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議員になればなぜ腐るか
下関・買収装置完備した議会
               市民と別世界の年収1000万    2006年2月11日付
 
 下関市江島市政の反市民政治への批判は強いが、チェックすべき下関市議会(小浜俊昭議長、104人)は、市民の困難はどこ吹く風で、ひたすらイエスマンをつづけてきた。下関市議会は来年2月12日で任期満了となり、市議選への動きがそろそろあわただしくなっている。市会議員というのはいったいなにをしているのか、その生態はいかなるものか、議員になればどうしてみながみな腐っていくのか、どうすればこの現状に風穴をあけることができるのか、市民の関心は高まっている。

 市民が困る議案も無関心
 市議会の体たらくぶりをよくあらわしたのが、昨年の新博物館にかんする議案。年間の教育予算に匹敵する100億円以上をかける巨大プロジェクトで、究極の官製談合といわれるPFI事業。江島市長は公募期間をわずか八日間しかもうけず、どこの業者を選んだかもかくして議案を出した。巨額なものであるにもかかわらず、市議会としてろくに審議もしてこなかった。
 昨年1月、総務委員会では承認されなかったものを翌日の本会議でひっくり返して強行可決するという芸当を演じた。小浜俊昭議長をはじめJR西日本や三菱重工、神鋼の労組出身市議たちが動いたのである。地元説明会も開かないまま6月には特定目的会社(代表・プランハウス)とのあいだで仮契約を強行、本契約を残すだけとなっていたが、市民世論に押されて9月定例議会の本会議では全会一致でひっくり返さざるをえなくなった。
 昨年1年、389議案が審議されたが、否決されたのは新博物館計画の1議案のみ。可決したなかには官製談合疑惑で公取委が調査に入り、担当部長が就任後1カ月で辞表提出した、し尿処理施設工事(28億円)の契約議案もふくまれる。
 市民が困っている江島市政の事業は数かぎりない。2003年の電子入札導入は、中小業者にダンピング競争をさせて、労働者を失業、半失業状態に追いこんだが、これは市議会の提案にそったものだった。大型店出店をすすめ、市内の商店はどんどんつぶれているが、そのうえに税金をつかってあるかぽーとの大型店誘致をやろうとしている。異常に高いゴミ袋も議会の条例可決をへて導入された。学校では犬猫以下のアルマイト食器を使わされていたり、トイレも壊れて放置されたり、用紙代をはじめ予算は出さずに父母負担ばかりかけているが議会はなんの関心もない。
 下関市議会は、林派の番頭である小浜氏が通算5期14年間も議長をつづけるという全国まれな珍事状態。市民のあいだで市議会は「ボス支配のサル山のよう」と語られている。議員は、下関がどう発展するか、市民の困難をどう解決するか、などということに関心があるとはみなされていない。
 
  議員生息する世界 実働日当は20万円特権的な高級制度
 議員は当選してしばらくすれば横着になるというのが市民の例外のない経験である。議員はどんな世界に生息しているのか。議員を腐らせているのは、第一に特権的な気分にさせる高給制度である。
 昨年度の旧市の議員で見ると、月額56万円、報酬と期末手当で年900万円(平均)が支給されている。本会議や委員会に出れば、日額4000円が払われ政務調査費がつく。
 役職なしの一般議員で、年間に受けとることのできる額は、
 議員報酬 678万円
 期末手当 250万円
 会議出席費(55日として)22万円
 これら約1000万円が払われる。1日あくびをしているだけで2万7000円以上もらっていることになる。市内の日雇い労働者は汗水流して1日働き5000円前後しかならない。職がなく、サラ金に追われ、首つりに追いこまれている多くの市民の感覚については、想像することすらできない別の世界にいるのだ。
 しかも、定例会や臨時会があって議員が出てくるのは委員会もふくめて年間50日間ほどとなり、実働で見た日当は20万円となる。
 議長はこれに170万円プラス、副議長は70万円がプラス。五つの常任委と議会運営委の正副委員長(10人)は、それぞれ20万〜40万円プラスされている。正副委員長ポストが回ってくる大きな会派に議員は集まる習性を持つことになる。
 そうして、3期以上つとめた議員になれば、年間で最低205万円の年金が保障される。当選回数とともに金額が上がり、10期目の小浜議長は年間300万円以上が保障される。
 戦後、議員報酬は月額150円からはじまり、1956年・月額2万3000円であった。それが76年には27万円、96年に現行の56万5000円と、国や地方の借金がふえ市民の生活が困難になっていくのにつれて高騰してきた。
 こうして議員以外に生活の糧のない、専業の議員生活者ができていくことになる。その実態は、年収1000万円の高給をとる生活保護者である。

  他にも多様な収入 企業の顧問料等
 議員の収入はそれだけではない。企業や病院から顧問料や役員報酬をとったり、家族をユウレイ社員にして給与をとるといった「アルバイト」事業もずいぶん発達している。顧問料は、県議は10万円だが市議は5万円が相場といわれる。20社あれば100万円になる。市長への口利き、公共工事のトラブル解決、といったことでの働きであるが、口のきくボスほど稼ぎが大きいのは明らか。
 市長選で江島市長の対抗馬をおした業者が公共事業から排除されたが、議会ボスが顧問の売りこみをして回ったことは、関係者のなかではよく知られた話。企業の顧問というのは、利権商売の定着化をものがたっているが、このほかに個別事業ごとの「ビッグプロジェクト」商売があるのも明らか。
 さらに執行部がやる議員待遇では、旅費や調査費などとさまざまな名目で金をばらまいている。自治法では報酬および歳末手当と費用弁済以外は、議員への支出が認められていない。そこで議会会派を公益的団体に見たてて、交付金が受けとられるようにしている。五会派(当時)にふりわけられていた視察費、政務調査費は、年間2700万円にのぼる。市内の中学校のアルマイト食器を、2回やり変えてもおつりがくる金額である。議員1人当り年間で見ると、
 旅費支給  38万円
 委員会視察 38万円
 政務調査費 36万円
 海外視察(順番)が出されていた。
 このほか旅費日当、旅費宿泊費、海外視察費などが公費として出る。視察旅行や海外旅行には、鉄道なら一等運賃で船賃なら最上級運賃が費用弁償として出される。ホテルに1泊すれば宿泊費および日当として、政令指定都市で2万1500円が支給され、地方都市でも1万7800円と破格なあつかい。ちなみに4000〜5000円のビジネスホテルに泊まって、差額をポケットに収めても慣例としてとがめられない。
 当選回数に応じてアメリカ、オセアニア、ヨーロッパに行く「海外視察」は、市民の批判もありこの5年間は一時停止した。そのかわりに「国際親善旅行費」というワクを、こっそりとつくった。「韓国」や中国の青島、トルコのイスタンブールなど、姉妹都市および友好都市と交流するためとして、年間330万円をかけている。「韓国」で昼間は寝ていて夜通し遊んでいた議員や、イスタンブールに海外視察したさいに、空港を下りたきり一週間行方知れずだった議員など、海外でなんの「親善」をしているのかわからない。公費を使った視察なのに、なにを勉強してきたのか市民が聞いたことはない。報告書も紙切れ一枚というのもあたりまえ。
 昨年10月には名古屋市内の繁華街で金田直樹議員が、路上で女性の胸を触ったとして、愛知県警から迷惑行為防止条例違反容疑で書類送検された。女性にたいし、「1万8000円では高い」と値切って、「怖い人たち」に足元をすくわれたとされる。翌年4月の臨時会で「議員辞職勧告」を決議したが、それは「これで結着。辞職しないでよい」という意味であった。
 ほかの議員にも、視察報告を職員につくらせたり、同僚議員の名前で旅費を使いこんでいたり、視察中にパチンコに熱中していたりなど、みっともない行状に終わりはない。
 この「稼ぐが勝ち」「遊ぶが勝ち」の議員商売を安定的に確保し繁盛していくには、口利きの力を確保することであり、現職市長と関係をよくすることが前提となる。市民のことを心配するなど論外となる。市民は選挙のときに利用するだけとなる。選挙がきたら、市民のことを心配しているかのようにいかに印象づけるか、その芝居のテクニックばかりが発達することになる。
 昨年3月の市長選では、江島陣営から現金が渡った自民党市議ら12人(旧豊浦町出身)が告発されて、出所不明な200万円が問題になっている。政治ブローカー業もさかんである。

 「反対」勢力も同じ世界
 昨年の市長選では、江島市長に市民の批判が集中し、19%の得票率で事実上の不信任となったが、自民党安倍派が丸抱えでとりくみ、公明党、連合などが現職江島市長の支持母体となり、市民に対抗して現職を支えた。「日共」修正主義集団も欺まん的に現職に票を流したことが暴露されている。
 公明党や「日共」修正主義集団などは、市民の味方を演じて見せて、ときには江島市政に批判的なこともいってみせるが、最後まで主張して行動したことを市民は見たことがない。生活保護や市営住宅などの「貧乏人の世話」を票の武器としているが、これもすべての市民への平等な心配ではなくて、自分の票になるところだけの世話という限定版であり、あとの大多数の犠牲を前提としている。これも現職に恩を売ることで口利きの保証をとり、生活保護などの制度に買われてメシを食っているわけである。
 当選した議員がほとんど例外なく横着になっていく、現職批判といって登場しても、すぐに骨ぬきになって腐っていくというのは、高給かつアルバイト収入の「発達」など、買収の仕かけが完備しているからである。ますます食っていけなくなる市民の実感など別世界の労働貴族の世界がつくられているのである。

  腐敗議会に風穴を 市民の大衆運動が力
このようななかで、反市民の市政を改めさせて、市民にとってよい政治を実現するためには、「議会がなにかをやってくれる」という期待をするだけむだであった。反市民の市政を改めさせる力は、市民の大衆的な運動である。
 江島市長は、全国に先がけてゴミ袋の大幅値上げをやり、「絶対に値下げしない」と開きなおったが、母親たちを中心とする市民の運動で、10万人をこえる署名となり、値下げをした。博物館問題も、地元長府の自治会の反対をはじめ、2万人をこえる署名運動となりとん挫させた。教育施設改善の母親たちの運動によって、トイレの改修や給食食器の改善を実施させた。
 市政を市民の手にとりもどすには、市民の大衆運動に足場をおいて、私心なく市民の役に立つ精神を貫く議員を送りこむことが必要である。市政・市議会の内部でなにがやられているのか、どんな悪いことがやられているのか、遠慮なく市民の前に暴露する議員がいる。市民の大衆的な世論と運動と結びついて、市民の死活の要求を議会に反映させ、実現していくために働く議員が必要である。
 そのような市民のためになる議員を働かせるには、買収装置が完備した議会のなかに放置していたのではだめであり、市民の側がつねに監督する関係がつくられなければならない。市民の側が、一定の組織をつくり、不断に市政の状況、議員活動の報告をさせ、点検する体制をつくることが不可欠である。
 議員の歳費は、市民の実生活とあまりにもかけ離れた特権的なものとなっている。議員歳費を下関の衰退に見合うものに変えさせることが必要である。この議員歳費を議員個人の金だというのではなく、市民のために、市民の運動を発展させ、市政をよくするために使うような議員が求められる。

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