使館前までつながる五`の道路を封鎖してパレスチナ・ガザ連帯行進がおこなわれ、こちらでも10万人の民衆が抗議の声を上げた。ドイツのベルリンでも数万人が街頭にくり出し、ドイツ在住のパレスチナ人とともに過去最大の抗議行動をおこなった。参加者はパレスチナにおけるイスラエルの犯罪の停止と、ガザ地区空爆の即時停止に向け、国際社会が措置を講じるよう要求した。同時に、イスラエルの横暴な殺戮について、普段から人権擁護を謳う者や国際組織が無関心を装っていることについても激しく批判を加え、ドイツ政府にはイスラエル支援を停止するよう求めた。
 スウェーデンでも5000人以上がストックホルムのイスラエル大使館前を包囲し、イスラエルの戦争犯罪に抗議した。ベルギーではブリュッセルでデモがおこなわれた。参加者は「緊張の根源は1948年のパレスチナ占領だ」「この抗議は、子どもたちを殺害し、住宅や病院、モスクや大学、農地を破壊するイスラエル軍の攻撃に反対する人人によって開催された」と現地メディアに意義を訴えている。参加者はアメリカとイスラエルの国旗に火をつけて抗議した。
 オーストリアのウィーンでは1万人以上が参加して抗議デモがおこなわれた。「イスラエルはテロリストだ」「ガザに平和を!」と叫んで広場まで練り歩いた。チュニジアでは首都チュニスにおいて、防衛手段を持たない抑圧されているガザの人人への支持を表明し、ガザに暮らすパレスチナ人への無差別殺戮に抗議した。アメリカのニューヨークでも数千人が参加したデモがおこなわれ、イスラエルは即刻攻撃をやめるよう要求した。他にも全米各地で抗議デモが展開されている。ユダヤ人の団体も抗議行動をおこなっている。

 不当な分割決議イスラエル 建国の経緯

 パレスチナは地中海の東岸に面したレバノン、シリア、ヨルダン、エジプト、シナイ半島に囲まれた場所に位置し、大部分をイスラエルが占領している。現在は壁に囲まれたガザ地区とヨルダン川西岸でパレスチナ自治政府が機能している。
 第1次大戦後にこの地域はオスマントルコを叩き出したイギリスに占領された歴史がある。その際、中東での覇権を目論んでいたイギリスがオスマントルコとの戦争を有利に進めるために原住民だったアラブ人に対してはイギリスに協力して戦うなら、パレスチナを含むアラブ国家の独立を認めると約束して対トルコ戦争に動員し、一方でユダヤ人から資金を提供してもらうために、当時イギリスのユダヤ人指導者だったロスチャイルド卿との間で、軍資金を提供してもらえるならパレスチナにユダヤ人国家の建設を支援すると約束を交わすなど二重外交をやった。ところが、戦争が終わってみると、イギリスはフランスともオスマン帝国領分割に関する密約を交わしており(ロシア革命後にレーニンが密約の存在を暴露した)、アラブ人やユダヤ人との約束を反故にして、旧オスマン領を英仏露の3カ国で分割するというデタラメをやった。
 その後、ユダヤ人たちがなし崩し的にヨーロッパから入植してパレスチナ人を追い出すなかで衝突が激化し、第2次大戦後の1947年に手がつけられなくなったイギリスは国連に問題を丸投げ。アラブ諸国の加盟国はわずかだった当時の国連がパレスチナをパレスチナ人とユダヤ人の国家に分割し、エルサレム(ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地)は国際管理下に置くというパレスチナ分割決議を勝手に採択した経緯がある。
 人口比でパレスチナ人はユダヤ人の3倍いた。さらに土地所有面積にして6%弱だったユダヤ人に57%の国土を割り当てるという不当な分割決議で、その後、アラブの人人が拒否しているなかでイスラエルが建国を一方的に宣言し、第一次中東戦争に突入した。イスラエルは軍事侵攻によって国連の分割決議で決められた領土よりもはるかに占領地域を拡大し、追い出されたパレスチナ人難民は70万〜100万人にも及んだ。
 その後もイスラエルは侵攻をくり返してパレスチナ全土を支配し、ゴラン高原やエジプトのシナイ半島も占領するなどし、その度に国連でも問題にされたが撤退要求を受け入れなかった。シナイ半島のように一部返還に応じた地域もあるものの、ほぼ占領状態を継続している。

 戦争国家の仲間入り 無関係では済まぬ日本

 無関係では済まないのが日本で、今年5月にイスラエルのネタニヤフ首相が訪日して安倍首相のもとを訪れ、いつの間にか「準同盟国」としてパートナーシップを結ぶ共同声明に双方が署名している。共同声明では、日本とイスラエルの国家安全保障会議で意見交換を開始することや、イスラエルで次回会合を実施することを確認している。さらにイスラエルの諜報機関・モサドと軍事情報部・アマンとインテリジェンス(情報戦略)面での協力を強化すること、サイバー技術ではイスラエルが防御と攻撃の両面で世界最先端の能力を有しており、今後は日本の政府機関にイスラエルのサイバー技術を導入する可能性も示唆した。そして、両国間の防衛協力をはかり、閣僚級の交流を拡大し、自衛隊幹部がイスラエルを訪問することでも一致している。
 戦争狂いのネオコンの巣窟として有名なテロ国家・イスラエルとパートナーになり、パレスチナ侵攻の手助けに自衛隊が出動するとも限らない。アラブ世界から確実に敵視される動きとなっている。武器輸出3原則の見直しも直接にはイスラエルを念頭に置いたもので、米国との共同開発に乗り出しているF35戦闘攻撃機が米国経由でイスラエルに渡ることも現実味を帯びている。
 第2次大戦後の中東では、イギリスが衰退して力を失う過程でアメリカが台頭し、アイゼンハワー・ドクトリンなど中東戦略を展開してイスラエルにテコ入れしてきた。イスラエルとアメリカは軍事的、政治的なつながりが濃厚で、世界的には一心同体と見なされてきた。戦争がしたくて仕方ないネオコン勢力、米国の軍需産業ともきわめてつながりが深く、米国製の武器を調達してはパレスチナやアラブ諸国を相手に武力攻撃をくり広げてきた。
 集団的自衛権の行使に道を開いたおかげで、米軍の傭兵にされるのが自衛隊である。シリア問題で米国本体が及び腰になっているのに、「シリアのアサド大統領は退陣すべき」と発言したり、「大量破壊兵器がないと証明しなかったイラクが悪い」と米国擁護をやってのけるのが安倍晋三で、勝手に「準同盟国」になったイスラエルの為に武力参戦すらしかねない。イスラエルがシリアと領土権を争っているゴラン高原には90年代に自衛隊がPKOで派遣されていたが、5月のネタニヤフ訪日で秘密裏に自衛隊の出動が要請されていても何ら不思議ではない。
 中東で米国の支配力が弱まり、イラクでは統治が崩壊して手がつけられない状態が広がっている。シリアやレバノンなど一帯で武装斗争が激しさを増し、さらにウクライナ、アフリカなど米軍が抱えきれないほど各地でその権益を脅かす反抗に直面している。米軍になりかわって武力参戦を強いられる自衛隊にとって、その出動先は今後具体的に迫られてくる情勢である。
 アメリカのお先棒を担ぐために、親日的といわれてきたアラブ諸国を敵に回してイスラエルに荷担したり、アフリカや関係のないウクライナ情勢にまで顔を突っ込むことがいかにバカげているかは考えるまでもない。中国、韓国、北朝鮮といった近隣諸国だけでなくロシアともウクライナ対応を巡って関係がこじれ、いまや外交戦略は八方塞がりである。イスラエルやアメリカといった戦争狂い国家の仲間入りをして、世界覇権の座から転落している連中と心中することの愚かさたるやない。パレスチナ侵攻が遠いアラブ世界の出来事ではなく、日本社会にとって他人事では済まない問題として突きつけられている。

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