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漁業権消滅の事実はなし
上関原発巡る祝島の補償金問題
               拒絶貫けば契約不成立     2009年12月9日付

 上関原発計画をめぐって、祝島の漁協が補償金を受け取るかどうかが、大注目点となっている。「共同管理委員会の多数決で漁業権問題は決着済み」というのなら放っておけばよいのだが、中電や二井県政の側は県漁協を使って「漁業補償金を受け取れ」の工作に必死である。祝島の漁業権は消滅しておらず、補償金を受け取り、妥結の判を押さなければ原発はどうにもならないのである。
 上関原発をめぐる補償金問題は、2000年4月に中電と107共同漁業権管理委員会とのあいだで突如125億円で妥結。同年にその半金を配っていた。それが、昨年10月、二井知事が埋め立て許可を出し、それを受けて中電が関係漁協に残る半金を支払った。
 昨年11月には、2000年から争われていた『漁業補償契約無効確認訴訟』について、最高裁が高裁判決の「(祝島の)組合員は管理委員会の決議に基づく契約に拘束される」という表現による請求棄却を踏襲して、判決が「確定」扱いとなった。
 県農林水産部の梅田審議監に、祝島が補償金を受け取っていない状況で107共同漁業権の影響補償に係る契約が成立していると見なしているのか質問すると、昨年出された最高裁判決に準ずるという見解であった。
 この判決をよく見ると、共同管理委員会と中電の契約は無効ではないとし、祝島の組合員は「管理委員会の契約に拘束される」というが、祝島の漁業権がなくなったとはいっていない。いえないのだ。祝島漁協で総会による3分の2の議決がいるし、契約のあと補償金の受け取りがあって初めて漁業権放棄の契約が成立する関係になる。7漁協との関係は、それぞれ総会議決をやり、補償金を受け取ったわけだから、契約は成立したといえるだろうが、祝島との関係は成立していないのだ。
 「管理委員会の議決に拘束される」というのは、七漁協との契約が有効だと認めるほかはないという意味合いほどしかない。だいたい、祝島の漁業権という財産を、いくら多数といってもよその漁協が放棄できるわけがない。この思わせぶりで、弁解の道も用意した最高裁判決を、「祝島の敗訴」といって騒ぎ、祝島の漁業権はなくなり、原発はできると騒いだのが中電であり、埋め立て許可を乱発した二井県政である。
 そしてこの春、祝島での補償金受け取りを何が何でもやらせるとして、3分の2の議決がいるのに過半数でいいと欺いてやったが、覆されることとなった。
 二井県政は条件は整ったとして埋め立て許可を出し、「埋め立て許可時に残り半金支払い」の約束をしていた中電はすでに前年に各漁協支店に支払ったあととなっており、各支店は夏頃組合員に配分してしまった。
 かくして祝島が補償金を受け取らなかったら、配分した補償金は無駄金となり、原発は終わりとなる。漁業権は決着済みというなら放っておけばよいのに放っていたら原発は終わりになる。動けば「やっぱり」となり、推進派は顔が引きつる関係となっている。

 補償金拒否の島民の力が要 中電の工事ストップ

 祝島では11月24日に県漁協の招集で組合員を集めて説明会を開催。森友信専務(室津漁協出身)ほか幹部職員が参加、そこには漁協合併の時期に柳井水産事務所長をしていた梅田孝夫・県農林水産部審議監と、現在の仲野武二・柳井水産事務所長の2人が同席していた。
 そして「来年5月まで供託した5億円余は受け取らなければ国が没収。残る半金も2年後まで受け取らなければ法人税として3億8000万円を祝島支店に負担していただくしかない」などと説明。この税額は、没収した供託金からも二重に税金をかけるというものだ。税務関係者に聞くと、受け取っていない所得から税金を取ることはできないのが常識であり、いずれにしても全国的に前例のないケースであり、こんなことは裁判になって初めて判例になる代物だといっている。
 この配られた説明文は、県漁協の知恵の及ぶものではなく、中電か県水産部がつくったものを県漁協が棒読みしていると見るのが漁協関係者の常識である。
 このことについて農林水産部の梅田審議官にたずねると「わたしたちは当日一つ目の議題に上がっていた運営委員の不在状況を解決できるよう仲介しに行っただけで、補償金問題についてはその時に初めて資料を見て、そういう問題があるんだという認識になった。県は第三者であり、聞いていただけだ」と説明した。また「税金の扱い等については指導の範囲を超えるし専門ではないのでわからない。国税がどう判断されるかだ」と、県が推進しているのではなく、「第三者なのだ」を強調していた。
 祝島の組合員から見ると県の農林水産部の指導で県漁協が説明しているという光景であり、補償金を受け取らせるための運営委員問題解決に県が乗り込んだという光景である。二井県政が上関原発問題で漁業権放棄のために主役を果たしてきたことは誰もが知っていることであるが、表向きはそういえない苦しい関係であることを物語っている。補償金問題では今後一切祝島には接触しないとか、裏で動かないとかしなければ、ウソをいったということになる。
 二井知事の動きでは、11月末に二井知事が民主党内閣にたいして、上関原発計画について社民党が中電に海面埋立工事の中止を求める要請書を提出したことなどをあげ、与党内で原子力政策について見解を示さなければ県として動きようがないという要請文を出した。今まで地元の要請に県知事はこたえるといってきたが、国の要請で動いてきたというのである。これで注意すべきは、現在工事がストップしているのは、祝島が補償金を受け取らないからではなく、社民党が与党になって政府が推進しないからだと装い、祝島が受け取っても反対はつづけられるのだという欺瞞の意図をうかがわせている。実際の関係は民主党政府など当てになるものではなく、阻止している最大の力は祝島の補償金受け取りを拒否する島民の力にある。
  

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