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軍事も経済も米国の下請化
米国務長官が来日
              段階画す日米同盟の実態     2009年2月18日付

 アメリカのクリントン新国務長官が初来日し中曽根外相と「在沖縄海兵隊のグアム移転協定」に署名したほか、麻生首相、浜田防衛相らとも会談して、日米同盟を一層強化する必要性を再確認した。オバマ新政府となって、世界でもまれに見るほどの対米従属の日米関係がどう変わるのか、変わらないのか見てみたい。

 オバマ新政府も従属強化狙う
 シーファー米駐日大使は、「ブッシュ政府時代の日米関係は黄金時代だった」と明言した。この8年、森、小泉、安倍、福田、麻生と日本の首相は5人かわったが政治・外交、軍事、経済、社会全面にわたる対米従属は段階を画し、植民地的様相を強めることになった。
 政治・外交、軍事面で見ると、アメリカがアフガニスタンやイラクに対して戦争を始め、日本に自衛隊派遣を求めると、「日米同盟のため」といって戦後初めて日本の若者をアメリカの肉弾として戦場に送った。「日米安保条約」や1996年の「安保共同宣言」にもとづく「新日米防衛協力指針」や周辺事態法でも説明のつかない海外派兵であったため、「テロ特措法」とか「イラク特措法」の名目で強行した。
 こうした既成事実をつくりあげたうえで、2003年5月、小泉はブッシュとのあいだで「世界のなかの日米同盟」を共同文書として確認。「安保共同宣言」が規定した「アジア太平洋地域を対象とした日米同盟」を「地球規模の日米同盟」に拡大し、アメリカが世界中で起こす戦争に自衛隊を派遣する体制づくりに踏み込んだ。
 新段階の日米同盟はまず、米軍・自衛隊の再編として具体化された。ブッシュ政府が01年から実施した世界的範囲での米軍再編は、@同盟国の役割拡大、A世界中の戦斗地域に迅速に展開できる軍事力の構築、B米軍の迅速展開を可能にするための同盟国の支援態勢、などを方針に進められた。
 日米両政府は02年、05年の日米安全保障協議委員会で、「地域及び世界における共通戦略目標」に合意し、それを実現するために両国の「役割・任務・能力」を分担するとともに米軍・自衛隊の変革と基地再編の道筋を定めた。この委員会で、台湾防衛が日米共通の課題であることが確認され、アメリカが台湾防衛で中国と戦争する場合、日本はアメリカの側に立ち、共同作戦をすることで合意している。
 ブッシュ政府は「再編計画は、太平洋における安定的かつ持続可能な米軍の前方展開プレゼンスにもとづく日米同盟の永続的な能力を確固たるものにする」として、在日米軍基地の恒久化、日米両軍の一体化を進めた。@陸海空・海兵隊の米4軍の海外への「殴り込み」機能をさらに強化する、A共同作戦を円滑に進めるために、米軍と自衛隊の司令部機能を統合することが重視され、世界中の紛争に米軍と自衛隊が共同で介入する態勢づくりがはかられた。沖縄駐留米海兵隊のグアム移転、厚木の米艦載機部隊の岩国移駐、普天間基地の名護移転、それに米陸軍第1軍団司令部の座間移駐、米第5空軍司令部のある横田基地への空自航空総隊司令部の統合などである。
 ブッシュ政府は、米軍再編を補完する自衛隊再編によって、海外での日米共同作戦を強化することを要求。実際にイラクやアフガニスタンでの実戦経験を学ぶ形で共同演習を実施し、自衛隊の役割強化と米軍との軍事一体化がはかられた。06年末、安倍内閣は防衛庁を「省」に昇格させ、海外派兵を自衛隊の「本来任務」とすることを強行した。自衛隊の海外活動をおもな任務とする中央即応集団や中央即応連隊、中央情報隊の創設など、組織と制度の改変も進められた。あと法的には、集団的自衛権の行使ができるよう憲法9条の改悪を残すだけとなっている。
 しかし、ブッシュ政府の軍事的覇権主義がイラクなどで無残に破たんし、日本政府の異常きわまる対米戦争協力が世界の笑いものとなるなかで、日本人民の米軍再編や自衛隊の下請軍隊化という戦争の道に反対する運動がここ数年大きく盛り上がり、ねばり強く発展している。自公政府が「再編交付金」などカネによる買収・分断や各種圧力で屈服をはかっても、岩国基地への米艦載機部隊の移駐、それにともなう愛宕山への米軍住宅建設、普天間基地の名護移転などが頓挫している。

 無関係な基地費も拠出 グアム移転
 オバマ新政府がそのなかで、日米同盟をどのように再編・強化しようとしているか。オバマ自身、「米日同盟が太平洋におけるアメリカの安全保障政策の要である」と明言している。クリントン国務長官も同様の認識を示している。同長官が17日、中曽根外相と署名した「在沖縄米海兵隊グアム移転協定」を見ても、日本をアジア太平洋地域から世界各地に至るアメリカの先制攻撃の戦争に動員していく方向に変わりはない。
 日本政府は、在日米軍再編に総額3兆円を拠出するが、在沖縄米海兵隊グアム移転でも総額102億7000万jのうち日本が59%にあたる60億9000万jを負担する。麻生政府は09年度予算案にグアムでの新基地建設費として346億円を初めて計上した。最近判明したことは海兵隊移転と直接関係のないグアムの米軍基地の基盤整備費まで日本が負担するという。「派遣切り」などで多くの労働者が仕事や家を奪われ、路頭に放り出されているというのに、在日米軍への「思いやり予算」などには湯水のように血税をつぎ込む売国性をさらけ出してはばからない。
 国防長官として留任したゲーツは、主戦場をイラクからアフガンに移したオバマの戦力増強策を首尾よく実現するための人事配置といわれる。ゲーツはアフガン政策について「同盟国と友好国の現地における民生活動、治安訓練能力を整備することが、アメリカ軍による戦斗と同じか、それ以上の重要性を持つようになっている」と語っている。欧州同盟国が兵力増派に二の足を踏んでいるなかで、日本に対してこれまで以上に、アフガン本土への地上部隊派遣、「復興」の名による医療や教育、経済など民生部門への人員派遣を強く求めてくるにちがいない。
 次期駐日大使に内定しているジョセフ・ナイ氏は、クリントン政府の国防次官補(国家安全保障担当)として、95年に「東アジア戦略報告」を発表したことで知られる。同報告と重なった日本の「新防衛計画大綱」は、@周辺事態での日米共同軍事行動、APKO(国連平和維持活動)はじめ海外派兵の促進など、自衛隊の役割を変えた。
 さらに、ブッシュ政府発足にあたっては、アーミテージ元国務副長官らとともに超党派の「アーミテージ・ナイ報告書」を発表。日本は「力の分担をすべきだ」として有事法制制定、「国際テロ」反対、PKF(国連平和維持軍)参加、ミサイル防衛での日米協力拡大などの「青写真」を描いて、日本に集団的自衛権の行使を公然と要求した。
 07年の第2次「アーミテージ・ナイ報告書」では、自衛隊の海外派兵恒久法を奨励し、自衛隊の近代化・強化、米軍と自衛隊の一体化を促進するなど「地球規模に関与する日米同盟」の構築を強調した。
 オバマ政府にはクリントン政府下で日米安保の拡大を推進し、ブッシュ政府時代には超党派グループとして日米同盟の地球規模への拡大を後押ししてきたメンバーがそろっている。ナイ氏のほかジョーンズ元NATO欧州連合軍最高司令官の大統領補佐官(安全保障担当)、キャンベル元国防次官補代理の国務次官補(アジア・太平洋担当)、在日海兵隊司令官として沖縄にも駐留したグレグソン国防次官補(アジア・太平洋担当)などである。クリントン国務長官やゲーツ国防長官らが彼らを率いて、日米関係で中心的役割を果たすだろう。
 ナイ氏は日米安保について、「たんなる2国間の安保協定を超えなければならない。オバマ氏は日米関係をより深化、広範化させる構想を持っている」「オバマ氏は両国がより強力で持続可能な地球規模の安保関係を築くよう求めている」などとのべている。その意味するところは、地球規模での日米同盟を固定化し、アメリカの世界支配戦略に日本を目下の同盟者として動員していくことである。
 軍事的には、在日米軍の再編と自衛隊との一体化を日本国民の負担で進め、世界でアメリカが戦争を起こせば自衛隊を下請軍隊としてどこへでも派遣することである。バイデン副大統領は先のミュンヘン安全保障会議で、「直面する危機はアメリカ1国で打開できるものでなく、同盟国の協調が求められる」といった。要するにアメリカのイラクなどでの失敗の尻ぬぐいも、アメリカ発の金融危機の克服もみな同盟国はじめ世界各国が担うべきだという虫のいいご託宣である。

 大打撃受ける日本経済 GDPは12・7%減
 日本の昨年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で12・7%減となった。アメリカの3・8%減、欧州ユーロ圏の5・7%減と比べても、落ち込み幅ははるかに大きい。アメリカ発の金融危機によって主要国でもっとも打撃を受けたのは日本だった。
 90年代後半の金融ビックバンから小泉内閣の「聖域なき構造改革」まで、アメリカの要求で新自由主義や市場原理主義が進められてきた。そのなかで、日本の経済構造は空洞化が進み、円安をあてにした輸出産業だけがもうける構造にされた。アメリカが金融恐慌でドル安に転じればたちまち輸出が激減してもっとも深刻な恐慌に陥った。それは雇用をさらに悪化させ消費を減退させて失業者を急増させる悪循環をもたらしている。
 にもかかわらず、麻生首相はオバマとの電話会談で、「日米両国は世界第1、第2の経済大国として緊密に連携をとっていきたい」とし、巨額の資金拠出に応じる姿勢をとっている。オバマ政府は先日ようやく総額約75兆円の景気対策法案を上下両院で可決、金融救済法案などを含めると約3兆j(約270兆円)の支出となった。金融救済と財政赤字を度外視した国家財政の投入である。オバマ政府は国債増発や紙幣増刷でその資金をまかなうほかない。GDP世界第2位の日本にアメリカ国債を押しつけることも、今回のクリントン訪日の目的であることも疑いない。ドルを事実上の基軸通貨としているアメリカは、自国の金融・産業巨頭の救済のために日本の富を巻き上げ、人民を貧困のどん底に叩き込むのである。これが日米同盟の経済関係の実態であり、オバマ政府になっても変わるものではない。

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