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原水爆禁止で労働者が役割を
50年8・6斗争の伝統回復し全国的な共同斗争を
              労働者支配の武器・原水爆   2003年5月29日付

 アメリカはかつて日本に原爆を投げつけたが、戦後58年たったいま、アフガン戦争やイラク戦争で大量に無辜(こ)の大衆を殺りくした米ブッシュ政府が、ふたたび原爆使用をたくらみ「使える核」の開発に拍車をかけはじめた。しかも朝鮮の核問題を騒ぎ、朝鮮と日本を戦場とした原水爆戦争の危険すら迫っている。このような原水爆の製造も貯蔵も使用も禁止することは、全世界の平和愛好者の願いである。唯一原爆を投げつけられた日本はその先頭に立つ責務をもっている。このなかで多くの原爆被害者がいまこそほんとうの思いを語りはじめているが、この原水爆禁止の運動を労働者が担うことが切望されている。労働者は失業と低賃金、過酷な労働で苦しめられているが、それはアメリカのグローバル化戦略による「自由化」「規制緩和」を日本政府が推進してきたからである。アメリカが日本の労働者だけでなくあらゆる日本人民、世界の人民をじゅうりんし、抑圧、搾取をほしいままにしているのは、軍事力による支配であり、なかでも原水爆が最大の武器となっている。この世界支配の最大の武器である原水爆を禁止する課題を労働者がみずからの課題として、企業をこえ、産業、地域をこえて全国的にさらに全世界的に団結した政治斗争をたたかうことなしに労働者の自由はない。1950年の8・6平和斗争から60年「安保」斗争にかけて日本の労働運動はそのような役割をはたした。それが今日きわめて重要である。

  核使用急ぐアメリカ
 米ブッシュ政府は今月、アメリカの上院軍事委員会でこれまでの5`d以下の小型核兵器の研究開発を凍結する禁止条項を撤廃し、必要経費をふくむ2004年度の国防総省予算を可決。特殊貫通弾(バンカーバスター)用に従来の核弾頭をいっそう強力にした新型核兵器「強力地中貫通型核兵器」の研究開発費などに総額4000億jをこえる予算をつけた。「強力地中貫通型核兵器」は爆発力5`d以上で「地下300b近くに潜む敵国やテロ組織の指令拠点、貯蔵された大量破壊兵器を壊滅する」ことが目的で、住民がどこに避難しても皆殺しにする核兵器にほかならない。
 ブッシュ政府はこの新型核兵器開発の秘密報告を3月に議会へ提出。広島・長崎へ投下した原爆を開発した、ロスアラモス国立研究所などに研究させ、3年後に完成させる方針である。米軍は1997年までに、世界各地に地中貫通型水爆「B61―11」の配備を終了したが「高度1万b以上から投下しても地下7bで爆発、破壊の範囲が数十bにすぎない」ため不十分と主張。そして新型核兵器製造のため89年から停止していた「プルトニウム・ピット」(水爆の起爆装置)の製造を再開するため工場建設も開始した。
 とりわけブッシュ政府は昨年来、「テロ組織や大量破壊兵器をテロ組織に拡散させる恐れのある一部の敵対国への先制攻撃の必要性」を叫び、核先制攻撃を基調とする新戦略のため、軍備・戦術面での転換をすすめてきた。「ステルス性を高めた爆撃機、戦斗機の開発」「特殊部隊の強化」「冷戦期に戦略核戦力を搭載した潜水艦を特殊部隊や巡航ミサイル運搬用に改造」などが柱である。
 米国防総省も在日米軍基地など「海外の米軍基地が大量破壊兵器で攻撃されることを想定して、小型・大型の原水爆で敵の兵器庫を攻撃する」と公言。米太平洋軍はグアム島の空軍基地にレーダーに捕捉されにくい新型のF22戦斗機や新鋭無人偵察機「グローバル・ホーク」導入を急ぎ、北東アジア指令部を日本に設置することも表明している。
 この先制攻撃態勢は「9・11事件」以後、拍車をかけた。昨年1月には「核兵器を先制攻撃に使用する武器」にすることを内外に公言しイラク、朝鮮、イラン、リビア、シリアに加え中国、ロシアの七カ国へ核攻撃計画の策定にも着手。ミサイル防衛(MD)システムのミサイルへの核弾頭装着やプルトニウム製造などの再開も着手した。
 とりわけ日本をアメリカの攻撃基地としてミサイル防衛網に組みこむことを重視。2005年に日米初の迎撃ミサイルの飛行実験を計画し、日本をアメリカ本土のたてにして原水爆の火の海にする準備をすすめている。それにたいし小泉政府は唯一原爆の被害を強いられた国の総意として、これに反対するどころか、有事法制をしゃにむに推進し身も心も捧げる度はずれた売国ぶりをさらしている。

  生活苦の根に核支配 
 こうしたアメリカの野蛮な戦争政策は、戦後世界を構成してきた米ソ二極構造が崩壊する1990年代に入って露骨なものとなった。アメリカは「自由・民主・人権」を叫んで、ソ連・東欧の社会主義国を転覆し、湾岸戦争をひき起こした。そして「社会主義の終えん」「資本主義の永遠の勝利」を叫んだが、そこからあらわれてきたのが、世界の独裁者としてのアメリカのふるまいであり、戦争狂、殺人狂の姿であった。まさに動物世界も震えあがるような弱肉強食の血も涙もない競争社会であった。
 アメリカの戦争政策は、アメリカが金融通信の優位をテコにした金融投機を中心とするグローバル戦略のもとで、「自由化・規制緩和」の要求でアメリカ資本が各国の市場をこじあけて力ずくで支配することと対応していた。
 労働者はおびただしい倒産と失業、「合理化」にさらされ、「自殺」という名の間接殺人がここ数年連続して3万人をこし、戦争がはじまっているのと同じ状態にある。それは「規制緩和・自由化」によって金融、財政の根幹がアメリカに握られ、アメリカ資本による大企業の乗っとりと大再編をすすめているからである。
 さらに農漁業は歴史上なかった破壊を強いられ、国内自給が破壊され輸入自由化で米国産の毒入り食物を食わされる状態となった。福祉や医療などいっさいの社会的な保障は「受益者負担」などといって切り捨て、教育は機会均等の原則を破壊して教育費の高負担を押しつけ、植民地的な愚民化教育を強行している。
 労働者の困難はきわめて大きなものとなっている。労働者の困難は、一企業内で解決できるものではないのはだれが見ても当然である。その根源はアメリカのグローバル戦略であり、「日米安保」条約による植民地的な抑圧にほかならない。そのようなアメリカが日本の独占資本集団を従えて好き放題な支配をする根拠が、アメリカの軍事力、在日米軍であり、その最大の武器が原水爆である。原水爆で日本をはじめ世界中の労働者を脅しつけて支配してきた。
 したがって労働者の生活をよくする課題、労働者とその子弟をアメリカの戦争の肉弾にするのでなく平和を守るためにも、労働者の民主的な権利を守るにも、対米従属からの独立の課題、すなわち日米同盟に反対する課題が不可欠である。とりわけ労働者が、アメリカとそれに従う小泉政府の売国政治に反対する政治斗争を担うことがきわめて重要である。なかでも、アメリカの原水爆による世界支配とたたかう全国的、全人民的な団結をめざしてたたかうことが不可欠である。

  本来の力発揮するとき
 戦後日本の労働運動は、アメリカおよびその目下の同盟者となった独占資本集団と正面からたたかうときに、真に広大な大衆基盤をもった力のある斗争が発展し、政治的経済的な譲歩をさせてきた。その伝統は、戦後五年目の1950年、朝鮮戦争を開始し、レッドパージ、GHQによる総評結成による朝鮮戦争支持などのなかで、広島で突破された8・6平和斗争であり、中国地方の戦斗的な労働者が担った。
 1950年に突破した原爆反対のたたかいは「戦争を終結させるためにやむをえない原爆投下」といった欺まんをあばき、真正面から日本を単独占領し戦後世界を支配するという目的のために、眉ひとつ動かさずに数十万の無辜の人民を瞬時に殺したアメリカの原爆投下の犯罪を暴露し、大多数の広島市民の願いを代表して突破したものであった。それがたちまちにして全国的、世界的な運動となり、世界中で原水爆使用が正しいなどとはだれもいえなくなった。
 このたたかいの中心を担った中国地方の労働者のなかで白熱的に論議されたことは、日常斗争主義、経済主義は誤りであること、反帝反戦斗争、階級宣伝と国際連帯が労働運動の第一義的な任務であるということであった。ここで突破した流れが60年「安保」斗争まで発展した。それは日本の独立・民主・平和・繁栄・民族文化の発展をめざす反米愛国の人民の統一戦線に立った斗争であった。
 だがそのような労働運動は、「安保」斗争後60年代、敵が労働者の政治斗争を弾圧し、また労働組合の幹部をアメリカに呼んで手なずけ、労働運動の内部から「高度経済成長」のおこぼれを自分だけが求める経済主義をふりまいて、アメリカの支配の枠のなかでわずかな改良を求める路線がまんえんしてきた。帝国主義的な超過利潤によって培養される労働貴族層が形成されて労働運動のなかにブルジョア的なイデオロギーがふりまかれ、労働者の全国的、全世界的な共通利益すなわち階級的な立場で共通敵とたたかうなかで、生活の要求も、民主主義や平和の要求も実現する路線が攻撃されてきた。そしていまや労働運動をすっかり破壊するものとなった。
 今日労働者を困難にしている根源はアメリカのグローバル戦略でありそれを忠実に実行する日本の独占資本集団の規制緩和・自由化の構造改革路線である。それに対応した軍事面が有事法制化であり、その支配を保障する根幹が米軍基地をはじめとした軍事力でありその最大の武器が原水爆である。
 個個の企業の労働者は企業の枠内ではなんの展望も見出すことはできないし、個人の権利は大きな労働者階級全体の根本の敵とたたかうことに位置づけることでしか勝ちとることはできない。
 独立、民主、平和、繁栄の日本を実現するために、日本の労働運動をかつての1950年8・6斗争から60年「安保」斗争にいたる伝統を回復することがきわめて重要である。今年の原水爆禁止8・6平和斗争に労働者の新鮮な力を結集することが切望されている。「原爆と峠三吉の詩」のパネルの職場展示、峠三吉の原爆詩集、さらに1950年の8八・6斗争の経験をあらわした福田正義主幹の「広島と長崎」などを大普及し、論議を発展させることが求められている。

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