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原子力空母、横須賀に配備
岩国の艦載機移駐と連動
               日本を核戦争の戦場に     2008年9月26日付

 米軍が25日午前米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)を神奈川県横須賀市に入港させ、米海軍横須賀基地に配備した。1973年に米軍が日本に空母を配備して以来、原子力空母の日本母港化は初で、段階を画す戦力の増強である。日米政府が批判世論を封じ込めて強行する「在日米軍再編計画」の重要な一環である。米側は原子力空母を配備するにあたって開いた記念式典で、「この船は米国の安全保障を高めるため力の限りを行う」と表明した。原子力空母の配備は、岩国基地への艦載機移転とセットで日本を核攻撃基地として増強するものである。同時に、日本を潰し、廃虚にしていく売国政治をやらせるための米軍による軍事支配をあらわしている。

 放射能汚染への対策も無策
 原子力空母GWは午前10時半すぎに基地内岸壁に着岸。先に到着していた乗組員の家族ら約2000人が星条旗を振って出迎えて自作自演を演出したが、いかに市民の反発が強いかを示すこととなった。岸壁で開かれた記念式典で、シーファー駐日米大使は米原潜の放射能漏れ事故について「アメリカの原子力艦隊の安全記録は汚点がない。今後もこれを続けていく」と平気で発言。「米国は日米同盟より重要な同盟をもっていない。この船は、日本の安全保障を向上させ、米国人の安全保障も高める。安全操縦を担保するため、力の及ぶ限りを行う」と明言した。米国防総省のモレル報道官も24日、原子力空母の配備について「日本と周辺海域を守るという日米安保条約の義務を履行する明確なシンボル」「横須賀基地は戦略的に最も重要な海外基地の1つだ」と強調した。
 今回、横須賀に配備された米原子力空母は、全長約333b、幅約77bで、満載排水量約9万7000dの巨艦。核兵器搭載可能な米軍戦斗機約70機を搭載し、乗員は航空要員を含め約5800人にも上る。30ノット(時速56`)以上の高速航行が持続可能。これまで配備されてきた通常型空母との大きな違いは、高濃縮ウランを使う原子力空母は燃料補給がないことにある。補給する空母用燃料を積載しない分大量の弾薬、爆弾、戦斗機の燃料が搭載できる。このため通常空母の2倍の期間、空爆や攻撃を継続する能力を備えた野蛮な殺人艦隊である。「対テロ」を口実にイラクやアフガンへ野蛮な侵略戦争を仕掛けたときもGWは出動したが、なにか起きればすぐ急行し叩き潰す体制を格段に強化することを意味している。
 しかもGWには、原子炉を2基搭載し、熱出力は合計で120万`h。それは、美浜原発1号機(103万1000`h)より大きな原発が横須賀に出現したのと同じ効果となる。06年に原子力資料情報室が、原子力空母の詳しい構造を明かさないなかで商業用原子炉1基(出力40万`h)が事故(都心に向かって南南西の風が風速4bの強さで吹き、30分間放射能を浴びたと仮定)を起こした被害を想定したが、それは「空母から風下8`までで被ばくした市民は全員死亡(7シーベルトの全身被ばくを致死線量として算出)」「8〜13`は半数死亡」「13〜26`は一部死亡」との結果が出た。周辺人口を考えれば、数年後の発症もふくめ120万〜160万人がガンで死亡する深刻な結果だが、ろくな安全対策もとらず原子力空母配備を強行した。米軍や自民党政府はことあるごとに「北朝鮮のミサイルが飛んでくる」と煽ってきたが、ミサイルが飛んでくる以前に米軍の放射能汚染で殺されかねない事態である。このような米軍が日本国民を守るはずがないのは明らかである。
 現在、米軍は06年に日米政府間だけで合意した在日米軍再編計画をしゃにむに押し進めている。今回の原子力空母配備もその一環である。

 日本全土を不沈空母化 米軍再編計画の一環
 米軍再編計画の第1は米軍司令部と自衛隊司令部の統合である。すでにキャンプ座間(神奈川)に米本土から陸軍第1軍団司令部を改編した司令部(UEX)を移転。座間を朝鮮半島有事の作戦拠点にした。ここへいずれ陸自主力となるテロ対応の「中央即応集団」司令部が入る準備が進行。陸自部隊をまるごと米軍の下請軍として指揮下におく準備をすすめている。米空軍と航空自衛隊の関係も、在日米軍司令部と第五空軍司令部のある横田基地(東京)に空自航空総隊司令部が2010年度に移転し、米軍指揮下の性格を強める。日米共同統合運用調整所を設置し「ミサイル防衛拠点」にもする。
 海軍はすでに米第七艦隊司令部、在日米海軍司令部と海自の自衛艦隊司令部が一体化。横須賀への原子力空母配備は日本全体を不沈空母化することに通じる増強である。
 自衛隊基地の米軍との共用化で米軍への後方支援体制も露骨になった。空自築城(福岡)、新田原(宮崎)の両基地は緊急輸送機の駐機場や隊舎を数百億円かけて建設し、有事のとき米軍の輸送や救助など後方支援を行う中継拠点にする。そのため海兵隊むけの訓練施設や、輸送機・ヘリが使える駐機場、格納庫、緊急用の隊舎も建設。これまで普天間基地にあった有事の滑走路機能も加わる。
 「負担軽減」といわれる沖縄は第3海兵遠征軍司令部など約7000人のグアム移転とともに、牧港補給地区やキャンプ瑞慶覧などの施設は人口の少ないところへ統合移転。野蛮な実戦部隊を残し、激しい訓練を活発化させる内容だ。キャンプ・ハンセンはすでに陸自が米軍の傭兵として共同使用を開始。嘉手納基地も米軍のかわりに空自が日米共同訓練で使う。普天間の辺野古移設も「負担軽減」の口実で、激しい訓練を継続できる施設建設が狙いだ。全国の自衛隊基地も米軍基地へ変えつつある。
 岩国基地も中国・朝鮮をにらんだ原子力空母配備と連動した大増強である。厚木基地から空母艦載機57機(米兵1600人)と輸送機2機、普天間基地の空中給油機12機(米兵300人)を2014年までに移転。米軍機数は極東最大の嘉手納基地をこす120機となる。これに沖合拡張による大滑走路、空母接岸可能な軍港機能が加わる。2009年7月までに九州・瀬戸内に恒常的な夜間着艦訓練(NLP)施設をつくると明記。米海軍はアジア太平洋地域を空母2隻体制とする計画で、佐世保沖に空母を配備しその艦載機部隊を岩国基地に飛来させる構想である。このために愛宕山を削り米軍住宅までつくろうとしている。
 国民のなかでは「なぜ自民党政府はアメリカのいいなりなのか」「米軍再編に金を注ぎこんだり米国債を買うより日本国民に回せ」と憤激の世論が沸騰しているが、自民党政府が一切アメリカに文句を言えないのは、米軍基地があり、アメリカが軍事支配をしているからである。原子力空母の配備はその軍事支配を強め、さらに日本の富をアメリカが食い潰すためでしかない。平和で豊かな日本を実現するうえで独立課題が不可欠となっている。

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